Sorry, Japanese only! (2000年3月)

132.仙石線と只見線

説明

背景

時刻表を見ていたら、2000年3月に宮城県の仙石(せんせき)線に「あおば通(どおり)」という駅ができるというニュースが載っていました。

ああ、あの地下化するという話だなと気がつき、まずは乗ってみたいと思い、3月は青春18きっぷが使えるので青春18きっぷを使って行こうと考えました。

時間が許せば仙台の近くの塩釜(しおがま)にも寄ってみたいです。1999年に買った、女の子と恋愛することを目的としたゲーム、「お嬢様特急(メディアワークス発売)」の舞台となる塩釜の魚市場にぜひとも行ってみたいと考えたからです。ちなみに隣の山形の山寺もお嬢様特急の舞台になっていますが、そこには1999年5月に行っています(「72.五能線と山寺」参照)。

さて、仙台の他にはどこに行けばいいでしょうか。

どうせ3連休ですからもう少しまわれそうです。どうまわったらいいでしょう。


目的1

ここでぜひとも行ってみたい場所がありました。1つは只見線です。

只見線に、どうしても宿泊しないと乗れない列車があるのです。それは、

・会津若松駅を、朝6時前に出る列車

です。これに乗るにはあおば通駅に行った後で、会津若松まで行って泊まればよさそうです。
予約したら「駅前フジグランドホテル」が予約できました。これで旅行の目的の2か所目は決まりました。


目的2

もう1つは、今度新幹線が通るようになった山形~新庄間です。青春18きっぷなので新幹線には乗れませんが、まずは普通列車でこの区間を通っておこうと考えたのです。

そうすれば1度乗っているとは言え、学生時代に1回通ったきりだった陸羽東線(りくうとうせん)にも乗れるなあと考え、どうせだからその途中の鳴子温泉に泊まってしまおうかと考えたのです。
電話したら鳴子温泉の「ホテル瀧嶋(たきしま)」という宿が取れました。

また、山形に効率良く行くには、ムーンライトえちごに新宿から乗って坂町で降りて米坂線に乗るのがよさそうです。このようにして、ムーンライトえちご→米坂線→奥羽本線→陸羽東線→東北本線→仙石線→東北本線→磐越西線→只見線→上越線という今回の旅行の骨格が定まり、青春18きっぷも4日分を費やすことに決まったわけです。


補足

なお、山形~新庄の新幹線はあとで青春18きっぷが使えない期間に「ウィークエンドフリーきっぷ」を使って通ろうと考えていたのですが、残念ながら2000年7月をもってこのきっぷは廃止されてしまいました。残念なことですが、このきっぷのせいでけっこうJR東日本は収入をのがしているような気がするのでしかたがないのかもしれません。

白新線

新宿駅

三連休の前日、ぼくは新宿駅にやってきた。

新宿に来る途中でラーメン屋に寄ってきた。今回はアパートもより駅から高崎までの区間に青春18きっぷの1回分を使うことにしたので、どうせなら途中下車すれば高崎まで2300円を超えることになって得になる、ということもある。

新潟の方に向かう夜行列車に乗るのは6年ぶりである。あのころはまだ「快速ムーンライト」という名前だったが今は「快速ムーンライトえちご」という名前になっている。でも使われている電車はたぶん変わらないだろう。

それにしても、6年前と比べて新宿駅も多少変わったような気がする。

ムーンライトえちごの出るホームは中央本線の特急が出るホームからなのだが、なんだかとても「あかぬけた」感じがするのだ。6年前のことをそれほど覚えているわけでもないのでなんとなくなのだが。

ホームを南に進んでみた。こんな夜遅くでも弁当を売っている人がいる。せっかくなのでサンドイッチを買ってみた。とは言っても電車に持ち込まず、ホームで食べてしまう。さすがにホームで売っているものはうまい。


就寝

ムーンライトえちごの車両がやってきた。6年前の快速ムーンライトと同じような車両だ。しばらく待つとドアが開いた。

今日はちゃんと禁煙車の座席を取ってある。夜遅くにたばこを吸う人はそれほど多くないのだが、禁煙車を取っておくにこしたことはない。

6年前と同じ座席にすわる。今日も青春18きっぷなので、車掌に日付を入れてもらうまでは起きていなければならないだろう。いつものとおり、「本日は指定席は売り切れております」というアナウンスがしつこく流れるわりに空席がちらほらと見える。そしてようやくえちごは新宿駅を発車した。

閑散とした中、えちごは池袋に停車し、発車する。山手線をとなりに見ながら進み、トンネルをぬけると京浜東北線をとなりに見て赤羽駅に着く。あのころとは違い赤羽駅は真新しいホームだ。そして大宮に進みはじめたころ、ようやく車内改札がある。青春18きっぷのアパートもより駅で入れてもらった今日の日付を見せ、あしたの日付を入れてもらう。

日付を入れてもらったらぐっすり眠る。


起床

目が覚めた。電車がうしろに走っている。ああ、もう新潟を過ぎたみたいだなと思った。

6年前は新津で降りたが、今日は坂町まで乗っていこうと思った。ムーンライトえちごは新潟で方向転換するのである。まだまだ暗いが、新潟駅を過ぎて白新(はくしん)線に入ったえちごは、人家の少ない場所を進んでいった。

お客も新潟でかなり降りたらしく、だいぶ少なくなっている。新発田(しばた)を過ぎた。

坂町まではそれほど海に近い場所を通らないことはわかっているので、そのままぼんやりしていた。寝過ごさないように気をつけているうちにえちごは目的地、坂町に到着した。ここで降りる。

6年前はムーンライトを新津で降りて始発のディーゼル車で坂町に来たので、今日は到着が6年前より数時間早い。


坂町駅周辺

駅前にはコンビニがあった。しかしどうも営業していないようなのだ。

夜が明けるのを待てば開くかと思ったが、どうも開きそうにない。

ぼくは、駅から離れたところにもしかしたら営業しているコンビニがあるかもしれないなと思った。だから歩いていくことにした。

駅前の道をてくてく進んでいく。坂町駅前は住宅が多いが店は駅前のコンビニしかなかった。ここから新潟駅まで通っている人もいるかもしれない。さらに進む。

大きな国道っぽい道があったので近づいてみた。

あったあったコンビニだ。これでなんとか朝食が食べられる。

おにぎりとか飲み物とかを買っていく。さあ、坂町駅に戻ろう。

米坂線

発車

坂町駅から歩いて10分ほどの、幅の広い道のところにあるコンビニでおにぎりや飲み物を買って坂町駅に戻る。

3月の新潟であるが、海の近くらしく、それほど寒いわけではない。駅に戻ってきたがやはり駅前のコンビニは営業している気配がない。歩いて良かった。

青春18きっぷを見せて改札を通り、6年ぶりに坂町から米坂線に乗る。階段を上がっておりてホームに行く。

土曜日なので学生が多い。羽越本線に乗る客だけかと思っていたら、いくらかは米坂線の方に乗ってくるようだ。こっちにも高校があるのかな?

ディーゼル車は発車する。6年ぶりに乗るわけだから景色はわかっている。確か大きな川が見えるんだったっけ。

ここ数年、いろいろな路線に乗って、大きな川のある路線にもたくさん乗ってきた。この米坂線と似たような川の見える路線にもいろいろ乗ってきた。


やっぱり川に沿って進むJR線はいいなあと思う。しかし窓から見える景色は、だんだんと雪のうずまく景色に変わっていった。

3月に雪が降ることはめずらしくない。4月に雪が降ったことさえある。ましてここは北国である。

でもそんな雪景色もディーゼル車から見ている分にはいいものである。雪のせいで川もたいして見えないがまあこんなものだろう。トンネルをくぐる。

トンネルを出ると山あいであるが、さらに雪が強くなっていた。ゴウゴウと強くうずまいている。

たいして客もいないディーゼル車はこうやって米沢に向かって進んでいく。米沢に近づき、盆地に入るとようやく雪が弱まっていく。

市街地に入り、しばらく進むとようやく終点米沢に到着である。

ディーゼル車を降りて奥羽本線の電車に向かった。

奥羽本線

米沢~山形

坂町から乗ってきたディーゼル車を米沢で降りる。もちろんここは駅の南の端で、急いで北へ向かう。

そしてなんとか山形行きの電車に乗る。標準軌が新庄まで延びてもそれほど変わらない、ボックス席のある電車である。

まだ3月なのだが、それほど雪は多くない。まだお昼になっていないのでそれほど混雑もしていない。

普通列車はたまに午前中でも中間テストや期末テストで高校生でいっぱいなことが良くあるが、もう期末テストには遅いようだ。もっとも今は連休なのだが。

電車は発車する。左右にはまだ雪の残る山々が続いている。
米沢と山形の間はけっこう山が続いていて、トンネルもけっこう通る。そんな風景を見ながら山形に着いた。


山形~天童

以前山形駅で乗り換えた時は、ホームがH形をしていて乗り換えに階段を使わなくてもいい構造になっていた。しかし今はまた階段ののぼりおりが必要な形に戻っている。

山形新幹線つばさが新庄まで行くようになったので、つばさの停まるホームを直通構造にする必要があり、もとの形に戻ってしまったのだ。

とするともしかしたら新庄が今はH形なのかな?と思いながら天童行きに乗り換えた。新庄行きが出るまではまだ時間があるので先に天童まで行って散歩しようと思っているのだ。

新庄まで標準軌にしたので、天童行きも米沢から乗ったのと同じような電車である。あまり景色は変わらず、左右に山々を見ながら電車は天童に着いた。
青春18きっぷを見せて改札を通り、散歩してみた。

しかし、古い街並みといった場所ではなく、普通の住宅街であった。
山形県の他の場所と同じく、市街地が駅から離れている場所なのであろう。
駅から多少散歩して、別に見る場所もないなあと思いながら駅に戻った。


天童~新庄

そして新庄行きの電車に乗る。多少お客が多くなったような気がする。

付近の景色も広い盆地の左右の遠くに山があるといった雰囲気から、山の近くを走るようになってきた。正面にも山が見えるようになった。
そして新庄に到着した。電車を降りる。

予想通り、新庄は以前の山形駅がそうであったように、ホームがH形になっていて階段のない駅になっていた。乗り換えがとても便利なようである。

まだお昼をちょっと過ぎたあたりである。そして今日の宿はそれほど離れていない鳴子温泉である。

すぐ宿に行くと夕方までだいぶ時間があるのだが、新庄には特に見るものもなさそうだし、すぐに陸羽東線で鳴子温泉に行くことにした。

いったん青春18きっぷを見せて改札を出て、コンビニで弁当を買ってまた改札を通り、ホームに戻った。

陸羽東線

新庄~鳴子温泉

天童(てんどう)から乗ってきた電車を新庄(しんじょう)で降り、いったん外に出てコンビニで弁当を買い、再び駅の中に入って陸羽東線のホームにやってきた。

階段なしですいすいと陸羽東線のホームに行き、ディーゼル車を待つ。やってきた。土曜の午後ではあるが降りてくる客はそれほどいなかった。

乗ってくる客はさらに少ない。まずはコンビニ弁当を食べよう。食べているうちに発車である。

陸羽東線は学生時代に青春18きっぷで通っている。確かまだ国鉄だった。

だいたいの景色は、小牛田から鳴子のちょっと東までが平野の景色、鳴子から新庄までは山に囲まれた景色だったと思う。きょうはJRになってからの乗り直しということになる。今は鳴子も鳴子温泉という駅名に変わっている。

弁当を食べ終わって景色を見る。10数年ぶりの、山に囲まれた景色を進んでいく。どことなく北上線の横手からほっとゆだまでの景色に似ているような気がする。ずっとがらがらなまま終点の鳴子温泉に到着した。ここで降りる。


チェックイン

青春18きっぷを見せて改札を通る。小さな駅である。すぐに外に出てしまった。うん、温泉町のようだ。さて、案内図を見てみよう。

ぼくが予約したホテル瀧嶋(たきしま)は、左に曲がって多少進んだところのようだ。でもまだチェックインの時刻には早そうだなあ。もう少し駅を見てみよう。

鳴子温泉駅にはなぜか、大学などにあるような、階段状の座席のある広間があった。演歌歌手が営業でもできそうな場所である。よくわからないが客を駅に呼ぶためにつくった場所なのかな。

座席にすわってしばらく休んだが、なにもすることがない。しかたない。ホテルに行こう。

鳴子温泉駅から東に歩くと線路の下をくぐる。そしてさらに東に進むとホテル瀧嶋はあった。玄関をくぐる。

「いらっしゃいませ」
「どうも」
いつものようにぼくの名前をチェックインカードに書く。
「ずいぶん早いお着きですね」
「はあ」
「案内しますね。このホテル、エレベーターがないんですよ」
「大丈夫ですよ。東京ステーションホテルにもエレベーターがないんですから(ぼくが泊まった1997年3月には東京ステーションホテルにエレベーターはなかった。「66.雪の函館」参照)。


就寝

こうやって階段を上がって和室に案内される。夕食は6時だということだ。まだ4時である。

昔は夜行に乗ってばかりの旅行だったから、日が暮れるまで列車に乗っていたものだった。でも最近は、かなり早い時刻に宿に入ってしまうことが多い。きょうもそうである。

風呂に入ってもいいが、やはり暗くなってから入ろうと思った。テレビでも見よう。

相撲をやっていた。3月なので大阪場所だ。ホテルで相撲を見るなんてめったにないことである。ぼーっと相撲を見ていた。もちろん、相撲が終わると6時である。ゆかたに着替えて下の食堂に行こう。

さすがに3連休だけあって宿は客でいっぱいであった。よく1人で泊まれたなあと思う。やはり食事つきの宿はいいなあ。けっこう安い宿なのに豪華な食事である。

豪華な食事を食べて、部屋に戻ってしばらく休む。そして共同風呂に行く。風呂は地下である。鳴子なのでもちろん温泉である。

土曜日はたいしたテレビもない。窓から見える明かりも温泉地の端の方なのでたいして明るくなく、部屋の照明を消すとすっかり暗くなった。旅行はあと2日あるし、きのうは夜行列車だったし、ぐっすり眠ろう。おやすみなさい。


起床

目が覚めた。朝食は7時だったっけ。まだ7時になってはいない。もう1回風呂に入れそうだ。入っておこう。

朝早い時刻でもけっこう風呂に入っている人がいる。しばらく入って風呂を出て7時を待つ。7時だ。食堂に行こう。

朝食もこざっぱりした朝食だった。すっかりおなかもいっぱいになった。予定の列車の発車時刻まで宿にいて、それからチェックアウトする。

駅まで歩いて、青春18きっぷに日付を入れてもらって階段をのぼっておりて小牛田(こごた)行きのホームに行く。たいして客もいない。やはりここには自家用車で来る人が多いのかな。


鳴子温泉~小牛田

小牛田行きディーゼル車がやってきたので乗る。楽にすわれた。こんなものなのかなあ。席にすわると発車である。

一度通った路線なので景色はわかっているが、夏になれば田んぼが広がっているであろう平野のまんなかをディーゼル車は進んでいく。駅ごとに客が乗っていく。

しかし古川に着くとお客のかなりの数が降りていく。新幹線に乗る客ではなく、古川に用事のある客が多いのかもしれない。きょうは日曜日である。

すっかりがらがらになってしまったディーゼル車はなおも平野を進み、終点小牛田に到着した。ディーゼル車を降りる。

さあ、次の目的地は塩釜だ。でも東北本線の塩釜からだと目的地の魚市場は遠いから、松島で降りて仙石(せんせき)線の高城町まで歩いて、そこから本塩釜まで行くことにしよう。

関連リンク