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Sorry, Japanese only! (1994年3月その1)

1.只見線はおばさんだらけ

説明

1993年11月はアイドルグループの大阪パフォーマンスドールと握手するため、青春18きっぷが使えない時期であるにもかかわらず、約2万円もかけて東京から大阪まで往復旅行をしてしまいました。

また、1994年2月には、別のアイドルグループ、「Tiara(ティアラ)」を見に行くため、ハートランドフリーきっぷ2枚と北海道フリーきっぷを組み合わせて足かけ8日の北海道旅行をしてしまいました。

こんなふうに旅行しているうちに、だんだんアイドルを見に行かない、単なる列車に乗るためだけの旅行に興味が出て来ました。

時刻表の全国路線図に、今まで乗った路線に色をつけて、色のついていない場所にも行ってみたいと考えるようになりました。

まずはざっとその色のついた路線図を見渡して、青春18きっぷを使って1日で行って帰って来られる場所を中心に乗ろうと考えました。既にそのような場所としては、総武線、成田線、身延線、小海線、内房線に乗っています。外房線や水戸線、両毛線、八高線には就職以前に乗っています。
さてどこに行こうかと思いました。2つ思いつき、この春に乗ろうと考えました。

・只見線
・飯田線

青春18きっぷを買い、そのうち3回分を実家の家族に郵便で送り、残った2回分で日帰り旅行することにしました。
今回は2つのうちの1つ、只見線の話を書くことにします。

高崎線

旅行記本文

目が覚めた。時計を見た。まだ午前3時だ。ここはぼくが住んでいる東京の会社の社員寮である。
きょうは只見線に乗る予定である。必ずしも始発の列車に乗る必要はないのだが、始発に乗れるのなら乗っていこう。
ぼくは4時前に社員寮を出て、なんとか上野駅までやってきた。

高崎行き電車に乗ると、朝5時過ぎなのに、なんとお客が1車両に20人くらいいた。
ぼくと同じように青春18きっぷでどこかに出かけるお客かと思ったが、よくよく考えるとこの日は土曜日だから、金曜日にどこかの店で酒を飲んで、朝帰りの人たちだったのだろう。いつものように発車し、尾久の車庫を通って荒川を渡る。

熊谷の手前で、まわりの人数人がいっせいに停車寸前にたばこを吸い始めた。もう待ちきれないといった感じである。この時に、まさか数年後に普通列車が全面禁煙になるとは思わなかった。そして畑の広がる風景になり、高崎に到着した。

もし今乗っている客が全員水上(みなかみ)行きの列車に乗り込んだら相当混雑するな、と思いながらぼくは水上行きの電車に向かった。

上越線

高崎~土合

上野から乗ってきた電車を高崎で降り、水上(みなかみ)行き電車の出るホームまでやってきた。
お客はそれほどいなかった。さすがに高崎線の電車にたくさんいたお客は上越線にはやってこないようだ。そして発車。

北に行くごとに山がせまり、渋川を過ぎるとすっかり山の中になった。いくつか鉄橋を渡って水上に着いた。

さて、これから乗る只見線は午後1時過ぎの発車である。でも今はまだ朝9時前であり、水上から小出までの間に1駅途中下車ができる。
ぼくは、なんでも地下に駅があり、地上に出るまでに約500段の階段をのぼらなければならないことで知られている土合(どあい)駅に降りてみようと思った。

長岡行きに乗り、電車は発車する。トンネルに入って湯檜曽(ゆびそ)駅に着き、発車する。トンネルをずんずん進み、土合駅に着いた。


土合駅

降りて階段の前に出た。見上げてみるとはるかな長さの階段である。それも都会の駅のようなちゃんとした階段でなく、照明もまばらにしかない中の、そこらへんの山の中の神社に通じるようなでこぼこのコンクリートの階段なのである。

まずはのぼり始める。学生時代はこのくらいの標高差は自転車を押してのぼっていたものだが、ただ長い階段というのはかなりつらいものである。てくてく歩く。やっと300段だ。さらに歩く。

ようやく明るい所に出た。そして右に曲がり、少し進むと駅舎に出た。
どうやらこの時間は無人のようだ。あと1時間くらいすると駅員がやってくるようである。

駅舎自体はそれほど変わったものではなかった。とりあえず地上の水上方面のホームに行ってみよう。

ホームに来た。どうってことのないホームである。駅舎に戻ってみる。

小出に行くにはまた階段をおりなければならない。ふたたび階段に行き、長い階段をおりていく。

のぼりより楽だが、長いことは変わらない。とぼとぼ階段をおりてようやくホームに着いた。待つと電車が到着。


土合~小出

乗ると車掌がやってくるが青春18きっぷを見せると通り過ぎていった。トンネルを出ると土樽(つちたる)である。

もう1本トンネルを通って越後湯沢に着いた。あとは山あいの谷間を通り、そのうち川が見えてくる。電車は進んで小出に着いた。

只見線ってどんな景色なのかなと思いながら、ぼくは電車を降りた。しかし只見線のディーゼル車が発車するまで1時間以上ある。駅の近くを散歩しようと思い、ぼくは改札を通った。

只見線

小出駅周辺

上越線を小出で降りた。なんだかさびれた雰囲気の駅前である。3月なのでまだ雪がふっていた。

さて、会津若松行きの只見線の時刻までまだ時間がある。これからどうしようか。

ついさっき上越線の土合駅で下りホームから駅の外まで約500段の階段を昇りおりしたばかりでかなり足が疲れているのだが、こんなに時間があるのに歩かなくてはもったいないと思い、駅から歩くことにした。

駅からしばらく歩くと橋に出た。橋の向こうは大きな街になっているらしい。このときは不思議に思ったが、あとあといろいろな駅に行くたびに、このような街を全国で見ることになり、今回がその始まりとなったのである。

今になって考えると、大昔蒸気機関車が走っていた頃は、煙が出て空気がよごれるので線路を街から離すのが一般的だったのかもしれないと思っている。

橋を渡った。さて、どこか店に入ってみよう。

CD屋があったので入ってみた。何か買っていこう。

松本明子の「たとえば…ずっと」を買った。いい歌らしかったからだ。

CD



発車

ふたたび橋を渡って小出駅へと戻り、会津若松行きの発車時刻を待った。ころあいのいいところでホームに入り、階段をわたってディーゼル車に向かった。

とても混雑していた。なにしろこれしか「使える」列車がないのだから、みんな乗るのだろう。みんな青春18きっぷのお客らしい。

発車する前からおばさんたちがたくさん乗っており、うるさくぺちゃくちゃしゃべっている。

混雑したままディーゼル車は小出駅を発車した。上越線から離れていく。

ごとごととディーゼル車は進んでいく。盆地をしばらく走るが、やがて山の中に入っていった。あいかわらずおばさんたちはぺちゃくちゃしゃべっている。

しばらくするとひらけた所にやってきた。


到着

雄大な川が広がっている。こうやって川に沿ってどこまでも続く路線は、当時のぼくにとっては初めてであった。

海もいいが、川もまたいいものだなあとその時思った。こんな景色が全国のあちこちにあるのなら、全国津々浦々の鉄道に乗ってみるのもいいなあと考えた。

川

川の景色がしばらく続き、また平野の景色になった。ディーゼル車は当然のごとくずっと混雑している。

そのまま進んでいき、だんだん家の数が増えてきた。もうすぐ終点に到着する時刻である。

そして列車は、このあたりでは主要なターミナルと言える、多少大きな駅である会津若松駅に到着した。

次に乗る時は別の列車にしたいと考えた。たとえば朝6時前に小出駅を出る列車とか、会津若松を出る列車とかだ。そうすればおばさん客が少なくて静かだろうなあと考えたからだ。

あたりはもう夕暮れである。たくさんいるおばさん客に混じってぼくは、郡山行きの磐越西線に乗り換える階段をさがすことにした。

磐越西線

旅行記本文

小出から乗ってきた只見(ただみ)線のディーゼル車を会津若松で降りて、磐越西線の郡山行き電車に乗った。

只見線であれだけ乗っていたおばちゃんたちは見あたらない。会津若松で泊まっていくのかもしれない。

電車は発車する。都会以外の全国どこにでもある、4人がけボックスシートがずらっと並んだ電車である。

学生時代は郡山から猪苗代(いなわしろ)までしか乗っていなかったし、それ以前にも修学旅行で会津若松に来たことはあるがバス旅行だった。

はじめて会津若松で電車に乗るわけだが、今日はJRに乗ることが目的なので降りずに進むのである。

電車の中からもバス旅行のときと同様に山々が見えるが、じきに暗くなってきた。暗い中を電車は進み、郡山に着いた。

郡山は何度も来ているので勝手はわかっている。階段をのぼっておりて黒磯行きに乗ろう。

東北本線

旅行記本文

会津若松から乗ってきた電車を降り、黒磯行きの電車に向かった。

その昔、このあたりは客車が走っていた。それこそ発車してもドアが閉まらないような客車だった。
今は4人がけボックスシート主体であることは変わらないが、ちゃんとドアの閉まる普通の電車が走っている。
けっこう長い車両数の電車である。電車は黒磯に向けて発車した。

そんなにお客はいないが、黒磯では前の方に行った方が乗り換えやすいので前の方に行ってみる。さすがに混んでいるので一番前には行かずに適当なところですわった。黒磯寸前で前に行くことにしよう。

ぼくは今日乗った只見線を思い起こしてみた。おばちゃんたちがいっぱいでうるさかったが、確かに景色はきれいだった。全国にこんな景色がたくさんあるのかな、全国の列車に乗れたらいいな、とは思ったが、まだまだ東京近辺でも乗っていない路線はたくさんあるので、東京近辺からちょっとずつ乗るのがいいような気がした。まあ急がないで、ゆっくり乗っていこう。

電車は黒磯に近づいた。前の方に行く。そして黒磯到着。階段を上がっておりて上野行きに乗り換えである。いつもの黒磯より南の電車である。2人がけロングシートにすわるとたちまち眠ってしまった。気がつくともうすぐ上野である。よく眠れた。上野に到着。もうすぐ夜12時である。

今日は朝3時に起きたのでかなり疲れている。あしたは1日中眠っていようと思いながら、社員寮に向かう電車に乗り換えた。

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