Sorry, Japanese only! (1994年10月その1)

75.競馬場の中・押上のねこ・2日目

東北本線

経緯

京浜東北線の電車はいつものように、上下2層構造になっている上野駅の高い層のホームを出て北に進んでいた。朝10時前なので鶯谷(うぐいすだに)駅にも停車する。

きのうは武蔵境駅から寮のもより駅まで戻ってきた。そして駅員に、あしたこの「日進→高麗川→八王子→新宿→赤羽→黒磯」のきっぷで蘇我(そが)と千葉に行って途中下車するつもりだと言った。

そうしたら駅員が怒った怒った。蘇我と千葉で降りられるようにするにはちゃんと蘇我と千葉を経由するきっぷでなければならない(ただし運賃は新宿から池袋経由で赤羽に行く経路で計算)とか、もしもこのきっぷで蘇我や千葉で降りようとしたら駅員に別途運賃を請求されるぞとかそりゃすごいけんまくで怒ってくる。

それでも山手線のこの駅なら降りられると言ってくれた。そんなわけで蘇我と千葉に行く気がすっかりうせ、きのうはいったんきっぷを持って寮に帰った。

そして同じきっぷでけさ改札を通り、京浜東北線で北上しているというわけである。


計画

きょうは東大宮までまっすぐ行ってきっぷを払い戻そう。ただ、このきっぷは途中下車できるきっぷなのでどこかで途中下車しよう。

このあたりで途中下車した駅を考えた。山手線の内側の寮に住んで以来、土日の時間のあるときは山手線の近くの場所に行くことがある。

今住んでいる寮は来年の3月までしかいられないので、ことしの4月5月ごろは来年どこに引っ越そうかなあと考えていたが事情が変わった。職場が山手線から多少離れたところに来年1月終わりに引っ越すことになったのだ。

その場所は山手線の近くと違い、すぐそばにアパートが借りられそうだ。だから新しい職場の近くに引っ越すことにしたわけである。だからこのあたりの散歩は新居(しんきょ)探しという点では無駄になった。

でもだだの散歩として考えるとけっこう楽しかった。たとえば駒込とか王子とかに下車した。

けどまだ上中里(かみなかざと)がない。よし、きょうは上中里で下車することにしよう。そう決めた。


上中里~赤羽

電車は田端を過ぎる。このあたりは左手に小高い山が見える。右手に新幹線の基地っぽい場所が見える。基地から離れて新幹線の高架が右にずっと見えるようになる。しばらくするとスピードを落とし、電車は上中里に到着した。

電車を降りる。きっぷを見せて途中下車する。ちょっと駅のまわりをながめてみよう。

このあたりは上野が標高が異なる場所の境界にあるのと同じようなもので、駅の西側は標高の高い場所になっている。

そして王子や駒込とは違って商店っぽい建物の数は少ない。かと言って住宅がたくさんあるわけでもなく、どことなく地味な場所であった。もう少し駅から歩くと何かあるのかもしれない。

さあ、もういいか。あとは東大宮までまっすぐ行こう。赤羽まで行って東北本線に乗り換えよう。


赤羽~東大宮

また上中里の改札に戻り、きっぷで改札を通って赤羽方面のホームに行く。電車に乗って進む。王子、東十条を過ぎると左手から埼京線がやってくる。左下に東北本線のホームが見えてきたところで電車は赤羽駅に到着。電車を降りる。

赤羽駅は埼京線と京浜東北線のホームが高い位置にあり、東北本線のホームが低い位置にある駅だ。先月乗った快速ムーンライトはいずれとも別のホームを通る。

京浜東北線のホームから階段をおりて、東北本線のホームに乗り換える。何度この駅で乗り換えてきただろうか。この駅はまだ乗り換えやすい方で、東京駅の京葉線ホームみたいに遠いホームもある。

東北本線のホームにやってきた。高崎線の電車も通るので間違えずに乗ろう。しばらく待つと電車がやってきた。うん、東北本線の電車である。東大宮にも停車するだろう。電車に乗る。電車は発車し、埼京線は左手に去り、こちらの電車は荒川を渡っていく。

あとは何度も通った道である。先月真岡鐵道に乗るため小山まで乗ったし、その前は福島から普通列車で帰ってきた線路である。途中浦和にだけ停車して進み、左手から東北新幹線の高架が寄り添って来て、埼京線が地下にもぐると大宮着である。電車はさらに進み、大宮の市街地を離れ、土呂(とろ)を過ぎ、もう1駅進んで目的地、東大宮に着いた。電車を降りる。


払い戻し

寮の近くの本屋で買った鉄道の本が正しければ、東大宮は黒磯から101km以上離れているから払い戻しできるはずだ。まずは「途中下車」と言って改札にきっぷを見せて通る。次は窓口に行こう。

東大宮の窓口で、「東大宮で途中下車しました。もう使わないので払い戻してください」と言ってきっぷを渡した。

駅員はまず東大宮から黒磯まで101km以上あることを確認した。そして払戻金額の計算だ。

駅員は日進から東大宮までの運賃を計算しているようだ。最初はまっすぐ大宮経由で計算してはみたものの、さすがにおかしいと思ったようで、結局きちんと「日進→高麗川→八王子→新宿→赤羽→東大宮」の距離が計算されて、黒磯までのきっぷの運賃から東大宮までの運賃を引き算し、さらに210を引いたお金が返ってきた。まあこんなものだろう。

いろいろ苦労したわりにはたいして得もしなかったが、途中下車ができないはずのJRで八王子とか武蔵境とかいろいろ途中下車して、高尾山のケーブルカー乗り場近くの食堂で食事したり、府中の競馬場の中に入ったりして、存外シャレた旅行だったのではないだろうか?


東大宮~大宮

まあこんな旅行もいいのかもしれないなあと思いながらぼくは東大宮の窓口を離れた。

さあ、あとは大宮まで戻って東武野田線に乗ろう。今度は自動券売機で買える。大宮まできっぷを買って改札を通る。

電車がやってきた。やはり高崎線より東北本線は客が少ないような気がする。まあ日曜だしこんなものかもしれない。大宮に近い分を差し引いても東北本線の方が住宅も少ないのだろう。

わずか2駅を進んで電車は大宮に戻ってきた。電車を降りて改札を通る。東武野田線は東側だろう。きょうももうちょっとがんばろう。

東武野田線

旅行記本文

川越線の日進(にっしん)駅で買ったきっぷを東大宮駅で払い戻してもらい、大宮駅まで戻ってきた。さあ、あとは残った東武野田線に乗ろう。

東武の自動券売機で業平橋(なりひらばし)まできっぷを買う。

改札を通り、電車に乗る。さすがに大宮を出る電車だけあって客は多いが、日曜なので大混雑ということもなく、なんとかすわれる。それでも発車間際になってすわれない客が出てきたようだ。そしてドアが閉まり、発車。電車は大宮の市街地を出る。

すぐに電車は商店がたくさんある場所から住宅街へと景色を変えていく。

それにしても見晴らしの悪い場所だなあ。

東武伊勢崎線の春日部(かすかべ)のあたりは、けっこう畑とかも多くて見晴らしのいい場所だったはずだ。しかし東武野田線の大宮駅の近くは住宅がたくさん見えるだけの場所だった。

やっぱり大宮が都会だから家並みが多いのかなあ。そう思った。そんなことを考えているうちに電車は進む。

岩槻(いわつき)市とかも通っているはずだからそれなりに客は多いはずだと思っていたが、日曜だとこのくらいなのかもしれない。

そして家並みが多少減り、いつもの東武伊勢崎線の景色に近づくといよいよ春日部だということだ。降りる準備をする。そして春日部に到着。電車を降りる。これで東武野田線も完乗だ。

さあ、あとは浅草行きに乗り換えて業平橋まで行けばいい。ぼくは浅草行きのホームに行くことにした。

東武伊勢崎線

春日部~業平橋

大宮から乗ってきた電車を春日部(かすかべ)で降りて、階段をのぼっておりて浅草行きのホームにやってきた。

しばらく待つと浅草行きがやってきたので乗る。きょうも混雑してすわれないようだ。そのまま乗り進む。

あとは何度か乗ったことのある線路だ。越谷、西新井、北千住と進んでいく。北千住でかなり客が降りる。そしてゆっくりと曳舟(ひきふね)まで各駅に停車し、曳舟から右にカーブして高架に上がるときょうの目的地の業平橋(なりひらばし)だ。きょうはここで降りることにする。電車を降りよう。

さて、まだ明るいので業平橋近辺を散歩してみよう。曳舟寄りの階段をおり、行き止まりホームを端から端まで歩いて都営地下鉄の押上駅の近くの改札に行き、大宮で買ったきっぷで改札を通る。


かわいいこ

押上駅の入り口が見える。そこからちょっとだけ散歩してみることにした。商店街がある。歩いていく。

お、歩道にあったかそうなねこがいる!そーっと近づいてみよう。

距離を保ったまま、ゆっくりとしゃがむ。警戒心の強いねこだとこちらがしゃがんだだけで逃げてしまうがこのねこは逃げないようだ。しゃがんだまましゃがみ歩きで近づく。逃げない。

でもなんだかあまり歓迎されていないような気がする。でも目の前まで来られたのでそーっと手を伸ばしてみた。

でもねこは伸ばした手から逃げてしまう。かと言って走り去るということはなく、手を引っ込めるともとの位置に戻ってくる。

ぼくは手をねこの鼻の前に、手のひらを上にして持ってきた。

そうしたらねこはぼくの手を、前足でネコパンチしてきた。やっぱり歓迎していないんだな。

まあいいか。歓迎されていないのなら、無理につかまえたりしてなでることもないだろう。また次に業平橋で電車を降りたときにでも別のなでさせてくれそうなねこを探してみることにしようと思い、引き返すことにした。

まだ明るいけどもう地下鉄で帰ろうか。地下鉄の入り口に本屋があったから、そこで立ち読みでもして帰ろう、そう考えた。またあしたは会社だ。きのうきょうと変な旅行をしてしまったが、意外と充実していたような気がする。また気が向いたらどこかに出かけてみよう。

関連リンク