114.松山の市電と九州の西友・3日目
鹿児島本線その2
博多駅
博多駅で階段を下りて昇って、ムーンライト九州の発車するホームに着いた。
指定席なのであせることはないが、同じようにいろいろな人が待っている。みんなこれから東に向けて出発する人ばかりで、ぼくみたいにこれから東京に向けて帰る人なんてそんなにいないだろう。それにしても疲れたなあ。
発車数分前になって列車が入線してきた。この前もそうだった。まあこんなもんだろう。
とりあえず乗り込む。
もう何回も乗っているし、今回も同じ座席だ。なんでも冬になると「シュプール号」に新しい客車が取られてしまい、古い客車になることもあるそうだ。夏はそんなことはないので安心して座った。
就寝前
たちまち発車時刻だ。長い旅行もようやく後半である。博多の市街地を列車が離れていく。
この前も博多から乗った時は厚狭を過ぎてから青春18きっぷに日付を入れていったが、今日もそうなるだろうと思い、日付を入れてもらえるまでは起きていようと思った。
門司、下関を過ぎて厚狭を過ぎた。なかなか車掌はやってこない。ほぼ全員が青春18きっぷ利用なので当然なのだろう。なんとか車掌がやってきた。日付を入れてもらった。
高速バスに12時間もゆられ、さらに松山→小倉のフェリーで横になれずに一晩中椅子に座っていた後なので、青春18きっぷに日付を入れてもらったら、どうせ終点まで行くのだからとドガーッと眠ってしまった。
起床
気が付くとすでに新大阪を過ぎていた。お客は大阪でかなり降りてしまったらしく、もうほとんど乗っていなかった。
頭がボーッとしたまま京都に着いた。
今日は夜までに東京まで帰る必要があるが、それまでの間、嵯峨野観光鉄道に乗ろうと考えている。それには山陰本線で馬堀(まほり)まで行けばいいらしい。
とりあえず、気分をシャッキリさせて、嵯峨野観光鉄道に乗っている間、ずっと眠っていた…なんてことのないようにしなければいけない。
よし、起きた。さあ、山陰本線に行こう。
嵯峨野観光鉄道
京都駅
ムーンライト九州を京都で降り、まわりを見てみると、3月に来たときには見えなかった大きなビルができていた。
すごいビルだなあと思った。京都は大きなビルの駅になってしまったわけである。ビルを横に見て階段を上がる。
いったん青春18きっぷを見せて改札を出た。工事中で殺風景だった場所がみちがえるようにピッカピカになっている。
3月の時点では改札の中だった部分が改札の外になっている。近鉄とJRの中間改札も近鉄の普通の改札に変わっていた。またもとに戻ってJRの改札を通る。
京都~馬堀
改札から右に曲がったところに「朝菜夕菜」という弁当屋がある。そこで「洋食べんとう」という弁当を買った。
そして階段をおりて山陰本線のホームに行く。
トロッコ亀岡に行くには馬堀(まほり)という駅から歩いていけばいいな、と思いながら電車に乗り、弁当を食べた。洋食べんとうは、オムレツとかグラタンとかのあるこってりした弁当だった。
電車は発車し、進んでいく。弁当を食べ終わる。去年10月に降りた嵐山を過ぎ、トンネルを通って亀岡、そして目的地、馬堀に着いた。ここで降りる。さあ、トロッコ亀岡駅に歩こう。
馬堀~トロッコ亀岡
馬堀から京都方向に歩く。さすがにちゃんとトロッコ亀岡駅への案内がある。畑ばかりのいなか道を案内どおり進む。
いろいろ曲がりくねった道だったが、それらしい大きな建物までたどり着いた。
しかしまだシャッターがしまっていて入れない。しかたがないので外で待つ。
近くに小さな船が見える。どうやらあれは川下りの船のようだ。これから乗るトロッコ列車と並行して船も出ているようだ。ぼくはJRで来てトロッコで帰るわけだが、片道を船にしたらおもしろいかもしれないと思った。そのうちシャッターが開いたので入る。
まずはチケットを買わなければならない。建物の中に行列ができていたので並んで、順番が来るとトロッコ嵐山までのチケットを買った。
チケットを買うとあたりを見てみた。ログハウス風の建物である。
そしてなぜか、プリクラがある。なぜあるのかわからないが、最近は東京近郊のとある駅でも改札内にプリクラがあるくらいだから京都にもあるのだろう。
そのうち団体客がたくさんやってきた。とても混雑してきた、すごいものである。
彼らの一部はたばこを吸い始めた。JRの駅はどこでも喫煙場所以外では禁煙になっているが、ここはJRでないから規制がゆるいのであろう。
トロッコ亀岡~トロッコ嵐山
発車時刻が近づいた。改札が開き、トロッコ列車の指定席に乗り込む。
満席のようである。4人がけボックス席でぎゅうぎゅう詰めである。
数週間後にぼくはもっと狭い列車に乗ることになるのだが、この時点ではそんなことは知らず、にぎわっているなあと思っていた。
アナウンスが聞こえて発車である。車掌が車窓のみどころをアナウンスするのである。
とにかくにぎやかな車両だった。川が見える。
川では釣りをしている人、川下りの船が見える。なにしろながめのいい景色なのである。
車掌はとあるお客にどこから来たか質問し、島根だとこたえると、その客に安木節を歌うようリクエストした。そしてその客は安木節を歌い、お客はみんな手拍子をうったのである。
にぎやかなまま、トロッコ列車は終点、トロッコ嵐山に着いた。嵐山の方はJRの駅に近い。
この駅にもプリクラがある。トロッコ嵐山を出て、JRの駅に向かった。
京阪電鉄・石山坂本線
嵐山~石山
トロッコ亀岡駅から乗ってきた嵯峨野観光鉄道をトロッコ嵐山で降りてJRの嵐山駅にやってきた。しかし目の前で京都行きが出発してしまった。
時刻表によれば、次の電車が京都に着くのは11:02である。そして、東海道本線米原-関ヶ原間の普通列車が1時間に1本しかなく、それに接続する新快速は京都を毎時0分に出るのだ。
したがって、京都-米原のどこかで30分程度途中下車しても米原からの列車は同じということである。
それなら、3年前に乗り残している京阪電鉄の石山坂本線(いしやまさかもとせん)、石山-石山寺間に乗ろうと考えた。
山陰本線に乗り、京都に着いた。東海道本線に乗り換え、石山に行く。3年ぶりの石山である。
石山~石山寺
3年前は坂本に行ったが、今日は反対方向の石山寺に行く。きっぷを買って3年前に来たホームの向かい側のホームに行く。
電車がやってきた。さすがに客は少ない。電車は発車し、すぐに終点石山寺に着いた。まずは降りる。
「寺」と駅名につくくらいだから寺があるのかもしれないが、そんなに時間はないので駅のまわりをざっと散歩してみた。
石山駅周辺と市街地は連続しているようだが、商店街というより住宅街といった雰囲気で、人通りはまばらであった。
石山寺~石山
駅に戻り、石山まできっぷを買ってまた電車に乗る。電車は発車し、すいすい進んで石山に着いた。
なんとか米原から関ヶ原に向かう電車に接続する新快速に間に合う時刻だ。ぼくはJRの石山駅に向かった。
東海道本線
石山~米原
石山寺から乗ってきた京阪電鉄・石山坂本線を石山で降り、JR石山駅にやってきた。
青春18きっぷを見せて改札を通る。まだ青春18きっぷは2日分の消費である。あとは東京に帰るだけだ。
まずは米原に行く。事故で遅れたりすることもなく、無事米原に着いた。
米原は工事中であった。
現在、おもに北陸方面および大垣方面の電車が出るホームと、おもに京都方面の電車が出るホームの間に使われていないホームがある。
今回の工事は京都方面の電車が出るホームを使われていないホームに移動する工事であった。
うまくいくと米原駅はいくぶんホームの数が減り、去年8月に乗った近江鉄道の駅舎までは少しだけ離れることになる。
米原~関ヶ原
まずは大垣の方に行く電車に乗り換えるが、1時間に1本ということもあってすわれそうにない。
時刻表によれば、関ヶ原始発の豊橋行きの新快速が出ていて、関ヶ原で30分待つと乗れる。たぶんすわれるだろう。
ぼくはそれに乗ることにした。ダイヤが変わらない限り、ずっとこういう乗り換えが良さそうである。
電車は発車し、醒ヶ井(さめがい)、柏原と停車していく。このあたりは山の中である。
そして関ヶ原に着いたので降りる。さて、どこかにコンビニでもないだろうか。
駅のまわりを見てみたが、古い商店があるだけだった。パンと飲み物でも買っていこう。
関ヶ原~刈谷
駅に戻ってホームでパンを食べる。垂井の方から電車がやってきたので乗る。しばらくすると発車だ。
なんでもこの関ヶ原始発の電車は、大垣まで下り線を通るらしい。貨物列車や特急しらさぎは垂井を通らない、「新垂井線」を通るからこれでいいのだろう。
レールを見ているうちに眠ってしまった。
起きると混雑している。まずは刈谷で降り、ホームの向かいに停車している浜松行きに乗り換えだ。これもダイヤが変わらない限りずっとこういう乗り換えになりそうである。
帰宅
乗り換えた電車はオールロングシートの電車であるが、夜行のバス、フェリー、列車に3日間ゆられてきたぼくにとってはそんなことはどうでもよく、またすぐに眠ってしまう。
なんだかどやどやと客が増えたような気がするが、それも気にしないまま浜松に着いた。
あとはいつも通っているルートである。去年から静岡発東京行きという、ムーンライトながらと同じ車両を使った普通電車が19時半過ぎに走っているが、それに乗るとアパートに着くのが午前0時ちょっと前になってしまう。
あしたは会社なので多少でも早く帰ろうと思い、静岡、熱海と乗り換えて真鶴近辺で夕方の海を見てアパートに帰った。
残りの青春18きっぷ3日分を使う計画はもう立てているが、無事計画どおり進められるか考えながら、3日分の疲れを取るためぐっすりと眠った。
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