有田駅
佐世保線を降りて有田駅の改札を出ると、駅前にマイクロバスが停まっている。
観光地が近くにあるのかなあ、とも思ったが、よくよく考えると、このあたりはJRその他の鉄道より遠い場所がそこここにあるので、有田までやってきて客を連れてこないとつらいのかもしれない。たとえば嬉野温泉(うれしのおんせん)とか。たいへんだ。
ちょっと時間があるので、駅の近くで公衆電話をさがして、今夜泊まる平戸観光ホテル蘭風(らんぷう)にだいたいの到着時刻を告げておく。そうするうちに発車時刻が近づいたので、「有田→たびら平戸口」の周遊乗車券を見せて改札に入り、階段を渡って松浦鉄道のホームに行く。さすがにこの前(114.松山の市電と九州の西友・1997年7月)の時とは違い、自動券売機は故障していないようだ。
有田〜伊万里
もう乗るのは何回目になるか忘れてしまったが、新型のディーゼル車に乗る。もちろん整理券を取って乗るタイプのどこにでもあるディーゼル車だ。
周遊乗車券は持っているが、整理券を取っておくと乗車数の集計になるという話であるのでちゃんと取っておく。
発車だ。
有田から伊万里まではこの前も乗っている。それほど山の中でもないが平野でもない場所を進んでいく。
お客はけっこう多い。
伊万里で乗り換えだ。ここはいったん有田から伊万里までの運賃を払う必要があるのだが、もちろんぼくは「有田→たびら平戸口」の周遊乗車券を見せてそのまま降りた。
伊万里駅
伊万里駅で次のディーゼル車を待つ間、ホームの観察をしていると、ペットボトルをカッターナイフで加工して風車の形にしているものがホームにある。
それがもう、とっても良く回る風車である。
手先が器用でないぼくは、こういうものを見ると作った人を尊敬してしまう。
ぼくはこの風車はとても珍しいものであると信じていたが、あとで東京のアパートの近くを散歩していたらなぜかこれと同じペットボトル風車を見つけたので珍しいものではないらしいということがわかった。
さて、たびら平戸口に向かう、きょう乗る最後の列車が入線してきた。乗り込む。多少お客がいる。
そしてまた発車だ。
独自システム
正面の料金表を見ているうちにあることに気がつく。
伊万里から先の駅からの運賃は、200円とかの普通の運賃だが、有田~伊万里間の駅からの運賃が20円とか40円とかの運賃になっている。
どういうことか首をひねったが、昨年10月の土佐電鉄に乗った時のことを思い出したらたちまち理解できた。
乗り換える時に、乗り換え地点(松浦鉄道の場合伊万里)までの運賃を払い、乗り換えた先の列車で(出発地→到着地)-(出発地→乗り換え地点)の差額を支払うのだ。
土佐電鉄だと鏡川橋という停留所が乗り換え地点で、鏡川橋で乗り換える時に鏡川橋までの運賃を払い、伊野行きに乗り換えた時に差額を払うのだ。なかなかおもしろい方法である。
これに比べて、たとえば芸備線と伯備線の乗り換えだと、備中神代(びっちゅうこうじろ)で、「おのりかえのかたは、整理券を持ったまま乗り換えた先の列車で運賃をお支払いください」という方式であり、お客を信用するシステムである。まあ、信用第一だから、これでもいいのかもしれないが、なんとなくいやだと思う。
伊万里〜たびら平戸口
そんなことを考えながらディーゼル車は進んでいく。山の中、というわけでもなく、海のそば、というわけでもない。畑が見える場所でもなく、そうそう、林の中を進んでいく。
お客もかなり減り、日も傾きかけたころ、ディーゼル車はたびら平戸口に到着した。
さてどうやって宿に行こうか。
駅前にタクシーはなく、電話番号が書いてあって呼び出す方式らしい。バスもなさそうだ。
とりあえず歩くことにした。
徒歩
左にちょっと歩くと大きな長い橋がある。これが平戸大橋らしい。料金所があって、乗用車は通行料金を払う必要があるが歩行者はただらしい。
てくてく歩いて渡る。足の下は海である。
すっかり渡り終えたころ、分かれ道があり、ちゃんと看板があって平戸観光ホテル蘭風と書いてある。
なんだ簡単に行けるんじゃないか、と安心して看板通り左に曲がる。日が暮れた。
そしてまた、てくてく、てくてく歩く。
暗い道である。車が来ると端によける。車が行ってしまうとまた道に戻り、また歩く。
海のそばを通るのでそれほど不快でもないのだが、なにしろ疲れてきた。なおも歩く。
公衆電話
公衆電話が見えてきた。またホテルに電話して、30分ほど遅れると言っておく。
そしてまた、てくてく、てくてく歩く。
ついに見えた。平戸観光ホテル蘭風だ。
やっと着いた。なぜこんなに遠くにホテルがあるのかわからないが、いい温泉が湧いているのでこの場所を選んだのかもしれないなあ、と思ってみたりする。
夕食
大きなホテルで、フロントになんとか着くまでに時間がかかった。
フロントに着くと、ただちに明日のたびら平戸口までのタクシーを予約した。
2食つきの宿であるので、直ちに食事である。食堂に通された。
そこは観客席のある体育館のような場所だった。観客席のような部分がテーブルになっていて、
アリーナ(?)のような低い部分を見下ろす形になっている。
おそらく夏休みや年末年始などのお客がたくさんいる時は、アリーナでなにか催し物があって、食事をするお客に見せるのだろう。
まあとにかく豪華なめしを食べた。
「たびら平戸口から歩いてきたんですよね」
と給仕の人に言われる。フロントの人しか知らないはずだから話したのだろう。まあいいか。
いくら2日休暇を取ったら建国記念の日と合わせて連休になるとは言え、こんな長野オリンピックをやっているシーズンに一般周遊券お別れ旅行をしている人なんていないだろうなあ、と思いながらめしを食べる。
就寝
特に何もすることもなく、部屋に戻った。風呂に入る気も起こらない。
そして、タクシーを予約しているから寝坊できないなあ、と思いながらふかふかのベッドで眠る。
起床
あまりに疲れていたはずなのに、なぜか5時ごろ目が覚めた。
風呂に入っていなかったことを思い出した。今ならそんなにお客もいないだろう。大浴場に入りに行こう。
多少お客がいた。外はかなり強い雨が降っているようだ。今日の旅行は大丈夫かなあ、と心配した。
部屋に戻って7時を待った。その間に荷物をまとめておこう。
夜が明けると、部屋から広い海が見える。ここは一夜の宿に使う場所ではなく、何日か滞在して楽しむべき場所なのかもしれないな、と思う。
7時になって、また夕食を食べた場所に行き、朝食にしてはかなり豪華な食事を食べた。どうやら雨はやんだらしい。
部屋に戻って「やじうまワイド」を見て過ごす。
8時が近づいたのでチェックアウトして、その場で8時を待った。
タクシー
タクシーの運転手らしき人がやってきたので、たびら平戸口までタクシーに乗った。
乗ってしまうと速い。
きのうの夜、あんなに苦労して歩いた道を、ぐんぐん通り過ぎていく。
そしてしめくくりに長い平戸大橋を渡る。渡る時に運転手さんは100円料金所で通行料金を払った。
そしてたびら平戸口に到着だ。
タクシー料金は2000円ちょうどで、通行料金が往復200円かかって、2200円払った。
あとで全く同じ料金を実家近くで払うことになるのだが、約6~7キロだったことがわかった。
それじゃ歩くのに時間がかかるはずだ。
たびら平戸口〜佐世保
さてきょう最初の列車だ。平日ではあるが、既に通学時間帯には遅いらしく、高校生はいない。いたって平和なホームであり、改札に「たびら平戸口→佐世保」の周遊乗車券を見せてホームに入る。
ホームに2つほどディーゼル車があった。一方が伊万里方面でもう一方が佐世保方面だろう。佐世保方面を確認して乗ってみた。
乗ったディーゼル車は、秋田新幹線が完成してからの盛岡~大曲間の普通列車(田沢湖線)と同じような形式で(もちろん田沢湖線は電車、松浦鉄道はディーゼル車だけど)、片側が箱型4人席である場所の向かい側はロングシート、その隣は逆の配置、というようなディーゼル車である。
ただ、きのう乗ったディーゼル車は従来通りの端が両側ともロングシート、箱型4人席がある中央部分は両側とも箱型4人席だったので、いろいろな車種がそろっているということだろう。
10人をやや超えるくらいのお客を乗せてディーゼル車が発車する。すぐにきのう歩き、さきほどタクシーで通り過ぎた平戸大橋が見えた。海も少しだけ見えた。
しかし、あとは海も見えず、高い山も見えない線路を進んでいく。
そうするうちに市街地が近づいた。
松浦鉄道には「佐世保中央」という駅もあるので、佐世保の中心はそちらが近いんだろうと考えられる。
実際けっこう降りた人がいた。
しかし会社が別になったのだから、佐世保線の方から来た人が松浦鉄道で佐世保中央まで行くことはそれほどないだろう、と想像する。
松浦鉄道〜JR
そんなことを考えるうちにディーゼル車は佐世保駅のいきどまりホームに到着した。
降りる際に「たびら平戸口→佐世保」の周遊乗車券は運転手さんに渡してしまった。
ディーゼル車を降りて歩いたところ、中間改札らしい場所があった。ここで「佐世保→諫早」の周遊乗車券を出して、スタンプを押してもらった。
松浦鉄道は佐世保から佐世保線・大村線に直通の列車があるので完全に改札が別というわけではなく、JRの連絡口があったりして便利である。
そしてそのまま長崎行きの快速列車を探しに行く。