Sorry, Japanese only! (1999年1月)

129.井原鉄道とくま川鉄道・3日目

肥薩線その1

旅行記本文

また朝が来た。
ぼくは「ホテル対雲(たいうん)」をチェックアウトして熊本駅まで歩いた。

駅前に学生の行列が並んでいる。あ、そうか。きのう岩国から下関まで乗った電車でも小郡でぞろぞろ降りていく学生がいたが、どちらもセンター試験の人たちだろう。
駅に入ると改札から列車が見える。乗ろうとしている列車より1本早いが、こちらだと階段を上り下りしなくても乗れるようなので、青春18きっぷにスタンプを押してもらってとことこ八代に行った。

1年数ヶ月ぶりに勝手知ったる煙突を見て、階段を渡ってディーゼル車に乗る。今度はおととし11月早朝に八代に来た時「117.最後の西鹿児島発寝台特急はやぶさ(1997年11月)」と違い、もう日がのぼっているのでお客も多い。15人ほどいる。しかもロングシートやクロスシートがなく、1列席と2列席がある。水郡線、三角線、羽越本線新津~酒田間を走っているようなディーゼル車だ。さあ、出発だ。

あの時は暗かったので人吉までずっと眠ってしまっていたが、今度は明るいので景色をながめる。そのうちに平野をはずれて山と山の間に入って来た。川も見えてきた。
川の水面が見えてきて、そのうち霧がかかってきた。太陽の光は山にさえぎられてなかなか直接ディーゼル車に当たらない。当たっても霧のおかげでとても幻想的な光である。
そんな光景が数十分続いた後、ディーゼル車は川をはずれて森の中をちょっとだけ進んだ。そして到着した所が人吉だ。ここで降りてくま川鉄道のホームを探してみた。

くま川鉄道

人吉〜湯前

人吉でくま川鉄道のホームに行き、きっぷを買った。
ホームにはディーゼル車が停車している。しばらくしてドアが開き、まず高校生が乗り込んだ。その後で年輩の人が乗る。ぼくもそのあとで乗り込んだ。
くま川鉄道のディーゼル車は中央に4人がけシート、端にロングシートがある車両だ。
4人がけシートはがらがらで、ロングシートはどちらの端にも女子高生が座っている。女子高生のとなりにわざわざ座るのもなんなのでしかたなく4人がけシートに座った。
さあ、発車だ。しばらくは森の中を走っていたが、やがて広い所に出た。

実は、地図だけ見た感じでは、くま川鉄道はわたらせ渓谷鐵道と同様に渓谷を走るものだとばかり思っていた。しかし、実際はけっこう広い盆地を走る路線である。
お客は降りる一方ではなく、途中の駅で乗ってくる高校生もいる。すべての施設が人吉に集中しているわけではなく、沿線に高校生に関連する施設が散らばっているのだろう。

そうこうするうちに終点湯前(ゆのまえ)が近づいた。

窓から外をながめていると、ファミリーマートが左手に見えてきた。
こりゃいい。湯前に着いたら歩いてそこに行こうと思った。

こういうコンビニ漬けの生活を味気ないという人がいるが、とんでもない。
全国どこに行っても同じ物が食べられるというのは生活の大きな進歩であり、旅行をする際はその恩恵を最大限に利用すべきだとぼくは思っている。


湯前〜新鶴羽

ディーゼル車は湯前に着いた。ここでぼくは全国の第三セクター完全乗車となった。
駅前は大きなお店もなく、いちおう集落にはなっているようだが、大きな集落ではない。
それでも駅の近くに大通りがあり、ファミリーマートはその通りにあるようだ。
駅前にはかわいい犬がいたので、なでてみた。あまりなでてもしょうがないのでファミリーマートに向かった。

大通りを人吉の方向に歩き、ファミリーマートに着いて、遅い朝食を買った。
そのまま田舎道を歩く。

ねこをみつけたので「いいこだね。おいで」と言ってみたものの、やっぱり逃げられてしまう。


新鶴羽〜人吉

そしてホームだけの新鶴羽(しんつるは)駅に到着した。ちゃんとベンチもある。
さっそくファミリーマートで買ったとろろそばのふたを開いて食べた。すぐに食べ終わってしまう。特に何もすることがないので、もうここには二度と来ることはないだろうなあ、と思い、しっかり景色を目にやきつけておく。

数十分待って、ようやく人吉行きのディーゼル車がやってきた。
今度はオールロングシートのディーゼル車である。なぜいろいろな車両構成にしているのかわからないが、なんとなくこれで良いような気がする。
人吉行きもけっこう高校生が多く、年輩の人も多少いる。観光地こそないものの、なんとかやっていけそうな気がする。そして盆地は終わり、林の中を通り過ぎて人吉駅に着いた。

このようにして貴重な体験は終わった。さあ、福岡空港に行かなくてはならない。くま川鉄道のディーゼル車を降りると肥薩線のホームに向かった。

肥薩線その2

旅行記本文

くま川鉄道から肥薩線に乗り継ぐ。中央がクロスシート、端がロングシートのディーゼル車である。朝と違い、日差しが列車に差し込むこともなく、たんたんと川沿いを列車は進んでいく。そして渓谷から平野へと景色は移り変わり、なにごともなく列車は八代に着いた。

鹿児島本線その2

駅弁

八代から博多まで、熊本、大牟田で乗り換えて行かなくてはならない。さあ進もう。

まずは八代から熊本まで、すいているディーゼル車に乗った。山の間をぬって進む。そしてまた熊本駅に戻ってきた。
さてここで駅弁でも買おう。ぼくが買ったのは味の詩(うた)あやめという駅弁だった。

駅弁を持ち、大牟田行きの各駅停車に乗る。そしてまたもやロングシートにすわる。

駅弁は走っている時に食べてこそ駅弁だ、という意見の人も多いとは思うが、やっぱり走っている時は食べにくいと思うので、ぼくは入線から発車までの時間内に食べられる時はできるだけ食べてしまうことにしている。

駅弁を食べた。めんたいこが入っていた。辛そうだけど思い切って食べた。ごはんで辛さをごまかして食べた。
やばい、ちょっとだけ辛くなってきた。飲み物を飲む。ふう、なんとか辛さもおさまった。


熊本駅

ふと見ると、母親と子供2人(姉と弟)の家族がボックスシートの方に乗っているのが見えた。
子供2人がドタドタ走り回っている。
しかし、なんとなくこの弟は姉にいじめられていたりしないのかなあ、などと考えたりしてしまう。
ちょっとおせっかいかもしれないなあ、と今になって思う。

そうこうするうちに電車は熊本駅を発車した。


熊本〜大牟田

1駅2駅過ぎ、熊本市街を離れていく。

森が左右に見える。田舎の風景である。

考えたらこの区間は昼間起きている状態で通ったことはなかったのである。瀬高(せたか)から北なら去年通ったが、瀬高は大牟田より北である。

母親と子供たちの声を聞きながら、ひとしきり森の木々の風景に満足して大牟田に着いた。他の人に続いて電車を降りる。


大牟田駅

大牟田からは快速である。

快速が入線してきたのでまずは1番に電車に入り、一番前の右のまどぎわの席にすわった。
ただし目の前は左右にドアがあるので、直接運転手席が見えるわけではない。

そこに父親と子供2人(兄と妹)の家族がやってきた。

なんだかぼくがすわっている席にすわりたそうな雰囲気である。そんなこと言ったって、ほかにいくらでも空いている席があるんだから、ゆずることもないだろう。彼らはぼくの前のドアのそば、運転手席のうしろに立って、前をながめだした。


大牟田〜久留米

そのうち発車時刻になって発車した。

また森が見える。快速なのですいすい進んでいく。

瀬高に着いた。お客がたくさん乗ってきた。そしてまた発車だ。

森が左右に見える風景が続く。さらにスピードを上げて進む。

久留米に着いた。父親と子供たちは久留米で降りていった。


久留米〜博多

それと入れ替わりにお客がどんどん乗ってきた。おそらく博多まで乗る人が大多数だろう。
さらに快速は進む。二日市でもかなり乗ってくる。

博多が近づくととてもお客が多くなった。お客がかなり多くなったころ、南福岡駅で10分ほど停車である。
どうやら空の車両が何両か連結されるらしい。車両が連結され、特急が追い越していく。

ふたたび発車し、高いビルが見えてきて、快速は博多に到着した。

さあ、地下鉄に乗って空港に行こう。そう考えて大混雑の快速から出口に向かった。
そして青春18きっぷを見せて改札を出た。

福岡市営地下鉄・空港線

旅行記本文

快速を博多で降りた。実家の母親からは、

「別にもうめんたいこ買ってこなくていいわよ」

と言われているので今回はめんたいこは買わないことにする。

ちょっと祇園の方向に歩き、祇園を通り過ぎて着いたダイエーに入ってみた。
実家へのおみやげはともかく、職場におみやげを買っていこう。ダイエーの地下に行き、適当にお菓子を買った。

なんとなくダイエーを出て、どこに行こうか迷ったが、なぜか祇園から西に歩いてグルメシティというダイエー系の店に入り、空港で食べる弁当を買った。空港では弁当のようなものを買ってはいけないのだ。そして祇園に行き、そこからきっぷを買って地下鉄に乗った。日本エアシステムと違ってスカイマークエアラインズは1日3本だから、去年の2月「128.最後の一般周遊券旅行(1998年2月)」みたいに本来乗れないはずの日本エアシステム便が遅れて間に合ってしまった、などということはないのでゆっくり進む。

今日も何度目かの地下鉄に乗り、博多を過ぎて意外と長い時間空港まで乗り、自動改札を出て空港に向かった。

スカイマークエアラインズ・福岡〜羽田

福岡空港

地下鉄の福岡空港駅を出て、空港に向かった。
前回航空機に乗って「106.台風の翌日スカイマークに乗る(1998年10月その2)」から3ヶ月しかたっていないのである。こんなにひんぱんに乗るのは初めてである。もっとも来月「130.九州完全乗車旅行(1999年2月その1)」「80.たまったマイルでケーブルカー(1999年2月その2)」も再来月「71.えりも岬と札沼線(1999年3月)」も乗るのだが。でも13700円で乗れる期間もそんなに長くなさそうだし、乗れるうちに乗ってしまおうと思った。

スカイマークの窓口にクレジットカードを渡すと3ヶ月前と同じく感熱紙が渡された。荷物を預けてX線検査を通る。前回と同じ場所らしい待合い場所に行き、祇園駅の西のグルメシティで買った弁当を食べた。

待つといよいよ搭乗時刻である。さて、バスに・・・あれ? 3ヶ月前と違って全日空と同じように通路経由で機内に案内だ。どうやら3ヶ月前は「間に合わせ」で、これが本来の運用なのだろう。


福岡~羽田

また窓ぎわの席なので狭い席だ。救命胴衣の案内がり、離陸する。水平飛行になると今度は3ヶ月前のディレクTVと違い、マイクロソフトの宣伝が始まった。そう言えば、3ヶ月前にはなかった伊丹~千歳便をスカイマークが飛ばすようになって、手持ちの機体を1体から2体に増やしたとどこかで聞いたことがあるから、1体がディレクTVの広告便で、もう1体がマイクロソフトの広告便だろう。ディレクTV便と同じで、ヘッドホンを付けなければ何も聞こえない。

またりんごジュースをもらい、お菓子を食べ、夜景を見ながら過ごす。また房総半島付近に来たようだが、今度は海ほたるは見えないようだ。どうやら北に回り込まず南東から着陸するらしい。すいーっと滑走路が見えてきて着陸だ。そしてタラップを降りる。


羽田空港

機体を見るとマイクロソフトの広告が書いてあった。羽田は福岡と違って今後ともバス連絡らしい。
バスに乗って3ヶ月前にも通った立体交差の上の方を通り、ターミナルに着いた。
荷物を受け取るともう午後10時をだいぶ過ぎている。

伊丹~千歳便ができてから、福岡~羽田の最終便は千歳→伊丹→福岡→羽田という運用になったらしく、3ヶ月前より時刻が遅いのである。今回はなんとかアパートに帰れる電車に間に合うようだが、もっと遅くなるようなら、荷物は預けない方がいいな、と思った。


期待

さて今日は去年10月と違い、これから乗るのは京浜急行だ。京浜急行が空港まで延びてきたので、天空橋(以前の羽田駅)で乗り換えなくてもいい。そしてルトランカードを持っているのできっぷを買わなくても良い。

なんだか特権階級になった気分でぼくは、きっぷを買うため券売機に並んでいる人を横に見ながら、自動改札にルトランカードを通して通った。

今年の最初の旅も終わるが、来月も航空機に乗る。どんな旅が待っているのかなあと思いながら、ぼくは印西牧の原行きの電車に乗った。

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