Sorry, Japanese only! (1997年3月その1)

66.雪の函館・2日目

津軽海峡線その2

起床

目が覚めた。

ここは函館駅からしばらく歩いたところにある「ビジネスイン花ホテル」である。
無事予定通りの時刻に目が覚めた。朝食はきのう函館どっく前の駅前にあったダイエーのマークのあるスーパーで買ったカップラーメンに湯を入れて食べる。
旅先ではカロリーメイトとかの食事もあるし、カップラーメンなら上等だろう。

そしてチェックアウトし、函館駅に歩いていく。

なにしろ雪が積もっている。そして凍っていた。
こんな時は無理にすべらないように歩こうと思わず、むしろスケート場だと思ってすべっていくつもりで歩いた方が転びにくいのである。そんなふうにして函館駅まで歩いた。
別に列車が遅れているとかのアナウンスはなく、無事定刻通り快速海峡は出るようである。良かった。


函館~青森

青春18きっぷの2日目にスタンプを押してもらって改札を通り、快速海峡に乗る。
きのう通った場所だし、終点の青森まで乗るから乗り過ごす心配もないのでまどろみながら過ごす。海峡は発車した。
函館山が左手に見える。きょうはそんなに霧は出ていないようだ。

あとは半分眠りながら過ごすと、いつのまにか青函トンネルを抜けていたようで、左手には陸奥湾が見えていた。
あとはゴトゴトと海峡は進み、無事終点青森駅に到着した。

もう青春18きっぷの役目は終わりだが、函館~中小国は2260円以上するので元は取れている。あとはウィークエンドフリーきっぷの旅である。手始めに弘前まで特急いなほに乗ろうと思い、海峡を降りて階段に向かった。

奥羽本線その1

青森~弘前

函館から乗ってきた快速海峡を青森で降りて、特急いなほの出るホームに向かった。
どうやら自由席はいっぱいのようである。どうせ弘前で降りるのだからデッキで立っていくことにしよう。

いなほは発車する。弘前までノンストップだ。
途中けっこうトンネルとか通る。小高い山もあるようだ。
何度も通っているのに、意外と気がつかないものである。
青森と弘前の平野はひとつづき、というわけではないのだろう。

そのままいなほは進み、弘前に到着した。いなほを降りて改札にウィークエンドフリーきっぷを見せて通る。


弘前~中央弘前

さて、ここから中央弘前駅まで歩かなければならない。
とりあえず駅前の大通りを進んでみる。そして適当なところで左に曲がる。
交番があったのできいてみよう。

「すいません、中央弘前駅はどう進んだらいいですか?」
「どっちだったかねえ…」

警官も、自分がよく行く場所やよく質問される場所とかなら案内もできるのだろうけど、そうでない場所はよく知らないのだろう。
それでもなんとか地図と交番のある位置を照らし合わせて進んでみた。
かなり時間がかかってようやく中央弘前駅に到着した。とりあえず大鰐行きの電車の時刻を調べてみよう。

弘南鉄道大鰐線

昼食

弘前駅から歩いて中央弘前駅に来て、発車時刻を調べようとしたら、目の前を電車が発車していくのが見えた。時計を見るとちょうど11時半である。次の電車は12時のようだ。30分に1本も電車があるのは多い方だろう。

さてどうしようか。やっぱり食事だろう。でも30分だと食堂に寄る時間はない。弁当屋で弁当でも買いたい。

あたりを見るとちょうど弁当屋があったので幕の内弁当を買うことにした。無事時間もかからずに弁当が出てきたので、駅に戻り、大鰐(おおわに)行きのきっぷを買って弁当を待合室で食べた。そのうちほかの客がやってくる。大鰐線もけっこう客がいるようだ。

食べ終わるちょっと前に改札が始まった。12時まではまだ時間があるが、急いで弁当を食べ終わり、改札にきっぷを見せて電車に乗った。おととし乗った弘南線と同じで、けっこう古い電車である。たぶん東京のどこかで走っていた電車のおさがりだろう。

なにしろ、最近はディーゼル車の方が新型でピッカピカなのに、電車はどこかで使っていたおさがりなので古いということが多い。3年前に乗った日立電鉄や、おととし乗った豊橋電鉄の三河田原~新豊橋の路線の電車がものすごく古かったなあと思い出す。


中央弘前~大鰐

そして電車は10人以上客を乗せて発車する。しばらくは市街地を通った。やがて人家が少なくなる。いくつか駅に停車し、少しずつ客が降りていく。

3年前に乗った静岡鉄道と似たようなもので、中央弘前~大鰐間の運賃は弘前~大鰐温泉の運賃より高いのだから、あまり終点まで行く人はいないだろう。

そのうち跨線橋らしい場所を通る。あれは奥羽本線だ。いったん奥羽本線をまたいで東側に出るのだ。

跨線橋を越えた先は雪が広がっていて、倉庫らしい建物が見えた。倉庫が過ぎると以前長野電鉄や五能線で見たりんごの木が見えたので、さきほどの倉庫はりんごの倉庫かもしれないと思った。

そしてすっかり客がいなくなったところで終点、大鰐駅に到着した。まずは電車を降りる。

奥羽本線のホームは階段をのぼっておりれば行けるようだ。階段をのぼると中間改札があったので、大鰐までのきっぷを渡し、ウィークエンドフリーきっぷを見せて通った。

奥羽本線その2

大鰐温泉~大館

中央弘前から乗ってきた電車を大鰐で降り、中間改札を抜けてJR大鰐温泉駅に来た。

いちおう特急たざわが停車する駅ではあるのだが、客は誰もいない。
そのまま待っていると特急たざわがやってきた。乗ると自由席はお客でいっぱいである。
しかたがないのでデッキで立つことにする。ウィークエンドフリーきっぷが来週から1ヶ月使えなくなるし、仕方がないのかもしれない。そう言えばおとといからGOGOフリーきっぷ(JR東日本に3日間乗り放題の24000円のきっぷ)も使えるようになったし、奥羽本線に特急は少ないし、そんなわけでたざわは満席なのだろう。

たざわは発車する。大館までは3年前に特急白鳥で夜中に通っただけなので昼間の景色を見ていない。しっかり見よう。
とは言っても、山とトンネルが続く、いかにも県境の景色である。まあそれほど珍しいものではないだろう。


大館~秋田

大館を過ぎる。どうやら秋田まですわれなさそうだ。大館からは平野の続く景色である。
3月なのでまだまだ雪深いようだ。けさ函館でホテルから駅まで凍結した雪の上を歩いてきたけど、青森と秋田もそれほど差がないのだろう。

東能代を過ぎる。それほど標高の高いところを通るわけではないが、東能代から秋田までは森のそばの風景である。近くに山も見える。

秋田が近づいても市街地に入らず、駅のそばで一気に市街地になって終点、秋田に到着である。
ぼくはたざわを降りた。でもたぶんかなりのお客がぼくがこれから乗る秋田リレー号に乗るんだろうなあと思いながら、秋田リレー号の出るホームを探した。

北上線

秋田駅

特急たざわを秋田で降りて、これから乗る秋田リレー号のホームに向かう。

すでに北上に向かうらしいお客はたくさんいた。ウィークエンドフリーきっぷを使う客も多そうだ。こりゃ北上までは立っていく必要がありそうだ。

ディーゼル車がやってきた。今まで乗っていたたざわは、いかにも特急っぽい列車だったが、この秋田リレー号は、普通列車っぽいディーゼルカーであった。

まあこういう列車があってもいいのかもしれないなあと思った。


発車

お客がいっぱいのまま列車は北上に向けて発車する。

右側に車庫が見える。おそらく秋田新幹線の車庫なんだろうなあと思った。

左側に2本のレールが見える。秋田新幹線が通るレールなのだろう。

秋田平野をディーゼルカーは進んでいく。

駅を過ぎた。過ぎた駅は峰吉川だ。


3線軌

ものの本によれば、確か峰吉川を通ると3線軌なんだよなあと思いながら、ぼくはドアの窓からとなりの線路を見てみた。

あれ。2本しか線路がない。

ぼくはもしかして、と思いながら、車両の連結部分に行き、下のすき間からレールを見てみた。

わ!3線軌だ!

2つのレールのうち、右側のレールが小田原~箱根湯本までの箱根登山鉄道と同じようにレールが2本に分かれて、全部で3本になっている。

いや、めずらしいものが見られた。今度秋田新幹線に乗る時も、この区間では3線軌道を見ておこうと思った。列車が神宮寺を過ぎるとふたたびレールは2本になった。なんとなくガタガタする。

どうやらこの区間だけ線路を新しくしたようだ。そのまま列車は進む。


大曲~横手

列車は大曲に停車した。かなりお客が降りる。

普通列車の数が少ないので、秋田から大曲までわざわざ特急に乗らないといけないお客がいるのだろう。普通列車が少なくて特急列車が多いところの列車はどこもこんなふうなのかもしれない。

平野を通る。遠くに山が見える。いい景色である。

そのまま列車は横手に着いた。お客はまた降りた。

そして列車は発車し、山の中に入っていった。


横手~ほっとゆだ

右を見ると高速道路らしい高架の道路が見える。どうやら建設中の秋田自動車道らしい。

秋田自動車道は北上線沿いに走るのだ。ということは、たとえ高速バスを走らせるとしても盛岡~秋田間は走らないだろう。秋田新幹線はお客が多そうだ。

ふと、そう言えばこの列車には車体に似つかわしくない車内販売がいたなあと思い出す。

車内販売が車両と車両の連結器に近い、運転席っぽい場所で休んでいる。

よく見ると美人だ。MAXのリナちゃんに似た女性だ。

声をかけたいなあ、でも恥ずかしいからかけたくないなあなどと思い、結局声をかけないまま別の場所に移動した。

海水浴場
(2019.10.17追記 まさか二十年も後で、LINAちゃんがCMで水着になってくれるとは思わなかった。車内販売の人もLINAちゃんみたいに元気だといいなあ。)

そのまま山の中を特急は進む。


ほっとゆだ~北上

秋田リレー号はほっとゆだ駅に着いた。ここはお客が多い駅である。
3脚をかついだ人やおじいさんおばあさんがたくさん乗ってくる。

そして列車は進み、やがて山が開けて北上平野にやってきた。

するといきなりアナウンスが聞こえた。

「強風のため、『安全運転』に入ります。」

そう言うと特急はスピードを落とし、自転車が走るくらいのスピードになってしまった。
どうやら風が強くて、スピードを上げて走ると列車がふっとんでしまうらしい。

3年前に三陸鉄道が強風で飛んだと聞いたことがあるので、しかたがないんだろうなあと思う。そのまま列車は遅れていった。


北上駅

かなり遅れて秋田リレー号は北上駅に到着した。

もしも東北新幹線が定刻通り走っていたらもうほとんど乗り換え時間がないなあ、ひょっとしたら連絡改札が「開放」になっているかもしれないなあと思いながらみんなで走って通路を通り、新幹線連絡改札に向かった。

予想通り連絡改札は開放になっていた。ぼくは早くエスカレーターを昇らなくちゃと思いながら、連絡改札を通り抜けていった。

東北新幹線その2

北上~仙台

秋田から乗ってきた特急秋田リレー号を北上駅で降り、開放となっている中間改札を抜け、新幹線ホームに上がった。なんとかやまびこが着く前にホームに来ることができた。

自由席の出る場所に来ると東京行きやまびこがやってきた。乗る。すでに座席はいっぱいだ。たぶんこのまま乗っていても東京まですわれないだろう。

なにしろ、きょうはウィークエンドフリーきっぷが使えるほか、3日間24000円のGOGOフリーきっぷも使えるのだ。これらを使っている客が多いに違いない。

ぼくは仙台でやまびこを降りて、仙台始発の東京行きやまびこに乗り換えることにした。もう暗くなっていて景色もあまり見えない中、なんとか仙台に着いた。ここで降り、エスカレーターをおりて上がってとなりのホームに行く。


仙台~福島

盛岡行きのやまびこが出るホームであるが、仙台始発の東京行きはこのホームから出ることが多いからである。時刻表を見たわけではないが、たぶんこっちから出るだろうと案内を見ないで来てみたら本当に東京行きやまびこが入線していた。自由席に行くと空席があった。すわろう。

すわるとぼくは、特急たざわの大鰐温泉からずっと立ちづめだったこともあり、発車も待たずにぐっすり眠ってしまった。


福島駅

起きるとやまびこはトンネルに入るところだった。時刻からしてこのトンネルは福島の北の信夫山(しのぶやま)トンネルだろう。

このやまびこは福島でつばさを連結して東京へと向かうのだが、山形に向かえるホームが西寄りのホームしかないので、東京行きのやまびこは東寄りの線路から西寄りのホームに移る必要があるのである。

トンネルに入るとやまびこはスピードを落とし、停車した。たぶん仙台行きのやまびこが通り過ぎるのを待つのだろう。事実仙台行きがすれちがっていった。

そしてガッチャンコ、ガッチャンコとやまびこは線路を西に進み、無事福島駅の一番西の新幹線ホームに到着した。

しばらく待つと、ガシャンという衝撃があり、どうやら無事つばさがうしろに連結されたようだ。ここまで確認してまた眠った。


帰宅

ふと起きると、左の窓に駅のような明かりが見えた。あ、これは埼玉新都市交通だ、もうすぐ大宮だと思った。かなり眠ったなあと思った。

東京ステーションホテル宿泊から始まり、雪の降る函館を歩くハードな旅行だったが無事終えられそうでほっとした。なんとかアパートに着けそうだ。

でも今月、来月とたくさん旅行する予定であるので、病気には気をつけようと思いながらやまびこを降り、アパートに帰っていった。

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