121.遠野とほっとゆだ
説明
背景
2002年も10月が近づいた。
10月はいつも「鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷ」が出ているが、去年、おととしと使わないまま過ごしてしまった。今年は使いたい。でもほとんどすべてのJR線に乗っている今、どこに行ったらいいだろう。
計画
ぼくはなんとなく、佐渡にでも行きたいなと思った。定期観光バスにでも乗ってみたい。ぼくはこんな計画を立てた。
・(1日目)朝東京を発ち、上越線で新潟に行き、15時ごろのフェリーで佐渡へ。両津泊
・(2日目)両津発両津着の定期観光バスに乗り、18時ごろのフェリーで新潟へ。
ムーンライトえちごで東京に帰ってくる
これだと3回分つづりの鉄道の日記念きっぷが1回分余ってしまうが、別の日に使おうかとも思っていた。
修正1
宿の予約はあとにして、まずはムーンライトえちごの指定席券を買うことにした。無事買えたところで宿の予約をしようと思ったら、どこも満室のようである。しかたがない、佐渡はあきらめよう、ムーンライトえちごの指定席券を生かしてどこかに行こうと思った。
ああでもない、こうでもないと計画を立てたが、やっと完成した。こんな計画である。
・(0日目)深夜に池袋から釜石行きの夜行バスに乗る
・(1日目)一ノ関で降り、大船渡線、南リアス線、釜石線で遠野に行く。遠野泊
・(2日目)釜石線、東北本線、北上線、奥羽本線、陸羽西線、羽越本線で村上へ。
ムーンライトえちごで東京に帰ってくる
これだと1日目の行程が若干JR分が3060円より少ないが、別途きっぷを買って別の日に別の旅行をするのも面倒なので、1日目も記念きっぷを使うことにする。
修正2
あとは夜行バスの予約である。池袋の隣の要町に行き、てくてく歩いて国際興業の車庫にやってきた。そこで一ノ関まで注文したら無事買えた。しかし一番後ろの席だったのでもしかしたら最後の席だったのかもしれない。
今回は観光の旅行になりそうである。釜石、遠野、新花巻、花巻、ほっとゆだで観光の時間を設けてあるので、いきあたりばったりで観光してみようと思った。
鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷも無事買え、出発の日になって池袋駅に向かったのである。
今年はちょっと旅行が多い。疲れが仕事に影響しなければいいのだが。
高速バス・池袋~一ノ関
池袋駅西口
午後10時15分。ぼくは池袋にやってきた。
夜行の高速バスに乗るのも今日で20回目になる。と言っても19回目は2年前なのだが。
今回はじめて、国際興業系のバスに乗ることになる。国際興業自体は撤退してしまい、東北地方のバス会社が1社で運行している夜行バスなので「国際興業系」というわけである。
その国際興業系のバスの1つである釜石行きのバスは西口からちょっと南に進んだところにある、一般の路線バスも出ているターミナルの一角から出ている。
ぼくは池袋の西口を出てそのターミナルに行ってみた。
なぜか人が多い。
どうやらバスを待つ人ではなく、単に池袋のその場所に来て金曜の夜を過ごしている若者のようだ。
なんだかよくわからないが、いわゆる「たまり場」のようで、こんなところから国際興業系のバスは発車するのである。
ちょっと時間があるのでマクドナルドに行ってみることにする。
79円のチーズバーガーを買って戻ってきた。
乗車
そのうちバスが2台到着した。どうやら花巻行きのようだ。
金曜の夜なのでお客が多い。2台運行でどちらも満席のようだ。
2年前、さらにその前に乗った何台ものバスと同じように、今日もお客がたくさん乗り込んでいく。
そして花巻行きは発車していった。
つづいて釜石行きがやってきた。
列に並び、乗車券を見せて乗った。荷物はなんとかなるだろうと思い、預けずに車内に持ち込んでいく。
このバスは今まで乗ってきたバスと違い、トイレのあるあたりに席がない。
また、トイレの前は「A BC」というふうにA席とB席の間にちょっと広い通路がある方式で、トイレの後は「AB C」というふうにB席とC席の間に通路が空いている。
もちろんぼくの「10D」の席は5年前に同じように10Dに乗った時と同じように一番後ろの4列席の右側の席だった。
乗ってなんとかシートベルトを締め、チーズバーガーを食べる。なんとか落ち着いた。2年ぶりとは言え、20回も乗っている夜行バスなのでそれほど違和感はない。
夜行バスは女性客が多いのが常だが、今日のバスは男性客の方が多いような気がする。
発車
午後11時を過ぎる。じきにバスは発車し、いつものように案内ビデオを映しているようだが、一番後ろからじゃ見えない。まあいいか。
さすがに11時過ぎのバスなので、すぐに消灯となる。今日は窓際の席なので、カーテンをちょっとだけ開けて窓の外を見ていた。しばらくは池袋の近くの風景のようだ。
そのうち王子を過ぎ、荒川を渡っているようだ。渡り終えると高速に上がり、一路北を目指して進んでいった。
しばらくは景色を見ていた。東北本線を通っている時と同じ関東平野だ。
しかし、そのうち右に森が見えるようになった。
ああそうか、佐野藤岡インターチェンジを過ぎたかと思った。
佐野藤岡インターチェンジを過ぎると東北自動車道はずっとこんな風景のまま過ぎるのである。
いつまでも景色を見ていてもしょうがないが、今日は朝早く午前4時50分には一ノ関に降りなければならないので、無事起きられるか気が気でない。
このまま眠らずに行こうかとも思ったが、やっぱり夜行バスだし、2時間くらいでも眠ろうと思い、ちょっとだけ目を閉じることにした。おやすみなさい。
到着
目がさめた。
腕時計を見る。午前4時を過ぎたところだ。
窓の外を見る。相変わらずバスの右手には低い森が見える。
今ぼくは池袋発釜石行きの夜行バスに乗っているところだ。一ノ関で降りる予定である。
一ノ関着は4時50分ごろなのでもうすぐである。だからそのまま起きていることにした。
じきにバスはスピードを落とし、左に曲がる。インターチェンジに着いたようだ。
料金所を通り、田舎の道を進んでいくようである。
景色はちょっとした街並みに変わり、やがて停車した。どうやら一ノ関駅前のようだ。
荷物をかついで通路を前に進み、バスを降りた。ぼくと一緒に降りる人が多少いる。
一ノ関駅前
一ノ関駅前は暗かった。とりあえずどこかにコンビニでもないかと、駅前の道を進んでいった。
すぐにローソンが見つかった。朝食、飲み物を買って駅に戻る。
駅に戻って駅の入口を見ると、「この駅は5時20分まで閉鎖します」と書いてある。なんだか不親切な駅だけど仕方ないのかなあと思う。
そのまま駅前で5時20分を待った。
駅前にはパチンコ屋らしい場所がある。あれ?あそこの場所って15年前はスーパーとかじゃなかったっけ?
15年も経っているからスーパーとかつぶれちゃったのかもしれないなあと思った。やっぱり全国の駅前の景色って数年もすると変わることが多いのだろう。
駅の入口が開いたので中に入り、待合室で待つことにした。
一ノ関駅待合室
待合室のそばにはJRのコンビニ、JCがあるが、6時にならないと開かないようだ。やっぱりローソンに行ってきてよかった。
今日は大船渡線で盛(さかり)駅に行き、そこから三陸鉄道に乗って釜石に行く予定なのである。
そのわけだが、大船渡線の一ノ関~気仙沼間に15年以上乗っていないのでひさしぶりに乗ってみたいというのが理由なのである。
始発の盛行きは6時発なので、もう少し待てば乗れる。本を読んで待つと5時50分になった。
改札が始まったようなので、ぼくは鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷを取り出して改札に行った。
日付を押してもらい、改札を通った。さあ、3年ぶりの鉄道の日記念きっぷの旅行の始まりだ。
大船渡線
一ノ関駅
一ノ関駅の改札を通り、階段を昇っておりて、ぼくは盛(さかり)行きのディーゼル車が出るホームへ向かった。
まだディーゼル車は来ていないので、ホームで待った。そのうち、どうやら上野行きの寝台特急北斗星がやってくるというアナウンスがあった。北斗星にはまだ乗ったことがないので見てみようと思い、盛岡の方向にちょっと歩いてみた。
やがて機関車に引かれて北斗星の客車がやってきた。窓からお客を見てみるが、ほとんどまだ寝ているようだ。
そしてまた発車する。いつか乗りたいなあと思いながらぼくは北斗星を見送った。
そしてそれが済むとディーゼル車がやってきた。15年前に大船渡線に気仙沼から一ノ関まで乗った時は、とても古いディーゼル車だったが、さすがにほとんどの非電化区間にあるような新しいディーゼル車だった。
ドアはボタンを押して開ける方式である。こんなに朝早いのに、お客は多少いる。やはり列車の数が少ないからだろう。
一ノ関発車
ドアが閉まり、一ノ関を出発だ。まずは南に進み、東に進んだ。
けっこうな霧である。朝は霧の起きやすい時刻である。霧の中をディーゼル車は東に進んでいく。
霧がちょっとだけ晴れ、太陽が顔を出した。あれ、右側だ。ということは北に進んでいることになる。
なんでも大船渡線は、一ノ関から東に進むと向きを北に変え、また東に進んだ後で今度は南に向かい、一ノ関と同じくらいの緯度になったところで東に向かって気仙沼に向かうらしい。
15年前に乗った時はそんなこと気がつきもしなかったので、今度は太陽の動きを見ることにより進行方向を実感しようというのがこの旅行のテーマの1つなのである。
太陽は右の窓を、霧で見えなくなったり見えたりしながら進む。
景色は山村の景色である。いかにも田舎風の家々が点々と並んでいる。
そのうち太陽が前方に移動した。どうやら東に向きを変えたようだ。
一ノ関行きディーゼル車とすれちがう。あっちは混雑しているようだ。お客が多いようでなによりである。
気仙沼到着
今度は太陽が左に見えるようになった。南に進んでいるのだ。
草むらの中をディーゼル車は進んでいく。霧はすっかり晴れたようだ。
そしてまた太陽が前方やや南に位置するようになる。また東に進むようになったのである。
ちょっと大きめの集落を過ぎる。役場でもあるようだ。道も広いが朝早いので車通りはそれほどでもない。
それからは多少左右にカーブするほかはそれほど向きも変えず、ディーゼル車は人家の少ない場所を進んでいく。
しかしそのうち市街地に入ってきたようである。
そしてディーゼル車は気仙沼に到着した。ここでかなりの客が降りた。しかし乗ってくる人は少ない。
やっぱり逆向きのお客が多いようだ。ディーゼル車は気仙沼でしばらく停車する。そのうち向こうのホームにディーゼル車が入ってきた。
どうやら気仙沼線のようだ。やはりこっちのディーゼル車に乗り換えてくる客は少ない。
しばらく待つとまたディーゼル車は盛に向けて発車した。気仙沼~盛の間は8年前に乗ったことがあるのでそれほどじっくり景色をながめなくてもいいかと思った。
気仙沼~盛
大船渡線のディーゼル車は気仙沼を発車した。
このあたりは8年前に通っているのでそんなにじっくりと景色を見る必要はない。
それほど海沿いを通っているわけでもなさそうで、山の中を列車は進んでいく。
そのまま陸前高田を過ぎる。やはり山の中だ。
あまりかわりばえもないまま、列車は終点、盛(さかり)に到着だ。鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷの効果は一時中断である。ここから先は三陸鉄道南リアス線なので、別途きっぷを買う必要がある。ぼくは改札を出ることにした。
確か8年前も、久慈(くじ)発盛行きのディーゼル車から大船渡線に乗り換えたっけなあと思いながら他の降りる人に続いて階段を上がり、おりた。
盛駅
盛はJR・第三セクター接続駅のかなりの駅と同様に、JRと第三セクターで駅舎が分かれていたっけなあと思い出す。
(例外もある。鹿島臨海鉄道の水戸駅、わたらせ渓谷鐵道の桐生駅、愛知環状鉄道の岡崎駅などだ。)
階段をおりるとその通りで、降りた人は2つある改札のうちJRの方の改札へ進んでいく。なかなかおもしろいなあと思いながら、鉄道の日記念きっぷを出して改札を出た。
そしてとなりの駅舎に向かう。
8年前はJR東日本に乗り放題のハートランドフリーきっぷの旅行だったから、久慈で降りた時に三陸鉄道の宮古行きのきっぷを買い、釜石から盛までは車内精算で補助券を買ったものだったが、今度は逆方向なので盛駅できっぷを買うことになる。
自動券売機があったので釜石まできっぷを買った。
そしてきっぷを見せて改札を通った。ひさしぶりの三陸鉄道の旅行の始まりだ。
三陸鉄道
盛発車
三陸鉄道の盛(さかり)駅の改札を通ると階段を上がっておりて、釜石行きのディーゼル車にやってきた。
そんなにお客はいない。年輩のお客が数人いる。
しばらくすると発車だ。
あれ?南の方に向けて発車だ。
どうやら盛駅は三陸鉄道も大船渡線も同じように南の方に向けて発車するらしい。
右手を見ると大船渡線らしいレールが見え、遠ざかっていく。
盛~釜石
そう言えば盛から北西に向けて貨物用の鉄道があったという話を聞いたことがある。
盛駅から北に進む鉄道はその貨物用の私鉄で、三陸鉄道はその私鉄に遠慮して釜石から来た鉄道がぐるっと南からまわりこんで盛に向かうようにしたのだろう。
それにしても三陸鉄道には8年前にも乗ったのに、なぜ8年前に気がつかなかったのだろう。
たぶん8年前は2連続夜行に乗っていて、夜行明けで眠かったので盛まで眠ってしまい、それで方向が逆になったことに気がつかなかったのだろう。そう思った。
今日もちょっと眠いので少しうとうとすることにする。
海を見ようと盛で海沿いの席に乗ったつもりが、反対側になってしまった。
ちょっとだけ目を開けて海沿いの座席を見ると、多少海が見える。大船渡線と違い、三陸鉄道南リアス線は海がちょっとだけ見えるようだ。
しばらく眠ると釜石駅はすぐであった。お客はあまり増えも減りもせずにディーゼル車は釜石駅に到着した。
他のお客に続いて改札に行き、きっぷを渡して改札を出た。
釜石駅も盛駅と同じで、JRと三陸鉄道で駅舎が別になっていた。
釜石駅~観音入口
さて、ここから釜石線で遠野に行く予定だが、釜石線までは2時間ほど間がある。
この間をどうするか時刻表を見て考えたが、どうやら釜石には釜石観音という施設があるらしい。ぼくは行ってみたいと思った。バスが出ているらしいが、バス停はどこだろう。
駅前に大通りがあり、大通りに停留所があった。あそこだろうか?
停留所の案内を見てみると確かに「観音」と書いてはあるが、そのものずばり観音行きのバスはなく、みんな別の行き先のバスである。
ぼくはこれを見て、たぶんこれらのバスは観音のそばを経由するのだろうと考えた。まあ、もし間違えたらまた駅まで戻ってくればいいか、と思った。
そして観音を経由するかもしれないバスがやってきたので乗る。
バスはいったん橋を渡り、駅前より市街地っぽい場所にやってきた。お客がどんどん降りていく。
そして多少お客が減り、さらに港っぽい場所も通る。降りるべきか迷ったが進むことにする。さらに進む。
バスは山に登っていく。ぐにゃぐにゃカーブした所でアナウンスが「次は観音入口」を告げた。
よく見ると左手ちょっと離れた場所に大きな観音の建造物が見えた。やっぱりこのバスに乗ってよかったようだ。
ぼくはお金を払ってバスを降りた。下の方に続く階段があった。どうやらこの階段をおりてまた昇らないと観音にはたどり着けないようだ。
観音入口~観音様
三陸鉄道の釜石駅を降りて、バスに乗って観音入口という停留所で降りた。
海の方に大きな観音様が見えた。あの中に入って階段を昇れたら海が良く見えそうだな、と感じた。
まずは階段をおりていくことにする。
おり終わると駐車場のような場所があり、そこから進むとどこの観光地にもあるようなみやげもの屋の通りがある。
しかし、観光客は誰もいない。
まだ午前中だし、観光客は午後になってから来るのかもしれないと思いながらみやげもの屋通りを通り抜ける。
すると観音入口に着いた。まずは入場料を払う。
するとエスカレーターに案内された。江ノ島のエスカーみたいに途中までエスカレーターで昇れるらしい。
エスカレーターを昇りきってもまだしばらく登りが続く。
そしてようやく観音様の下までやってきた。海のそばだ。やっぱり海はいい。
いざ、ぼくは観音様の中に入っていった。
観音様~小屋
案内に従い、階段を昇っていく。
途中、いろいろな彫像があった。観音様の中だけあって、なんとなく宗教的な彫像である。
外国のことは良くわからないが、いろいろな由来のある彫像なのだろう。
そんなことはともかく上へ昇る。ずんずん昇る。
ようやく頂上っぽい場所にやってきた。
見晴らしのいい場所である。海も見える場所である。まるで灯台の頂上に登ったような感じである。
そしてまた降りていった。ずんずん降りる。
ようやく降りきった。
観音様の北になにやら小屋みたいな場所がある。入場券でそこも見られるらしい。
はいってみた。やはり宗教的な彫像とかがたくさんある。
由来はわからないが、観光地には宗教的な場所がけっこう多いので、こういう場所は旅行の思い出になっていいなあと思った。
いいこたち
さて、帰ろう。まずはみやげもの屋通りまで降りる必要がある。
帰りはエスカレーターはないので、エスカレーターの横を通って降りていった。
そしてみやげもの屋通りに来る。いちおうおばさんたちが客引きをやっているがちょっと哀れである。もちろんぼくは旅行を始めたばかりなので荷物になるようなものを買うわけにはいかない。
左の方で犬がわんわんほえている。
犬に近づいて頭をなでてみた。なんとなくおとなしくなったようだ。そんなことをしながら進む。
みやげもの屋が終わり、あとは昇り階段を昇ってバス停に行けばいいという場所にさしかかった時だった。
かわいい!ものすごくかわいい!
目の前のベンチにものすごくかわいいねこが2ひきいた。近づいてみよう。
1ぴきは逃げてしまったが、もう1ぴきはそのまますわっていた。なでてみよう。
うーん、あったかい。やっぱり旅の醍醐味といったらねこをなでることだよなあ。
しばらくなでて感触を楽しんだ後で階段を昇ることにした。いいこだったなあ。
観音入口~釜石駅
三陸鉄道の釜石駅からバスに乗って釜石観音を見た。見終わったので駅まで帰らなければならない。
ぼくは階段を上がり、バス停に戻ってきた。階段の途中でもねこを見かけたが、さすがに逃げられてしまった。
バス停で後悔した。なにしろあと20分バスが来ないのだ。そして列車の発車は30分ちょっと後である。
しかたがないのでバスを待つことにした。
バスは時刻通りにやってきた。行きとは違いバイパスを進み、市街地までやってきたところまではよかったが、お客がたくさん乗ってきて、どうやら間に合わなそうな雰囲気になってきた。
駅に戻る途中で橋を渡るが、そのそばにもう1つ、かこいで囲われた橋が見えた。
どうやらあれがどこかで聞いたことがある「釜石橋上市場」らしい。もし間に合わなかったら行ってみようかと思った。
バスは駅前にやってきたが、駅からかなり離れたところに到着した。これは駅に行くまでかなり時間がかかりそうだ。
すっかりくたびれて歩いて駅に行く途中で花巻行きは無情にも発車していった。しかたがない。釜石橋上市場にでも行ってみようと思った。
釜石橋上市場
バス通りを戻り、橋までやってきた。なんとなく市場っぽい場所だ。入ってみる。
こりゃすごい。市場だ。ただし、橋の上なのでものすごく狭い。
そんな狭い場所に、とても機能的にどの店も商売をしている。
市場と言ったら普通生鮮食料品を売っているはずだ。実際そういう店もあった。
それとは別に衣料品とかを売っている店もある。乾物とかを売っている店もあるようだ。
しかしお客は少ない。東京からの観光客が寄るとも思えないし、おそらく平日地元客でにぎわうんじゃないかと思った。
確かこの橋上市場は今年いっぱいで廃止され、橋そのものが撤去されてしまうようだ。最後に寄れてよかったのかもしれない。
もし食堂とかあったら寄ってみたいと思った。橋を1往復半して、好みの店を見つけて行ってみた。どうやらそばやラーメンを売っている店のようだ。
ぼくは掲げられているメニューを見て、「橋上ラーメン」というラーメンを注文してみた。
もちろんお昼なのでお客で混雑しているが、みんな地元客らしい。観光客はここには来ないのかな?
ラーメン
ラーメンがやってきた。具がいろいろ入っている。さて、メンは?
ここのメンは、不思議なメンであった。今まで食べてきたどこのメンとも違う、やや透き通ったちぢれたメンであった。それでいて食べるとうまいのである。
ぼくは、ラーメンという食べ物がすっかり日本の食べ物になってしまったんだなあと感じた。そして、釜石には釜石のメンがあり味があるんだなあと思った。
このなんとなくうまいラーメンは橋上市場がなくなったらどうなってしまうのか心配になった。またどこかで食べられたらいいなあと思った。
ラーメンを食べ終えて市場を去ることにした。駅へと向かう。次の列車まではちょっとだけ時間がある。そして駅前には一ノ関と同じくローソンがあった。ぼくはローソンに寄ることにした。
そして食べ物や飲み物を買っていく。釜石から遠野まではちょっとだけ時間があるのでその間に食べたり飲んだりしようと思った。
そして花巻行き列車の改札が始まったので、ぼくは鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷを見せて改札を通った。
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