Sorry, Japanese only! (1996年11月その2)

79.関西のケーブルカーと水間鉄道

説明

背景

1996年は10月、11月と徳島、広島に旅行したので、もう1回、また4月みたいに一般周遊券で旅行してみたいと思いました。場所はまた大阪にしようと思いました。

今度はのぞみを使わずひかりで往復し、きちんと5月にも泊まった宿に1泊して行こうと思いました。


計画1

周遊指定地として大阪近辺で残っているものとして、ケーブルカーに乗ってみたいと思いました。
まずは六甲のケーブルです。それから他に適当なものとして信貴山(しぎさん)に行くことにしました。

これら2つの周遊指定地で、以下の一般周遊券を作りました。

東京→新大阪→大阪→鶴橋→河内山本→信貴山口(しぎさんぐち)(ケーブルカー)高安山(たかやすやま)(バス)信貴山門(しぎさんもん)(バス)高安山(ケーブルカー)信貴山口→河内山本→鶴橋→大阪→六甲道(ろっこうみち)(バス)六甲ケーブル下(ケーブルカー)六甲山上(ケーブルカー)六甲ケーブル下(バス)六甲道→大阪(歩)阪急梅田→石橋→箕面(みのお)→石橋→阪急梅田(歩)大阪→新大阪→東京


検証

一般周遊券の条件を検証します。

(1)JRには、東京→鶴橋、鶴橋→六甲道、六甲道→大阪、大阪→東京と乗っており、東京→鶴橋だけで201kmを超えています。
(2)経路はすべてまちがいなく連続しています。大阪と阪急梅田は駅名が違いますが、すぐそばにあるので連続しているものとして扱います。
(3)出発地の東京に戻ってきています。
(4)JRの他の区間ですが、鶴橋←→信貴山口、高安山のケーブルカー、信貴山門のバス、六甲のバス、六甲のケーブルカー、阪急梅田←→箕面、これらすべて指定地接続線ですのでこれもOKです。
(5)周遊指定地は信貴山門と六甲山上の2か所に確かに行っています。

ですので条件は満たしています。


計画2

いつも一般周遊券を買っている旅行会社に申し込み、無事注文通りの一般周遊券を受け取ることができました。

よく見ると、六甲道から六甲ケーブル下に向かうバスの周遊船車券が、「阪神御影(みかげ)」「六甲道」「阪急六甲」と縦に駅名が3つ並んだ状態で発券されています。よくわかりませんが、六甲のケーブルに向かうには、JRだけでなく阪神や阪急も指定地接続線に使えるのだろうと思いました。

それから箕面まで往復する理由がなんと3つあるのです。それは、
(1) 箕面までの路線に乗る。1996年5月の旅行では蛍池から宝塚に向けて阪急に乗っているので十三(じゅうそう)~蛍池に乗っていない。箕面まで往復すれば乗ることができる。
(2) 帰りのJR乗車券がこのままだと「神戸市内→東京都区内」になってしまう。しかし、箕面まで乗ることにより「六甲道→大阪」「大阪市内→東京都区内」に分割することができて若干運賃が安くなる。
(3) 今回の旅行では水間(みずま)鉄道に乗る予定があるが、そこから帰る際に大阪市内発の周遊乗車券を持っておくと、大阪市内は阪和(はんわ)線の杉本町まで延びているので、神戸市内発なら大阪駅まで買う必要があるが、分割したので杉本町まで買えば良い

というわけです。


計画3

今回の旅行は、4月の周遊券の旅行みたいに周遊券通りの経路しかたどらないのではなく、若干別にきっぷを買っていろいろ乗ってみよう、と思いました。たとえば、阪急の夙川(しゅくがわ)~甲陽園(こうようえん)、六甲ライナー、ポートライナー、南海の天下茶屋(てんがちゃや)~泉佐野、水間鉄道などです。

宿は5月の旅行で使った江坂の「マジィ・イン江坂」が予約できました。

当初は1日目に信貴山に行き、2日目に六甲ケーブルに行く予定でしたが、神戸の友人の話ですと六甲の夜景はとてもキレイだという話ですので、1日目のうちに六甲山に行くように行程を変更しました。

こうして旅行の日が来て、ぼくは東京駅の東海道新幹線ホームに向かったのです。

東海道新幹線その1

東京~名古屋

東京駅にやってきた。東京駅から東海道新幹線に乗るのはひさしぶりである。去年の9月以来だ。
東海道新幹線の乗り換え改札で「東京都区内→大阪市内」の周遊乗車券と自由席特急券を見せて通り、手近なひかりに乗る。

わっ、空席がない。デッキもいっぱいのようだ。こりゃ立っていくしかないな。もちろんひかりだから名古屋まで座れないだろう。たぶん京都まですわれないだろうな。
そのうち発車だ。

ぼくはアパート近くのコンビニで朝食を買ってきているのだ。早く食べないと傷んでしまう。

しかたがないので立って食べることにする。おにぎりとかパンとかなのでなんとか食べ終わる。
まあそれでも大垣行き夜行で立っていたことを考えれば時間はそれより短いのであるが、新幹線はときどき大きく揺れることがあるのでつらい。

立っているときは富士山とかを見ようという気にもなれない。でも海はときどき見たりする。
それでもなんとか名古屋に着いた。もちろんそれほど降りる人はなく、すわれない。


名古屋~新大阪

名古屋を過ぎるとしばらくは住宅街が続き、それから岐阜・滋賀の県境の山々に入っていく。そして米原を過ぎて琵琶湖近くの盆地を過ぎ、トンネルを抜けて京都に着いた。

京都で降りる人はびっくりするほど多く、すわれた。11月は紅葉の季節なので、紅葉を見るため京都に行く人が多いようだ。
そのまますわって新大阪に着いた。

いきなりすっかり疲れてしまったが、今年4月に大阪阿部野橋から吉野まで立っていたような混雑はもうないといいなと思いながらひかりを降りた。

4月に進んだ通路を思い出しながら階段をおりて進んで乗り換え改札に来て、周遊乗車券を見せて自由席特急券を渡して中間改札を通った。

大阪環状線その1

旅行記本文

東京から乗ってきたひかりを新大阪で降り、中間改札を通った。
周遊券の第一の周遊指定地は信貴山なので、まずは鶴橋まで行かなければならない。大阪に向かおう。

ななめになっている通路を見回して大阪方面の階段をおりてホームに来た。しばらく待つと電車がやってくる。
乗ると電車は発車し、淀川を渡って大阪駅に着く。

4月に乗り換えたときより2時間ほど遅い時間である。今日は4月ほどたくさん電車に乗るわけではないのでこれでいいだろう。階段をおりてのぼって大阪環状線ホームに出た。今日は京橋方面の電車に乗らなければならない。

電車がやってきた。さすがに京橋方面は混雑していてすわれない。でも京橋でなんとかすわれた。
大阪環状線は京橋側の方がにぎわっているようだ。そのまま鶴橋に着いた。

さて、鶴橋からは近鉄だが、たぶん鶴橋にはJRと近鉄との乗り換え改札があるんじゃないかと思い、乗り換え改札を探すことにした。

近鉄信貴線その1

JR~近鉄

大阪から乗ってきた環状線を鶴橋で降りた。さて近鉄にはどうやって乗り換えたらいいだろう。
案内に沿って進むと中間改札らしい自動改札があった。そばに有人改札もある。JR~近鉄の連絡きっぷを持っていると通れるようだ。

幸いぼくは今一般周遊券で旅行しているので、自動改札は使えないけど「東京都区内→大阪市内」のJRきっぷと「鶴橋→信貴山口」の近鉄きっぷを持っている。
有人改札に両方見せるとJR券が回収され、近鉄券にスタンプが押されて戻ってきた。よし、ホームに行こう。

通路を進んでホームに着いた。さて、まずは河内山本に行かなければならない。近鉄奈良行きと間違えないように乗る必要がある。おそらく各駅停車しか停まらないだろう。


鶴橋~河内山本

確か今年5月に布施(ふせ)から堅下(かたしも)まで乗った時は「国分」行きに乗ったような気がしたなあ…

案内を見ると国分行きがあった。これに乗れば河内山本に行けそうだ。じきに国分行きがやってきた。さあ乗ろう。

乗って進む。すぐに市街地から離れて畑の中に入っていく。そして畑の中の布施駅に出る。大阪線なので下のホームだ。そして奈良線と分岐して右に進んでいく。

どこの私鉄もそうだが、急行や快速が頻発している私鉄の各駅停車はすいている。今乗っている電車もそうだ。

畑の中を進み、電車は河内山本にさしかかった。さて信貴山口行きの電車はどれかな?

電車がホームにさしかかると、となりの電車が発車し、ずんずん遠ざかっていった。
電車を降りてホームの案内を見ると、なんとこっちの電車が停車する寸前に発車していった電車が信貴山口行きらしい。なんて意地の悪いダイヤなんだろう。

とりあえず信貴山口行きのホームに行き、ちょっと待つ。
電車がやってきた。そして客の入れ替えだ。そんなに混雑していない。


河内山本~信貴山口

そして発車時刻になった。なんとさっきと一緒で、こっちの電車が発車すると国分方面の電車が到着するのだ。なんともやるせないダイヤである。

さて、電車は大阪線から分岐し、よるやかに坂を上っていった。
そして坂をほどよく上ったところで終点信貴山口に到着である。

今年4月に高野山に行ったとき、極楽橋(ごくらくばし)という駅でとても便利に乗り換えられたことを思い出す。ケーブルカーの持ち主が鉄道と同じ南海だからできた芸当である。

今回もケーブルカーの持ち主と鉄道の持ち主は同じ近鉄である。もしかしたら便利に乗り換えられるかもしれない。

電車を降りて案内に従って進んだらまさしくその通りで、ケーブルカーの乗り場は鉄道の駅の中にあった。とても便利だなあと思いながらぼくはケーブルカーへと進んでいった。

近鉄・信貴山口~高安山

のぼり

信貴山口(しぎさんぐち)で電車を降り、ケーブルの案内に沿って進むと階段があった。
階段を昇るとーブルカーがあった。南海の高野山のケーブルよりも電車とケーブルとの距離が短い。とても便利そうである。

けっこう大きなケーブルカーである。筑波のケーブルみたいに乗る際に周遊船車券を現金で買うのと同じ券に引き替える必要はなく、南海と同じく、手持ちの「信貴山口→高安山(たかやすやま)」の周遊船車券で乗れるようである。

券を係員に渡し、ケーブルに乗り込んだ。お客はけっこういる。祝日だからだろう。

そしてケーブルは発車した。ぐいぐい登っていく。ぼくはうしろの席から下をながめてみた。
大阪の街が一望できる。高野山のケーブルはそれほどいい景色ではなかったので、こういう景色のいいケーブルカーは大歓迎である。

斜面を登り、いい景色のまま終点、高安山にケーブルは着いた。


信貴山門

高野山の場合、ケーブルに乗るだけでも周遊指定地に来たことになるので高野山はケーブルだけでその奥の宗教施設には行っていないのだが、高安山は周遊指定地ではなく、そこからバスに乗って信貴山門(しぎさんもん)に行かないと周遊指定地に来たことにならないのだ。だからバスの券もちゃんと買ってある。

ケーブルを降りるとちゃんとバスが待っている。ケーブルに比べてバスは乗れる人数が少ないので、たちまちいっぱいになり、立つことになってしまった。そして発車。

バスは多少時間がかかり、終点信貴山門に到着した。

なんとも山の中である。

バス停の前には大きな橋があった。

そして橋を渡った先に、かなり大規模な宗教施設があったのである。

山の斜面に小さな寺のような施設が点々と山の上の方に向かって続いているのである。
各施設は階段で結ばれている。

そしてお客は祝日なのでけっこう多い。ケーブルの頂上にふさわしい観光地のような気がした。
なにしろぼくはお寺が好きなのだ。
それは、「非日常的」な場所だということもある。まさに旅行した、という気分になれる場所なのである。


くだり

ぼくはあちこちめぐり、山の空気を吸って、すっかり観光気分になった。

だいぶ時間も経ったので帰ることにする。

橋まで戻ってきた。そばには食事ができる場所がある。
しかし、なんとなく食事はケーブルを降りてからにしたいと思った。こういうところの食事は値段の割にあまりおいしくないことが多いからである。

そして橋を渡り、高安山行きのバスに乗った。
バスを降り、ケーブルに乗る。もう一度大阪の街並みをながめておく。
今日はこれから神戸でも六甲のケーブルに乗る予定だ。しかも夜景の予定なので、夜景に比べると分の悪い昼間の景色だが、それでもしっかり覚えておこうと思った。

ケーブルは信貴山口まで降りてきた。さあ、電車に乗ろうと思い、ぼくは河内山本行きの電車に向かった。

近鉄信貴線その2

旅行記本文

高安山(たかやすやま)から乗ってきたケーブルカーを降り、他の客といっしょに河内山本行き電車の出るホームまでやってきた。停車している電車に乗る。客はケーブルの客だけだ。

電車は発車する。小高い山の中腹にある路線を電車は河内山本に向けて降りていく。

信貴山はいいところだった。今日はいい観光をした。しかし、今日は六甲山に行くという仕事がまだ残っている。ほかにもいろいろ乗る予定だ。がんばって進もうと自分にいいきかせながら進んでいく。

電車は河内山本に到着した。行きと逆コースで鶴橋方面のホームに進む。今度は上本町行きの電車に乗ればいいので間違える心配はない。

上本町行きがやってきた。乗る。けっこうすいている。そして発車。電車は田園風景の中を進んでいく。

進むごとにお客がちょっとずつ増えてくる。そして布施に停車し、また発車。
電車は無事、鶴橋に到着した。
そして一般周遊券のたばから「信貴山口→鶴橋」の近鉄券と「鶴橋→六甲道」のJR券を取り出し、有人改札に見せた。近鉄券は回収され、JR券にスタンプが押されて戻ってきた。

さあ、次の目的地は東海道本線の芦屋(あしや)だ。がんばって進もうと思い、大阪環状線ホームに向かった。

大阪環状線その2

旅行記本文

河内山本から乗ってきた近鉄の電車を鶴橋で降り、中間改札を通った。
階段を進んでなんとか大阪方面のホームにやってきた。
信貴山でけっこうゆっくりしたが、どうせ六甲山のケーブルで登った時点で夜景が見られる時刻に着けばいいのだから、まだまだ時間はたっぷりある。のんびり進もう。

電車がやってきた。すんなりすわれる。それにしても大阪環状線は客の数のわりに車両数が多い。一番混雑する時間に車両数を合わせているのだろう。
京橋でお客がけっこう乗ってきて立ち客も出た。ビルの立ち並ぶ場所を通り、大阪駅に到着した。

数時間前と逆コースを通り、神戸方面のホームに出た。今度の目的地は新快速の停まらない(1996年時点)芦屋なので各駅停車に乗らなければならない。西明石行きの各駅停車がやってきた。土曜日のお昼なのでそれほどの混雑でもないが、やはりすわれずに進む。淀川を渡る。
なにごともなく電車は芦屋に着いた。さあ、降りよう。

阪急電鉄・夙川~甲陽園

JR~阪急

大阪駅から西明石方面の各駅停車に乗り、芦屋(あしや)で降りた。
ここから阪急の芦屋川(あしやがわ)まで歩く予定である。まずは芦屋駅の改札に向かった。途中下車するためである。

改札員に「鶴橋→六甲道」の周遊乗車券を見せると予想外の回答が返ってきた。

「このきっぷでは途中下車できないですよ。」
「えっ!降りられますよ!」
「大きな声を出さないでくださいよ。」
「これは一般周遊券なんですよ。降りられるルールになっていますよ。」

改札員は「鶴橋→六甲道」の周遊乗車券とミシン目でつながっている残りの券をぱらぱらと見てみた。「大阪市内→東京都区内」の周遊乗車券を見て、
「はあ、ひとつづきなんですか。」
と言っていた。そして券を返して「出ていいですよ。」と言った。

どうもこの改札員は一般周遊券のことを知らないんじゃないかと思った。
ただ、「なんだか特別なきっぷ」としか考えていないんじゃないかと考えている。

さて、なんとか改札の外に出たところで阪急の芦屋川駅まで歩こうとしたが、どうやら大きな道で1本というわけにはいかないようだ。まあいいかと細い道を北に歩いてみる。

あちこち道を進む。時刻表ではバス路線がつながっているように見える2駅間であるが、実際はそんなことはなさそうな感じの道で、かなり時間がかかってしまった。まあ天気もいいし、あせらずに行こう。


芦屋川~甲陽園

とりあえずなんとか芦屋川駅までやってきた。ここから先は一般周遊券とは別払いとなるが、5月に買ったラガールカードがまだ残っているので使うことにする。自動改札に通した。

阪急の十三~三宮までは1月に乗っているのだが、その支線である夙川(しゅくがわ)~甲陽園(こうようえん)の路線にまだ乗っていないので今日乗るのである。

まずは梅田方面のホームに来て普通列車を待った。なんとかやってきた。特急料金のいらない特急の走る私鉄では普通列車はすいている。1駅だけ乗って夙川に着いた。乗り換えだ。

5月に乗った塚口~伊丹の路線の塚口ホームに似た行き止まりホームにある電車に乗り込んだ。
お客はあまり多くない。やがて発車だ。

電車は住宅街の中を進んでいく。路線があるのだからお客もいるのだろう。

とは言っても短い路線なのですぐに電車は終点の甲陽園に着いてしまう。相変わらずまわりの景色は住宅街のようである。

芦屋川で通したラガールカードをこの駅でも通して改札を出た。


甲陽園~芦屋川

降りただけではおもしろくないので甲陽園駅のまわりを歩いてみることにした。

住宅街の中の駅であった。何かの施設でもあったらおもしろいのだが、たいしたものは見つからず、自動販売機でコカコーラを買って駅へと戻ってきた。

ふたたびラガールカードを取り出し、甲陽園駅の自動改札を通り、それほど混雑していない電車に戻ってきた。まもなく電車が発車する。

同じ風景を見て、夙川駅に戻ってきた。
今度は三宮方面の電車に乗り換えて1駅、芦屋川へと戻る。電車を降りた。

ラガールカードを自動改札に通して芦屋川駅の改札を出た。

今度は別の道でも歩こうと思い、ちょっと別の道を試してみた。方向が合っていればなんとか芦屋駅まで行けるだろうと思い、てくてく歩くとなんとか芦屋駅が見えてきた。

さきほどひともんちゃくあった「鶴橋→六甲道」の周遊乗車券を見せると今度はすんなりと改札に入れた。さあ、次は六甲ライナーに向かおう。降りる駅は住吉だ。

六甲ライナー

芦屋~住吉

芦屋で西明石方面の普通電車に乗った。無事すわれた。市街地を進み、無事住吉に着いた。ここで降りる。改札に行く。

「鶴橋→六甲道」の周遊乗車券を見せると「このきっぷでは途中下車できないですよ」と芦屋駅と同じようなことを言ってくる。

ぼくは一般周遊券の表紙を見せて、「このきっぷは一般周遊券の一部なんですよ!」と言うが、駅員はあまり理解していないようだ。そのままきっぷを持って改札を通る。別に追いかけては来なかった。

一般周遊券の周遊乗車券なら100キロ以下でも途中下車可能というルールを知らない駅員が多すぎる。今後一般周遊券を使う時は、なるべく100キロ以下のJR券の途中で下車する計画を立てない方がいいかもしれないと思った。


住吉~マリンパーク

さあ、六甲ライナーに乗ろう。なんとか切符売り場に到着した。終点まできっぷを買って自動改札に入れて通り、ホームに行く。

さすがに沿線に用がある人しか使わないからすいている。車両に乗り込む。普通の新交通システムだ。羽田のモノレールみたいに床が出っ張っているわけではない。六甲ライナーは発車する。高架でながめのいい景色である。

なぜかいきなり、透明だった窓ガラスがくもりガラスになった。びっくりした。数秒するとなぜかくもりガラスは透明に戻った。

いろいろ考えたが、確かNHKで「電気を通すと透明なガラスがくもりガラスになる技術」というのを説明する番組をやっていたような気がするのでさっそく採用しているんだろうと思った。

それから、六甲ライナーのすぐ近くに住宅が建っていて、住民のプライバシーを確保するために住宅が見えるところで窓ガラスがくもりガラスになるんだろうと思った。

そのまま六甲ライナーは見晴らしのいい埋め立て地を進んでいく。
そして高速道路が走る場所が終点である。ここで降りる。きっぷを自動改札に入れて進む。


マリンパーク~住吉

さて、そのまま引き返すのもつまらないなあと思ったが、どうやらすぐそばに食堂があるようだ。食堂というよりレストランといった雰囲気である。こんな交通の便の悪いところでやっていけるのだろうかと思いながら入る。

新幹線の中でパンを食べてから食事していなかったので、こってりとハンバーグの定食でも食べていくことにする。出てきた。もちろんうまい。

すっかりおなかもいっぱいになったところで駅に戻る。住吉まできっぷを買い、ホームに出て六甲ライナーの車両に乗る。

さて、またくもりガラスを見ようと思ってずっとガラスを見ていたが、さっぱりくもりガラスにならないまま住吉に着いてしまった。

確か六甲ライナーは複線で、右側通行だったから、ひょっとしたら住吉を離れる車両はくもりガラスになるが、住吉行きは住宅との間にレールがあって離れていて住宅が見えにくいのでくもりガラスにならないのかな、と思った。

食事してかなり時間を費やしたが、まだまだ日が暮れてはいない。自動改札にきっぷを入れて通り、JRの住吉駅の改札に近づいていった。

ポートライナー

住吉~三ノ宮

JRの住吉に戻り「鶴橋→六甲道」の周遊乗車券を見せて改札に入った。出る時はひともめした改札であったが、入るときは特に何も言われなかった。

さて、これから六甲ライナーに続いて三宮のポートライナーに乗る予定である。

周遊券は六甲道までなので、六甲道から三ノ宮までを別払いするわけである。どうやら150円のようだ。

また、神戸に住む友人の話だと、三ノ宮に神戸市役所があって、そこからのながめがとても良いという話なので、神戸市役所にも寄ってみることにした。

普通電車に乗り、数駅乗る。六甲道を過ぎて三ノ宮にやってきた。電車を降りて改札に行き、周遊乗車券に150円を添えて出した。何も言われることなく改札を出た。


市役所1

さて友人の話だと、市役所に行く前に旅行会社に寄ってパンフレットをもらった方がいいと言われたので寄ることにする。駅の南をうろうろして旅行会社の建物を見つけた。

ここかなあ。確かに浅野ゆう子が表紙になってる小さなパンフレットがある。まあいいか。もらっていこう。

さて市役所だ。どっちに行けばいいだろうか。南の方だと言うことだし、ポートライナーも南に延びていることだし、ポートライナーの高架が見えたのでそれに沿って進むことにした。

ポートライナーの高架に沿って南に進み、道をきけそうな人をさがした。
道路工事のおじさんがいた。あの人にきこう。

「すいません。神戸市役所ってどっちですか?」
「ああ、市役所ね。この道をこっちに進むと、左の方にごっつう…」(と言って手を高く挙げる)
「ああ、こっちの方にごっつう…」(負けずにぼくも手を高く挙げる)

なんだか気恥ずかしくなって、そのまま何も言わずにぼくは右に曲がり、西に向けて歩き出した。


市役所2

歩いていくとポートライナーの下の通りより道幅の広い大通りが左右に広がっており、左の方を見るとかなり高い建物があった。あれがそうだろうと、左に曲がって進んでいき、建物の前に出た。

そこには市役所と言うには多少豪華な建物があった。中に入るとすぐにエレベーターがあったので乗ることにした。

エレベーターを降りると展望室らしき場所があった。北に向いたその部屋からはJR三ノ宮の駅が見え、その先には六甲山が見えていた。

窓の下には三ノ宮周辺の建物が模型で置いてあった。神戸の友人の話だと、この模型は阪神淡路大震災の前にあった建物であり、今現在こわれていて実際と違う建物もあるので見比べてみるとおもしろいという話であった。

とは言ってもどこがどう違うのかはわからない。

まあ、雄大な六甲の山が見えるだけでいいんじゃないかと思うことにした。

すっかり満足してエレベーターを降り、市役所の外に出た。


貿易センター~中公園

さて、ここからポートライナーに乗るわけだが、三宮に戻るのはなんとなく気が引ける。
まっすぐ東に進めば三宮の隣の駅に着くのではないか、と思った。そして東に進んで歩いていった。
ほどなくポートライナーが見えてきた。

すぐそばに駅もあった。入口に進む。「貿易センター」という駅だった。

自動券売機できっぷを買う。ポートライナーは全区間同一運賃である。
どうせ南に進んでも三宮に戻ってくるので、往復運賃が必要な六甲ライナーと違い、全区間乗るには都合が良いわけである。

北に進むポートライナーを見送ってしばらくすると南行きの車両がやってきた。

やってきたポートライナーに乗りロングシートに座る。
車両は海岸に向けて発車した。

高架なのでながめのいい景色である。海岸に向かって進むとビルの谷間を抜けた。

中公園を過ぎると団地がたくさんある。団地のとなりはすぐ海である。もちろん公園もある。
海をながめるととてもきれいである。団地のながめもそれほど悪いわけではない。


中公園~六甲道

海につきあたるとそのまま進路を東に変えて海沿いを進み、ぐるっと回って中公園に戻ってきた。

多少すいたポートライナーは三宮方向に進路を変え、またビルの谷間に戻ってきた。
そして貿易センター駅を過ぎ、さらに進んで終着三宮に着いた。

ポートライナーを降りて自動改札にきっぷを入れて進む。やっぱり駅が隣接しているのは乗り換えやすい。少なくとも間に横断歩道がないだけでもとても便利である。
なんとかJRの三ノ宮の改札までやってきた。

三ノ宮で150円のきっぷを買い、大阪方面の東海道線に乗る。すっかり時間もつぶれて六甲山で夜景を見るにはちょうど良い時刻になった。そして六甲道までやってきた。

電車を降り、きっぷを渡して改札を出た。さあ、バスに乗って六甲山に行こう。

六甲摩耶鉄道

バス

三ノ宮から乗ってきたJRの電車を六甲道で降りた。まずは六甲山行きのバス停を探す。

バス停はすぐに見つかった。しかしなんと行列ができている。土曜の夜だし、やっぱり六甲山と言えば夜景なのだろう。

しばらく待っているとバスがやってきた。しかしなんと、お客を乗せて席がいっぱいの状態でやってきたのだ。

周遊船車券を見ると、矢印の右は「六甲ケーブル下」だけだが、左側を見ると「阪神御影」「六甲道」「阪急六甲」と縦に3つ駅名が並んでいる。すなわちこのバスは阪神の御影駅が始発なので御影からお客が乗ってきているのである。

とにかくバスに乗る。立ち客でいっぱいになってバスは出発する。

途中阪急六甲を通るが、あまり乗ってくる人はいなかった。また出発する。
上り坂をのぼっていくのでけっこう右に左にカーブする。
そして途中の停留所でバスを降りていく人もけっこういる。地元民の足にもなっているのだ。


のぼり

そしてようやく六甲ケーブル下に到着し、ゾロゾロとバスを降りる。
それほどバス停から遠くないところにケーブルの駅舎はあった。
念のため六甲のケーブルの周遊船車券を窓口に見せたら、そのままで乗っていいようである。

そして並ぶ。ようやく改札だ。順番が来てきっぷを見せてケーブル車両に乗る。けっこう長い車両である。だからお客はみんなすわれた。

そして発車だ。ぐいぐいのぼっていく。
もう暗いのでまわりの木々などは見えないが、そのかわり神戸の夜景が眼下に広がっていく。

そして終点、六甲山上に到着した。ケーブルを降りる。

ぼく以外の数人は、ケーブルを降りるとどこかに消えていった。どうやらここから先、ロープウェイに乗ってさらに山の奥に進むこともできるらしい。
しかしぼくはロープウェイ券は一般周遊券にしていないし、ここで夜景を見て帰ろうと思った。ちょっと歩くと見晴らしのいい場所に出た。


くだり

神戸の夜景は、それはそれはきれいだった。三ノ宮より若干東寄りにある六甲道から北に進んだところにあるので、正面には市街地というより埋め立て地が見えて、三ノ宮の市街地は右の方向に見える。

11年前に見た函館山の夜景は、狭い平地にあかりがこまごまと見えて、それはそれでいい景色なのだが、神戸の夜景は横に広がっていて良い。しばらくながめていた。

さて帰ろう。ケーブルカーに戻る。お客はさっきより少ない。乗ってすわって発車し、進んでいく。やがて夜景はいつもの夜の景色になった。六甲ケーブル下に到着である。

またバスに乗る。今度はすわれるので急なカーブもなんとかなる。阪急六甲を過ぎて六甲道に到着である。
あとはあした梅田から箕面に向かえば一般周遊券の旅はひとまず終わりだなと思いながら、「六甲道→大阪」の周遊乗車券を出して改札を通り、大阪方面のホームに出た。

もうすっかり暗くなっていて、普通列車が着いたがお客は少ない。青い電車は静かに進んで淀川を渡り、大阪駅に着いた。電車を降りる。さあ、御堂筋線の梅田駅に向かおう。

関連リンク