Sorry, Japanese only! (1998年9月)

105.航空機を使わず札幌・ミッドナイト旅行

説明

背景1

1998年は周遊券が廃止されて周遊きっぷが生まれた、激動の年でした。

そんな激動に乗った形で、おもに西日本のまだ乗っていない私鉄に乗っていました。JRも九州などに乗っていました。

さて、北海道にまだ乗っていない区間があります。特に函館本線の長万部~小樽間が長いです。

北海道はあとで長い休みを取ってまとめて乗ろうかとも思っていたのですが、ウィークエンドフリーきっぷと青春18きっぷがどちらも使える9月の第1週なら、効率よく長万部~小樽に乗れるかなあと思いました。


計画1

こんなふうにすれば乗れそうです。

・始発のやまびこからはつかり・海峡を乗り継いで函館へ
・北斗で森へ
・普通列車を乗り継いで森から長万部・小樽経由で札幌へ
・快速ミッドナイトで函館へ
・あとはなんとか青森まで行って東京に帰る

しかし快速ミッドナイトは全車指定席です。ためしに指定席を取ろうとしたら満席でした。


計画2

しかたないのでこんなプランに変更しようかと思っていました。

・やまびことはつかりで八戸へ
・夜行のフェリーで室蘭へ
・普通列車を乗り継いで函館に来ると、ぎりぎり海峡とはつかりで最終のやまびこに間に合う

これだと新しく乗る路線は室蘭~東室蘭だけであまりおもしろくなさそうですが、しかたがないかと思いました。


挑戦

しかし、なんでも快速ミッドナイトには「カーペットカー」というのがあって、その指定席券を取るには「快速ミッドナイトの指定席をください」ではなくて「快速ミッドナイトのカーペットカーの指定席をください」というふうにたのまないといけないとどこかで教えてもらいました。

ですので8月の旅行で金沢に行った時にためしにカーペットカーの指定席をくださいとたのんでみたところ、指定席が取れました。

それでめでたく長万部~小樽間に乗ることにしたわけです。森では「いかめし」という駅弁を売っているそうですので買って食べようかと思いました。

また、快速ミッドナイトで函館に着いた後は、青函トンネルは通らずに、江差線を七重浜で降りて函館港に行き、船で青森港に行こうと思いました。


背景2

そうやって準備をしていたのですが、8月の終わりに関東地方に台風がやってきました。

関東のまわりのたくさんのJR線が不通になってしまいました。

9月になっても栃木県北部の東北本線は不通になったままのようです。

でもなぜか東北新幹線は走るようです。そんなふうにして9月第1土曜日の早朝を迎えたのです。

東北新幹線その1

旅行記本文

始発の盛岡行きやまびこに乗った。

3年前に乗ったときはものすごく混雑していて新花巻まですわれなかった。去年は東京ステーションホテルに泊まってやっとすわることができた。

今年はホテルに泊まることもないだろうと思い、すわれないことを覚悟してやまびこにやってきた。

しかしあっけなくやまびこにすわれてしまった。なんでこんなにすいているんだ?

なにしろ、先月は台風が関東地方にやってきて、栃木県北部は東北本線が不通であるとニュースで言っているのである。それなのに、なぜかやまびこは在来線の不通を感じさせることもなくすいすいと県境を進んでいるのである。

不況のせいで旅行する客が減っているのかなあなどと思っているうちに、また眠ってしまい、やまびこは仙台を過ぎて盛岡に向かう。

まあ今日は航空機に乗らずにその日のうちに札幌に向かうというスケジュールなので最初はこんなものでいいだろう。

やまびこは盛岡に近づいた。去年乗った時、はつかりに乗り換えたら自由席はいっぱいだったから、今日は盛岡に着く前に、後方の自由席から前方に歩いて、中間改札に近い場所でやまびこを降りようと思った。そんなわけで適当に前方に進む。

しばらくしてやまびこは何度目かになる盛岡駅ホームにすべりこんでいった。中間改札に近い場所でやまびこを降りる。

急いで階段をおり、中間改札にウィークエンドフリーきっぷを見せて通った。はつかりの自由席にすわれたらいいなと思いながら、ぼくははつかりに急いだ。

東北本線その1

新幹線~在来線

盛岡駅の中間改札をぬけて、在来線ホームにやってきた。

過去、盛岡から特急はつかりの自由席に乗った時は、いつも満席ですわれなかった。

だから今回は、新幹線やまびこが盛岡に着く寸前に最後尾の自由席から前の方に歩き、中間改札に近いやまびこの前方まで来て降りた。

おかげではつかりの自由席に来た時は、まだ空席があった。これで青森まですわれる。良かったなあと思った。

しかし、いつまでたってもぼくが乗ったやまびこの客が来る様子が見られない。満席になるほど乗ってこないのだ。

はつかりの発車時刻が近づいた。ぼくが乗ったやまびこの1本後のやまびこの客がやってきて、ようやく席が埋まった。でも通路に立つ客がいるわけではなく、立ち客はみんなデッキにおさまったようだ。9月はじめってこんなものなのかなあ。


盛岡~青森

やまびこは発車する。盛岡の市街地を離れていく。

東北本線って、けっこう曲がりくねっているなあと思った。あまり今見ている景色に思い出がない。

そう言えば、いつもこのあたりを通る時は眠っていることが多かったなあと思った。だから景色が新鮮に見えるのだろう。

いい景色だなあと思いながら山の中の景色を見ているうちに八戸を過ぎる。平野っぽい景色になる。

野辺地(のへじ)が近づくと、左手に使われていないレールが見えてきた。あれは去年廃止された南部縦貫鉄道のレールだ。すでにレールは雑草に囲まれている。なんだかさみしい景色である。

野辺地を過ぎ、右手に海が見えてきた。これから函館に行くので津軽海峡の海が見えるはずなのだが、この陸奥湾の海もけっこういいなあと思う。

そんなふうにして青森の市街地に入っていき、大きくはつかりは右に曲がっていく。そして終点、青森に到着である。

はつかりを降り、階段を上がって快速海峡の出るホームに向かった。やまびこでもはつかりでもすわれたが、海峡ではどうかなあと思いながら、階段をおりて海峡の客車へと向かった。

津軽海峡線

座席をさがせ

盛岡から乗ってきた特急はつかりを青森で降り、快速海峡の出るホームにやってきた。

時刻表の巻末にある編成表によれば、この海峡は禁煙車が少なく、自由席でなおかつ禁煙車である車両はカーペットカーしかないように書かれていた。とりあえずカーペットカーの位置に向かい、車両に乗り込んだ。
多少は客がいたが、けっこうすいている。しばらくして海峡は発車する。

フェリーの二等船室に近いふんいきの場所である。すぐ近くでは男女のグループがウノで遊んでいた。

しばらくカーペットカーにいたが、去年3月に海峡に乗ったときは座席にすわれたので、禁煙の座席車両はないかなあとためしに移動してみることにした。

すぐ近くにあったのは、なんとプリクラだった。子供が遊ぶためのキッズルームっぽい場所があって子供が遊んでいる。そしてそのそばにプリクラがあるのである。

JRの駅の通路とか、嵯峨野観光鉄道の駅とか、いろいろなところにプリクラがあるので、快速海峡にあってもおかしくないのだろう。

飲み物の自動販売機があった。「リボンナポリン」という、どこかの書籍で見た飲み物がある。北海道限定と書いてあったような気がするので買っていこう。また進む。

禁煙車の指定席とか、喫煙車の自由席とかある。時刻表の巻末の編成表よりずっと車両が多いようだ。どうやら臨時に車両を増やしているらしい。そうか、海峡ってこんな列車なんだ。

4年前にはじめてはまなすに乗った時もどうやら増結した車両らしかったし、津軽海峡線の列車は臨時に車両を増やすことが多いようだ。


蟹田~函館

そしてようやく、禁煙車で、自由席で、カーペットカーでない座席車を見つけた。けっこう人が少ない。9月のはじめは青春18きっぷが使える時期とは言え、土曜でも客は少ないようである。適当な席にすわる。

リボンナポリンを飲んでみた。かなり甘い飲み物である。でもものすごくうまいというわけではない。たまには飲んでもいいか、程度の飲み物である。まあ北海道に来た時だけ飲めばいいだろう。

じきに海が見えてきた。陸奥湾だ。

しばらく陸奥湾が見えていたがまた海岸線から離れ、蟹田に停車する。そして中小国を過ぎてJR北海道の区間に入っていく。

もう何度目になるか忘れたが、青函トンネルに入る。竜飛海底駅らしき場所を通り、しばらく進むと地上に出る。昼間の北海道の景色だ。
木古内を過ぎていく。右手に海を見ながら海峡は進んでいく。函館山が見えてきた。今回の旅行では函館は乗り換えるだけである。

なんでもこの列車は「ドラえもん海底列車」とのことで、ドラえもん、すなわち大山のぶ代さんの声が聞こえる。まあいろいろ趣向をこらしているのだろう。

函館山がだんだん近づいてきて、海峡は函館の市街地に入っていく。そして右に右に曲がっていき、終点函館に到着した。ここで降りる。
座席車をもとめてだいぶ車内を歩いたので函館駅の階段までが遠い遠い。これから乗る特急北斗の出るホームはとなりなのでなんとか階段にたどりつき、のぼっておりた。

するとなんとそこに特急はつかりが入ってきたのだ。快速海峡よりかなり後に青森を発車したはずなのに、函館到着時刻はたいしてかわりなかったのである。もっともきょうは青春18きっぷを使っているので北海道ではいずれにしてもはつかりには乗れないのだが。

さあ、北斗に乗ろう。

函館本線その1

函館~七飯

青森から乗ってきた快速海峡を函館で降り、階段を上がっておりて札幌行き特急北斗の出るホームにやってきた。そんなに待ち時間がないから、まず乗って自由席に行こう。

乗って進む。自由席の車両に来た。さすがにすいている。すわってしばらくすると発車だ。

そう言えば函館から札幌方向に行くときはいつも急行はまなすだった。だから昼間の景色は知らない。特に七飯(ななえ)~大沼間は函館行きとは違う線路を通るから、この区間を昼間通るのは初めてだ。しっかり景色を見ておこう。

北斗は、しばらく海峡が進んだ架線のある線路を進み、五稜郭駅を過ぎる。そして架線のある線路が左に分岐し、架線のない線路を進む。そして函館の市街地を離れていく。

やっぱり北海道だ。広々とした景色だ。

北斗は振り子式列車だとのことだ。だからここ数年乗ってきた、特急ソニックとか、特急スーパーはくととかと同じく、カーブでぐぐーっと車体を傾け、それほどスピードを落とさずに進んでいく。やっぱり慣れないと気持ち悪くなりそうだ。

そのまま七飯を過ぎる。


七飯~大沼公園

七飯を過ぎると、高架の線路に上がっていく。左手に地上の線路が分かれて去っていく。

なんでもこの線路は七飯~大沼間の急勾配をのぼるために作られた路線とのことだから、役割としては東海道本線の大垣~関ヶ原間の垂井(たるい)を通らない線路と同じ役割ということになる。

ことし7月にはじめて大垣~関ヶ原間は昼間通ったが、確かに関ヶ原の近くの線路がこういう高架だったなあと思い出す。

何本かトンネルをくぐる。なんにしても見たことのない路線の景色を見るのはいいものである。

大沼を過ぎて大沼公園に停車してさらに進む。


大沼公園~森

さて、ぼくは函館から森までのきっぷを持っていないので、車掌が来たらきっぷを買おうと思っていたのだが、大沼公園まで全然車掌が回ってこない。

やっぱり札幌に近いところにならないと車掌がまわってこないのだろう。特急北近畿とかも大阪に近づかないと車掌が来ないようだし。

北斗は左右に山や森の見える景色を見た後で、下り坂になり、下りきったところで目的地、森に到着である。とうとう車掌は来なかった。さあ精算だ。

降りる客はほんの数人である。ぼくの前の女性も精算のようだ。どうやらぼくといっしょで函館から森まで精算らしい。ということはぼくはこの女性と同じ金額を払えばいいことになる。こりゃ精算が楽だ。運がいい。

女性の番が終わり、念のため青春18きっぷを見せて、函館から乗りましたと言い、女性と同じ金額を払って改札を通った。

ここからは普通列車だけでなんとかきょうじゅうに札幌まで行けるので普通列車で行くことにする。

確か森では「森のいかめし」と呼ばれる駅弁が売っているはずだけどどこで売っているのかな、と思いながら駅の中を見回してみた。

函館本線その2

昼食

函館から乗ってきた特急北斗を森駅で降りた。でも駅弁売りがいるわけではない。はたして「森のいかめし」はどこで売っているのだろう。

改札で精算して通るとキヨスクがあった。見るとそこでいかめしを売っていた。2つ買った。無事買えて良かった。長万部(おしゃまんべ)行きの車内で食べよう。

しばらく待っていると長万部行きが入線してきた。そして改札も始まる。青春18きっぷを見せて通る。

長万部行きは、いかとたこ、そしてあんこうが車両にペインティングされているディーゼル車である。めずらしいなあと思いながら乗った。まずはいかめしを食べよう。

あつあつというわけではなく、冷めた状態のいかめしだったが、いい味付けなのでうまい。以前アパートから多少歩いたところにあるデパートの駅弁大会でいかめしは食べたことがあり、味付けは同じである。

ものの本によればニュージーランド産のいかを使っているらしいが、その方がうまいのだからこれでいいのだろう。


森~長万部

土曜午後なので高校生がたくさん乗ってきた。駅弁を食べているうちにディーゼル車は発車する。

このあたりは特急北斗や急行はまなすで通り抜けることが多く、普通列車はこれが初めてである。

海が見える区間で、けっこうおだやかな海である。こんな海を見ながらの旅はいいなあと思う。そんなふうにして長万部まで過ごす。

ディーゼル車は終点長万部に到着した。さて、これから小樽行きに乗り換えだ。


長万部~小樽

案内によれば、同じホームの前後に小樽行きと東室蘭行きが停車しているので間違えずに乗ってほしいとのこと。間違えずに小樽行きに乗る。ロングシートにすわる。

いかにも北海道を旅行中といった男たちがかなり乗っている。そしてディーゼル車は発車。

ディーゼル車は山の中に入っていく。左右に森が見える。9月の緑に囲まれた景色である。もう夕方である。

そのうち地元の高校生っぽい人が乗ってきて、「今日は混んでいるなあ」と言った。

北海道って、いつも北海道フリーきっぷを使った旅行者が乗っているってイメージがあるのに、そうでもないようだ。そんなふうにしてディーゼル車は小樽に向けて進んでいく。だんだん暗くなっていき、すっかり景色が見えなくなったところで小樽着。

無事定刻通りに小樽に着いたので、なんとか今日の函館行き快速ミッドナイトに乗れそうだと思いながら、ぼくはディーゼル車を降りて札幌に向かう電車の出るホームを探した。

函館本線その3

小樽~札幌

長万部(おしゃまんべ)から乗ってきたディーゼル車を小樽で降りて、階段をおりてのぼって札幌に向かう電車に乗り換えた。さすがに夜8時の札幌行きなのでそれほど混雑していない。

この電車はロングシートである。JR北海道のほとんどの普通列車はボックスシートか2人がけの列車ばかりなのに、こんなオールロングシートの電車もめずらしい。

京浜東北線の電車と同じように、ロングシートを鉄の棒で区切っている。しかし京浜東北線では2-3-2の区切りであるが、この電車は3-5-3の区切りである。京浜東北線はぎちぎちで、ぼくみたいに太った人だととても2人すわれないので、3-5-3ならまあましなのかもしれない。

電車は発車し、各駅に停車していく。小樽ではすいていたが、札幌に行くにつれでだんだん客が増えてくる。とは言っても立ち客が出るほどではない。

ふと見ると、ぼくの席の近くにはおじさんたちしかいない。女性はぼくから離れたところに固まっている。

まあ、男どうし、女どうしで固まってすわるのはそれほどめずらしくもないんだろうなあと思っている。それ以上混雑することもなく、電車は札幌に到着した。ここで降りる。

青春18きっぷを見せて改札を通る。さて、これから快速ミッドナイトで函館に向かうのでそれまで時間がある。とりあえず大通公園まで歩いて往復しよう。


散歩

大通公園には4年前に雪祭りで行ったきりで、雪のない大通公園を見るのはきょうが初めてである。駅を出て南に歩く。ビルのたくさんある通りである。

大通公園に着いた。緑の多い場所である。あの時雪像がたくさんあった場所は、食べ物の屋台とかがある場所であった。土曜日だからなあ。

オートバイのエンジンの音が聞こえる。オートバイファンがたくさんいるのだ。東京と違って雪のない時期なら交通の便がいいので、オートバイファンもたくさんいそうである。

最近ぼくがよくやっているのが、「バスターミナル探し」である。大阪の上本町とか、横浜の本郷台とか、都営地下鉄の志村三丁目などの、高速バスが出る場所がどこにあるか探すのだ。

札幌も、大通公園の近くにバスターミナルがないかと思って探してみたが見つからない。

あとで時刻表を見たら、テレビ塔からかなり東にあることがわかった(別の旅行で確認した)。この時は、まあいいかと思ってさらに南に進んでみた。

南にずっと進むのもなんなので、とりあえず右に曲がってみた。ライオンの像があった。そして「三越」の文字もあった。そりゃ札幌なんだから三越はあるだろう。

さらに進むと、アイスクリームを売っている店があった。よし、あそこでアイスクリームを食べよう。

今回の旅は札幌が最終目的地なのだが、これで最終目的が「アイスクリームを食べること」になってしまった。まあ、青春18きっぷとウィークエンドフリーきっぷで、存外安く札幌まで往復できたので、こんなものでいいのかもしれないなあと思った。バニラを買って食べる。うまいなあ。

さあ、もうそろそろ快速ミッドナイトの発車時刻だ。札幌駅に戻ろう。

関連リンク