Sorry, Japanese only! (2000年9月)

108.大阪めぐりと筑豊本線の客車・2日目

鹿児島本線その1

レガートシートとは

午後9時、姫路駅。

ぼくは「姫路→北九州市内」の乗車券と「姫路→黒崎」の特急券を取り出した。

そう、特急券である。これから乗る列車は寝台特急あかつきという長崎行きのブルートレインである。

ふつうの寝台特急は、乗車券+特急券+寝台券という3種類の券が必要で、寝台券はたいてい6300円である。
だからかなり高価なものになってしまう。

しかし、寝台特急の一部には座席がついていて、乗車券+特急券で乗れるものもある。これから乗ろうとしているあかつきがそれにあたるのだ。

あかつきについている指定席は「レガートシート」と呼ばれていて、3列シートになっていてとなりの席とは間隔が空いているという話である。いずれにしても珍しいものであるので、今回体験しておくチャンスができたので乗ることにしたのである。

2000年9月現在、前4両が南宮崎行き彗星(すいせい)、そしてその後ろがあかつきという編成になっている。

片方は南宮崎行き、もう片方は長崎行きなので、小倉までは同じ線路を通るのだが、どうせ門司で電化方式が交流になるため交流用の機関車に交換する必要があるので、ついでに門司で切り離しを行ってしまうのである。


姫路駅

姫路駅の改札の前で、もしかしたら北九州行きの乗車券は自動改札を通るかもしれないと思い、通してみた。無事通った。
まずはあかつきが出るらしいホームに行ってみる。

レガートシートは最後尾にあるので、最後尾の位置に行ってみた。

神戸の方から電車が何本も到着するが、どの列車も15両はないので、みんな前の方に行ってしまう。

ぼ~っとしながらあかつきを待った。

そしていよいよあかつきの到着である。

さすがに姫路から乗る人は少ないらしく、ホームにはもう2~3人しかいなかった。

ゴトゴトと電気機関車、電源車、客車が通っていく。
1両、2両、…、そして最後の車両がやってきて停車した。さあ、乗ってみよう。入口はこれまで乗ってきたブルートレインと同じような入口だ。


乗車

入口を進んで右に曲がるとはやぶさにあるようなラウンジのミニ版があった。ちょっとした座席がある。
そこを進むとレガートシートに着いた。

車内はすいていた。

なんと、4~5席に1人くらいしかお客がいないのである。
う~ん、こんなのでここはやっていけるのだろうか?

まずは自分の座席を探してすわってみた。さすがに高速バスに対抗してつくられた車両というだけあって、高速バスにあるものがかなり網羅されている。毛布もある。まあ、今日は毛布は必要ないので足下に置いておくだけになりそうだ。

さて、どうやってリクライニングさせるのか。席の横のつまみを見てみた。
どうやらこのシートのリクライニングは電動のようである。

ちょっとだけリクライニングを倒し、飲み物を前の座席の後ろのポケットに入れる。


姫路~小倉

あかつきが動き出すと車掌がやってきた。いつものように車内改札印を押してもらった。

さて、あとは寝るだけである。岡山を過ぎてももうお客は乗ってこないようだ。

きのうはほとんど眠れていないので、今夜はぐっすり眠れそうだ。あしたの朝は5時ちょっと過ぎに起きる必要がある。寝過ごさないように、ちゃんと起きようと自分に言い聞かせながら眠った。

目が覚めた。あかつきは市街地でないところを走っている。

腕時計を見た。うん、まだ本州内だ。

そしてどうやら下関らしい場所に到着し、しばらく停車した。関門トンネルをくぐる。
門司でもしばらく停車する。案内もないまま発車し、小倉に着いた。ここで乗客が1人乗ってくる。


小倉~黒崎

なるほど、長崎に向かう普通の特急としてこのレガートシートを使う人もいるわけだ。
たちまち車掌がやってきて車内改札をする。そしておまけのように、

「あ、黒崎でお降りですね。お気をつけて。」

と言って行ってしまう。

荷物をまとめて窓の外を見る。何度も見た北九州の景色である。

そういえば今日行こうと思っているスペースワールドの所では線路が変更になったと時刻表に書いてあったけど、はたしてどうなっただろう。

まだ暗くて良くわからなかったが、近くに遊園地のような施設が見えて、確かにスペースワールドのそばを通っていることがわかった。八幡も過ぎた。もうすぐ黒崎だ。

そして案内もないままあかつきは黒崎に到着した。ホームに降りても他に降りる人など見あたらない。

ひょっとしたら小倉で乗り込んだ人と同じように乗り込んだ人がいるのかもしれないが、そういう人はレガートシートに乗るはずで、降りる時にすれちがった人などいなかったからやっぱり乗る人はいないのだろう。

あかつきが長崎に向けて発車していく。

ぼくは階段を昇った。ちゃんと改札員がいる。乗車券と特急券を渡して外に出た。1年数ヶ月ぶりに九州にやってきたのである。

筑豊電鉄

JR~筑豊電鉄

JR黒崎駅の外に出た。筑豊電鉄(正確には、西鉄北九州線)の黒崎駅前駅は駅を出て右の、地面と同じ高さのホームから出ることを覚えている。黒崎駅は橋上駅であり、駅前には歩道橋ができているので、駅を出ると歩道橋に出る。ということは下におりる階段があるはずだ。

右に曲がって階段を探す。建物らしいものがある。どうやらこの中に階段があるようだ。入ってみるとすすけた階段だ。

その工事途中の仮通路っぽい階段をとことこおりていく。すると3年前に来た西鉄のホームに着いた。

こんなに朝早くてもホームにはちゃんと電車があった。お客も多少乗っているようだ。


黒崎駅前

確かホームで整理券を取ったような気がしたが、今はどういうルールになっているだろう。車掌さんにきいたらやっぱりルールは同じでホームで整理券を取るらしい。取った。黒崎駅前と書いてある。

とりあえず電車に乗った。

筑豊電鉄と言えばテレビ画面の電車である。この電車にもあったが、テレビ画面には落語が映っていた。

ビデオでも映しているのだろうかと思ったが、おそらく衛星放送なのではないかと考えた。ほかのお客が見ている。

こんな6時前に本当に衛星放送で落語をやっているのか疑ったが、ぼくは衛星放送の映るテレビを買っていないので、朝早くから落語をするものかもしれない。そう考え、あまり疑わないことにした。


黒崎駅前~熊西

電車はぼくが乗るとすぐに発車する。さあ、ぼくが好きな、「画面に映って次の駅の案内をする女性」が見られるぞ、と思ったが、いっこうに現れず、テレビ画面には落語がずっと映っていた。あれ? 3年前に見たあの女性はどうしたんだ?

3年前と今の状況の違いを考えてみた。確かあの時は黒崎駅前では車掌が乗っていなくて、熊西で乗ってきたような気がする。

どうやら3年前に見た「画面に映って次の駅の案内をする女性」はあくまで車掌がいない時のみの運用で、車掌がいる時は画面は衛星放送か何かの放送を流している運用らしい。

そうとわかればもうテレビに用はない。車窓をながめることにした。熊西を過ぎる。正式にはここからが筑豊電鉄だ。


熊西~筑豊直方

小高い山が続いていたような気がしたが、直方に近い場所は確かにそういう景色だった。しかし、中間のあたりは住宅が続いている風景である。

駅に着く時に窓から駅の名標を見てみた。ちゃんと北九州市と書いてある。しかもけっこう黒崎駅前から数多くの駅を過ぎているのにまだ北九州市だ。

6時になり、落語は終わってニュースが流れた。やっぱり衛星放送だ。

そんなことを考えているうちにお客がどんどん降りていく。

とうとう客がぼく1人になってしまった。誰も筑豊直方に用事のある人はおらず、そのかわり途中駅に用事のある人はいるということだろう。まあこんなもので、朝からお客が数人でもいる方が珍しいことなのかもしれない。

客が1人のまま、電車は筑豊直方駅に近づいた。川を渡り、高架に上がっていく。
到着だ。運賃を払ってひとりで降りる。今日も全国で旅行者がたくさんいるはずで、その中には早朝の旅行者もたくさんいるはずだ。そう、ひとりじゃない。

そう考えて古い筑豊直方の駅舎の入口を出た。


筑豊電鉄~JR

3年前と同じく、JR直方駅までの道をてくてく歩く。けっこう距離があることは覚えている。

大通りが狭くなる所で右に曲がる。あれ、右に曲がるんだったっけ?

すっかり忘れていたが、確かに右に曲がったような気がした。右に曲がってしばらくするとJR直方駅である。

駅の近くには、またねこがいたが、このねこは車の下にかくれてしまった。これじゃしかたがない。

さあ、この夏の青春18きっぷももう5日目だ。18きっぷを取り出してJR直方駅に近づいた。

筑豊本線その1

客車に乗る方法

直方に着いたのは朝の6時20分ごろであった。

わざわざぼくが朝6時20分に直方にやってきたわけであるが、客車に乗るためであった。

もちろん、厳密に言えば全国に客車と言えば、さきほどまで乗っていた寝台特急あかつきをはじめとするブルートレイン、青函トンネルを抜ける快速の海峡、そして山口線を通るSLやまぐち号も蒸気機関車が客車を牽引することにより運行されている。

ただしそれらにはすべて「××号」という列車の愛称が存在する。

「××号」という愛称がついていない客車はここ筑豊本線でのみ2000年現在は運行されているのである。

そのような客車は時刻表で簡単に調べられる。筑豊本線のページで、列車番号の末尾に「D」の付いていない列車を探せば良いのである。

月金は東京で仕事なので、ぼくは土曜の午後か日曜の朝から夕方までしか筑豊本線にいることができない。
そう考えて土日の「D」の付いていない列車を探すと、

・朝、直方から門司港に行く列車
・朝、飯塚から直方に行く列車。残念ながら直方で上の門司港行きには乗り継げない。
・夕方、門司港から飯塚に行く列車

しかないのである。

いろいろ考えて朝直方から出る客車に乗ることにしたわけである。夕方の客車は景色が見えないと思ったので避けたわけである。


乗車

直方駅の改札で青春18きっぷを見せて日付を入れてもらう。そしてトイレに入って着替える。考えてみればあかつきで着替えればよかったのかもしれない。

着替え終わると階段を昇って降りて、客車が停車しているホームに着く。

堂々とした4両か5両くらいの編成の列車であった。

客車は編成が長いことが多い。そのわけは、昔の列車は4両ほどまとまって運行され、切り離して運行されないかららしい。

これと比較すると、最近の新型のディーゼル車はたった1両でも走れるので、お客の少ない所でも効率よくお客を運べるので重宝しているようだ。

おそらく月~金はものすごく混雑しそうだが、日曜はあまり混雑しないだろう。

さて、客車に入って中央まで進む。箱型4人がけの席である。


冷房

この客車は4人がけシートが本来あるべき場所をつぶして、でっかい冷房装置がついている。

すごい装置である。

ぼくがかつて乗った客車は、「111.青森・十和田ミニ周遊券旅行(1995年7月その2)」の旅行で乗ったが、三沢→青森まで乗った客車、越後川口→戸狩野沢温泉まで乗った客車、どちらも冷房なしだった。

これはこれで窓なんか開けて乗ると気持ちいいのだが、冷房つきはやっぱり涼しくていいものである。

ただ、冷房でも網棚をつぶしてつけられている冷房があり、網棚が使えないのであまりおもしろくない。

これに比べるとここの冷房は、網棚は普通に使えるのでかなり便利である。

ただ、冷房のそばだとうるさいのが欠点である。だけどあえてここは冷房の向かいのボックスにすわった。

というのも、こういう通学列車は通学の時にそれぞれすわる所が決まっていて、高校生が、自分がすわるべき場所に旅行者がすわっていたりするとむかつかれるのではないかと思ったので、あえて不便な席にすわろうと思ったからである。


直方~折尾

さて、10分前にディーゼル車が出たばかりで、なおかつ今日は日曜なので、あまりお客も来ない。

そのまま発車時刻が来て、ゴトンと客車が動き出した。スピードを上げていく。

直方を出たらいきなり雨が降ってきた。

きのう大阪でも多少降ったが、今度の雨はもっと強い。
このまま門司港までずっと雨ならいやだなあと考えながら、景色をながめた。

雨の景色のまま客車は走る。

今はものすごく貴重な時間なんだ、とは意識できないまま、筑豊本線を走っていく。
折尾に近づくにつれてお客は多少増えては来たが、車両も長いし日曜だし、同じボックスにお客も来ないまま、若松行きのレールと分かれて黒崎方向のレールに入り、西鉄北九州線の下をくぐって折尾に着いた。かなり降りた。雨はずっと降っている。


折尾~小倉

黒崎まで進む間、左手に建設中の駅のホームのようなものが見えた。
なんでも来年西鉄北九州線の折尾駅前~熊西が廃止されるとのことで、そのかわりに駅ができるという話だが、はたしてどうなるのだろう。

そして数時間前にあかつきを降りた黒崎に着いた。さらにお客が降りた。

黒崎を過ぎると多少列車が速くなったような気がする。

この客車はあかつきと同様に再びスペースワールド駅を通る。

現在スペースワールド駅の西に八幡(やはた)、東に枝光(えだみつ)駅があるが、なんでも以前は枝光と八幡の間のレールはスペースワールドの南側を迂回していたが、新しくスペースワールド駅を、なぜかスペースワールドの北に作ってレールを北に移設したとのことである。ということは、八幡~枝光間に古い路線の痕跡があるはずだと思った。

八幡、スペースワールド、枝光とすっと線路を見ていたが、なんとなく八幡や枝光のレールのそばのかこいが多少新しくなっているのと、スペースワールドの反対側の方にレールを取り除いたのではないかと思われる工事跡らしいものが見られただけであった。


小倉~門司港

気がつくと眠っていて、もう小倉に着く所だった。まあ、丸2日ほとんど寝ていないからしかたないだろう。

もうほとんどお客もいないまま小倉を発車した。雨はやんでいた。

小倉から門司までの間がけっこうかかる。

門司でかなりお客が降りる。ここから門司港までがさらに時間がかかる。右手に山が見える。

おそらくもうすぐ愛称の無い客車に乗るのはこれが最後なんだ、などという感慨もないまま客車は門司港へと到着した。


機回し

客車を降りて改札へと向かっていくと、ちょうどディーゼル機関車が切り離される所であった。

なんとここ門司港でこの客車が停車したホームは、「機回し」が可能なホームであった。

すなわち、以下の図のように、門司港駅の客車の到着するホームは、行き止まりのすぐ手前にポイントがあるのだ。

歩:ホーム
路:線路
分:ポイント
空:線路の無いところ

歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩
歩路路路路路路路路路路路路路路路
歩空空空路路路路路路路路路路路路
歩路路分路路路路路路路路路路路路
歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩

そして機関車+客車はポイントから若干離れた位置に到着する。

機:機関車
客:客車

歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩
歩路路路路路路路路路路路路路路路
歩空空空路路路路路路路路路路路路
歩路路分路機客客客客客客路路路路
歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩

そして機関車が切り離され、ポイントより行き止まり側に進んでいったん停まる。

歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩
歩路路路路路路路路路路路路路路路
歩空空空路路路路路路路路路路路路
歩路機分路路客客客客客客路路路路
歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩

そしてポイントが切り替わり、客車の横のレールを通って進んでいく。

歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩
歩路路路路路路路路路路路路路路路
歩空空空路機路路路路路路路路路路
歩路路分路路客客客客客客路路路路
歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩歩

通常の機関車ではこういう場合、「推進運転」と言って機関車は客車につながったままバックしていくのが普通だが、こうやって律儀に大昔のやり方を守っているのがなんともうれしく感じる。

話にはどこかで聞いたような気がするが、この目で見られて幸運であった。おそらくもう見られないだろう。


散歩

機関車が行ってしまったので改札に向かうことにした。

さすがに日曜朝とあって、改札にお客はあまりいなかった。もっとも機回しを見ていなければもっとお客がいたのかもしれないが。

ぼくは青春18きっぷを見せて改札を出て、30分ほど後のディーゼル車で折り返すことにして門司港近辺を散歩することにした。

鹿児島本線その2

散歩

門司港駅は、改札を出ても古いものばかりそろっている。

普通は「洗面所」とトイレは同じ場所だが、ここはトイレと別の場所に、手を洗うためだけの役目しか持たない洗面所があるのだ。ものの本によれば蒸気機関車が走っていたころ、石炭でよごれてしまった顔を洗うための場所だということである。

とりあえず駅を出て、ふりかえって駅舎をながめた。

相変わらず格調高い駅舎である。見たことがない人は、どこかの本でも見てほしい。もしくは、どこかに門司港駅の写真でも載せているホームページがあるかもしれない。

ここでは30分後のディーゼル車に乗るつもりなので、しばらく門司港駅のまわりをながめるつもりで駅の近くの観光案内図を見てみた。

なんでも下関に通じる人道トンネルはここから何キロも離れているようである。
まあそんなに急いで行く必要もないだろう。今日は門司港の駅のまわりを散歩するだけにしておこう。

街を歩いてみた。
異国情緒あふれる街並みである。
きのう歩いた神戸の異人館街にも負けない、外国風の建物が並んでいる。

JR九州の建物もある。昔は財閥系の建物だったが、国鉄に引き取られ、JR九州に受け継がれているらしい。


計画

すっかり気分転換になったところでまた列車の旅行に戻る。

実は今回はこんなふうに進む予定である。

・門司港→折尾
・折尾→東水巻
・東水巻→黒崎
・黒崎→スペースワールド

この進み方の理由であるが、実はまだ折尾の若松方面の列車が発着するホームから東水巻までの路線に乗っていなかったのでなんとか乗ろうとしてこの進み方をすることにしたからである。

なにしろ、たいていの直方方面に進むディーゼル車は若松からではなく黒崎から来るのである。だからぼくは今までいつも筑豊本線の直方方面には黒崎からしか進んだことがないのだ。


門司港~黒崎

さて、青春18きっぷを見せてホームに入り、直方行きのディーゼル車に乗った。発車時刻が来てもあまりお客もなく、発車である。しかし隣の小森江駅でゾロゾロ乗ってきて、たちまち満員になってしまった。
それも小倉までで、お客の大半は小倉で降りてしまい、また閑散としてしまった。

そのままごとごと進む。

枝光(えだみつ)駅を見てみると、微妙にレールと路盤の盛り土の区画にすきまができているのが見えた。

もう一度スペースワールド駅を見てみた。お嬢様特急で見ることができたスペースシャトルの形の建物が見えた。

そのまま黒崎を過ぎて筑豊本線ホームに入る。左側に西鉄北九州線が見える。右手に建設中の鹿児島本線の駅が見える。


黒崎~折尾

このディーゼル車は折尾駅にも停車するが、鹿児島本線の福間・赤間・香椎方面のホームとは離れた位置に停車する。
まだ降りたことがないので今回初体験となるのである。スピードを落としてディーゼル車はホームに停車した。

降りてみるとここのホームには跨線橋はなく、構内に踏切がある。今降りたディーゼル車が発車するまで踏切が開かない仕組みである。
ディーゼル車が行き過ぎるのを待って踏切が上がる。

ぞろぞろと行列を作って踏切を渡り、駅員に青春18きっぷを見せた。他の人はみんなここで乗り換えをする人たちばかりだから、どう進めばいいか知っているだろう。通路をとぼとぼ進む。

以前西鉄北九州線に乗るために入ったデパートを左手に見て、駅前広場に出た。広場を横切ると若松行き筑豊本線ホームと鹿児島本線のホームのある場所である。

なんとも乗り換えにくいものであるが、首都圏にはもっと乗り換えにくい駅がたくさんあるので、九州が首都圏並みに近づいたと言えるのであろう。

筑豊本線その2

折尾~東水巻

西側の折尾駅の改札で青春18きっぷを見せて筑豊本線ホームに入り、停車していたディーゼル車に乗り込んだ。

このホームから東水巻まで乗っておかないと真の意味でのJR九州完全乗車にはならないので乗っておくのである。

しばらく待つとディーゼル車は発車した。左から、黒崎から来るレールが合流する。そして数時間前に通った線路をまた通り過ぎていく。

同じ景色をながめながら、ディーゼル車は東水巻駅に到着した。


東水巻駅

ここの駅は多少変わった構造をしている。

直方方面行きレールと折尾方面レールの間にホームがあり、駅舎があり、改札がある。
改札を通ると駅の外扱いだが、いまだにレールとレールの間で、駅の外に出るには踏切を渡って出る必要がある。

雰囲気的には、東京都内で言うと東急大井町線の等々力(とどろき)駅に近いものがある。

等々力と比べるとホームが広かったり、ホームに屋根がなかったりといった違いがある。

ここで降りて黒崎行きに乗り換える計画であるが、いちおうもと来た方向に進むわけだから、念のため改札に青春18きっぷを持っていることを示しておこうと思い、「青春18きっぷです」と言って改札員にきっぷを見せてみた。

ん?と思って後を振り返ると、どわ~!もう黒崎行きが来ている!

あわてて飛び乗った。


東水巻~折尾

そのままもと来たレールを進んで分岐点に来た。
ディーゼル車は若松方面行きのレールから分かれて黒崎方面のレールに進んでいく。

また十数分前に降りた東の方の折尾駅のホームに停車する。
40か50くらいの男性が話しかけてきた。

「若松に行きたいんだけど。」
「降りてください。この列車は黒崎行きです。若松には行きません。」

やっぱりこんなに複雑な運用だから地元の人も進み方がわからないようだ。みんなこのようにして面倒くさがって車に乗るようになってしまうのだろう。まあ、ここの列車はけっこう年輩の男性も乗っているようだし、その点高校生しか乗らない路線に比べればだいぶましであるのだが。

それにしても、なぜぼくがこの列車の行き先を知っていると思ったのだろう。

大きな荷物を持っているから旅行中の人で、見るからに鉄道ファンらしいからこのへんの列車の運行などに詳しい人だと思われたのかな?

とりあえずこの人は「目利き」のいい人なのだろうと考えた。

やっぱり世の中を上手に渡っていける人は、「あることを知っている人は誰であるか」を知っている人なのであろうと考える。


折尾~黒崎

ディーゼル車は折尾駅の東側ホームを発車した。

折尾駅を過ぎると、いきなり雨が降ってきた。なんてこったい。こりゃかさを買わないわけにはいかないだろう。黒崎で買えるかなあ。

また建設中の駅を左手に、右手に西鉄北九州線を見て、黒崎に着いた。このディーゼルはここが終点だ。雨はやみそうにない。ここでかさを買っていこうか。

ディーゼル車を降りて階段を昇り、18きっぷを見せて改札を出た。

鹿児島本線その3

黒崎~スペースワールド

黒崎駅には改札口のそばにコンビニがあり、幸いなことにかさが売っていた。朝食も食べていないのでおにぎりと一緒に買った。

18きっぷを見せて改札に入り、おにぎりを食べているともうすぐ門司港行き快速が到着するとアナウンスがあった。急いで口の中におにぎりをたたきこんだ。

今度の快速は土日のみスペースワールドに停車する電車らしい。

多少混雑した快速はすいすい進み、八幡を過ぎて、またスペースワールド駅に戻ってきた。ここで快速を降りた。

いまだに雨が降っていた。良かった~かさ買っておいて。

同じように快速を降りた人もごくわずかで、朝からこんな天気なのでお客も少なそうである。

18きっぷを見せて改札を出たが、どうもスペースワールド入口は多少離れた所にあるようだ。まずはかさをさして階段を昇ったりおりたりして進んだ。


入場

バス乗り場のような場所を過ぎて進むとスペースワールドの入場口が見えてきた。

お嬢様特急で見た通りの入場口である。なんとも「サイバー」な感じの入場口である。

普通の遊園地のように、乗り物乗り放題の入場券が売っている。入場のみの券もある。
いつも使っているクレジットカードは使えないが、サブで持っている方が使えるようだ。

乗り放題ではなく、10箇所まわれるという、日光江戸村で言えば大名手形みたいな券もあったが、たぶん10箇所もまわらないだろうと思い、クレジットカードを見せて入場のみの券を買った。

まずは入場だ。


宇宙関連1

雨だからお客も少ない。まあ、観覧車とか、ジェットコースターとか、そういう所に行くこともないだろう。入場のみ券だから、1個か2個だけじっくり見るのがいいだろう。スペースワールドなんだから、宇宙関係の場所だけ見よう、そう思い、スペースシャトルの形の建造物に向かっていった。

あれ、ここの観覧車大きいなあ、「電気に感謝」(神戸のハーバーランドの観覧車)より大きいなあ、と思った。

まあいいか、さてさがすぞ、と見てみたら、スペースシャトルの形の建物のそばにそれらしい建物があった。

乗り放題券ではないので400円払って入ってみた。


宇宙関連2

ラジコンのようなミニチュアの自動車のようなものが見える。なんでもアポロ計画の時に月の上で走った「月面車」のミニチュアらしい。子供がレバーで遠隔操作している。とりあえずぼくはあまり動かしたくないと思った。ラジコンにはいやな思い出がたくさんつまっているのだ。

すぐそばにパソコンが置いてあり、宇宙関連の施設のいろいろな説明をやっているようだった。ちょっとだけマウスをクリックしていろいろ見てみたが、たちまち飽きてしまった。

ここの建物は狭いなあと思っていたが、奥に入ると意外と広い。
宇宙船の模型とか、アポロ計画の詳しい話とかが展示されている。

よし、ここにしばらくいようと思った。


宇宙関連3

乗り放題券があればついついもとを取ろうとして1個の建物にかける時間は短くなるが、今日は使っていないので、1個の建物に1時間以上かけたほうがむしろお得である。

ビデオ上映もしていたので、ほとんどお客もいないまま、飽きるまで見てみた。いろいろ苦労している人は多いようだ。

残念ながらお嬢様特急であったような宇宙食を食べさせるような場所はなかった。
せいぜいアメリカと旧ソ連の宇宙飛行士が仲良く宇宙食を食べる映像が見られただけであった。


期待はずれ

ころあいのいい所で建物を出て、舞台のある屋根つきイベント広場に行ってみた。なんでも12時からイベントがあるらしい。

黒崎のコンビニで買った飲み物を飲んで待つと、なにやらアナウンスが聞こえてきた。

「本日は『システムエラー』のため、イベントは中止いたします」

あ~だめだだめだだめだ。こんなシステムエラーでイベントが中止になるような所じゃ、スペースワールドも底が知れたってことだ。乗り放題券買わなくて良かった。もう海の中道に行ってももったいなくないだろう。

出口に出て振り返り、次にここに来ることがあるのだろうか、と考えながら階段を昇って降りてまた昇り、スペースワールド駅に戻った。青春18きっぷを見せて改札を通り、ホームに出た。


スペースワールド~香椎

また快速に乗った。今日何回目になるか忘れちゃったけど、八幡、黒崎を過ぎた。今度は赤間・福間方面のレールに進んで折尾駅の高い(若松行き筑豊本線の上の)ホームを通り、すいすい進んで香椎に着いた。さあ、旅行ももうすぐ終わりだ。香椎線に乗り換えだ。

香椎線

香椎~海の中道

香椎駅で階段を昇っておりて香椎線のホームに来た。あまり待たないうちに西戸崎(さいとざき)行きのディーゼル車がやってきた。

かなりお客がいてすわれない。まあいいかとそのまま立っていた。ディーゼル車が出発する。

いったん鹿児島本線より山寄りを小倉方向に進み、地形を利用して小高い山の上に上がり、鹿児島本線をまたぎ越す。確か福島交通も福島駅から信夫(しのぶ)山の地形を利用して東北本線をまたぎ越したっけなあと思い出す。

和白(わじろ)に着いた。ここの駅は西鉄宮地岳線(西鉄貝塚線の2000年当時の名称)と交差するが、正確には和白を数十メートル過ぎたあたりで西鉄が香椎線の上をまたぐのである。そのまま数駅過ぎ、お客が減ったので席にすわった。3年前に見た博多湾と玄界灘の間の細い陸地の風景をまた見ることになった。

そして海の中道の手前の信号場を通り過ぎる。すれちがいだ。

そのまま目的地の海の中道駅に着いた。もちろんけっこう降りる人がいる。


海の中道駅前

駅を出ようとするといきなり「この先に進むには入場料金が必要です」と書いてあって、もしかしてここは駅が何かの施設に囲まれているのかと思ったが、反対方向を見ると入場料金のいらない出口があった。案内図を見ると、水族館に行くにはこちらの方向に進めばいいらしい。

進むと大通りがあったので渡ると、右手に水族館が見えてきた。曲がらずに進むと博多湾の見える海岸に出る。

まずは水族館に行く前に、博多湾でもながめてみようと考えた。そのわけであるが、プレイステーション・セガサターンの恋愛を目的としたゲームであるお嬢様特急の中のイベントで、博多湾の見えるベンチで主人公が炭酸入り飲料とジュースを買うシーンがあったからである。


売店

海岸に出るとそばに売店があった。お嬢様特急の主人公はここで飲み物を買ったにちがいない。

ぼくもこの売店でコカコーラとオレンジジュースを買おうとした。

しかし、しかしなんということだろう。この売店ではコカコーラは売っていたが、オレンジジュースは売っていなかったのである。しかたがない。ぼくはコカコーラとすりおろしりんごを買った。

コカコーラを飲みながら海岸をながめる。ベンチがあり、すわっている人たちがいる。

恋人というよりも夫婦らしい年齢のカップルの方が多いような気がする。まあなんにしろデートをしてもいい場所のようである。

コカコーラにつづいてすりおろしりんごも飲み干すと、さあ、水族館に行こうと思い、足を向けることにした。


水族館

お嬢様特急で見たとおりの場所である。入場券はなんと自動改札用のきっぷであり、入口も自動改札だ。

まずはイルカショーの行われる場所と時刻を確認しておいた。多少時間があるようだ。
その間にいろいろめぐることにした。夏休みが終わったとは言え、日曜なのでさすがにお客が多い。

くじらの説明が壁にかかっている部屋にやってきた。
くじらのいろいろな説明がされている。くじらはとても役に立つ生き物らしい。
それに、いろいろ工夫して生活をしているようだ。なかなか水族館もばかにできないなあと思う。

2Fに上がってしばらく進むと1Fまで吹き抜けになっている水の円柱が見える。円柱の中に魚がたくさん閉じこめられている。

水族館では狭い水槽に魚がたくさん閉じこめられているのは良く見られるが、こういうのを見るとなんだかストレスがたまってしまうような気がした。

さらに進んで水槽を見ると、魚が別の魚に食われているところを見てしまった。
これも運命とは思うが、あまり気持ちのいいものじゃないなあと思う。


アシカショー

さて、ころあいもいいのでさっき確認したイルカショーの会場に行ってみた。

ありゃ、出遅れてしまった。もう席はいっぱいだ。

しょうがない。柱のかげから見てみよう。

まずはアシカショーだ。

いろいろなわざを調教師の合図のもとにこなしていく。

一番おもしろいのは個々の芸ではなく、芸が終わった後にやるヒレをパタパタと合わせる、まるで拍手のようなしぐさだ。

彼らの得意技はこの拍手(?)のようだ。


腹八分

そんな芸をいくつか見た。「輪くぐり」もやった。そしてアシカショーが終わり、イルカショーまでしばらくお待ちくださいというアナウンスがされた。

しかしぼくは、なんとなくアシカショーが終わってイルカショーに移るまでの休みの間に帰ることにしてしまった。

なぜなら、イルカショーが終わった後で帰る人も多いだろうから、このままだと香椎線にすわれないかもしれないと考えたからだ。このように、ぼくの旅は「腹八分」で終わりにすることが多い。

ただし食べ物に関しては腹八分ではおさめなかったりするのだ。次に食事できるのが何時間後になるかわからないので、食べられる時に食べておこうとするからである。実際に何時間も食事できないことがよくある。そしてぼくは太っていく。

そんなわけでぼくは、また来ることがあるのかなあと思いながら、水族館をあとにした。


海の中道~香椎

横断歩道を渡って、また18きっぷを見せて海の中道駅に戻ってきた。戻るタイミングが早かったので、あまり混雑していない。

香椎に戻る列車がやってきた。今回は楽にすわれた。そして発車。

しばらく進んだ信号場でしばらく停車する。海が見える場所で、いい場所だなあと思う。

しばらくすると西戸崎行きの列車がすれちがっていった。そしてこっちも発車だ。

左手に砂の壁、右手に博多湾を見ながら駅に停車していく。あまりお客も増えないまま和白を過ぎた。


香椎~博多

そしてまた香椎駅まで戻ってきた。さて、あとは福岡空港に行けばいいのだが、もう少し余裕がある。

どっちにしても博多には行く必要がある。まずは鹿児島本線だ。今度は距離が短いので快速でなくても良い。来た電車に乗った。しばらく進む。

ふと横を見ると、ソニックらしい特急が駅でもない場所で停車している。やばい。事故か?

でもまあ博多まで着ければ、あとは地下鉄に乗るだけだから、なんとかなる。この電車には影響ないようで、なんとか博多に到着した。とりあえず九州の18きっぷの旅行はここまでだ。18きっぷを改札に見せて駅を出た。

福岡市営地下鉄・空港線

キャナルシティ

博多ではスカイマークエアラインズが出るまで多少時間がある。でももう親不孝通りには行ったし、いまさら天神には行ってもしょうがないなあと考えた。

博多駅の近くではお嬢様特急のイベントスポットとしては中洲がある。しかしここにも1回行ったことがある。

今回はお嬢様特急ではなく、セガサターン用の、女の子と恋愛することを目的としたゲームであるセンチメンタルグラフィティのイベントスポットであるキャナルシティ博多に行ってみようと思った。

駅前の案内図を見て、それらしい方向に歩いてみる。

かなり進んだところで、左手に建物と建物を結ぶ回廊が見えた。なんとなくそこに上がってみたくなった。

上がって回廊を進んでみると、なんだか雰囲気のいい場所に出た。

そこは中庭をぐるりと建物がとりかこむ、まるで高校か大学の校舎のような場所だった。
どうやら中庭および中庭を取り囲む建物がキャナルシティらしい。

ここは2Fでその2階下に中庭があるから、中庭は地下1Fということになる。

中庭に出るのはあとにして、まずは階段で上に上がってみることにした。


噴水

なるほどいろいろな洋服を売る店がある。洋服を売る店だけでなくてほかにもいろいろあるようだ。

なかなかしゃれた場所である。

セガのゲームセンターがあった。なかなかいい場所に店を作ったものである。お客はどのくらい入っているかわからないけど、話題にはなるかもしれない。

次は下に向かうことにした。昇ってきた階段をおりて、地下1Fまでやってきた。中庭がある。
中庭の端まで進むと、噴水があった。ぼくは、センチメンタルグラフィティの主人公と福岡の女の子はキャナルシティで待ち合わせするときここで待ち合わせしたんじゃないかと思った。

すっかり満足して外に出ることにした。ここは地下1Fだから、出るには階段を上がらなければならない。なんとか道路に出た。まだ時間はある。


神社

ここでお嬢様特急のイベントスポットである櫛田(くしだ)神社に行ってみたいと思った。しまった、もうちょっと良く場所を確認しておくんだった。まあいいかと思い、うろうろ歩くことにした。

いろいろ歩いているうちに、なぜか客引きがたくさんいる場所に出てしまった。どうやら入るとそれなりに長居をしてお金をたくさん払わなければならない場所らしい。「へい、いらっしゃい。」と男の客引きが声をかけてきた。とりあえず道をたずねるのが一番いいだろう。

「櫛田神社はどちらでしょうか?」
「さあ、こっちじゃないかしら。」

女性の客引きが答えてきた。とりあえずひきとめられることはなさそうだ。

玄関の中にはあったかそうなねこが寝ていた。まねきねこみたいだ。
とても残念だ。普通の食堂とかだったら、ねこをなでながらラーメンとか注文することができるのに。そのまま女性の案内した方向に歩き出した。

あてもなく、あてもなく歩いた。

かなり歩き回ったが、結局それらしい神社はみつからなかった。もうちょっと案内図をよく見ておけばよかったと思う。まあ、これも旅の醍醐味であり、もしひとり旅でなかったら隣にいるやつに殴られているかもしれないところである。だからぼくはひとり旅をするのだ。

歩き疲れたころ、神社を1つ見つけた。
この際どこでもいいやと思い、その名前も忘れてしまった小さな神社にさいせんをあげておいのりをした。
もうこのへんで観光をやめてもいいだろうと思った。


夕食

さて夕食だ。

いつも博多の近くで食事というと、天神まで行って食事とか、またはコンビニやスーパーで弁当を買う、ということが多すぎたような気がする。せっかく博多駅には駅ビルがあるのだから、今日は博多駅の駅ビルの上の方の階で食事してみよう、とそう思った。

歩いて博多駅まで戻ってきた。駅構内から駅ビルに入り、エスカレーターを探す。どこでも1Fは女性向けの店舗になっている。昇りエスカレーターエスカレーターっと…あった。

おそらくてっぺんに行けば食堂くらいあるだろうと思い、ずんずんエスカレーターがなくなるまで昇った。しかしレストラン街という雰囲気ではない場所であった。まあファミレスみたいなレストランがあるにはあった。まあ旅行のしめくくりにこんな食堂に寄ってみるのもいいだろう。

とりあえずドリアをたのんだ。食べる。今日も疲れたなあ、あとは羽田に帰るだけだなあと思いながら食べた。博多はうまいものの店がかなりあるが、こんな店で食事するのもいいだろうと思いながら食べた。ふう。

エスカレーターを降りて駅に戻ってきた。コンビニに寄ろう。いつもローソンだから、たまには生活列車にでも行ってみよう。あれ?見つからないなあ。やっぱりローソンにするか。


博多~福岡空港

筑紫口にぬけてローソンに入った。いつも通りだとここで空港の待合室で食べる夕食の弁当を買っていくのだけど、今回は食事済みなのでお菓子だけにした。
そしてすぐそばの階段をずんずんおりて地下鉄の博多駅にやってきた。そういえば筑紫口から地下鉄に入るのって初めてだったような気がする。

もうだいぶ福岡の地下鉄を使っている。もしかしたらバスの方が地下鉄より安いかもしれないけど、便利なのでついつい使ってしまう。

いつか空港発のバスにでも乗ってみようかなあと思う。おそらく天神に行っているのだろう。そして地下鉄の3倍時間がかかるにちがいない。

いつものとおり、その他大勢の空港客に混じってきっぷを買って自動改札をくぐり、福岡空港駅行きの地下鉄に乗った。

そしてまた福岡空港駅に着いた。スカイマークエアラインズに乗るのももう4回目だなあと思い、何度も通った自動改札を抜けて空港に向かった。

スカイマークエアラインズ・福岡~羽田

順番待ち

以前に乗った時は13700円だったが、今は18000円になってしまっている。もっとも他の航空会社が値上げしてしまったため、とりあえず優位性は変わらない。

福岡空港駅を出たぼくは、地上に上がって去年の1月、2月に来たことのあるスカイマークエアラインズの案内所にやってきて、行列に並んだ。

ぼくの前の男が窓口で話している。

「スカイマークってこの1路線だけなんですか?」
「ええ、これだけなんですよ。」

と言うよりも、今まで飛んでいた伊丹~千歳が廃止になったので羽田~福岡だけになったんだろうと言いたかったが、あまりにもそれじゃ情け容赦ないので、黙っていた。


座席は中央

いつものようにクレジットカードを渡す。

「お荷物は預けられますか?」
「急がないと終電に間に合わないんですよ。」
「そうですか。それでは中央のほうがいいですね。」

そんなことを言われたような気がした。前3回が窓ぎわの席で、もちろん窓ぎわの席は夜景のながめが良くて好きなのだが、ことこのスカイマークエアラインズに関しては、ちょっと狭い席だということがわかっていたので、まあ中央も多少広くていいかと思った。

そしていつものように感熱紙が渡された。
エスカレーターを昇ってX線検査をやった。しまった。ポケットに小銭のたくさんはいった小銭入れを入れたままだった。どうやらX線はポケットの小銭にも反応するらしい。ポケットの小銭入れをトレイに出して、X線をもう一度くぐってOK。

それにしても、硬貨って鉄でできているわけじゃないのにX線に反応するんだなあと改めて思った。

いつもの通り搭乗口のそばの椅子にすわり、ローソンで買ったお菓子をちょっとだけ食べて過ごした。


搭乗

時間が来て、前2回と同じく感熱紙を見せて半分渡して、ぞろぞろ行列を作って機内に乗り込んだ。

自分の席の番号を見つけて、番号の真下にすわった。なるほど中央の席は端の席と違って多少は広いようだ。

しばらくするとここは私の席ですよと言う人がいた。

はてと思って自分の上の席の番号を見ると、ありゃ、矢印が斜め下についている。これじゃ慣れていない人だと誰でもまちがえるだろう。

ぼくがすわるべき席の上には何か四角いでっぱりがあって番号がふられていないのである。慣れていればまちがえないのかもしれないけど、ぼくはこういう席にすわるのははじめてである。ちょっとまぎらわしい。やっぱり航空機は鉄道と違う。鉄道にはこんな不親切な案内はない。

ぼくの席には赤ちゃんを抱いた人がすわっていたので、どくまで待ってすわった。

今日もうるさい席のようだ。電車もバスも赤ちゃんの隣になる。旅行とは忍耐である。


福岡空港~羽田空港

さて離陸だ。離陸はいつも緊張する。今回は景色が見えないので特に楽しみもない。

一段落すると飲み物を持った乗務員がやってきた。

あれ、飲み物の種類が増えている。
この前乗った時はりんごジュースだけだったのに。

やっぱり4000円上がったからその分飲み物を置けるようになったんだろう。しかしさすがにスープはないようだ。スープ以外ならよその航空会社で出ているものは出ているようだ。

とりあえずアイスコーヒーを頼んで飲んだ。こうやって旅行が終わっていく。

となりの赤ちゃんはうるさく泣いている。こんな時は眠ってしまおう。
なんとなくこの赤ちゃんがいればこの航空機は安全なような気がした。
なぜか理由はわからないが、そんな気がした。

もうすぐ羽田らしいが、2日間の夜行の疲れが出てきて、前のめりになって目を閉じた。


羽田空港

いつのまにか到着だ。逆噴射の衝撃があるが、それほど驚くこともなく数秒が過ぎる。

なんでも同じように中央の席にすわっていた人が着陸の逆噴射の瞬間、「わっ!」と叫んでしまったという人の話を聞く。まあしかたないのかもしれない。目を閉じて寝ていた方がいいのかもしれないとこの話を聞いて思った。

機体は進んで、いつものとおりタラップが待機している所に来て停まった。
荷物を出してしばらく待つと、ようやく扉があいて、航空機をおりる。

この前3回と同様に、バスに乗って到着ロビーへと向かい、自宅へと向かった。

この夏もこうやって青春18きっぷを使い切った。さて今度の冬はどうしようか。
それより前にぼくは冬まで病気をせずに過ごすことができるか。

そんなことを考えながらぼくはこの文章を書いている。

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