Sorry, Japanese only! (2000年9月)

108.大阪めぐりと筑豊本線の客車

説明

筑豊本線の折尾~桂川(けいせん)間および篠栗(ささぐり)線がそのうち電化されるらしいです。

去年の1月に久大本線の客車に乗りましたが、今ではここも客車が走らなくなってしまい、愛称のない客車が走っているのは筑豊本線のみになってしまっているのです。それも電化されたら走らなくなってしまうでしょう。

ただし、客車は朝と夕方しか走らないので乗るのはちょっと難しいです。

とある鉄道系サイトの掲示板で質問したところ、「寝台特急あかつきで黒崎で降りて、筑豊電鉄で筑豊直方に行けば良い」という答えが返ってきました。

それで、大垣行き夜行で大阪に行き、1日観光して姫路からあかつきに乗って黒崎に行き、客車に乗ってから福岡を観光し、スカイマークエアラインズで帰ってくる計画を立てました。あかつきとスカイマークエアラインズ以外は青春18きっぷの2日分をあてることにしました。

どこを観光するかはもう決めています。

去年の4月に買ったプレイステーション用ゲームソフト「お嬢様特急」(メディアワークス発売。10月にはセガサターン用も買った)のゆかりの土地を訪ねてみようと思いました。

このお嬢様特急というゲームは、稚内を発車して九州の南のほうまで進む特急列車に15日間乗って、その間各観光地に約24時間ずつ停車して観光しよう、そして、女の子とおしゃべりして恋人にしよう、というゲームなのです。そして観光地の中に大阪と博多が含まれています。

よってこのゲームの舞台となる各観光地に行ってみようというのを今回の旅行の「ついで」として付け加えることにしました。
まあ実際の旅行では女の子と出会えることは全くないです。しかし雰囲気を楽しんでみるのもいいんじゃないかと考えました。

東海道本線その1

品川駅

山手線は、無事品川駅に到着した。

現在午後11時ちょっと前である。

臨時大垣行き夜行の発車は深夜12時ちょっと前なのであるが、とりあえず発車するホームに行ってみた。

ありゃ、混雑しているなあ。

9月になると少しは臨時大垣行き夜行もすくだろうと思っていたが、ちょっと無理みたいだ。

とりあえず並んで待ち、11時20分ごろになって臨時大垣行きが入線した。先頭から乗り込んでいく。

結局座れなかった。


品川~横浜

どうせ立つなら臨時大垣夜行で立つよりムーンライトながらで立っていた方が楽だろうと思い、小田原行きの電車で小田原まで行ってムーンライトながらに乗ろうと考えた。

小田原行きの電車もムーンライトながらと同様に横浜で日付が変わるので、いったん京浜東北線で横浜まで行き、精算して18きっぷに日付を入れてもらって小田原行きに乗ろうと考え、京浜東北線ホームに向かった。

運良くぼくが並んだ場所にぼくの好きな6扉の車両が来たので乗った。さあ、出発だ。

京浜東北線の6扉の車両に乗って進む。6扉はやっぱりいい。席が少ない分、立つのが楽なのである。

多摩川を渡る。思ったより降りる人が少ない。
大船行きなので根岸線まで乗っていく人が多いのだろう…と思ったら東神奈川でかなり降り、同じくらいの人数だけ乗ってきた。

そして横浜に着いた。まずは一息ついた。


横浜駅

精算機に並ぶ。臨時大垣夜行に乗るつもりだったのできっぷは川崎までしか買っていないので、横浜まで精算する必要があるからだ。なんとか精算して改札を出るともう11時45分になっていた。

18きっぷを取り出して改札で日付を入れてもらった。

東海道本線のホームは、相変わらずMM21号線の工事のため1面しか使われていない。

そのうち国府津行きがやってきた。ものすごい混雑である。0時ちょうど発なのでこれに乗っても良いのだが、なんとなくやりすごすことにした。

しばらくすると小田原行きがやってきた。あれ、ロングシートだ。

国府津行きは先頭から最後尾までずっと、東海道線では一般的な、4人がけシートを基調としてドアのそばだけロングシートの電車であったが、小田原行きの後方は1車両まるまるロングシートの車両だったのである。

こんな深夜の電車がロングシート車両だなんてすごいなあと思いながら電車に乗り込んだ。国府津行きはぎゅうぎゅうづめだったが、小田原行きはロングシートで席が少ない分だけ楽である。


横浜~小田原

ムーンライトながらに小田原から乗ったことは3回ほどあるが、いつも小田急で小田原まで行って乗っていたので、東海道線で行くのはこれがはじめてということになる。いつものトンネルをくぐり、戸塚駅を過ぎていく。

大船で空いた席ができたので座る。藤沢でさらに降りていく。茅ヶ崎でぼくの乗っている車両には5~6人だけになった。とりあえず小田原から座れないことがわかっているので、今ここで休んでおこう。

シートの端の横棒に頭をのせてしばらくすると小田原が近づいた。

そして小田原の駅に降り立った。以前は階段ののぼりおりをしないとムーンライトながらに乗れなかったそうだが、現在は降りたホームの向かい側に停車するようになっている。

東海道本線その2

小田原~熱海

ムーンライトながらは小田原から4号車~9号車が自由席となる。禁煙席の9号車に乗ることにした。

今日は中央線の人身事故のため遅れておりますとかいうアナウンスもあったが、ふたを開けてみれば定刻通りにムーンライトながらは小田原駅に到着した。9号車に乗り込む。

もちろんすわれないが、デッキが混雑しているだけで、車両の中央部分はけっこうすいている。本当に混雑している時は、この中央部分にもぶったおれて横になっている人がいるものだが、やってくる人はいなかった。とりあえず楽なので中央部分に立った。

そのまま進んで熱海に到着した。多少降りる人はいるが、降りたのは小田原で乗ってきた人の一部だけである。


熱海~三島

いつもの通り丹那トンネルに入る。やっぱり冷房がちゃんと効いているのはいい。
臨時大垣夜行はたいして冷房も効かないはずだから、ずっと暑いかもしれない。

さてこれからのことを考えたが、このまま大垣まで立っていたのでは疲れてしまう。ましてここは9号車であり、名古屋で切り離されてしまう。そしてダイヤ改正によりムーンライトながらを岡崎で降りてももう米原行きは待っておらず、大垣行きしか来ないのである。

時刻表を見ると静岡発の浜松行きがかなり早い時刻にあるので、静岡で降りてこの始発浜松行きに乗り、浜松から新快速を乗り継いで大阪に向かおうと考えた。そうなるとあと1時間も立っていればいいから気が楽である。


三島~静岡

三島を過ぎ、沼津に着いた。しばらく停車する。9号車の前には飲み屋が見える。楽しそうに酒を飲んでいるようだ。

ぼくにとっては過去の世界となってしまっている。まあ、1年に数回は飲むこともできるが、ひと月に2回は無理になってしまっている。

また発車し、富士を過ぎた。

東京行きムーンライトながらとすれちがい、臨時東京行き夜行とすれちがう。

貨物駅らしい場所にやってきた。この景色になると静岡はもうすぐなのである。

午前2時半ごろ、ここ数年毎年風景をながめている静岡駅に今日も到着した。


静岡駅~ラーメン屋

けっこう降りる人がいる。乗った人もいるようだがおそらく1~3号車に乗ったはずなのでここからは見えない。

18きっぷを見せて降りた。さてこれからどうしよう。

3年前の2月に小田原発の一般周遊券と静岡発の東京ミニ周遊券を組み合わせておそろしい旅行をしたことがあるのだが、その時にもムーンライトながらを静岡で降りて、始発の浜松行きを待った。

その際静岡の街をさまよい、1軒のラーメン屋に入り、ラーメンを食べて過ごしたことを覚えている。あの日は雨が降っていた。

今回は雨が降っていないが、あの時のラーメン屋にもう一度行きたくなった。まず静岡駅から北の方向に出て、大通りを西に進む。工事中とかで歩道がふさがっているので車道を歩く。

ころあいのいい所で右に曲がる。さて見つかるかな?

ラーメン屋はちゃんとあった。入り口から店内に入ると、まさしく3年前の2月に来たラーメン屋である。まさにイメージ通りである。

ぼくは旅行で来た場所にもう1度、2度と繰り返してやってくることが大好きなのである。

そうやって同じ場所に繰り返し訪ねるうちに、何か新しいものを発見するかもしれないし、いいことがあるかもしれないと考えている。


夜食

みそラーメンを頼んだ。お客が多くてしばらく待たされそうであるが、どうせ時間はたっぷりあるのだし、家から持ってきた「電撃G'sマガジン10月号」を見て過ごした。

テレビで麻雀をやっている。リーチのみの人どうしが2人つっぱって、チンイツを作ろうとしている人が出遅れてしまい、リーチの人どうしでふりあっている所であった。麻雀はけっこうこういう局面が大部分で、役満などめったに出るものではないのである。

みそラーメンが出てきたので食べる。今日もいい味である。

食べ終わったので水を飲んでちょっと休んでいると、どやどやとお客が7~8人やってきた。

ありゃりゃ、大盛況なラーメン屋だなあ。もう出た方がよさそうだ。さて出よう。また来ることもあるだろう。

ラーメン屋のそばにはローソンがあったので、大阪までの電車で飲む飲み物を買っておき、静岡駅に戻ることにした。

来た道と同じ道を歩いて静岡駅に戻ってきた。浜松行きの電車は5時ごろ発車なので、発車30分前まで駅の北の石でできた椅子に座って、ローソンで買った飲み物を飲んで、雑誌を見て過ごした。

駅の北には、「全国縦断中」とか書かれた紙が貼られた自転車の下で、ぶったおれて寝ている男が7~8人いた。ごくろうなことである。

東海道本線その3

静岡駅

午前4時半、静岡駅。

ぼくは改札で青春18きっぷを見せて浜松行き電車の発車するホームに向かった。

ベンチには横になって眠っている男たちが3人いた。おそらく上りか下りのながら、もしくは臨時大垣夜行で来て、そのまま眠っている男だろう。とりあえずベンチのあいている所にすわって休んだ。

しばらく電車を待っているとおばさんを中心とした30人ほどのお客がやってきた。う~ん、みんな18きっぷ客らしい。

18きっぷ旅行では場所によってはおばさんの大群といっしょになることがかなり多い。今日もそうらしい。

今日みたいな東海道線のような幹線ではおばさんが多いが、それほど混雑していないローカル線では、若者が若干すわっていることが多い。見るからに1人旅が好きな若者が多く、仲間連れはけっこう少ない。ぼくもあまり若くないだけでその1人なのだが。いや、かなり年輩の1人旅の男性も方向によってはけっこう乗っている。みんな18きっぷのおかげなのである。


静岡~豊橋

発車時刻が近づき、電車がやってきた。ぞろぞろ乗り込んでいく。
ロングシート電車である。お客は多いが満席というほどではなく、なんとかすわれた。
1時間ではあるが、今まで眠れなかったのでしっかり眠ろうと思い、眠ってみた。

そのうち浜松が近づいたようなので目を開けてみた。

どわぁ~!なんだこの混雑は!

間もなく浜松に着こうとしている2両編成の電車は、朝6時にしておばさんの大群でものすごい混雑だったのである。

浜松ではホームの向かいの大垣行きの新快速にゾロゾロ乗り換えである。ぼくが電車に入った時にはもう席は埋まっていた。

そのまま立ってすごそうかとも思ったが、よくよく考えたら、今まで乗っていたのが2両の電車で、今乗っているのがずっと長い編成の電車なのであるから、うしろの方に行けば空いている席がありそうな気がして、うしろの方に進んでみた。通路側だったが席はあった。なんとかまた落ち着けた。そのまま豊橋まで進んだ。


豊橋~米原

豊橋で数十分後の米原行きを待とうかとも考えたが、めんどうなのでそのまま空いた窓際の席にすわって眠ることにする。この区間は眠ることが多い。ぐっすりと眠った。

気がつくともうすぐ大垣であった。いつものことではあるが、名古屋近辺、大阪近辺の快速、新快速はすわれれば快適でとても眠りやすい電車である。

大垣では半分以上の確率で階段をのぼりおりしないと米原行きには行けない。今回もそうである。

幸いなことに、今年の4月に体験した大垣の端の方にある切り欠きホームではなく、長いホームの長い編成の電車であった。
すわれないことには変わりないけど、車両が長い分混雑はそれほど激しくないので多少楽である。

相変わらず退屈な岐阜・滋賀の県境の風景を見ながら米原まで進んだ。

今日も米原にやってきた。遠く離れた場所に近江鉄道のホームが見える。昔はJRと直結していたとは信じられないくらい遠くにある。


米原~大阪

姫路行きの新快速は大垣からやってきた電車よりずっと車両数が多く、うしろまで行ったらなんとか窓際の席にすわれた。

そして第一の目的地の大阪に向けて田園風景を進んでいった。
もちろんどんどんお客が乗ってくる。

京都に着いた所までは覚えているのだが、そこから先はしばらく眠ってしまったらしく、気がつくともう新大阪を過ぎ、大阪に着こうとしているところであった。

ひさしぶりの大阪に到着した。時刻は10時15分である。なんと、静岡で2時間半も後の電車に乗ったのに、大阪到着時刻は1時間しか違わないのである。豊橋~大垣間がいかに速かったかがうかがえる。

18きっぷを見せて改札の外に出た。


梅田阪急

さて、今回の第1の目的地は梅田空中庭園である。梅田というくらいだからJRの大阪駅がもより駅であろう。
でも多少距離があるようだ。

外も暑いことだし、まずは梅田阪急に入ってみることにした。

エスカレーターであてもなく上に昇り、CD売場に出た。こういう場所ではどこでも値段がいっしょの本やCDを買うのがいつもの旅行のパターンなのである。

いろいろ見ているうちに、ふと1枚のCDが目に留まった。

「お嬢様特急far away vega 2nd half」であった。

プレイステーション・セガサターンの恋愛を目的としたゲーム(プレイステーションだからもちろんそんなにエッチなシーンはない…と思うけどなあ)である「お嬢様特急」に出てくる女の子たちが、CDでドラマを演じているものらしい。

この旅行はもともとお嬢様特急のゆかりの土地をめぐることを副目的とした旅行なので、そんな旅行のプロローグとしてはこのCDを買うのがふさわしいのではないかと思い、買った。
どんな内容なのか、あとで聞いてみよう。


工事中

梅田阪急を出て、JRのガードをくぐる。

西の方にこれから向かおうとしている梅田空中庭園が見える。ここはお嬢様特急に出てくるとても重要な場所なのでぜひ現地に行ってみたいと思い、行くことにしたのである。

すぐそばには工事中の場所が見える。
あれはうわさのヨドバシカメラの予定地であろう。

なにしろ、たとえば新宿のヨドバシカメラなんかは、いろいろな売場がバラバラの建物に分散していてものすごく不便なのである。

そこのところを、大阪はこれだけまとまった土地に建てることができるのだ。とても便利になりそうだ、と考えた。

ぼくはとりあえずヨドバシカメラ予定地を迂回することにして、予定地の南の道を西に歩き始めた。

JR東西線

地下道

JR大阪駅の北に出てヨドバシカメラ予定地の南の道を西に進むと、北に向かう道が見えたので右に曲がって進んでみた。

しばらく進むとなにやら「開催」とか書いてある看板が見えた。ぼくの頭では開催というと公営ギャンブルしか思いつかない。このへんにウィンズとかあるのかもしれない。

ここは梅田空中庭園のまっすぐ東らしい。左に曲がろうと思ったが、どうやら何かの施設に入ってしまうらしく、進めないような気がした。

ぼくは交通整理をしている人らしい人にきいてみた。

「あの、梅田空中庭園はあれですよね。どうやっていけばいいですか?」
「そこの地下道を通ってください。」

言われたとおり地下道に入ってみた。


梅田空中庭園

けっこう人通りの多い地下道であるが、なにしろ暑い。

観光客はいるみたいだが、なんとなく東京から来た、というよりも大阪近郊から来た、といった感じの観光客のような気がする。

ぼくもお嬢様特急がなければ梅田空中庭園という観光地のことは知らなかったわけだし、全国的にはそんなに有名な観光地ではないのだろう。

なんとか地下道を出た。

道をへだてた所に、ものすごく高いビルが見える。

道を渡り、ビルを見上げる。高いなあ。


エレベーター

さて、ビルに入ってみよう。

まずは上に昇るエレベーターの昇り口を探した。
どうやらビルをいったん出て、エスカレーターに乗って3Fまで行けばいいようだ。
さすがに入場料金が必要らしい。

エスカレーターを昇って進むと入口らしい場所があった。入場券を売っているらしい女性がいる、と思ったらとなりに券売機がある。券売機の方が好きなぼくは券売機の方で入場券を買った。(女性が嫌いなわけじゃないけれど…)

入場券を窓口の女性に見せて、ピリッと半分切ってもらって通り過ぎる。しばらく通路を進むとエレベーターの前に着いた。さすがに東京タワーなんかと違って、人がズラッと並んでいて、というわけではなかった。

ぼくの他に夫婦連れとぼくよりは年上そうな女性の4人でエレベーターに乗る。
エレベーターの案内人もいない。ボタンを押してエレベーターを昇っていく。

どうやらエレベーターからも景色が見えるらしいが、ぼくが立っている場所からは見えにくいので、急いで見る必要もないだろうと見ないでおいた。


エスカレーター

エレベーターは上の階に到着した。どうやら降りたら今度はエスカレーターで昇るらしい。
そう言えばお嬢様特急でも、ある女の子がそんなことを言っていたような気がする。
昇りのエスカレーターまで歩いて乗った。

かなり長いエスカレーターである。鳴門公園のエスカレーターとどちらが長いだろう。鳴門公園の方が若干長いような気もする。

このエスカレーターは空中に浮いている。下にはなにもない。
しかし、ぼくは何度も航空機に乗っている。あしたも乗る予定だ。だからそのことを考えればたいしたことではないと思った。航空機と違って急加速や逆噴射ブレーキもないし。
それにすべての地球上のものはすべて地面にささえられているのだ。だからどうせ同じことなのだろうと考えた。

さて、エスカレーターは終点に到着した。


景色1

そこはドーナツ形の床が2つ重なった構造になっていた。
エスカレーターはドーナツの穴の部分にあって、エレベーターが停まる階から、2つ重なったドーナツ形の床の下の階に到着する。とても高い場所にあるので、ながめがよさそうだ。

階段を昇って上の階に行ってみた。

まずは階段から時計回りに進むことにする。南側の景色である。

いろいろな高い建物に昇ることが多いけど、ここもながめがよいなあ。

右の方に大阪湾が見えた。残念ながら通天閣は見えないようだ。

時計回りに進んで北側に出てみた。

淀川が見える。そして阪急の線路が見える。

そのうちに3本電車が十三(じゅうそう)の方向に進んでいくのが見えた。阪急の三宮、宝塚、河原町方面の電車である。


景色2

マッチ箱のように阪急の電車が小さく小さく見える。なかなかおもしろい風景である。
伊丹空港の方に航空機が飛んでいくのが見えた。確か4年前に乗ったんだった。着陸寸前の窓から大阪城が見えたなあ、と思い出した。

下の階からも景色を見てみようと思い、階段をおりてみた。

まさか今日ここにはぼくのようなお嬢様特急の巡礼をしている人はいないだろうなあ、と思いながら景色を見た。時計回りに回ってみた。

絵画が飾ってある場所にも行ってみた。喫茶店のような場所もあったが、こういう所ではあえて寄らないようにしている。

さらに進んで下りエスカレーターの近くまで進んだ。みおさめにもう一度窓から下を見下ろすと、眼下の線路をはるかが通り過ぎていくのが見えた。

すっかり満足した。とりあえずもう出て次の目的地に向かおう。


くだり

下りのエスカレーターに乗った。そして歩いてエレベーターの前まで出ると、10人くらいのおばさんの団体がいた。まちがえて下りのエスカレーターの方に歩いていったので昇りの方を案内してあげた。
そしてそばにいた人たち約5人ほどとエレベーターに乗って降りた。

また入場券売場の前を通った。ちょっと進むと休憩所のような場所があったのですわった。しばらくそんなにすわれそうもないのでここで休んでおこう。

梅田阪急で買った「お嬢様特急far away vega 2nd half」を見てみることにした。梱包を解いてみた。ピリピリピリ。
パソコン用の画像がついているらしい。壁紙にでもできるかなあと考えた。内容はドラマ仕立てらしい。お嬢様特急のゲーム本編に出ていなかった声優さんが何人か出ているようなので、楽しみである。

さらに読み進めると「容量と予算と締切が」ということばが見えた。足りなかったと言いたいのだろう。おそらくカットされた部分があるにちがいない。まあいいか。これくらいにしてここを出よう。

エスカレーターを降りて1Fまで降りてきた。
とりあえず次の場所に行こうかとこのビルを出ることにした。ビルの東の通りに出た。


梅田空中庭園~北新地

行きに使った地下通路は暑いのでもう通りたくない。だからまっすぐ南に進んでみた。

昼食は家から持ってきた食パンを歩きながら食べてすませてしまう。

とぼとぼ歩いて、はるかが通り過ぎる踏切に出た。ぼくははるかに乗ったことはないが、くろしおやもうすぐなくなろうとしている新宮行きの夜行でこの線路は通ったことがある。また、大阪から洲本に向かう高速バスでここの踏切を渡ったこともある。

なんとなくそのまま大阪駅に行く気になれなかったので、大阪環状線の駅でもないかなあと思って歩いてみたが、北新地駅にでも行ってみようと思い、しばらく南に進んだところで左に曲がった。

暑い中を進んでいく。

道は合っていた。しばらくすると「阪神梅田・北新地入口」という地下への入口が見えた。これでしばらく太陽とはおさらばだと思い、地下に入った。

いろいろ進むうちに3年前の9月に通った北新地の改札にたどりついた。あの時は今は亡き北近畿ワイド周遊券で降りて、オレンジカードできっぷを買って京橋まで進んだものだった。


北新地~大阪城北詰

青春18きっぷを見せて改札に入り、階段をおりてホームに進んだ。

さてここからだが、次の目的地は大阪城公園にした。ここもお嬢様特急に出てくる重要な場所で、たくさんの女の子と会える場所である。

京橋まで行っても大阪城公園に行けるはずだが、なんとなく「大阪城北詰(おおさかじょうきたづめ)」で降りたくなった。ここは廃止されてしまった片町駅が近くにあるはずだから、もし近くにあるのならば今どうなっているのか見てみようと思った。

木津方面の電車がやってきた。あまり混雑していない。大阪の鉄道は東海道本線と御堂筋線だけ混雑していて、その他は昼間はあまり混雑していないような気がする。

地下の線路を進んで大阪城北詰に着いた。

18きっぷを見せて改札を出て、駅の案内図で大阪城公園までの道順を確認する。なるほど、お堀がたくさんあってお堀を渡る橋を通らなくてはいけないので、道が限定されるようである。


大阪城

とりあえず地上に出た。曇っていた。歩くにはむしろいい天気かもしれない。

橋の方向に歩き出した。

このあたりに廃止されてしまった片町駅があるはずだが、どこだろう。
それほど歩かないうちに、「ジェイアール西日本バス」と書かれた車庫のような場所が見えた。

なんとなくここに片町駅があったような気がする。

4年前に片町駅には来たことがあるが、改札を出ずに折り返しの電車で京橋に戻ってしまったので、ぼくにとって片町駅は永遠に『海芝浦状態(行き止まりの駅に着いて、改札を出ずに戻ってしまった駅をこう呼んでいる)』のままなのである。

ちなみにぼくにとって海芝浦状態の駅は片町と城端と成田空港である。当の海芝浦は、最近駅のそばにできた公園に行ったことがあるのでもう海芝浦状態ではないのである。

そのまま歩くとお堀の向こうに大阪城が見えてきた。さあ、進もう。

大阪環状線

橋1

お堀にかかる橋を大阪城が見える方向に渡った。

右に曲がると地下鉄の出口が見えた。大阪ビジネスパーク駅である。

地下鉄の出口が見えた所で小雨が降ってきた。いまさらどうしようもないのでそのまま歩いていると雨はやんだ。

しばらく進むと大阪城ホールに向かう曲がり角に来た。
交通整理らしい人が立っている。駐車場がそばにあるようだ。
お嬢様特急では大阪城ホールで女の子と会うこともあるのだが、今回は大阪城公園の方に行ってみたいと思い、ホールには行かないことにした。お城を見ながら進んだ。

しばらく進むと橋の前に出た。

どうやらここしか城に通じる道はないらしい。

以前に行った松山城でもそうだったが、お城に向かう道は1本道になっていることが多い。もちろん守りやすくするためだ。戦国時代になって大砲とかできてからその原則もあやうくなってはきたが、お城はこうでなくちゃ、と考えた。

橋で写真を撮っている人がたくさんいる。ぼくはカメラなんか旅行では持ち歩かないので今は関係ないが、とりあえずじゃまはしないようにちょっと待っていた。しばらく待った。もう進んでもいいだろう。


大阪城公園

橋を渡って曲がりくねった道を進む。

外国人がたくさんいる。

さすがに全国的に有名な観光地なので、外国人も来るのだろう。こういう人たちを案内する職業もあるんだろう。なかなか案内も難しそうだ。さらに進む。お城の横までやってきた。そしてなお進む。

広場に出た。

そこは、いつも旅行で良く行っているお寺や神社などの観光地にも似た、広場のまわりにたこやき屋とか、みやげもの屋とかがある場所であった。

はとがたくさんいる。お嬢様特急のゲームの中でもはととからむシナリオがあった。

はとはたくさんいるが、修学旅行生がいるわけでもなく、観光客はいるがそれほど混雑しているわけでもない。
なんだかのんびりした所である。また雨が降ってきた。しかし小雨のようでまたやんだ。

広場のまんなかまで進み、振り返ってお城を見てみる。昭和になって建てられたとは言え、なかなかすごいなあ、と思う。そういえばお嬢様特急の中で主人公が女の子と会うシーンで、こうやって会えるのも豊臣秀吉のおかげかな、と主人公が言うシーンがあるが、そうじゃなくて昭和になってこのお城を復元した人たちのおかげだろう、とツッコミたくなる所である。


橋2

ぼーっとお城をながめた所でもう目的は達成したようなものだ。もう帰ろうと思った。お城に入場料金を払って入ることはできるらしいが、そこまですることもないだろう。

来た道とは別の方向に進んでみたが、どうやらどっちの方向に進んでも行き止まりのようだ。まあそりゃそうか。お城だもんね。

ぼくはもと来た方向へと進んだ。はとがたくさんいる広場を通り、お城の横を通る時にふとお城を見てみる。

よく見ると、城の石垣の所が黒くなっている。大阪夏の陣でお城は焼けてしまったが、かろうじて石垣だけは残っていたので、昭和になって建て直す時も石垣だけは残しておいたのだろう。まさか米軍の焼夷弾で焼けたってことはないだろうな?

そんなことを考えながら、また橋までやってきた。今度は写真を撮っている人はいなかったので安心して渡る。


大阪城~大阪城公園駅

さて、さっきは大阪城北詰から歩いてきた。今度は変化をつけるため、大阪環状線の大阪城公園駅から乗ろう。
京橋では何度も降りている。大阪パフォーマンスドールと握手した時にも降りた。だから今日は寄らなくてもいいだろう。案内図によれば右の方向に歩けばいいようだ。まずは歩く。

変なテントが見える。ホームレスみたいだ。そうか、大阪のホームレスはこのあたりに住んでいるのか。

実はぼくは、ホームレスはサラリーマン以上にホームレスの人たちの上下関係がきびしくて疲れるものと考えている。だからなりたくないのだ。立ち止まらずに歩く。

ニャーニャーという声が聞こえたのでしげみをのぞいてみると、あれまあちっちゃいちっちゃいねこがいる。

う~ん、これではえさがもらえなくて生きていけないだろう。

なぜここにいるのかわからないが、ここでこのまま朽ち果てるのも運命なのかもしれないと思い、ねこをあとにした。

左に曲がってグラウンドのそばを通る。グラウンドでたった今まで何かイベントをやっていたらしく、数人中年の男性たちが大阪城公園らしい方向に向かっていく。


大阪城公園~西九条

一緒に歩いていくと大阪城公園駅に着いた。

さて次の目的地だが、お嬢様特急と関係のある通天閣にしようかとも思った。しかしなんとなく今度は「乗りつぶし」の旅行にしようと思い、桜島線に向かうことにした。なんでも100メートルほど延伸したとのことなので現在の桜島駅がどのようになっているか興味があったからである。

青春18きっぷを持っているので、通天閣に行くには地下鉄に乗る必要があって別に運賃が必要、ということもある。
桜島線なら18きっぷでそのまま乗れるのだ。

大阪まわりでも天王寺まわりでも行けるが、なんとなく天王寺まわりの方がすいているような気がしたので天王寺まわりのホームに向かった。

何回目かの環状線だ。山手線と違って、こんな時刻でもちゃんとすわれる。

山手線と違って切り欠き部分が少なく、あくまで高架中心なのがながめがよくていいと思う。
天王寺が近づいた所でいつのまにか眠ってしまった。「次は弁天町。」のアナウンスが聞こえる。西九条と弁天町ってどっちが大阪寄りだったっけ?

西九条は弁天町の次の駅だった。ちょっとだけ眠れたので今日ももうちょっとがんばってみようと思った。

環状線は西九条に着いた。ぼくはホームに降りて、次の桜島線の時刻を確認することにした。

桜島線

西九条駅

5年ぶりに桜島線に乗ることにする。なんでも100メートルほど桜島駅が移設されたとかなんとか、それでまた乗ってみようと考えたわけである。

次の電車は20分後らしい。

18きっぷを見せて改札を出てみた。

ファミリーマートがあったので、飲み物を山ほど買った。今日は暑い。

またホームに戻った。環状線が停車する。お客がどやどやと通り過ぎる。今度は関空快速だ。けっこうお客がいる。

各駅停車でも、関空快速でも、環状線は例外なく外側のホームを使っている。

もうしばらくすると梅田空中庭園で下の方に見えたはるかと同じ種類の車両が、西九条の中央のホームを通り過ぎて関西空港に向かっていく。ここで環状線を追い抜くダイヤになっているのであろう。

関西空港行きのはるかも、京都行きのはるかも、どちらもこの中央のホームを使うのだろうか。となるとうまくすれちがう必要がある。とてもダイヤの組み方がむずかしそうだ。

それに桜島線も、はるかが通らないすきをねらって西九条に着いて発車する必要がある。
まあなんにしても熟練した「スジ屋」のやることだからこれでいいのだろう。


西九条~桜島

はるかが通り過ぎてしばらくすると桜島の方からロングシートの電車が到着した。大阪環状線のどちらのホームにも乗り換えが便利なように両側のドアが開く。多少お客が降りる。

空いた車両にぼくを含めたお客がすわる。約30分に1本なのにこれしかお客がいない。まあこんなものでいいのかもしれない。

発車時刻になった。電車が発車した。下り勾配になり、大阪環状線の下をくぐってレールが右に曲がっていく。
電車は海の方向をめざして進んでいく。

そのまま進んで電車は安治川口(あじかわぐち)に停車、ここで降りる人も多く、再び発車して桜島をめざした。

以前に乗った時は暗かったが、今見ると海のそばのこざっぱりした路線であることがわかる。

確か延伸したはずだから以前の駅の跡があるんじゃないかと見ていたが見つからず、電車は海岸にほど近い桜島駅に到着した。

階段を昇る。別の位置にはエスカレーターがあったらしい。そしておりて改札である。青春18きっぷを見せて通る。


桜島~大阪

駅のそばにバス停があった。もしも行き先に多少遠くに行く路線があったら乗ってみようかとも思っていたが、どうやら短距離の連絡バスしかないらしい。まあ、こんなものでいいかと駅に戻る。

また18きっぷを見せてホームに行って電車に乗る。また発車する。来た線路を戻り、安治川口を過ぎてレールが昇り勾配になり、西九条の中央のホームに着いた。そして両側のドアが開いた。

今回は大阪観光はここで終わりにして、神戸を観光する予定である。お嬢様特急の観光地の中に神戸にあるものが2ヶ所あるからだ。異人館とハーバーランドである。これからそこに行ってみようと考えた。だからまずは環状線に乗って大阪に行く必要がある。

大阪環状線を待って乗った。やっぱりあまり混雑していないのですわれた。

そのまま進んで大阪駅まで戻ってきた。まずは先に異人館に行きたい。さてどこが最寄り駅だろう。

ぼくはひとまず何回も降りている三ノ宮駅に向かおうと思い、階段をおりて姫路方面の電車の出るホームに向かった。

東海道本線その4

大阪~三ノ宮

大阪駅の階段を昇って姫路方面のホームに出た。青い各駅停車が発車するところであったが、なんとなく見送ってしまった。今乗れば確実にすわれたと思う。三ノ宮だったら各駅停車でもそんなにかかる時間は変わらないだろう。でもやっぱり新快速に乗る。

今日もすわれず、混雑したまま進み、六甲山さえ目に入らないまま三ノ宮に着いた。

さて青春18きっぷを見せて有人改札を出よう。
外から改札に入ろうとして並んでいる人がたくさんいる。自動改札になってから良く見る風景である。
とりあえず有人改札の前で並ぶ。若い男がぼくのうしろに並ぶ。


三ノ宮駅

中年女性が割り込んできたのでぼくは言った。
「うしろに並んでください」
割り込むも何も、まだ入場しようとしている人が並んでいて、その人相手に精算窓口で駅員がパカパカ端末を操作している所だ。まだあと1分はかかるだろう。

中年女性は叫んだ。
「時間がかかるうぅ」
ぼくはこう言った。
「いつもこうなんですよ!」

自動改札化されてから、有人窓口はいつもこういう状態が続いているはずだ。三ノ宮駅も例外ではないはずだ。

この女性はふだんJRとか使わないのだろうか?
今日は土曜日だから、どこか自動改札がない所から神戸にやってきた人かもしれないか。


散歩1

まあいいや。順番が来たので18きっぷを見せてあっという間に外に出た。

さて、異人館はどっちだろう。

案内図を見つけたので見てみたら、やっぱり異人館は三ノ宮が最寄り駅で、山の方に進むとあるようだ。とりあえずそれらしい方向に進んでみることにする。

大通りに沿っててくてく歩く。ほんとにこっちでいいのだろうか?

案内図が近くにあったので、また見た。どうやら道をまちがえたようだ。歩道橋に上がって左後ろに進路を変えた。
暑いので西九条で買った飲み物を飲みながら進む。

曲がり角に来た。どうやらここを右に曲がると異人館の方向に行けるらしい。曲がり角のところで、

「入館券はいかがですか~。おやすくなっておりますよ~。」
と言っている女性がいる。


散歩2

ぼくは考えた。おそらく異人館というのはいろいろな建物があって、それをながめるものだろう。

そして入館券を買うと中に入ることができるものだろう。

しかし、長い時間異人館にいられるのならともかく、ぼくにはあまり時間がない。それなら別に外から建物をながめるだけでも雰囲気は味わえるのではないか。

そう思い、入館券は買わないことにした。

さて、多少細い、なだらかな坂道が続いている。洋風の食堂が両側にある。

ずんずん進んで、それなりに太い道はここで終わりになった。

あたりには、歩きの観光客がゾロゾロ歩いている。高級な住宅地という感じである。
それもかなり立派な家が多い。

ここから先はもっと急な坂が延びている。よし、さらに登ろう。


散歩3

歩いていると、いろいろなところで家庭風の小さなお店が並んでいる。その中には入館券を売っている人もいる。いたるところに入館券を売っている人がいるのだ。入館券が必要な建物の近くになると料金が高くなって、遠くなると安くなるのかもしれない。

坂道が終わったので、横に進んでみる。細くて乗用車が通れなさそうな道だ…
…と思ったら下の方から乗用車がやってくる。よけなくちゃ。ふう。

さらに進むとどうやら入場料金を払って入る建物の入口に来たが、もうここまでで外壁だけでおもしろい家をたくさん見ているので、いまさら入る気にもならない。さらに進む。

急な坂道があるので登ってみようかと思ったが、だめだ。足が痛い。

今日はいろいろな所でかなり歩いたので足がものすごく痛くなってしまったのである。とりあえずメインルートに戻って我慢しておこう。

ぼくはなぜか江ノ島を思い出した。あそこは坂が多かった。そしてねこも多かった。
すなわち、坂が多くて乗用車があまり入ってこないとねこが多いのである。ねこにとって乗用車は危険なのである。それが少ないから坂が多い所ではねこが多いのである。

ここ、異人館のそばの道もまさしく坂道ばかりではないか。
どこかにねこがたくさんいるような気がする。


いいこたち

しばらく進むと意外にもすぐに見つかった。

公園があった。そこにはあったかそうなねこが7~8ぴき群をなしていた。
しかし不用意にねこに近づいたら逃げられてしまう。

飲み物を飲んで考えた。あのねこたちに近づいたら逃げるだろうか。逃げられちゃったらまずいなあ。
1ぴきでいいからなでてみたいなあ。

さてどうしようかと迷っていると、女の子と母親がねこの群に近づいた。サササーッとねこたちは逃げていくが、1ぴきだけ逃げない茶色ねこがいた。女の子はひょい、とそのねこの脇の下に手を入れて抱き上げた。

「ほら、だっこしてもだいじょうぶだよ」
「ほんとね」

女の子はしばらくねこを抱いていると、ねこを放して母親と一緒に去っていった。

ぼくはほかのねこに近づいたが、だめだ。近づいたら逃げようと身構えている。
とりあえずまわりこんでさっきの茶色ねこのそばでしゃがんでなでてみた。

う~んいいこだなあ。こんなに暑くなかったら、寒い季節だったら湯たんぽがわりにもっとなでてみたいところだが、残念である。まあ、坂道の多い場所ではねこがたくさんいるということが実証できたわけで、とても満足した。もう駅に戻ってもいいだろう。


三ノ宮~神戸

坂をおりていく。とぼとぼ進んでなんとか三ノ宮駅に戻ってきた。

三ノ宮駅に来るのはもう6度目か7度目くらいになる。以前に来た時に見た景色を思い出し、つなげてみる。

確かに阪急の三宮駅の東、JR三ノ宮駅の西のガードは何度もくぐっているのだが、いつも違う場所のような気がする。でも同じなのだ、同じなのだ、と思いながら景色を見てみる。こうやってイメージをつなげて空間の感覚をとぎすましていくのだ。

次に三ノ宮に来る時はまた違った目的になりそうな気がするが、そんな時も迷わないようにする、それも旅の醍醐味と言えよう。

さてハーバーランドはどう行ったらいいだろう。JRの線路の南に出て近くの案内図を見ると、どうやらハーバーランドは三ノ宮よりも神戸駅の方が近いらしい。こういう時青春18きっぷは便利である。

駅に戻って18きっぷを見せて姫路方面のホームに出た。

たった2駅ではあるが、なんとなくまた新快速に乗ってしまい、すわれないまま神戸に着いた。

青春18きっぷを見せて駅を出た。

山陽本線

人形

神戸駅を出て海岸方向に進むと下り階段になっていたのでそのまま階段をおりて地下道を進む。

なんだかこの辺の雰囲気はどことなく横浜駅に似ている。それに比べると三ノ宮は桜木町か関内みたいな駅のような気がした。

地下を進んでホテルのロビーのような所を進むと昇りエスカレーターがあったので乗ってみる。
道はなんとなく海のそば、といった雰囲気の場所である。近くでスケボーを使ってジャンプしている若者たちがいる。

ぼくは大通りをはずれて右の方に歩いてみた。

なにやらブラスバンドっぽい人たちが演奏会の準備をしているようだ。

港にブラスバンド、似合いすぎているシチュエーションではないか。

まあとりあえずまた進もう。進むと運河に出た。運河をはさんだ向こうに変なものがみえる。
うへ~あれはなんだ~まるで「博物館網走監獄」ではないか。

人形が何体かコンビナートの精油庫のようなものの壁にくっついていて、整備をしているような格好をさせられている。
非常にあわれな光景である。

ひょっとしたらリクルート用の広告のつもりなのかな~とかんぐってみたくなる人形たちであった。進もう進もう。


観覧車1

さらに海岸に沿って進むと前方に観覧車が見えてきた。

うぉーー!あれこそまさしく「電気に感謝」ではないか!
ぼくはお嬢様特急で見たとおりの観覧車の姿に感動した。


さて、ここで「電気に感謝」について説明しなければならない。

プレイステーション・セガサターンの恋愛することを目的としたゲーム、お嬢様特急の舞台として、ここ神戸のハーバーランドである女の子とデートするのだが、その女の子とここの観覧車のそばを通り、女の子と話をするシナリオがある。

どんな内容かというと、電気って不思議だよね、電車を動かしたり、いろいろなものを明るくしたり、電気に感謝しなくちゃね、と女の子が言う内容なのである。

あまりにも印象的なシーンなので、このシナリオを見た人は、いつかハーバーランドで女の子と観覧車を見ながらデートしたいなあと考えるようになるのである。そして「電気に感謝」というキーワードがその人の頭に強烈にインプットされるのである。ぼくもそうなのである。

そのためぼくは、神戸のハーバーランドの観覧車のことを「電気に感謝」と呼んでいる。


観覧車2

さて、ぼくは満を持して観覧車に近づいていった。う~ん、印象的な土地なので、ベンチがずらっと並んでいて、いたる所でカップルが2人ですわっている。いちゃいちゃしているカップルもいる。

ひとりものにはつらい場所である。

観覧車の近くにはジェットコースターもある。

反時計まわりにまわりこんで進むと、なんだか観客席のような場所が左に見えた。
なんのためにある場所なのか。ただただ海を見るだけの場所か。まあそれもおもしろいのかもしれない。

海の方を見ると、ちょうどぶお~と汽笛を鳴らしながら船が出ていくのが見えた。なかなかおもしろい風景である。遊覧船だろうか。それともどこかに向かう船だろうか。


新型レジ

とりあえずひととおり見てまわったなあ。駅の方向に戻ってみようと思った。

さて、これから夜行に乗るのだ。最近の夜行列車では、乗る前に食料を買って乗らないと腹が減った時にまずい。

今日も今日とてダイエーに寄って食料を買うことにする。さきほどダイエーの看板を見かけたのでこっちだろうと屋根つきの通路に入り、ダイエーの入口を見つけた。入る。

ダイエーの商品券を持っていたので、1000円以上の買い物をしようと思い、計算しながら買った。2リットル入りのウーロン茶などを買ってしまったのでかなり重くなった。ぼくの旅行はこうやって飲み物で荷物が重くなることが多い。

レジに並ぶ。新型のレジであった。普通は500円玉、100円玉、…、1円玉が置かれていて、そこからおつりを取り出すものだが、そのレジは穴が1個空いていて、そこからおつりの小銭がまとまってジャラっと出るシステムなのである。

ぼくはこんなのは初めて見る。すごい。


神戸~姫路

すっかり満足してダイエーを出た。さて、どうやって駅に戻ろうかと思ったが、もう一度あの観覧車、「電気に感謝」が見たくなったのでまわりこんで見てみることにした。また観客席みたいな場所を通り、歩いた。さっきより暗くなっている。

「電気に感謝」はピカピカ光っていた。すごい!これを見ればお嬢様特急の中の女の子でなくても電気に感謝してしまうような気がする。気がするのはぼくだけかもしれないが。

カップルを見て、あの変な人形を見ながらもと来た道を戻ってきた。ブラスバンドが歌を演奏している。誰のために演奏しているのかわからないが、1曲終わったら拍手をしておこう。今度は地下に入らずに地上をずんずん進み、神戸駅に戻ってきた。青春18きっぷを見せて改札に入る。それにしてもウーロン茶が重い。

そしてまた姫路行きの新快速に乗った。今度は空席があってすわれた。やっと休める。明石大橋も見ずに姫路に着いた。


夕食

またまた新幹線口に出て、そば屋「御座候(ござそうろう)」にやってきた。
そして今日も割り子そばを食べる。

店じまい前のそば屋はすいている。今日はちゃんとお客がいたのかなあ。西日本ではそばはうどんより不人気らしいけど。
まあ、駅の中の店だし、本に載っているし、お客がいないこともないだろうと思うけど。

すっかりおなかもいっぱいになったところで姫路城にでも行ってみようと思った。

もちろん駅の北に行くには以前にみつけたエスカレーターを昇っていくのだ。


姫路城

岡山方向に歩き、また同じ位置にエスカレーターを見つけた。
エスカレーターを昇って駅の北に行き、渋谷行きのバスターミナルには降りずに駅のそばの階段をおりる。

ダイエーで買った飲み物を詰め込んだリュックを背負いながら、よろよろと姫路城に向かう。

なんとか姫路城の前までやってきた。お堀の向こうに姫路城が見える。とりあえず満足した。

さて、また戻ろう。
また、よろよろ歩く。足が痛い。

姫路駅のそばにはローソンがあったことは覚えているが、これだけ重いともう何も買う気になれない。

姫路はJスルーカードが使えるようになったから自動改札になったはずだ、今ぼくが持っている北九州市内行きの乗車券は自動改札は通るかな、と思いながら姫路駅に入っていった。

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