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区間
以下の3区間から構成される鉄道会社である。いずれも電化されており、どの区間にも特急料金が別に必要な特急列車が走っている。
(1) JR山手線の新宿駅から南西に進み、東京メトロ千代田線の代々木上原、京王電鉄井の頭線の下北沢、東急世田谷線の山下のそばにある豪徳寺(ごうとくじ)、JR南武線の登戸(のぼりと)、新百合ヶ丘(しんゆりがおか)、JR横浜線の町田、相模大野、JR相模線の海老名(えびな)、同じくJR相模線の厚木(あつぎ)、本厚木(ほんあつぎ)、秦野(はだの)、JR御殿場線の松田駅のそばにある新松田を通り、JR東海道新幹線および東海道本線の小田原(おだわら)に至る区間。小田原線と呼ばれる。
(2) (1)の新百合ヶ丘から北西に進み、京王相模原線の京王永山のそばにある小田急永山、同じく京王相模原線、それから多摩都市モノレールの京王多摩センターのそばにある小田急多摩センターを通って南西方向に向きを変え、終点の唐木田(からぎだ)駅に至る区間。多摩線と呼ばれる。
(3) (1)の相模大野から南に進み、東急田園都市線の中央林間、相模鉄道の大和(やまと)、同じく相模鉄道、それから横浜市営地下鉄の湘南台、JR東海道本線の藤沢を通り、江ノ島電鉄の江ノ島駅から多少歩いたところにある片瀬江ノ島駅に至る区間。江ノ島線と呼ばれる。
特急
運賃とは別に特急料金が必要となる特急は小田原線と江ノ島線で走っている。2016年3月までは多摩線でも走っていたが残念ながら廃止されてしまった。
以前は新宿~小田原間ノンストップの特急がたくさんあったが、近年数を減らしてしまい、新宿行きは一本もなくなった。
小田原方面のノンストップ特急も一時期はわずかに箱根湯本行きが1本残るだけになっていた時期があったが、2018年は持ち直し、平日は2本、土休日は4本に増えた(いずれも箱根湯本行き)。
ほとんどの特急は少なくとも町田もしくは相模大野に停車し、いずれも停車しない特急も海老名、本厚木、秦野に停車する。
町田と相模大野に両方停車する特急は朝晩に若干ある。
また相模大野に停車する特急は、江ノ島線に乗り入れず、前述の町田にも停車する特急でもないなら必ず新百合ヶ丘にも停車する。
江ノ島線に乗り入れる特急は、平日早朝に藤沢始発、平日土休日問わず夜間に藤沢行きが走っているが、昼間はすべて片瀬江ノ島発着である。
一部の江ノ島線に乗り入れる特急が、本厚木方面に進む特急と相模大野まで併結されて運転し、相模大野で切り離す運用を行っていて、新宿からこれらの特急に乗る場合、前後いずれかの車両が藤沢方面で、残りが小田原方面ということになっていて間違えないように乗らなければならなかった時代があったが、2018年から新宿発車の江ノ島線に乗り入れる特急は併結運転を行わなくなった。
そのかわり、後述の北千住発の特急が相模大野で切り離す運用を行うようになった。こちらの特急に乗るときは間違えないように乗ってほしい。
特急以外の優等列車
運賃のみで乗れるが停車しない駅のある優等列車は小田原線、多摩線、江ノ島線のすべての路線で走っている。
特急と違いこれらの列車は方向が異なる車両が相模大野で分割・併合されることはない。
江ノ島線は平日は早朝の新宿行き一本を除いてすべて藤沢止まりである。
土休日は昼間を中心に片瀬江ノ島まで行く列車がかなりあるが朝晩等に藤沢止まりもある。
ほとんどの他の路線との乗換駅では特急料金不要な列車はすべて停車するが、以下の駅のみ停車しない列車がある。その駅は、
・豪徳寺
・登戸
・厚木
以上である。それぞれ、
・豪徳寺には各駅停車しか停車しない
・登戸には「通勤急行(新宿方向)」以外の特急料金不要な列車はすべて停車する
・厚木には「快速急行」「急行」以外の特急料金不要な列車はすべて停車する
以上のようになっている。ただし厚木については、
・新宿~相模大野間が急行、相模大野以西が各駅停車
もしくは、
・新宿~新百合ヶ丘間が急行、新百合ヶ丘以西が各駅停車
という列車が若干あり、それらの列車は厚木にも停車する。そういった列車は、平日は夕方から深夜にかけて、土休日は深夜にのみ新宿発本厚木行きが走っている。
登戸を通過する通勤急行は平日朝のみで、必ず向ヶ丘遊園に停車するので、以前の快速急行のように新百合ヶ丘を出ると次は下北沢ということはなく、向ヶ丘遊園で各駅停車に乗り換えれば登戸には行けるので、快速急行運行開始以前みたいに気軽に小田急に乗れる時代が戻ってきた感じがする。
2018年から平日は唐木田始発でなく、小田急多摩センター始発の「通勤急行」が走るようになったが、土休日はすべて唐木田始発で、下りは平日も土休日もすべて唐木田行きである。
各駅停車
各駅停車の列車は小田原線、多摩線、江ノ島線のすべてに走っているが、小田原線の本厚木~新松田間は数が少なく、その分特急料金のいらない優等列車がすべて本厚木~新松田間では各駅停車になって対応しているようである。
もっとも多いのは新宿~本厚木間の各駅停車である。
2016年3月から、多摩線の各駅停車が各駅停車のまま小田原線に乗り入れるようになった。
江ノ島線の各駅停車はすべて相模大野か町田止まりである。
他社線乗り入れ
小田急電鉄の電車は小田急以外の路線に乗り入れを行っている。以下の4路線である。
・箱根登山鉄道の小田原~箱根湯本間
・東京メトロ千代田線
・常磐線の北千住~取手間
・御殿場線の松田~御殿場間
以上である。なお、北千住~綾瀬間はJR東日本と東京メトロの二重戸籍区間となっている。
以前は御殿場からさらに沼津まで乗り入れていたこともあったが御殿場までに短縮されてしまった。お客が少なかったのか、それとも運用がめんどうだったのかもしれない。
また御殿場~沼津間に乗り入れていた期間よりも期間は短いが、東京メトロの千代田線と有楽町線を結ぶ「秘密のトンネル」を通って代々木上原から新木場に向かう臨時列車が走っていたこともあったらしいが、もう走らなくなってしまったようだ。お客が少なかったのだろう。
他社線乗り入れ詳細
上記の4区間のうち、特急料金が必要な特急は常磐線以外のすべての路線に乗り入れている。ただし千代田線への乗り入れは北千住までで、大手町始発の特急もある。それから、千代田線と小田急の接続駅である代々木上原では停車はするがドアは開かず、運転手と車掌が入れ替わるだけである。
箱根登山鉄道に乗り入れる特急は、東京メトロに乗り入れる特急以外はすべて新宿に乗り入れている。
東京メトロに乗り入れる特急は、箱根湯本行き、本厚木止まりのほか、2018年から片瀬江ノ島行きが走るようになった。ただし「特急」の項目で示した通り、箱根湯本行き(発)の車両と相模大野以東連結して走るため車両を間違えずに乗らなければならない。
小田原止まりや唐木田に向かう特急は2016年3月でなくなった。
御殿場線に乗り入れる特急はすべて新宿始発である。新松田から若干新宿寄りから分岐するレールがあり、御殿場線の松田までつながっている。このレールはこの特急(特急ふじさん)専用である。
2017年までは箱根登山鉄道に乗り入れる特急に乗る場合小田原までの特急料金で箱根湯本まで乗れたが、残念ながら2018年から小田原~箱根湯本間の特急料金を小田急の特急料金と合算して払うルールとなってしまった。
東京メトロと御殿場線は従来より小田急とは別に特急料金がかかる。
運賃のみで乗れるが停車しない駅のある優等列車が乗り入れているのは千代田線・常磐線である。
現在昼間の時間帯は約20分に1本、おもに小田急の向ヶ丘遊園から代々木上原経由で我孫子まで乗り入れている。夕方以降には伊勢原まで乗り入れる列車もある。
残念ながら、2018年3月から一年の間走っていた土休日の成城学園前〜我孫子の電車は昼間は代々木上原〜我孫子に短縮になり、小田急には乗り入れなくなった。
そのかわり、土休日のみではあるが松戸発唐木田行き、すなわち常磐線から唐木田への乗り入れが復活した(北綾瀬発唐木田行きはなくなった)。
また、小田急から千代田線への乗り入れ列車はすべて常磐線に乗り入れているわけではなく、綾瀬(あやせ)止まり、もしくは2019年3月より直通運転を行うようになった北綾瀬行きもある。ただし上記の20分に1本の乗り入れ列車に関しては、だいたい正午から午後3時ごろまではすべて我孫子に乗り入れるようになった。それ以外だと綾瀬止まり、北綾瀬行き、松戸止まりもある。
北綾瀬発着の小田急乗り入れ電車はかなり少なく、一日中は走らないので、東京時刻表を良く見て乗るしかない。
以前は運賃のみで乗れるが停車しない駅のある優等列車も箱根湯本まで乗り入れていた時代もあったが、箱根登山鉄道の強羅(ごうら)から小田原までの直通電車が走らなくなって以来、この乗り入れはなくなっている。
各駅停車は現在も箱根登山鉄道に乗り入れているが本数は少なく、2019年にはとうとう箱根湯本方向の電車はなくなり、小田原方向も箱根湯本発本厚木行きが1本走るのみとなった。
そのかわり、従来各駅停車は乗り入れていなかった東京メトロに朝晩のみであるがようやく乗り入れるようになった。
時間帯によっては乗り入れ電車がすべて各駅停車である時間帯さえある。
地下化された駅
ほとんどの駅は地上もしくは高架の駅だが、地下の駅が若干ある。新宿、東北沢、下北沢、世田谷代田、成城学園前である。
中央林間は東急田園都市線の方は地下駅だが小田急の方は地上駅である。地下駅を利用する場合改札まで時間がとてもかかるので注意が必要である。
新宿は上下二層構造になっていて複雑なのでどのホームにどうやって行けばいいかがんばって覚えるしかない。
新宿駅にはJRとの中間改札があり、2020年7月までは、JR新宿駅構内を経由して新宿の中央東口で降りてもJRの入場券の料金はかからず、小田急電鉄の運賃だけで中央東口に降りられるという制度があったが、2020年7月にこの制度は廃止され、中央東口付近に行きたい客は小田急のみの改札を出て2020年7月に改札外となった自由通路を通って行く必要がある。
同時に中央東口で小田急電鉄のきっぷは売らなくなった。
利便性
小田急はいつでもとても客が多い。なにしろ新宿から小田原までの運賃はJRに比べてずっと安いのだ。この数十年でJRはたいした値上げをしていないけど小田急はけっこう値上げしている。それでもまだまだ小田急の方が安い。
いくつかの区間でJRは「特定運賃」と呼ばれる値下げ運賃の制度を取っているが、新宿~小田原についてJRは完全に競争をあきらめて特定運賃などという制度はない。だからこそ客も多いわけである。
客は黙っていても乗るかもしれないが、混雑や地下化により改札からホームまでが遠くなって不便になったりすると、沿線の客はともかくほかに交通機関を選べる人は別の交通機関を検討するかもしれない。
今後とも小田急電鉄には客の利便性が上がるような方策をとってほしいけどどうなるのだろう。