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Sorry, Japanese only! (1994年3月その2)

2.飯田のハンバーグ・天竜峡のラーメン

説明

1994年2月に続いて、1994年3月も長距離の鉄道旅行を計画しました。

とりあえず日帰りで行けるところから行こうと思い、まずは青春18きっぷを1枚使って只見線に乗ってきました。3月はあと1回行けそうです。

今度は飯田線に乗ろうと思いました。おそらく日帰りで行けるところは飯田線が一番遠いだろうと考えました。時刻表を見ると、朝1番の中央本線の電車で岡谷(おかや)に行き、飯田線で豊橋に行けばなんとか東京まで帰れそうです。

飯田線は只見線と違って1日の列車の本数が多いから、只見線のときみたいに大混雑といったことがなければいいなあと思いながら、出発の日の朝を迎え、無事起きることができて駅に向かったのです。

中央本線

東京駅

目が覚めた。まだ朝3時である。よかった。

きょうは青春18きっぷで飯田線に行く予定である。時刻表を見たところ、朝1番の中央本線の電車で岡谷(おかや)に行き、飯田線で豊橋に行けばなんとか東海道本線の普通電車で東京まで帰ってこられそうなのである。そんなわけで早起きがどうしても必要だったわけだ。さあ、駅に行こう。

2月に北海道に行ったせいで鉄道旅行に体が慣れて、どんどん鉄道に乗りたい気分である。東京に来る前は、鉄道に乗るのなんて用事がある時くらいで、帰省の時くらいだったから、こんなに鉄道に乗りたい気分になれるのはとても不思議である。
本屋で鉄道旅行の本を買って読んだせいで、本の中の世界を体験してみたくなったということもある。2月の北海道旅行で、本の中の世界と現実がつながっているということがわかったということもある。

東京駅にやってきた。こんな朝5時前でもちゃんとお客がいて駅の中を移動している。東京は眠らない街だ。
首都圏は「120円旅行」といった、120円でJRに1日乗れる旅行ができる。東京に来た4年前からときどき120円旅行をしていて、朝早くに電車に乗ることもあるが、朝早くはそれ以外の時間帯にはないルールがある。

たとえば朝早く、新宿で埼京線を待っていたがいつまでたっても電車がやってこない。
よくよく考えたら、朝早くの埼京線は池袋始発で、山手線で池袋まで行かないと埼京線に乗れない、そういう時間帯なのだ。しかたなくその時は山手線で池袋に行ったものだった。

そんな何年か前の120円旅行のことを思い出しながら東京駅で朝早い中央線に乗る。このホームから電車に乗るのはそれほどめずらしくないが、1年に10回も乗らないくらいだ。まあ味わって景色をながめよう。高尾行きだ。電車は発車する。


東京~高尾

電車は神田を過ぎるといつものように山手線とは離れて御茶ノ水に着いた。そしてまた発車。
「ガタガタッ」という謎の音が聞こえ、電車が左右にゆれるような気がした。ポイントを渡っているようだ。
そして電車は水道橋に到着する。ん?

あっそうか。朝早い中央線の電車は東京からずっと各駅停車なんだっけ。
そして水道橋に行くには、通常だと秋葉原からのレールしか通っておらず、東京からのレールは通常は水道橋にホームはない。
だから御茶ノ水と水道橋の間にポイントがあって、朝早い電車は東京からの快速レールからそのポイントを通って秋葉原から来る、水道橋に停まれるレールに移動する、そういうわけなんだろう。おもしろいなあ。

やっぱり朝早いと埼京線みたいな独特のルールがあるんだなあと思いながら電車に乗り進んでいく。新宿を過ぎて、よく出かけていた井の頭公園が近くにある吉祥寺(きちじょうじ)も過ぎた。
そう言えば、秋葉原から西に進む電車って三鷹(みたか)止まりだよなあ。でもこの電車は高尾行きだ。
と言うことは、三鷹から先に、さっき通った御茶ノ水と水道橋の間のポイントみたいななぞのポイントがあって、武蔵境に行くにはそのポイントを通らなければならないのかな?そう考え、わくわくしながら三鷹を待った。三鷹に到着。そして発車。
しかしさっきみたいな電車が左右にゆれる感じがまったくしないまま電車は進み、武蔵境に来てしまった。うーん、こっちにはなぞのポイントはないみたいだな。

そんなことを考えながら電車は進んでいく。このあたりは120円旅行でもよく通った場所だし、国分寺には去年学園祭で東京経済大学に行った時に降りたこともある。そんなことを考えながら電車は進み、だんだん左右に山々が見えるようになって高尾に到着である。ここは学生時代に会社見学で降りたことがあるがきょうは乗り換えるだけだ。あの時はまだ国鉄だった。


高尾~岡谷

高尾から西には2回ほど通ったことがある。小海線に乗って小淵沢(こぶちざわ)から東京に帰ってきたときと、甲府に行って身延線(みのぶせん)に乗りに行ったときだ。
これから乗る電車はあの時の高尾より西の電車と同じで、ボックスシートとロングシートのある電車だ。ぼくが一番落ち着ける電車かもしれない。きょうははじめて小淵沢より西の中央本線に乗ることになる。
朝早いのでお客は少ないまま発車だ。もうすっかり夜も明けている。電車は高尾を出るとすぐに山に分け入っていく。大月を過ぎて笹子(ささご)トンネルを通る。

電車が甲府に着くと、多少お客が乗ってくる。青春18きっぷが生まれて約10年だが、最近このきっぷの利用者が増えてきているような気がする。この前只見線に乗ったときがそうだった。
でもきょうの客は18きっぷ客っぽい感じはせず、数駅で降りていく。電車は短い距離の客をたいせつにしなければならないんだろう。電車は進む。

電車は小淵沢を過ぎた。さあ、いよいよ乗ったことのない区間だ。
とは言っても景色にたいした違いはない。今月乗った只見線に比べると山深いといった感じでもなく、それほど深くもない山の景色である。なにしろ只見線と違って、特急も通る路線なのである。
まあきょうはこれから飯田線に乗るわけだし、飯田線はもっと山が近いかもしれない。今はまだまだこんなものでいいかと思った。電車は進んでいく。

山

そして電車は茅野(ちの)に近づく。人家の少ない風景から市街地の風景に移り変わっていく。そして茅野に到着。ちょっとした都会のようだなあ。お客もそれなりに乗ってきて、車内は多少混雑してきた。

茅野を過ぎると上諏訪・下諏訪・岡谷と停車していく。茅野から岡谷まで多少広めの市街地のようで、人家がけっこうある景色が続いた。長野は山が多いから、少ない平野を大切に使う必要があるのだろう。
岡谷に停車したところでぼくは電車を降りた。時刻表通りだと、ここからはるばる豊橋まで電車が走っているようだ。毎日5時間か6時間くらいかけて長い距離を走るなんてすごいなあ、無事乗っていられるだろうかと思いながら、ぼくは豊橋行きの電車を探すことにした。

飯田線

岡谷~飯田

岡谷で電車を降りた。飯田線の電車が出ているだけあって、この駅はホームがたくさんある駅であった。
そしてとなりのホームを見る。東海道本線でよく見る電車だ。どうやらあれが飯田線の豊橋行きの電車らしい。とりあえず乗ろう。

となりのホームに行って電車に乗る。さすがにすいている。そしてしばらく待つと発車だ。
岡谷から先も岡谷までとそれほど変わらず、谷間を進む電車であった。でもどちらかと言うと谷間の間隔がせまくなったような気がした。

辰野(たつの)を過ぎる。ここまでは中央本線で、ここから本当に飯田線だ。JR東海になる。とは言ってもたいして景色に変わりはない。そのまま長いこと時間が過ぎる。
ずっとほとんど景色が変わらず、なんだかたいくつである。このままの景色で豊橋まで行くのかな。やっぱりどこかで途中下車したいなあ。食事がしたいということもある。
どこかで途中下車してもなんとかきょうじゅうに東京まで帰れるかなと思い、やはり途中下車することにした。
やっぱり大きそうな駅である飯田で降りることにする。相変わらず代わり映えのしないまま電車は飯田に到着。ここで降りる。青春18きっぷを見せて改札を通る。


昼食

飯田駅で電車を降りて、まちなかに来た。さてどこの食堂に入ろうか?
てくてく大通りを歩くと、左手に食堂っぽい店を見つけた。ドアが2個ある。あれ?入り口はどっちのドアだ?

右にあるドアを開けてみた。のぼり階段がある。途中までのぼったが、先に進んでも食堂があるというふんいきじゃないなあ。おりて左のドアを開けてみる。
あーこっちだった。ちょっとせまいけどカウンター席がある。
「あーお客さんですか。あっちの方で物音がしたから何かと思ったけど。」
とか店の主人らしい人が言っている。とりあえずメニューを見てみよう。
どうやらここはハンバーグやステーキのお店のようだ。あんまりステーキとか食べる気にはなれないけど、ハンバーグならいいだろう。
1200円のハンバーグ定食をたのむ。ひるめしどきだがぼく以外に客はいないのでそれほど待たずに食べられそうだ。
いつもこんなに客が少ないのかと思ったが、やっぱり土曜日だからだろう。平日は客が来る店なのかもしれない。ハンバーグができあがった。
食べてみると1200円分のうまさである。やっぱりがっちりした定食はいいなあ。

食事

そして主人と話をする。東京から青春18きっぷで来ましたと言う。めったにそんな客はいないらしく、遠いところから来たことをねぎらってもらった。
ぼくは長い旅行は先月の北海道旅行から始めたばかりだが、こうやって旅先の食堂で主人と話をすることも今後あるのかなあと思いながらハンバーグ定食を食べ終え、お金を払って店を出た。いい店だったなあ。


飯田~天竜峡

食堂を出て飯田駅に戻る。大通りを進んだだけなので楽に戻れた。さあ、青春18きっぷを見せて改札を通ろう。
今度の電車は豊橋までは行かず、途中の天竜峡止まりのようだ。天竜峡からの豊橋行きは1時間以上待たなければならない。
やっぱり飯田で降りなければよかったかと思ったが、まあいいかと電車に乗る。そして発車。

電車はしばらくは盆地をぐにゃぐにゃと進むがやがてせまい谷に入っていく。川が見えてくる。
お客は少なく、いい景色だ。そんな景色が続いて、終点天竜峡に到着した。駅そのものはそれほど飯田と変わらないが、駅前の建物の数は飯田よりもずっと少ないようだ。とりあえず駅を出て散歩してみよう。


ちょっと早い夕食

駅のすぐそばには橋があった。橋の上で下をながめると、うわあ、大きな川だなあ。
飯田線だから天竜川だろう。川は好きな景色の1つである。川をしばらくながめてから橋を渡った。

橋を渡ったところに、とても小さなラーメン屋があった。つい数時間前に飯田で食事したばかりであるが、どうせきょうはこの先東京まで食事する時間はなさそうだし、ちょっと早い夕食だと思えば今ラーメンを食べてもいいだろう。ここで休んでいこう。
ラーメン屋に入る。多少年輩のおばちゃんがいるところだった。さすがに昼食と夕食の間の中途半端な時刻なのでほかに客はいない。こういう時刻でも店を開けているのはありがたい。
寿司屋なんかだといくら取られるかわからなくてびくびくするけど、ラーメン屋だったらそんなにお金は取られないだろうと思い、ラーメンと餃子を注文した。
ほかに客がいないからそれほど待たずにラーメンと餃子ができあがった。さて、餃子用のタレは?

おばさんがぼくに渡したものは、たっぷりとからしの入った小皿だった。
うひゃあ。ぼくはからしがきらいなので、餃子はいつもしょうゆだけで食べているんだけどなあ。
しかたがないのでぼくは餃子をラーメンのスープにつけて食べた。なんとか食べられた。さて、ラーメンの方を食べよう。

ラーメン

ずるずるずる。うーん。あんまりうまくないなあ。


回想

ぼくはこのラーメンを食べたとき、仙台にあったとある中華料理屋を思い出した。

その店はメニューによってはとてもまずいめしになるお店だった。そのメニューとは「あんかけ」だった。
あんかけを含むメニューがものすごくまずいのだ。
とは言ってもあんかけ以外のメニューはあまりうまくないがそれほどでもなく、ぼくが住んでいた場所からは便利だったのでたまに行っていたのだが、「たまには変わったメニューを頼もう」と思って注文するとあんかけを含むメニューになり、やはりまずくがっかりしたものだった。

いつ行ってもほとんど客もおらず、とうとうつぶれてしまった。

仙台にはほかにも、それほどまずくもないが最後に行ったときにポテトサラダが腐っていた店とかもあり、その店も数年後に行ったらつぶれていた。


食事終了

天竜峡に戻ると、ここの天竜峡の店は仙台の最初の方のつぶれた店のあんかけほどまずくはないが、あんかけ以外のメニューよりはまずい店だった。
まあこういう店があるから、うまいラーメンが食べられる店は貴重なんだろうなあと思う。ともかく食事をする。

ラーメンと餃子を食べ終えて店を出た。まだまだ豊橋行きの電車までは時間がある。もうちょっと散歩してみよう。
とは言ってもおもしろいものがあるわけではない。斜面の多い土地であり、畑っぽい土地ばかりだ。商店があるわけではなく、住宅もそれほど多いわけではない。
あまり駅から遠くまで行って、道に迷って電車に間に合わなくなっても困るので、それほど遠くない場所をしばらく散歩して天竜峡駅に戻ってきた。日が暮れ始めている。青春18きっぷを見せて改札を通る。
時刻表ではなんとか普通列車だけで東京に帰れそうだ。まあ、電車が遅れても新幹線に乗れればなんとかなるか、そう思いながら電車を待った。


天竜峡~豊橋

豊橋行きの電車がやってきた。乗ってすわると発車。ここまでと似たような景色が続いていく。
川に沿って電車は進む。半月前に乗った只見線も川に沿って進む列車だったが、あの時はおばちゃんでいっぱいでうるさかった。きょうは客が少なくていい雰囲気である。

夕暮れ

いつまでも川を見ていたかったが、日が暮れた。どんどん暗くなり、窓の外は見えなくなった。そんなふうにして電車は進んでいく。

新しいお客も全然乗ってこない。長い時間が過ぎ、そのまま電車は終点豊橋駅に到着した。

さあ、東京に帰ろう。飯田線は夜行列車を使わずに日帰りできる限界だなあなどと思いながら、飯田線の電車を降りて東京方面のホームに向かった。


補足

なお、この日来た飯田の食堂には9年後の2003年にも来る機会があった。「74.新幹線は八戸へ」の旅行記から3日後のことであるが、この日のことは少なくともこのサイトに書くつもりはない。
天竜峡のラーメン屋は2003年にはつぶれていた。

東海道本線

旅行記本文

天竜峡から乗ってきた電車を豊橋で降りた。もうだいぶ遅い時間だ。去年11月に大阪から東京に向けて帰ってきた時も、豊橋ではこのくらいの時間だったような気がする。なんとか普通列車だけで東京に帰れそうだ。

静岡、熱海と乗り換えて進んでいく。こんな時間でもちゃんと時刻表どおりに電車が運行されているのはとてもありがたい。

きょうは日帰り旅行としては限界と言える飯田線旅行をした。飯田で食べたハンバーグはうまかった。でも天竜峡で食べたラーメンはあまりうまくなかったから一勝一敗だ。

でもとにかくなにより、鉄道旅行は景色が良ければなによりだ。長野県は景色がいい。

ぼくは時刻表の、今まで乗った路線に色をつけた路線図を思い出してみた。ぼくは大阪より西の鉄道にほとんど乗ったことがない。去年出張で福岡空港から天神まで乗ったくらいである。
だからまだまだ知らない景色がたくさんある。遠い場所の鉄道にも乗っていないが、意外と近くにも乗っていない。

全国にはながめのいい景色がたくさんあるんだろうなあ。行ってみたいなあ。そう思う。でも遠い場所は2月に1週間休暇を取ったように、長い休暇を取って行った方が良さそうだなあ。そう考えた。まあゆっくり乗っていくことにしよう。この時はそう考えた。

そして川崎を過ぎて多摩川を渡る。もう午後11時を過ぎている。このあたりに来るとなじみの景色なので、帰ってきたんだなあと感じる。そして終点の品川着。どうやら去年乗った電車と同じ電車だったようだ。

去年は大阪から帰ってきた翌日に池袋に行く用事があったがあしたは用事がない。お昼まで眠ろうと思いながら、アパートに帰っていった。

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