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Sorry, Japanese only! (2000年8月)

26.磐城棚倉から新白河に向かうバス

説明

2000年も夏がやってきました。青春18きっぷが使えます。

しかし7月は18きっぷを使わず、印西牧の原(いんざいまきのはら)から1駅延伸した北総開発鉄道の印旛日本医大(いんばにほんいだい)駅に行ってみました。その際、私鉄を乗り継ぐよりも、ホリデーパスを買って武蔵野線で東松戸まで行き、そこで北総に乗り換えて行った方が便利なので東松戸経由で行きました。

印旛日本医大駅に行ったらそのまま引き返すのはおもしろくないので、あてもなく北に歩いてみました。4時間くらい歩いて、なんとか成田線の安食(あじき)駅にたどりつき、アパートに帰りました。

そんなわけで2000年の夏は青春18きっぷを帰省にしか使わなかったため、8月後半になっても18きっぷが3回分余っていました。9月には最後の筑豊本線の客車に乗る旅行をするのですが、2回分だけですみます。さてあと1回、どう使いましょう。
日帰りで行けるJRや私鉄は一度乗ったところばかりだし、1月に富士吉田(富士急行の富士山駅の2000年当時の名称)から身延線の甲斐常葉(かいときわ)までバスに乗ったみたいに乗ったことのないバス路線に乗ってみたいです。

ぼくはなんとなく、東北本線の白河から水郡線の磐城棚倉(いわきたなくら)というところまで行っているバス路線に乗ってみたくなりました。
なんでもこのバスは、かなり昔に鉄道が通っていたところを、レールを撤去して道路にしてそこに通っているバスだとのことです。
そしてその道はバスと車がすれ違える幅がないため、バス専用道路になっているとのことです。

いったいどういうところなのかなあと興味がわいてきました。水郡線には1994年以来6年乗っていないのでまた乗りたくなったということもあります。ともあれ時刻表を見て行程を考えましょう。

6年前に水郡線から磐越東線に乗り換えたときは、本数の少ない磐越東線に合わせて朝早く出発しましたが、水郡線や東北本線は磐越東線よりは本数が多いので、それほど早く出発しなくても良さそうです。バスに合わせればいいみたいです。
どちらかというと、新白河→磐城棚倉のバスよりも、磐城棚倉→新白河の方が乗り継ぎが良さそうなので水郡線から先に乗ることにしました。今回は去年7月みたいに、アパートもより駅の2駅となりの駅から2時間かけてアパートまで歩くようなことはなく、なんとか夜中までにアパートもより駅に帰れそうです。

こうして旅行当日も無事それほど遅くない時刻に目が覚めて、ぼくはもより駅から常磐線に向かったのです。

常磐線

旅行記本文

常磐線の電車は利根川を渡り、取手に到着した。我孫子から先の常磐線に乗るのはひさしぶりである。
それほど混雑もしていない電車である。水戸から手前の常磐線は車両数が多いので、けっこう快適なのだ。取手を出てさらに進んでいく。

土浦を過ぎると森が見えてくる。さらに石岡を過ぎると畑も見えてくる。友部から先は国鉄時代にも乗ったが、友部から手前はJRになってからしか乗っていない。ふだん東京に住んでいるぼくにとってはいい景色だと思う。電車は友部を過ぎて水戸が近づいてくる。

そして市街地に入っていき、ひさしぶりの水戸に到着した。電車を降りる。6年ぶりに水郡線のディーゼル車に無事に乗れそうだ。ぼくは電車を降り、階段を上がっておりて水郡線ホームに向かうことにした。

水郡線

旅行記本文

上野から乗ってきた電車を水戸駅で降りた。階段を上がっておりて、6年ぶりに水郡線ホームに行く。

待っていたディーゼル車は6年前と同じようなディーゼル車に見えた。きょうもそれほど客もおらず、すんなりすわれた。そして発車。

景色は6年ではそれほど変わることもない。6年の間に全国いろいろな景色にふれてきた。水郡線と似たような景色の場所も多少はあるが、水郡線の景色も、やはり何度乗ってもいい景色だなあと思う。それほど高い山は見えない。深い森を通るわけでもなく、小高い山々がずっと続いている。

6年前も水郡線には8月に乗った。ただ、あの時は朝早く上野を出たが、きょうはそれほど早いわけではない。そのくらいしか違わない。きょうもディーゼル車は進んでいき、福島県に出る。

なんだか雲が増えてきたような気がする。天気が悪いようだ。
だいぶ空が暗くなってきたころ、ディーゼル車は目的地、磐城棚倉(いわきたなくら)に到着である。それとともにアナウンスがあった。
「この先、郡山近辺で大雨のため、この列車はこの駅で運転を見合わせます。」
このあたりはそれほど雨は強くなさそうなのに、それほど離れていない郡山で大雨なんてことがあるようだ。やっぱり8月だからなあ。

ぼくは磐城棚倉からバスに乗る予定を組んでいたことを幸運に思った。でも郡山が大雨ということは、ちゃんと白河行きのバスは来るのかなあ、それに新白河から黒磯に向かう電車もちゃんと来るか不安になった。とりあえずディーゼル車を降りる。

今降りたディーゼル車を見ると、携帯で話している高校生らしき男子がいる。「今『電車』が止まっちゃってさあ」などと話している。
便利な時代だなあと思いながら、ぼくは駅前のバス停で白河行きのバスを待った。ダイヤ通りでも数十分待つ予定にはなっている。

バス・磐城棚倉~新白河

発車

水戸の方から乗ってきた水郡線のディーゼル車を磐城棚倉(いわきたなくら)で降り、駅前のバス停で白河行きのバスを待った。
ディーゼル車は、郡山近辺で大雨が降っているとかで、数十分たってもずっと停車している。

そしてディーゼル車が発車する前にバスがやってきた。そしてバスに乗る。お客は5人もいなかった。まあこんなものなんだろうなあ。
バス専用道を走るくらいだからどんなものなのかなあと思いながら発車を待つ。ようやく発車した。どんよりとした空である。

バスは駅周辺の集落をしばらく走り、どうやらバス専用道の入り口らしき場所にやってきた。
でも、どうってことのないいなか道にしか見えない。まわりも普通のいなかである。
そしてあたりまえのように専用道に入る。幅のせまい、行き違いのできない道である。


回想

廃線跡ってけっこう目にする。ぼくが住んでいるアパートからそれほど離れていないところにもある。5年前にはじめての一般周遊券の旅行をしようと思って行った筑波でも、「筑波駅(2011年現在のつくばエクスプレスのつくば駅からは離れた場所)」から廃線跡が延びていた。

しかしそれらはいずれも自転車道だった。なにしろ鉄道路線の幅は、少なくとも自動車が行き違いできるくらいの幅ではないのである。
幅を広げて、ようやく自動車がすれちがえるくらいの幅になるのだ。
でも鉄道が廃止になってしまうような場所で、幅を広げるような手間暇をかけるようなことをすることはほとんどなく、たいていは自転車道にするくらいしか廃線跡の利用法はないのである。

それが、ここ磐城棚倉ではわざわざ「バス専用道」と銘打って自動車道にしてバスを通している。
それなのに、悲しいくらいまわりに人家は少なく、普通の畑の広がるいなかの景色なのである。まあ、これでいいのかもしれないな。

いなかの景色を見ながらバスは進む。バス専用道に間違えて入ってくる車もいない。
そのうち市街地、と言うより集落が近づいたようで、バスはバス専用道を出て一般道に出たようだ。東北新幹線の高架が見えてくる。
そしてバスは目的地、新白河に到着した。ここでバスを降りる。まずは黒磯行きの電車の時刻を確認しようと思い、駅に入る。

うーん。時刻表通り、電車は5分前に出ている。次の電車は55分後だ。よし、夕食を食べてもいいころだ。駅前に食事して休めるところはないかな。


親子丼が食べたかった

ざっと駅前を見回したが、居酒屋と焼き肉屋しか見あたらない。居酒屋かあ。

ぼくは3年前の函館旅行のことを思い出した。確か市電で函館どっく前に出たのはいいが、お店は居酒屋だけで、腹がふくれるメニューはお茶漬けしかなくて、お茶漬けを食べて店を出たんだった。

おそらくここの居酒屋もたいしたメニューはなさそうだ。それよりは焼き肉屋の方が、もしかしたらいいメニューがあるかもしれない。よし、焼き肉屋に入ろう。

焼き肉屋に入る。鉄板のある席しかない店である。女性店員が鉄板のガスのスイッチを入れる。ぼくはメニューを見た。
うーん、やっぱり焼き肉屋だ。たいしたメニューはない。ごはんものと言えばクッパくらいだ。お茶漬けよりはましだろう。ぼくはクッパだけ頼んだ。
なんだか女性店員が迷惑そうな顔で鉄板のガスのスイッチを切りに来た。しょうがない。新白河駅前に居酒屋と焼き肉屋しかないので、こういう客もいるのだ。
本当なら、普通の親子丼とか、もしくはラーメンとかを出す食堂があればいいのだろうが、新白河にはないから焼き肉屋でクッパだけ頼む客も来てしまうのだ。こういう「需給のミスマッチ」はどこでもあるだろう。

クッパがやってきた。値段どおり、けっこういい味である。おなかもふくれ、約50分の待ち時間を無事すごすことができた。ごちそうさま。
さあ、新白河駅に戻ろう。

東北本線

旅行記本文

クッパを食べ終わり、焼き肉屋を出た。あとで聞くところでは新白河駅は西郷村(にしごうむら)にあるとのことで、食堂とかが少ないのもしかたがないのかもしれない。ともかく約50分の待ち合わせは焼き肉屋で無事つぶれた。青春18きっぷを見せて改札を通り、黒磯方面のホームに行く。

電車は遅れずにやってきた。はて、本当に郡山近辺で大雨が降っていたのかなあ。
水郡線が磐城棚倉(いわきたなくら)以北で運転を見合わせていたのがうそのように順調な電車である。
そしてついにこのあたりの電車もオールロングシートである。ボタンを押して開け閉めする、グリーン系の701系電車だ。ボタンを押して入り、ボタンを押して閉める。客はいないなあ。電車は発車する。

天気が悪いので暗くなるのも早い。でも見慣れた景色だ。新白河を出てしばらくは山村の景色だが、栃木県に入ると高架になり、低く田んぼを見おろす景色になる。
そんな景色がしばらく続き、高架も低くなり、東北新幹線がふたたび見えるようになったころ、この電車の終点、黒磯に到着である。電車を降りる。

いつものように乗り換えである。電車はオールロングシートになってしまったが、黒磯の跨線橋は相変わらずぼくが初めて来た国鉄時代のままである。
そして上野に向かう電車に乗る。しばらく眠ろう。アパートに帰るころにはだいぶ暗くなっているだろう。クッパを食べたからもうこれ以上食べることもないだろう。

いろいろあった旅だった。さあ、来月は筑豊本線の客車に乗る。18きっぷはあと2回分残っている。ひさしぶりにスカイマークエアラインズに乗り、初めての体験となる寝台特急あかつきのレガートシートに乗る予定である。来月もいい旅ができるといいなと思いながら、ぼくは東京のアパートに帰っていった。

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