1999年も夏になりました。この夏も青春18きっぷを買い、予定を立てました。
帰省で2回分、そして今度できたしまなみ海道をバスでめぐる旅行で2回分使う予定を立てました。
残った1回ですが、帰省が8月、しまなみが9月なので、7月中に使うことにしました。
それが只見線です。3月にわざわざ上越新幹線の上毛高原駅から上越線の後閑(ごかん)駅まで歩いて予行演習しておいたので、それを生かして朝東京を出発し、お昼に会津若松を出る只見線に乗った後、小出から帰ってくるルートを進むことにしました。これなら逆ルートほど旅行好きなおばちゃんはやってこないし、そんなに混雑しないだろうと考えたからです。
旅行記本文
目が覚めた。なんとか東京のアパートを早い時間に出て、電車を乗り継ぎ宇都宮行きの電車に乗ることができた。
この電車には、ボーイスカウトっぽい服を着た少年が数人、保護者らしい人に連れられて乗っていた。
3年前に大阪で見て以来、めったに見ることのないボーイスカウトであるが、全国いろいろなところで知らないうちにいろいろ活動しているのであろう。
宇都宮で黒磯行きに乗り換えたが、もうボーイスカウトはいなかった。
そのまま黒磯に着き、急いで北に行く電車に乗り換える。ひさしぶりに黒磯より北の東北本線に乗る。
はじめて乗った16年前から、すっかり列車も変わってしまった。あのころはドアも閉まらない客車だった。今はあたりまえのように冷房もあるのだ。その代わり混雑することもある。
高架橋を越え、森の多い景色を過ぎて新白河に着く。それから山や盆地を進んで郡山に着いた。さあ、1年ぶりの磐越西線だ。乗り換えよう。
郡山~猪苗代湖畔
郡山駅で階段をのぼっておりて磐越西線の電車に乗った。
今日はこれから只見線に乗るわけだが、只見線の列車は午後1時過ぎで、今から会津若松に行ってもしばらく待つことになる。それなら郡山と会津若松の間の駅で降りた方がいい。
ぼくは夏しか降りられない臨時駅、猪苗代湖畔(いなわしろこはん)駅に降りることにした。たぶん降りれば猪苗代湖にすぐ行けるだろう。もしかしたら水着の女の子もいるかもしれない。
電車は郡山駅を発車し、すぐに市街地を離れていく。そして山の谷間を進み、猪苗代湖畔駅に到着した。ぼくは電車を降りた。
やすぶしんの駅であった。全国のJRにはこういうホームだけの駅は至るところにある。
昔時間つぶしに降りた吾妻線の市城(いちしろ)駅も待合室代わりの使われない車両があるだけの駅だったが、ホームだけというところもけっこうあるようだ。
さてどっちに行こうか。猪苗代湖は南のはずだから南に進もう。
道路に出た。道路の向こうにみやげもの屋っぽい建物が見える。ぼくは道を渡り、建物の方に行き、車が入れる入り口を進む。
猪苗代湖畔~会津若松
進んで進んで、人がたくさんいる場所に出た。おそらく湖畔だろう。
うひゃあ。水着の子供がたくさんいる。みんな小学生みたいだ。
おとなは男がちらほらいるだけだ。まあ猪苗代湖だし、こんなもんなんだろうなあ。
こんなところで水着で泳ぐようなおとなの女性がいるわけもないのだろう。しばらく湖から離れたところでぼーっと過ごす。
それでもまあ、暑い夏を涼しく過ごす場所としてここは機能しているようだ。でもみんな車で来ていて、電車で来る人は少なそうだ。
そのまま次の電車の時刻が近づき、駅に戻る。電車がやってきた。乗って会津若松へと進む。
景色が良く、気持ちいい。でもこれから只見線に乗るわけだし、只見線はもっと景色がいいだろうなあと思いながら会津若松に着いた。ぼくは電車を降り、いったん改札を出ることにした。
計画
磐越西線の電車を会津若松駅で降りると、只見行きのディーゼル車までは1時間の余裕がある。
またあのスーパーに行こうか、食堂に寄ろうかと思ったが、今回はコンビニでおにぎりを買って、駅の待合室でぼーっと過ごすことにした。
今回で只見線の旅行も3回目になる。今度は会津若松を昼間出て、小出に夕方到着するのだ。
しかしこれにも不都合な点がある。小出から東京まで普通列車で帰れないのだ。
越後中里と水上までの間の普通列車が夕方で終わってしまうのである。ここを通過するためには一般的には越後湯沢から高崎まで新幹線に乗る必要がある。
ここをクリアするには新幹線に乗る以外にも方法がある。それは、冬にここを通ることだ。
冬はここをスキー用の臨時列車が走っているのだ。すなわち夕方遅い時刻の越後中里行きの電車が延長されて水上行きになるのである。とあるメーリングリストでこの臨時列車を使って只見線に乗った話が書いてあった。
しかし、どちらかと言うと夏にここは通りたい。だから新幹線は使うことになるのだが、越後湯沢→高崎でなく越後湯沢→上毛高原なら必要な運賃がグッと安くなりそうだと考えた。しかし上毛高原は普通列車の通る上越線とはかなり離れている。最も近い駅は後閑(ごかん)駅である。
このため、4ヶ月前に上毛高原から後閑まで昼間に歩いてみた。約50分かかった。
その結果、このルートを使ってみようと考え、朝早く東京を出て郡山まわりで会津若松駅までやってきたというわけなのである。
会津若松~只見
ころあいのいい時刻になったので、待合室を出て改札に向かい、青春18きっぷを見せて只見線のホームに向かった。
ディーゼル車は相変わらず同じ車両である。
地元の客が大半で、旅行客はあまり多くないようである。
発車時刻が来てディーゼル車は会津若松駅を発車した。
今回も朝早く家を出てきたため、しばらくうたたねしてしまう。
しかし只見までずっと寝ているということもなく、なんとか途中で目が覚めた。
雄大な川が見える。やはり川はいい。
地元の客はすっかり降りてしまい、旅行客が10人程度乗っているようだ。
只見~小出
川が終わってしばらくするとこの列車の終着、只見駅である。ここから小出行きに乗り換えだ。もっとも会津若松からやってきた同じ車両が約20分後の小出行きになるだけの話である。
約20分、実家に電話をしてすごす。
またディーゼル車に戻り、発車である。
只見から先は山の風景になる。山の中をぬって進む。
そしてその景色も盆地の風景になり、多少地元客も混じってきたころ、ディーゼル車は終点の小出駅に着いた。
ぼくは、越後湯沢行きの電車が来るまでの時間を利用して「越後湯沢→上毛高原」の乗車券と自由席券を買うため、小出駅の窓口に向かった。
旅行記本文
越後湯沢で上越線から上越新幹線に乗り換えだ。青春18きっぷと小出駅で買った越後湯沢から上毛高原までの乗車券・自由席特急券を見せて中間改札を通り、ホームへのぼる。
新幹線のたにがわは越後湯沢が始発なので、すでにホームに停車していた。乗ってみたがぼく以外にお客はいない。
こんなお客のいない新幹線を走らせて大丈夫なのかなと思いながら、只見線でずっと起きていたぼくはちょっとだけ眠ってしまった。
気がつくと新幹線は停車していた。腕時計を見ると、わっ!やばい!もう上毛高原だ!
荷物をまとめてあわてて出口に向かい、たにがわを降りるとドアが閉まった。よかった。寝過ごすところだった。
改札に向かい、乗車券と自由席特急券を渡す。
さて、もうすっかり暗くなっている。ここから後閑(ごかん)駅に行かなければならない。
今年の3月に予行演習で歩いたが、あの時は田んぼの中を歩いたものだった。今回は別の道を行ってみようか。
ぼくは駅の前の沼田に進む道を進み始めた。
上毛高原~後閑
上毛高原で新幹線を降り、上越線の後閑(ごかん)駅へと歩いて向かうことにした。もう夜の8時近い。
駅前からは正面に進む道と、左に進む道がある。正面は沼田へ、左の道は水上へ続いている。そして後閑は、というとよくわからない。
3月には沼田方向に進んですぐのところの下り坂の分かれ道を進むと田んぼ道があって、その道を進んでなんとか後閑まで行ったものだった。
でもあの時は昼間で、今は夜である。あんまり田んぼのそばの道を通るのもなんだから、田んぼのそばでない道を探してみよう。まっすぐ進んでみた。
するとまた分かれ道があった。
今度は田んぼには進まないようなのでおりていく。進んで見上げると、今まで進んできた幅の広い道が右へとカーブしていくのが見えた。
沼田に進む道だから、後閑には向かわないのだろう。
さらに進んでいく。ちょっとずつ標高が下がる。
そのうち家並みが見えてくる。月夜野町(当時)の中心街に入ったようだ。そして中心街の大通りに出た。どうやら田んぼを通らなくても後閑まで行けそうだ。
もう午後8時を過ぎているので車通りも少なく、さびしい街である。3月に通った道に出たようで、まっすぐ進めば後閑に着きそうだ。
利根川を渡る橋に出たので渡る。
後閑~高崎
進んで進んでようやく後閑駅に着いたが、高崎行きの電車は10分前に出たばかりで、次は50分後である。駅前にセブンイレブンがあることはわかっているので、夕食とか買い物していこう。
とっぷりと待って高崎行きの最終列車に乗った。お客は1車両に10人もいない。
暗い道を進んで高崎に着いた。電車を降りて階段を上がる。さすがに午後10時なので駅の通路は人が少なかった。
さあ、上野行きに乗ろう。