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Sorry, Japanese only! (1993年11月)

40.大阪パフォーマンスドールと握手

説明

1993年秋はアイドルにはまっていた季節でした。ぼくは本屋で見つけた「大学王」という持田真樹ちゃんが表紙の本を手に、いろいろな大学の学園祭に出かけていました。

さてかとうれいこさんの学園祭の帰りに新京成線の北習志野駅にやってきました。駅前のCD屋に寄ってみることにしました。

そこに「大阪パフォーマンスドール」という5人組の女の子たちのデビュー曲「満月の夜だから」がありました。なんとなくひかれるようにぼくはCDを買ってしまいました。

そして後日、ぼくはオリコンという音楽雑誌を見てみました。するとそこには、

・大阪パフォーマンスドールの満月の夜だからのCDのバーコードを送って下さった方の中から抽選で400名様に握手券をプレゼント!握手会は大阪・京橋コムズガーデンにて開催

という案内が載っていました。

大阪とは遠いが、こんな機会だし、え~いとバーコードを封筒に入れて指定の住所に出しました。

そうしたらなんと、握手券が送られて来ました!

さて、どうやって大阪まで行くかですが、ここは思い切って、大垣行き夜行で行こうと思いました。

青春18きっぷの使えない季節ですが、なんと言ってもぼくはアイドルファンなのだから、たまにはこのくらいの出費を伴う応援をしてもいいのではないかと思いました。

出かける日にも、大井町線の尾山台駅のそばの武蔵工業大学でMelodyという3人組の女の子と井上麻美(まみ)ちゃんというアイドルのイベントに出かけて歌を聴いて、いったん家に帰ってきました。そしてちょっと休んでさていよいよ大垣行きの夜行に乗るため東京駅へと向かったのです。

東海道本線その1

東京駅

東京駅にやってきた。今は午後11時過ぎである。きっぷはとりあえず短距離のきっぷを手にしている。みどりの窓口が閉まっていて大阪までのきっぷが買えなかったからだ。

大垣行き夜行の出るホームに来た。厳密に言えば大垣行きに乗るのは初めてである。おととし乗った夜行は臨時の名古屋行きだったからだ。
青春18きっぷが使えない時期にどのくらいお客がいるかわからないが、それなりにちらほらと長距離っぽい持ち物の旅人たちがいるようだ。

やがて2年前にも見た、いや、ぼくが高校生のころ通学に使っていたボックス席の電車がやってきた。行列をつくっていたぼくたちは無事電車に乗り込んだ。なんとかすわる。土曜の夜なので、金曜の夜よりはお客が少ないのかもしれない。

すわって待つと発車まぎわになってサラリーマン風の人たちがぞろぞろと乗り込んできた。大垣行きの夜行は普通列車扱いなので、定期券でも乗れるのである。定期券で乗れない自由席のある普通列車は、ぼくの知る限り大昔にあった桐生を朝出る急行わたらせの桐生-小山間(快速扱い)のみである。


東京~岡崎

サラリーマンが通路にいっぱいになってようやく発車である。普通の東海道本線の電車と同じように新橋、品川と停まっていく。

そのうち車掌がやってきた。東京駅の近くの駅で買ったきっぷを見せて「大阪まで」と言い、運賃ときっぷの差額を払うとハンディプリンタから「東京都区内→大阪市内」の丸まった紙を出してぼくに渡した。夜行なのでぼくみたいな客は多いらしく、あちこちでプリンタの音がする。そのまま時間が過ぎる。

川崎、横浜でもそんなにお客の数は変わらない。横浜を過ぎると戸塚近辺の住宅街のあかりが見える。いい景色だなあと思う。大船を過ぎるとだいぶお客が降りていった。小田原を過ぎると通路のお客はいなくなった。

今回は大阪パフォーマンスドールと握手するという用事がある。そのせいか夜中の1時を過ぎてもまるで眠れなかった。浜松で長い停車があるが、それでもまるで眠れなかった。このままずっと大垣行きに乗っていたのでは大垣まで眠れなさそうだ。

ぼくは時刻表を見てみた。岡崎発米原行きという朝の電車がある。今乗っている大垣行きの電車を降りると30分後に出るようだ。ぼくはこれに乗ろうと考えた。豊橋を過ぎ、岡崎でぼくは降りた。

まずはトイレに行こう。階段をのぼるとトイレがあった。トイレから出る。トイレのそばには改札があり、出ようかと思ったが、めんどうなのでまたホームに降りようとした。

「ちょっときみ!」と駅員に呼び止められた。仕方がないのでハンディプリンタの券を見せた。券が返されたのでホームにおりた。


岡崎~大阪

岡崎駅のホームにはお客が数人いた。ぼくと同じように大垣行き夜行から降りた人ばかりのようだ。そのうち電車がやってきた。新型の電車である。ボックス席でなく、2人がけシートのようだ。

しばらくドアは閉まったままだったが、何分かしてドアが開いたので入る。なぜかシートは逆向きだった。シートを倒して米原の方向に向け、すわった。すると夜行列車では全然眠れなかったのに、たちまち眠ってしまった。

気がつくと見知らぬ風景だった。なにしろぼくは名古屋~京都間は新幹線しか乗ったことがないのだ。

山の中の風景を過ぎ、停車した駅は関ヶ原だった。うーんよく眠れたなあ。これから先、大垣行きの夜行に乗ることは何度かあるだろうから、ずっと岡崎で乗り換えようか、と思った。やがて米原に着いた。

アナウンスでは姫路行きの新快速がホームの向かいから出ると言っていた。ちゃんと電車はあった。乗ってみると岡崎から米原まで乗った電車と同じく2人がけシートだった。実はおととしの7月にも大阪から京都まで新快速に乗ったはずなのだが、あのときは立っていたので2人がけかどうか考えもしなかった。

ともかく窓ぎわにすわると電車は発車する。しばらくは人家も少ないところを走る。琵琶湖の近くを走っているはずだが、けっこう距離があるらしく直接湖は見えない。
そのうち景色が都会の景色へと移り変わっていく。そして京都に着いた。あとは都会の間を電車は走り、大阪駅に到着した。2年ぶりの大阪駅だ。

2年前には御堂筋線には乗ったが大阪環状線には乗っていない。どこのホームかと思いながら、ぼくは階段をおりていった。

大阪環状線

大阪~京橋

米原から乗ってきた新快速を降りて階段をおり、大阪環状線ホームに向かった。

2年ぶりの大阪駅だが、雰囲気は2年前と同じである。

そして階段を昇り、環状線ホームにやってきた。

電車を待つが、なぜか目の前に来たのは「大阪」とだけ書かれた電車だった。そして「この電車は回送になります」という案内とともに、電車は空のまま走り去っていった。

どうやら大阪環状線は、山手線のようにいつも環状に進む電車だけが走っているわけではなく、大阪止まりの電車とかがけっこう走っているのだろうと考えた。

そのうち「大阪環状線」と書かれた電車が西の方からやってきた。どうやらこれに乗ると京橋に行けるようだ。電車は停まり、ドアが開き、乗る。

意外と混雑しておらず、すわれた。大阪環状線ってそれほどお客がいないみたいだ。

ドアが閉まり、電車が発車する。電車はビルとビルの間の一角を走っていく。なかなかおもしろい風景である。やっぱり都会だなあと感じた。

そして時間が過ぎ、電車は京橋駅に到着した。ホームに降りる。あまり混雑していないと思っていたのに、電車がけっこう長いため、ホームにいるお客の数はけっこうなものである。

改札に行き、大垣行き夜行の中で精算してもらった「東京都区内→大阪市内」の精算券を渡して外に出た。


京橋駅周辺1

改札を出ると駅前の通路に出た。
どこからかオルゴールの音が聞こえてくる。どうやら上の方からのようだ。
見上げると、動く人形があり、人形からオルゴールの音が聞こえてきた。

時計を見るとちょうど午前10時である。なるほど、ちょうどの時刻に鳴るわけか、と気がついた。

いつから続いているのかわからないが、名物になっていいんじゃないかと思った。

さて、京橋コムズガーデンに行こう。

今日はるばる東京から大阪の京橋に来たわけは、つい先月にデビューした「大阪パフォーマンスドール」という女の子たちの握手会に参加するためであった。

なにしろ1993年当時のぼくはばりばりのアイドルファンで、しかも11月はいろいろな女の子たちのイベントに参加していたのである。きのうも武蔵工業大学でMelodyという3人組の女の子たちと井上麻美(まみ)ちゃんを見に行ったばかりで、あしたも池袋のサンシャイン噴水広場で山崎亜弥子(あやこ)ちゃんと握手する予定である。

このイベントはオリコンという音楽雑誌に載っていたもので、大阪パフォーマンスドールのCDのバーコードを送ると抽選で400名に握手券が当たるというものであり、めでたく握手券が送られてきたので今日ここにやってきたわけである。


京橋駅周辺2

さて、握手券についていた京橋駅から京橋コムズガーデンまでの地図を見ながら進んだ。

地図の通りに進むと、駅の近くなのに空き地の広がる場所にやってきた。

と、そこに吹き抜けのあなぼこがあいていた。のぞいてみると地下2階まで通じているらしい。

どうやらここが京橋コムズガーデンのようだ。

穴の中はいろいろなお店がある。そして真ん中にどこにも通じていない階段がある。

そして地下2階をよく見ると、地下鉄の駅らしいものがあった。
どうやらこれは大阪市営地下鉄の鶴見緑地線の京橋駅らしい。

なかなかおもしろい場所だなあと思った。アイドルのイベントには最適のような気がする。


京橋駅周辺3

とりあえず場所は確認できたので、まずは腹が減っているのでブランチでも食べることにする。

京橋駅に戻り、適当に喫茶店を見つけて入り、モーニングセットを食べた。

それでもまだ時間が余っていた。

そうだ、今日はあの今度2人組としてデビューしたTiara(ティアラ)の「いけないわからない好きならばかまわない」の発売日じゃないか、と思い出した。

駅の近くの建物の中にCD屋を見つけて入った。CDを探す。見つかった。家に帰ったら聴いてみよう。

再び京橋コムズガーデンに戻ることにした。しばらく鶴見緑地線の京橋駅前で待っていたが、どこをステージにして、どう客が並べばいいのかわからないので待ちようがない。


京橋駅周辺4

そのうち人が集まり始めた。

中央の階段らしき場所のまわりを囲むように人が集まってきた。う~ん、あそこに並べばいいのか、とわかったので、後ろに並び、待つことにした。

なぜか近くでCDを売り出した人がいる。いつものCDイベントと同じような雰囲気だ。

おかしいなあ、あらかじめ握手券を持っている人だけがイベントに参加できるんじゃなかったのかな?

そして気がついた。オリコンには抽選で400人のみ握手ができると書いてあったが、そもそも400人も集まっていないのだ。

いつものCDイベントと同じように、京橋コムズガーデンに来て、その場でCDを買えば握手できるのだ。

そもそもあのオリコンを見て「満月の夜だから」のバーコードを送った人なんて400人どころかもっと少なかったのだろう。ということはそもそも抽選など行われておらず、送った人はもれなく握手券が送られてきたにちがいない。

なんとなくぼくは、だまされたのかなあと思いながらも、こうやって大阪まで旅行すると楽しいじゃないかと思いながらイベントが始まるのを待っていた。


イベント1

そしてようやく開始時刻になった。

CDのジャケットに載っている女の子たちがやってきた。写真で見るよりもかわいい女の子たちだ。さすがにアイドルと呼ばれるだけのことはある。

ジャケットには5人しか載っていないが、なぜか7人女の子たちがやってきてステージのような場所に並んだ。そして歌い始めた。CDでおなじみのデビュー曲、「満月の夜だから」だ。

それが終わるとカップリング曲の「生まれた街のフェンスを越えて」だ。

なかなか彼女たちは歌もうまい女の子たちだった。

それが終わると7人以外の大阪パフォーマンスドールのメンバーの紹介が始まった。

なんでも今大阪パフォーマンスドールは19人のメンバーがいるそうだ。その中の選ばれた7人だけが歌が歌えるらしい。他の女の子たちはレッスンして勝ち上がらないと歌えないのだろう。なかなかつらいものである。

大阪なので関西出身の女の子ばかりだったが、特に京都弁のおっとりした口調の女の子が印象的だった。数年前にデビューした山中すみかちゃんに雰囲気の似た女の子だ。


イベント2

そして握手である。ぼくたちお客が1列に並び、大阪パフォーマンスドールの女の子たちも7人1列に並んで、7人全員と握手するわけである。ぼくの番になった。今日もしっかり握手する。こんな機会でもなければ女性に手を触れることなどできないからちゃんと握手しておくのだ。7人全員と握手するとまたぼくがいた場所に戻る。なにしろ400人も人がいないので、それほど時間もかからずに握手は終わった。

さて、おそらくもう1回満月の夜だからを歌ったら終わり、というところになったので、場所を移動することにした。ここは吹き抜けの地下2階なので、1段上がって地下1階の場所から見おろすようにすれば、他のファンの後ろから見るよりも見やすいだろうと思った。そして地下1階の見やすい場所に移動した。

すると係員が「そこじゃまだからちょっとどいて」と言って数メートル移動させられた。
どういうことかわからないけど移動した場所も見やすい場所なのでそのまま移動した。

そしてもう1回「満月の夜だから」が始まった。生で聴いてもかっこいい歌だなあ。

そして歌が終わると大阪パフォーマンスドールの女の子たちは、ぴょんぴょん飛び跳ねながら階段を上がりだした。

とても元気な女の子たちは、ぼくがいる地下1階まで上がり、ぼくの目の前をびゅん!と通り過ぎて地上に上がっていった。なるほど、これのじゃまになるのでどかされたのか、と気がついた。

それにしても歌がうまくて元気な女の子たちだ。

大阪を中心にイベントをやっていくらしいので、彼女たちのイベントを見るのも今日限りになりそうだが、新しいCDが発売されたらまた買ってみたいなと思った。とりあえず今日はかなり満足した。


京橋~大阪

さて、イベントが終わったので駅に戻る。

もしイベントが終わるのがもっと遅ければ、おととしと同じように近鉄の特急に乗って名古屋に行き、そこから帰ろうと思っていたが、どうやら普通列車だけで東京まで帰れそうな時刻だったので、JRだけで帰ることにした。なにしろあした山崎亜弥子ちゃんのイベントに行く予定なので絶対帰る必要がある。

本当なら窓口に並んで東京までのきっぷを買うべきところなのだろうけど、ぼくにはそんなに時間がないので、行きに短距離のきっぷを買って車内で精算したように、今回も京橋で短距離きっぷを買って車内精算しようと考えた。

東京までは8340円なので、100で割って40余るきっぷを買えば精算の時に10円のおつりが出なくてめんどうでないなあと考えた。40余るきっぷは440円というのがあるので、440円のきっぷを買った。どうやらこれで普通列車のみで東京まで帰れそうだ。

改札を通り、大阪方面のホームに行った。電車がやってきたので乗る。

相変わらず空席はある。大阪環状線は山手線よりも都会っぽい場所を通るにもかかわらず、あまり利用されていないことがわかる。そして大阪駅が近づいてきた。

環状線は大阪駅に着いた。時刻表上では普通列車だけで東京まで帰れるはずだが、はたして本当に帰れるのか不安になりながらぼくは長浜行きの新快速に乗り換えることにした。

東海道本線その2

大阪~熱海

大阪パフォーマンスドールの7人と握手したことを思い出しながら、大阪環状線から東海道本線のホームへと乗り換えた。大阪環状線ホームは1つだけだが、その他のホームはいくつもあるので間違えないようにしなければならない。

なんとか長浜行き新快速を見つけ、電車に乗った。午後3時半ではあったが日曜日なのでさすがにすわれなかった。なんとか京都ですわれた。

車掌がやってきたので行きに大垣行き夜行でやったのと同じように、京橋で買った440円のきっぷを出して「大阪市内→東京都区内」のきっぷにしてもらう。8340円なので8000円払って100円おつりをもらえばいいので楽である。

車掌さんに「ずっと『下』で行くの?」と言われた。新幹線には乗らないのかという意味だろうと思ったので「新幹線には乗りません」とこたえた。
またプリンタ券をもらう。新快速は米原に着いた。豊橋行きに乗り換える。

名古屋が近づくと日が暮れてきた。もしどこかで事故になって電車が止まったら東京まで帰れないな、と思った。まあ、途中で新幹線に乗ればいいのだが。豊橋でも乗り換えである。

豊橋から先は東京近辺の東海道本線と同じような電車であった。何回か乗り換えたが、お客はそれほど多くもなく、熱海で品川行きに乗り換えるとまわりに全然お客はいなくなった。


熱海~品川

事故も起きずに品川行きに乗り換えられたので、これでなんとかアパートまで帰れそうだなあと思った。
あしたは池袋で山崎亜弥子(あやこ)ちゃんと握手する予定なので、できれば眠っておきたい。

日曜夜の横浜駅ホームは土曜ほどお客もおらず、あとは見慣れた風景のまま品川に着いた。
もう夜12時を過ぎていた。

かとうれいこさんの文化祭イベントを見た帰りに大阪パフォーマンスドールの「満月の夜だから」のCDを買い、オリコンを買って京橋のイベントを知り、抽選で(実態はもれなく)握手券が当たり、やってきた大阪旅行だが、なんとか無事に終えることができた。けっこう楽しかったなあと思った。

今回は約2万円かけて大阪パフォーマンスドールのメンバと握手するという目的を達成したわけだが、目的なしに電車に乗ってみるのもおもしろいかな、と思いながらぼくは山手線でアパートに帰ることにした。

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