きっぷ・周遊券
北海道ニューワイド周遊券
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説明
以下の特徴があるJR(国鉄)の企画きっぷであった。
・周遊エリアへの行き帰りには鉄道・航空機・フェリーなど、一般周遊券で経由社線とされている交通機関が使用可能
・周遊エリアは、青函トンネル開通前は道内の国鉄(JR)全線、開通後は海峡線中小国以北のJR線
・周遊エリアの特急・急行・普通列車の自由席に5日間もしくは10日間乗り放題。5日か10日か購入時に決める。
かなり便利な企画きっぷでしたが、以下の不便な点がありました。
・全国の指定された駅発のものしか買えなかった。一番北の駅は仙台で、それより先の駅を出発地とすることはできなかった。逆に北海道ワイド周遊券の出発地となっていない駅でも北海道ニューワイド周遊券なら出発地にできる都市もあった。
・航空機ならすべて使えるわけではなく、経由社線となっていないものはだめだった。(例:大阪-女満別)
北海道ニューワイド周遊券廃止後15年使えていた周遊きっぷなら航空機は道内発着ならすべて使えるので、この点は周遊きっぷ時代の改善した点である。
(なお、2017年現在大阪-女満別間に直通便は原則として運航されていない。ただし多客期に臨時に関西-女満別便が運航したことがある)。
・国鉄時代は駅でも買えたが、JRになってからは一般周遊券が買える旅行会社でしか買えなくなってしまった。
なにしろ往復とも航空機が使えるので、大変便利な企画きっぷでした。フェリーが使えることもあり、なくなったのが惜しいものでした。
北近畿ワイド周遊券
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基本1
以下の路線に乗り放題。ただし、出発日(周遊券の有効開始日)から一定の日数を経過した場合、寄り道せずにまっすぐ出発地に戻る必要があり、そうでない場合帰りの列車に乗る権利を放棄したことになる。
・小浜線
・舞鶴線
・山陰本線の京都~鳥取間
・福知山線の三田~福知山間
・播但(ばんたん)線の寺前~和田山間
・北近畿タンゴ鉄道全線
「一定の日数」は出発地、および時代により異なります。
ぼくが使った1997年の東京発は10日だったような気がするのですが、忘れてしまいました。
基本2
それからこんなルールもあります。
・行き帰りは東京発だとかなり路線が選べる。以下のとおり。
(1) 東海道本線で米原、北陸本線で敦賀。
(2) 東海道本線で京都。
(3) 東海道本線で尼崎、福知山線で三田。
(4) 東海道本線・山陽本線で加古川、加古川線で谷川。
(5) 東海道本線・山陽本線で姫路、播但(ばんたん)線で寺前。
(6) 東海道本線・山陽本線で姫路、姫新(きしん)線で東津山、因美(いんび)線で鳥取。
(7) 東海道本線・山陽本線で岡山、津山線で津山、因美線で鳥取。
また、(3)~(7)の路線では名古屋~大阪を東海道本線の代わりに関西本線→大阪環状線(京橋まわりでも西九条まわりでも可)と進むことも可能である。
ただし東京からは、信越本線、北陸本線で敦賀に行く経路は認められていない。
また、東京→岡山→伯耆大山(ほうきだいせん)→鳥取と進む経路も認められていない。
その他、
・行き帰りは急行の自由席が利用可
・乗り放題エリア内では、特急・急行の自由席が利用可
感想
このワイド周遊券は、乗り放題エリアの大半を占める山陰本線に自由席つき特急が運行されており、周遊券には珍しく第三セクターの北近畿タンゴ鉄道が含まれていることからそれなりに使いやすい周遊券であったと言えます。
そんなわけでワイド周遊券の中では多少はお客の多いきっぷだったと思っています。
1998年4月1日から14年にわたって周遊きっぷの「北近畿ゾーン」として北近畿タンゴ鉄道に乗り放題であるルールを引き継いで販売されておりましたが、このきっぷも2012年3月31日をもって廃止になりました。もう北近畿タンゴ鉄道が乗り放題なきっぷはなさそうです。
現在
2015年3月31日に北近畿タンゴ鉄道は廃止され、2015年4月1日に「京都丹後鉄道」に引き継がれましたが、いまのところ京都丹後鉄道では北近畿ワイド周遊券並みにお得なきっぷは発売されていないようです。今後どうなるか注意深く見守る必要があります。
北陸ワイド周遊券
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基本1
以下の路線に乗り放題。ただし、出発日(周遊券の有効開始日)から一定の日数を経過した場合、寄り道せずにまっすぐ出発地に戻る必要があり、そうでない場合帰りの列車に乗る権利を放棄したことになる。
・北陸本線の敦賀~糸魚川間
・越美北線
・七尾線
・城端線
・氷見線
・大糸線の平岩~糸魚川間
「一定の日数」は出発地、および時代により異なりますが、ぼくが使った1998年の東京発は7日だったと思います。
基本2
それからこんなルールもあります。
・行き帰りは東京発だとかなり路線が選べる。以下のとおり。
(1) 高崎線。上越線で宮内まで行き、そこから信越本線で直江津、北陸本線で糸魚川。
新幹線で長岡に行ってそこから信越本線に行ってもいいが、長岡で下車する場合宮内~長岡の運賃の2倍を払う必要がある。なんでも長岡駅にはその目的専用のきっぷがあるらしい。
長岡で下車せず、中間改札のみ通る場合は払う必要はない。また、寝台特急北陸などの長岡を経由して越後湯沢方面から柏崎方面に直通する列車を使用する場合も払う必要はない。
(2) 中央本線で塩尻、篠ノ井線で松本、大糸線で平岩。
北陸ワイド周遊券が廃止される数年前、この区間が1年以上にわたって運休だったことがある。
その場合代行バスにはこの周遊券で乗れたと思うが、実際のところは定かではない。
(3) 東海道本線で岐阜、高山本線で富山。
(4) 東海道本線で米原、北陸本線で敦賀。
東京からは、東海道本線で京都に行き、湖西線で敦賀に入る経路は認められていない。また、中央線の塩尻から篠ノ井線、信越本線、北陸本線経由で糸魚川に入る経路も認められていない。
・行き帰りは急行の自由席が利用可
・乗り放題エリア内では、特急・急行の自由席が利用可
効力の変遷
その他、以下の路線は時代により異なる。
(5-1) 1997年9月まで
高崎線、信越本線で直江津まで行き、北陸本線で糸魚川。
(5-2) 1997年10月~1998年5月
高崎線で高崎、新幹線で長野、信越本線で直江津、北陸本線で糸魚川。
高崎~長野間は新幹線以外の経路は認められない。もちろん特急券は別に購入が必要である。
高崎~横川、篠ノ井~長野間のJR、横川~軽井沢間のJR関東バス、軽井沢~篠ノ井間のしなの鉄道を経由する場合、別途運賃を払う必要がある。
(1-2) 1997年3月~1998年5月
高崎線、上越線で六日町、ほくほく線で犀潟、信越本線で直江津、北陸本線で糸魚川、とまわる場合、ほくほく線の運賃を別途支払うよりも安い追加オプション券が必要となる。
ほくほく線は特急に必ず乗る必要はなく、普通列車に乗っても良い。
感想
このワイド周遊券は、乗り放題エリアの大半を占める北陸本線に自由席つき特急が運行されており、急行能登、急行きたぐにという行き帰りに使える自由席つき急行が運行されているので、たいへん使いやすい周遊券であったと言えます。
そんなわけでワイド周遊券の中では中堅どころといえるきっぷだったと思っています。
鹿児島・宮崎ミニ周遊券
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基本
以下の路線に乗り放題。ただし、出発日(周遊券の有効開始日)から一定の日数を経過した場合、寄り道せずにまっすぐ出発地に戻る必要があり、そうでない場合帰りの列車に乗る権利を放棄したことになる。
・日豊本線の宮崎~鹿児島間
・指宿枕崎線
・日南線
・吉都線
・肥薩線の吉松~隼人間
・若干のJR九州バス路線
・定期観光バス鹿児島市内Bコース(鬼籍)
ほかにも鹿児島本線の鹿児島~西鹿児島を含む一部区間や、日豊本線も宮崎から若干北の駅まで乗り放題エリアに入っていたと思いますが、忘れてしまいました。
「一定の日数」は出発地、および時代により異なりますが、ぼくが使った1997年は東京発が14日だったと思います。
それからこんなルールもあります。
・行き帰りは小倉まではほとんど東海道・山陽新幹線に沿ったコースしか使えず、小倉から先も鹿児島本線、日豊本線のほかは八代から吉松まで肥薩線に乗るルートしか選べない
・行き帰り、乗り放題エリア内ともに、急行の自由席ならば利用可
感想
以前は博多~西鹿児島間などに夜行の急行が走っていたので有効なルールだったのですが、これが特急ドリームつばめになり、あまり意味のないルールになってしまいました。残念なことに、たとえ今この周遊券が残っていたとしても、もう急行券なしで乗れる急行はありません。
とはいえ東京発の値段は東京都区内~西鹿児島間の往復割引運賃と比べても若干安く、寝台特急はやぶさに乗る時などには威力を発揮しておりました。
定期観光バスに乗れるのはこれと九州(ニュー)ワイド周遊券の3種類だけですので、時間に余裕があれば乗ってみたかったところでした。どこかのWebのページにこれらのきっぷの1つで定期観光バスに乗ったという旅行記が読めるかもしれません。
そんなわけでミニ周遊券の中では優等生といえるきっぷだったと思っています。
東京ミニ周遊券
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基本
以下の路線に乗り放題。ただし、出発日(周遊券の有効開始日)から一定の日数を経過した場合、寄り道せずにまっすぐ出発地に戻る必要があり、そうでない場合帰りの列車に乗る権利を放棄したことになる。
・東海道本線の東京~大船間
・東海道新幹線の東京~新横浜間
・中央本線の東京~高尾間
・八高線の八王子~拝島間
・埼京線の池袋~大宮間
・東北本線の東京~大宮間(上野~尾久~赤羽含む)
・常磐線の日暮里~取手間
・成田線の我孫子~成田~佐倉間
・総武本線の東京~佐倉間、御茶ノ水~錦糸町間
・外房線の千葉~蘇我間
・横須賀線
・根岸線
・横浜線
・南武線(尻手~浜川崎含む)
・鶴見線(支線含む)
・五日市線
・青梅線
・武蔵野線
・山手線
・京葉線
「一定の日数」は出発地、および時代により異なりますが、ぼくが使った1995年は静岡発が7日でした。
それからこんなルールもあります。
・行き帰りは静岡~大船間の東海道本線、静岡~新横浜の新幹線、もしくは東名高速道路のJRバスのうち任意の経路が選択可能
・行き帰り、乗り放題エリア内ともに、急行の自由席ならば利用可
感想
周遊券が廃止になる直前まで、東海道本線には急行東海が走っていました。自由席もついていたので東京ミニ周遊券だけで乗れました。
しかし1996年に急行東海は廃止され、かわりに特急東海が走るようになり、自由席特急券が必要になってしまいました。
特急東海はリクライニングシートこそつきましたが、急行東海より輪をかけて客の少ない列車になってしまいました。
それでも静岡から東京まで出ている高速バスはかなり快適なので、これに無事乗れて渋滞さえしなければ往復経路は問題ないと思います。
往復経路に工夫ができない周遊券でしたが、いざ自由周遊区間に入ってしまえば、広いエリア、多い電車数、多い観光スポット、それなりに長い有効期間が生かせるたいへん便利なきっぷでした。
そんなわけでミニ周遊券の中では優等生といえるきっぷだったと思っています。
東京ミニ周遊券廃止後15年使えていた周遊きっぷの東京ゾーンは、特急乗り放題になったとは言え、かなりの値上げになってしまっていたことが否めません。
そんな意味でもミニ周遊券でなくなったことが悔やまれるきっぷでした。
青森・十和田ミニ周遊券
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基本
以下の路線に乗り放題。ただし、出発日(周遊券の有効開始日)から一定の日数を経過した場合、寄り道せずにまっすぐ出発地に戻る必要があり、そうでない場合帰りの列車に乗る権利を放棄したことになる。
・東北本線の好摩~青森間
・奥羽本線の大館~青森間
・五能線の川部~深浦間
・花輪線
・大湊線
・津軽線
・若干のJR東北バス路線
ほかにも八戸線の八戸~本八戸を含む一部区間が乗り放題エリアに入っていたような気がしますが、忘れてしまいました。
「一定の日数」は出発地、および時代により異なりますが、ぼくが使った1995年は東京発が7日か10日のいずれかだったと思います。
それからこんなルールもあります。
・行き帰りは東北本線、常磐線+東北本線、東北本線+奥羽本線、高崎線+上越線+信越本線(+白新線)+羽越本線+奥羽本線(+五能線)の任意の経路が選択可能
・行き帰り、乗り放題エリア内ともに、急行の自由席ならば利用可
感想
このミニ周遊券が廃止になる数年前までは、上野~青森間に夜行の急行が走っていたので有効なルールだったのですが、これが季節列車になり、さらに廃止されてあまり意味のないルールになってしまいました。
とはいえ青森と十和田湖を結ぶJRバスに乗れるのが大きな魅力でした。
そんなわけでミニ周遊券の中では優等生といえるきっぷだったと思っています。
一般周遊券
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基本1
乗り放題エリアがあるきっぷではありません。条件を満たすとJRの鉄道線の運賃が2割引、その他の交通機関の運賃が1割引になるきっぷでした。
条件とは以下の通りでした。
(1) JRに201km以上乗車する。
(2) 経路が連続している。
(3) 出発地に戻ってくる。
(4) JRの他には、「経由社線」、「指定地接続線」と呼ばれる交通機関のみ使用している。
(5) 「周遊指定地」と呼ばれる特別の場所(たいていはバスで行く場所)を2か所以上通る。
基本2
それからこんなルールもありました。
・国鉄がルールを決めたJRのきっぷではあるが、JRでは買えず、旅行会社で買う必要がある。
・しかもすぐできるわけではなく、申し込んで2週間とか1ヶ月とかたたないと完成しないきっぷである。
逆に言うと他のきっぷのように1ヶ月前でないと買えないわけではなく、受け取るのが1ヶ月前ならば申し込みは2ヶ月前でも良い。
・そのかわり有効期間も1ヶ月と長い。
感想
お得なきっぷの中では買うのが困難なきっぷでした。いや、もう、ほんとむずかしかったんです。
それだけに受け取って手にすると、ぞ~くぞっくしたものでした。
これだけじゃむずかしいと思います。具体的な例とルールはそれぞれの旅行記の所で説明します。
あまりにむずかしいきっぷですので、廃止されてもそれほど惜しいとは思いませんが、なんとな~く安くどこかに行く方法を考えた時に、あ、そうか、一般周遊券って廃止されたんだっけ、と思い出すことがあるきっぷです。とりあえず、死んだ子の年を数えると思って読んでみてください。