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Sorry, Japanese only! (1996年4月その1)

48.淡墨桜が咲いてない

説明

1996年も3月が終わり、4月になりました。青春18きっぷはこの春から1枚つづりで5回分というきっぷにルールが変更になってしまっています。だから5回旅行しようと考えました。

5回のうち3回は、大垣行きの夜行に乗ろうと思いました。うち1回は名古屋の地下鉄などに乗る旅行、さらに1回は名松線(めいしょうせん)と近鉄伊賀線に乗る旅行にしました。そして残り1回になったところで4月を迎えました。

名古屋近郊の私鉄にはだいぶ乗っています。あと残った場所の1つとして、樽見鉄道(たるみてつどう)に乗ろうと思いました。

時刻表を見ると、なんだかぼくが乗る4月第一週の土曜日は臨時列車がたくさん走っているようです。どうやら「観桜ダイヤ」のようで、なんでも終点樽見の近くで桜が見られることをあてこんだダイヤになっているようです。

臨時列車が走っているくらいだから桜が見られるのかなと思い、乗りに行こうと思いました。それから、あと乗っていない場所としては大垣からJRが美濃赤坂という所まで出ていて、もちろんJRなので青春18きっぷで乗れるようです。よし、大垣からまずこれに乗って、美濃赤坂から大垣に戻って樽見鉄道に乗ろうと思いました。

前の週の名松線に乗った際にムーンライトながらに小田原から乗りましたがすわれなかったので、今度は品川に行って臨時の大垣行きに乗ろうと思いました。

このようにして、約1ヶ月ぶりに品川に向かったのです。

東海道本線その1

品川駅

山手線の電車は、無事品川駅に到着した。

品川駅に来るのも約1ヶ月ぶりだ。あの時はまだムーンライトながらが走り出す前だったので、品川駅の臨時ホームからは大垣行きが2本出ていた。
しかしムーンライトながらは東京が始発だ。だから品川駅では横須賀線に近い方のホームに停車する。臨時ホームからは今日乗る臨時の大垣行きしか出なくなった。

臨時ホームに行ってみると、確かに1ヶ月前に比べて客は少ないようだ。かなりの人は小田急で小田原に行くか、ムーンライトながらの1本前の電車で小田原に行ってながらに乗るのだろう。とりあえず適当な場所に並んで待つ。

だんだん人が集まってきた。そして入線時刻になる。午後11時半過ぎになってようやく入線してくるのだ。電車が田町の方向からやってくる。
あれ?なんと、電車はぼくの前を通り過ぎ、だいぶ前の方で停まった!最後尾が数メートル川崎寄りだ!

ムーンライトながらが走り始める前は11両あった臨時の大垣行きは、ムーンライトながらができてから8両に減らされてしまっているのだ。そしてけっこう前の方に停車する。こりゃつらい。
なんとか待っている人たちのうしろに並んで乗り込んだが、どうやら席はいっぱいのようだ。先週につづいてきょうも大垣行きで立つことになってしまった。

まあ、この車両は最後尾の車掌のいる場所の前なので若干デッキが広く、デッキには当初ぼくしか客がいなかったし、車掌室とドアの間に窓もあったので、窓のそばに立つことにした。
しかし、発車が近づくとあとからあとから客が乗ってくる。なにしろ、ムーンライトながらも9両しかないから、小田原でムーンライトながらに追いついてもすわれないことがわかっている人たちはこっちの電車に乗るわけだ。そしてムーンライトながらに追いつく最終の電車が行ってしまい、この電車しか乗る電車がなくなってからはなおさらデッキが混雑してきた。


発車

横須賀線のとなりの方のホームにムーンライトながらの車両が着き、発車していく。するとさらにこっちの電車に客が乗ってきた。なにしろこっちの電車ももうすぐ発車で、ホーム下通路からだとここの位置で乗っておかないと間に合わないのだ。そして発車。

満員電車は品川を発車していく。川崎、横浜と停車し、降りる人もいるが乗ってくる人が同じくらいいる。

男「ちょっとごめんねー。」
ぼくの目の前の窓にうしろから手がかかり、窓を開けた。
男「そこだとわからないけど、こっちの方は室温40度くらいになっているんだよ。だから窓を開けないと暑すぎるんだ。」

なるほど、そんなものなのか。そう言えば1月にムーンライト松山に乗った時、暖房が暑すぎると言って車掌を殴った客がいたっけなあと思い出した。この車両も暖房が効きすぎるのだろう。

それでも大船、藤沢を過ぎるとだんだんと客が減っていき、小田原で落ち着いた。窓も閉められた。
車掌が出てきた。先月と同様に、川崎までのきっぷと青春18きっぷを見せて、18きっぷの5日目のところにボールペンで日付を入れてもらう。
あまり時間がないらしく、ぼくのいるところの客だけ日付を入れると車掌は引っ込んでしまう。

今立っている客はほとんど名古屋近辺まで行く客のようだ。もうおそらく席は名古屋まで空かないだろう。


会話1

男「でね、この電車は大垣っていうところまで行くんだ。大垣っていうのは名古屋の西で、岐阜県にあるんだ。」

なにやら話し声が聞こえる。なんと、鉄道ファンらしき若い男が、若い女の子たち数人にこの電車に関する話をしているようなのだ。どういうわけか、女の子たちは男の話を興味深げに聞いている。どうやら男と女の子たちは別に知り合いというわけでもなく、初めて会ったばかりのようだ。
別にうるさいから黙れという人もいないようだ。ぼくもこの若い男が何を話すのか興味があったので黙れとは言わないことにした。なにしろひとばんじゅう照明を消さない電車だ。多少ならおしゃべりしてもいいはずなのだ。ただし禁煙なのでたばこだけは吸わないでほしいものだ。吸いたければムーンライトながらの2号車・5号車・8号車に行ってほしいものだ。

男の話は続く。
男「大垣行きにはもう1本あって、ムーンライトながらっていうんだ。今乗っているこの電車は臨時列車で、ムーンライトながらっていうのは毎日走る電車なんだ。」
ぼくは男の話を聞いていたが、もし『事実と違う』ことを言ったらすかさずつっこもうと思っていた。そして・・・

男「こっちの臨時列車は浜松でもうムーンライトながらの方を追い抜くんだ。」
ぼくは、いけすかないその男に向かって言った。
ぼく「違う!先月ムーンライトながらが出るまでは追い抜く駅は浜松だったけど、ムーンライトながらが走り初めてから、追い抜く駅は豊橋になった!」

いかん、プライドを傷つけることを言ってしまった、去年の8月に大垣行きに居あわせた人みたいにこわい人だったらどうしよう。
その男は、
男「うーん・・・まあ・・・豊橋になったみたいだ。」
しかし彼はめげないやつだった。


会話2

男「ここの上の方に番号が書いてあるんだ。『車番(しゃばん)』って言うんだけどね。ぼくはこれを見ると、この車両が何年前に製造されたかわかるんだ。この車両が製造されたのは、昭和30年代だね。製造されてからもう30年以上だね。」
女の子たちはふーんと感心している。
ぼく「時刻表に書いていないことはわかんねえ・・・」

女の子たちが彼について話している。
女の子1「すごいわねえ」
女の子2「鉄道について詳しいって感じよねえ」
女の子1「ちょっとぬけがあるけどやっぱりすごいわねえ」

この電車は天下の品川発大垣行き夜行である。
そんな夜行に乗るくらいだから、女の子たちも鉄道に理解ある人たちなのである。
男の話をうざいとも思わずに聞いているくらいだからいい人たちなのだろう。

それにしても、車番を見ただけで車両の製造年がわかるとは思わなかった。こういうやつって多いんだろうか?
まあ、ぼくみたいに就職してから、アイドルを見に行くなどという目的のために鉄道に乗り、ついでに鉄道を好きになるような人よりも、子供のころから鉄道が好きだった人の方が多いだろうから、彼みたいなやつは多いのかもしれない。
去年南部縦貫鉄道で見かけたような、鉄道に乗らずに写真ばかり撮っているやつらに比べたら、ぼくと彼は同じ側の人間ということになるんだろう。


浜松~大垣

電車は浜松に着いた。ホームの向かいにはムーンライトながらが見える。先週は向こうからこっちの臨時大垣行きを見ていたことになる。

さて、トイレにでも行こう。ムーンライトながらの方が先に発車するから、こっちの電車はしばらくは停車している。改札の外のコンビニに行く時間はなさそうだが、改札内のトイレには行けるだろう。
なんとかトイレに行き、同じ場所に戻ってきた。しばらくすると発車である。

男と女の子たちは、ゆかにすわって寝るようだ。ぼくもすわって寝ることにする。

目が覚めた。もう明るくなっている。春分の日を過ぎているので、6時はもう明るいのだ。時刻からしてもう名古屋を過ぎているようだ。
眠る前にいた男や女の子たちは見あたらない。名古屋で降りたか、空いている座席に行ったんだろう。
車内を見回してみたが、空いている席も見あたらない。このままデッキですごすことにする。

そう言えば名古屋から先はふだん岡崎始発の米原行きですごす場所である。2列席のいい電車である。
そんな場所を、ボックス席ばかりの電車が走り抜けていくのはとても違和感がある。まあ、ぼくが乗っていなかっただけで、ずっと走り続けてきた電車なんだろうけど。

電車は家並みがまばらな中を走り抜け、岐阜に着いた。しかしここのデッキで降りる客はいない。そりゃそうか。ここは最後尾で、出口からは遠い所だし。
岐阜を出るとやや山が多くなる風景になる。そして終点、大垣に到着である。何度か通ってきた場所だが、品川から直接大垣入りするのはきょうが初めてである。


大垣駅

電車は1番線の、壁のとなりのホームに到着する。米原の方に行く電車に乗り換えるには階段をのぼっておりる必要があるようだ。だから降りた客はみんな前方の階段に殺到しているようだ。

それにしてもすごい人の数だ。今までずっと大垣行き夜行は岡崎や名古屋で降りていたが、大垣まで乗る人って多いんだなあ。しかもいつも大垣では階段をのぼっておりる必要があるのか。

でもまあぼくは美濃赤坂行きに乗ればいいし、ゆっくり階段を上がった。さあ、美濃赤坂行きの出るホームはどこだ?
なんと品川から乗ってきた電車が着いたそのホームだった。まあしかたがないかとのぼってきた階段をおりる。そして待つ。

そのうちムーンライトながらがやってきた。やっぱりここのホームだ。客が降り、どやどやと階段に向かって進み、のぼっていく。お客がホームからいなくなり、閑散とする。


大垣~美濃赤坂

そしてようやく美濃赤坂行きの電車がやってきた。今まで乗ってきた電車と比べるとずいぶんと短い編成だが、それでも何両か連結している。まあ、電車って言うのはたいてい1両じゃ動かないからなあ。

乗ってみたが客はわずかである。東京からやってきた客もいないようだ。そして発車。
電車はしばらく関ヶ原に向かう電車といっしょの所を走っていたが、そのうちレールが右に分岐していく。
去年の4月に寝台特急さくらに乗った時、大垣から関ヶ原までは垂井(たるい)を通らない線路を通ったが、もちろんその時に右に分岐した場所よりは手前で分岐するのだ。

電車は家並みもまばらな場所を通り、やがて終点、美濃赤坂に到着した。とりあえずいったんは改札を出てみよう。


美濃赤坂~大垣

電車を降り、改札で青春18きっぷを見せようとするが、ここの駅は無人駅であった。うーん、いちおうここも東海道本線なのだが、まあ無人駅にしてもいいくらいの扱いなのだろう。

駅のまわりを見てみた。「日本旅行」という看板が見えた。こんな駅でも旅行会社があるのだ。どんな客がいるのかわからないが、まあそれなりに客がいるから支店があるのだろう。

折り返しの大垣行きまでそんなに時間がないので、それだけ見て電車に戻る。そしてまた発車。
たちまち電車は大垣に戻ってきた。

さあ、いよいよ樽見鉄道だ。きっぷはどこで買えばいいのだろう。やっぱりいったん改札を出た方がいいかなあと思い、階段を上がってスタンプとボールペンの日付が合わせて5個分ある青春18きっぷを取り出した。

樽見鉄道その1

大垣~樽見

美濃赤坂から乗ってきた電車を降り、階段を上がる。

臨時大垣行き夜行で、青春18きっぷにボールペンで日付が書かれているのでそのまま18きっぷを見せて改札を通る。さて、樽見鉄道のきっぷはどこで買えばいいのかな?

自動券売機はないようだ。ためしに窓口で樽見まできっぷをたのんでみたら無事買えた。
大垣駅前はお店も少ないようだし、すぐにきっぷを見せて改札を通った。

樽見鉄道のホームは東海道本線のホームのとなりのホームだ。
良く見るとホームでもきっぷを売っているようだ。ここで買えば良かったか。

しばらく待つとディーゼル車がやってきた。多少古めの、どこにでもあるようなディーゼル車だった。ここ2年ほど新型のディーゼル車に乗る機会が多いが、古いディーゼル車もけっこう多い。
もっと客が多いかと思っていたが、思ったほどのこともなく、楽にすわれた。やっぱり名古屋近郊は車社会なのだろうとこの時は思っていた。そのうち発車だ。

ディーゼル車はいったん岐阜駅の方向に進んでいき、そのうち左に分岐していく。
確かに左右に山々はあるのだが、それなりに平野の広さは保たれている感じの沿線の景色である。鉄道が残るくらいだからそれなりに住む人はいるのだろう。

あとで知ったことなのだが、このあたりには断層があるとのことだ。もっとも日本中に断層はあるだろうし、めずらしいものでもないだろうと思っている。

そんなふうにして1時間ばかりが過ぎ、いよいよ終点樽見に到着である。


徒労

さて、駅前に案内図でもないだろうか。あった。
どうやらめざす「淡墨桜(うすずみざくら)」は、駅から坂をのぼっていったところにあるらしい。まずは進もう。

てくてく進む。あまり人通りが多くないなあ。そんなに有名じゃない場所なのかなあ。
そしてたっぷりと坂をのぼり、森に来た。
あれまあ、ここの木々、桜だ。そして全く咲いていない。

時刻表に臨時列車が出るくらいだからてっきり桜が咲いているのかと思ったのに。

森の中の広場は、わずかなおじさんたちがくつろいでいるだけであった。

たとえ臨時列車が出ていても桜が咲いているわけではないということがわかった。なんともやるせないものである。
そりあえずここにいても仕方がない。まあ、樽見鉄道には乗れたし、こんなもんでいいのかもしれない。さあ、樽見駅に戻ろう。

樽見鉄道その2

旅行記本文

桜が全く咲いていない淡墨桜(うすずみざくら)をあとにして、樽見駅までとぼとぼ歩く。もちろんぼくみたいに桜もないのにやってくる人は少なく、歩く人も全然いない。

名古屋近郊の人たちは、テレビとか見てきょう樽見に桜が咲いていないことがわかるので桜の名所には行かないのだろう。やっぱり桜はねらって見るものじゃないんだろうなあ。

なんとか樽見駅に戻ってきた。大垣まできっぷを買う。

改札を通ると、今度の列車がやってきた。桜が全く咲いていないけど、時刻表に臨時ダイヤとして列車を載せている限り、臨時列車を運行しなければならないのだ。どうやら今度の列車は臨時列車らしい。

乗ってみると、けっこう豪華な列車だった。
全席ボックス席だ。木でできた座席である。そんな車両が何両もつながっているけど、悲しいかな客が全然いない。哀れである。

そして発車。エンジン音が全然聞こえないので、どうやら客車らしい。
こんな客車を動かすんじゃ、相当費用がかかるだろう。それなのにお客がいないなんてつらいなあ。桜がいつ咲くか、鉄道会社も全然わからないんだろうなあ。

行きと同じ、森とわずかな平地に囲まれた景色を見ながらすごすが、さすがに品川から大垣まで全然すわれなかったのが響いて、ぐっすり眠ってしまった。起きると大垣寸前だった。そして大垣到着。客車を降りて階段を上がる。特にきっぷを渡す必要もないようだ。

ぼくがこれからどうするか考えてみた。

東海道本線その2

旅行記本文

樽見から乗ってきた臨時の客車を大垣で降りた。すっかり徒労になってしまった。

さてこれからどうしよう。もう名古屋近辺の私鉄はすっかり乗ってしまった。あと残っているのは三重県の方の電車だが、これはまた別の日に乗りたい。
名鉄の河和に行く電車が残っているが、これも武豊まで行くのがめんどうだ。

そうだ、豊橋に市電が走っている。三河田原から新豊橋なら去年10月に乗ったけど、市電の方はまだ乗っていない。けっこう時間があるし、市電に乗ってもきょうじゅうに東京に帰れるだろう。

最近のダイヤでは、浜松の方に行く電車は豊橋始発でないので、豊橋行きの新快速から乗り換えるには、新快速がどの駅で浜松行きを追い抜くか調べて、追い抜く駅で乗り換える必要があってめんどうだったが、豊橋が目的地ならそんな心配せずに終点まで乗ればいい。

大垣に入線してきた電車に乗り、安心して眠る。樽見鉄道でもかなり眠ったけど、豊橋行きでも眠った。なにしろきのうは大垣行き夜行ですわれなかったからだ。
起きると名古屋を過ぎていて、客も少なくなっていた。そして山が左手に見える景色をずっと見て、終点豊橋に到着した。

青春18きっぷを見せて改札を通った。さあ、市電のホームはどこだろう。

豊橋鉄道・市電

豊橋駅前~赤岩口

大垣から乗ってきた新快速を豊橋で降りて、改札を通った。見渡すと、駅前広場のむこうに市電の停留所らしき安全地帯が見える。そしてレールが続いている。あそこに行こう。
広場を渡って、さらに横断歩道を渡り、なんとか安全地帯にやってきた。豊橋駅前なのに、ふきさらしで、安全地帯以外きっぷ売り場とかもない場所である。

市電がやってきた。降りる客がいて、降りきったあとに乗り込む。なんとかすわれたが立つ人もいる。

この電車は「赤岩口」行きである。豊橋の市電はふたまたに分かれていて、片方の終点が赤岩口で、もう片方が「運動公園前」というそうだ。それほど離れていないようなので、まず赤岩口に行き、運動公園前まで歩いて、そこからまた市電で豊橋駅前に戻って来よう。

電車は発車する。豊橋はけっこう大きな都市だ。とは言っても道路の中央に線路を引いても渋滞するほど車があるわけではない。
やっぱり住むなら市電が通るくらいの都市が一番住み良いなあと感じる。だんだん家並みがまばらになっていく。

終点の直前らしき場所に市電の営業所っぽい建物があった。豊橋の市電はここが運転手の基地になっているようだ。さらに進む。
そしてレールが分岐する地点に来た。右に曲がると運動公園前のようだ。この電車はまっすぐ進む。お客はすっかり降りており、もう5人もいない。

そして終点、赤岩口だ。運賃を払って降りる。やっぱり何もないふきさらしの安全地帯である。そしてまわりにも全然お店とかない場所である。なぜこんな場所が終点なのかわからないが、いろいろ事情があるのだろう。


赤岩口~運動公園前

さあ、運動公園前に行こう。市電のレール沿いに進む。多少は距離があるが、市電は停留所の間隔がそれほどあいていないのですぐに分岐点まで来た。レールに沿って左に曲がる。
どちらかと言うと運動公園前の方がにぎやかな感じがする道路である。赤岩口から分岐点までかかったのと同じくらいの時間歩くとどうやら終点の運動公園前のようである。

運動公園前の停留所自体はやはりふきさらしの安全地帯なのであるが、停留所のすぐそばに「8番らーめん」というお店があった。そう言えばまだ昼飯を食べていない。よし、ここでラーメンセットでもたのもう。
店に入り、ラーメンセットをたのむ。去年11月に30分も待たされた福島県の飯坂温泉駅の近くの食堂みたいなことにならなければいいが、たぶんそこと違ってこういう店は出前とかやっていないだろうからそんなに時間はかからないような気がする。

注文して、ふと厨房を見ると、ものすごい景色が見えた。

なんと、中華なべがひとりでに回っているのだ!

中華なべが45度くらいの角度で傾いている。そして傾いたまま、ぐるぐるとひとりでに回っている。機械式だ。

中華なべの中身はチャーハンらしい。つまり、チャーハンをいいぐあいで炒めるため、普通は料理人がなべを振るものだが、それを機械にまかせてしまうわけである。

いや、すごい。はじめて見た。きょうはラーメンセットだが、もし次に8番らーめんに来ることがあったらチャーハンをたのんでみよう。

ラーメンセットがやってきた。きょうもうまいラーメンである。ごはんもうまい。やはり旅行先のたのしみは食事だからなあ。ごちそうさま。


運動公園前~豊橋駅前

店を出て安全地帯に出る。待っている客はほんの2、3人である。
しばらく待つと電車がやってきた、降りる客も2、3人である。乗ってしばらく待つ。やがて発車。

分岐点に来て、左に曲がる。しばらくすると営業所に来て、ここで運転手が交替する。

あとはどんどん客が乗っていき、立ち客が出た。やっぱりこのくらい客が乗らないとつぶれてしまうだろう。そして無事豊橋駅前に到着。
いい電車だったなあと思った。まだお昼をちょっとまわったばかりだし、今から東京に帰れば先週より早い時刻に東京に帰れるだろう。さあ、JRの電車に乗ろう。

東海道本線その3

旅行記本文

運動公園前から乗ってきた市電を豊橋駅前で降りた。まずはJRの駅に行こう。

横断歩道を渡って、駅に入った。青春18きっぷを見せて改札を通り、階段を上がっておりて浜松方面の電車の出るホームに向かう。

この春の、スタンプを押す場所が5個ついた青春18きっぷも、きょうで使いおさめとなった。とても不便なきっぷになってしまったものだ。もとの5枚組のきっぷに戻る日はあるのかなあと思いながら、やってきた電車に乗る。豊橋から乗るとすわれない浜松行きの電車である。

浜松まではすわれなかったが、そこから先はなんとかすわれた。先週は静岡で東京行きを待って乗ったが、きょうは多少時間が早いので、熱海まで行ってしまおう。

この春は、1枚になってしまった青春18きっぷで、一気に5回旅行してしまった。もしずっとこんなきっぷのままだと大変だなあと思いながら東京に向かった。あしたはお昼まで眠ろう。

来週は青春18きっぷが使えないが、一般周遊券の旅が待っている。今度新しくできた新幹線「のぞみ」に乗る予定だ。

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