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Sorry, Japanese only! (1995年10月その2)

33.高速バスと上信電鉄と秩父鉄道

説明

背景

1995年は北は青森、西は山口など、いろいろなところの鉄道に乗った年でした。JRばかりでなく私鉄にもいろいろ乗っていました。

さて、東京から離れた私鉄はともかく、近郊の私鉄でまた乗ったことがないところはないかな、と考えたところ、群馬県にある上信電鉄(じょうしんでんてつ)にまだ乗っていないなあと思いました。

埼玉県の秩父鉄道(ちちぶてつどう)にも熊谷(くまがや)~三峰口(みつみねぐち)には乗ったけど羽生(はにゅう)~熊谷には乗っていないからついでに乗ろうと思いました。


計画

さて、上信電鉄とはとても運賃の高い鉄道会社と聞いたことがあります。できれば片道だけ乗って、もう片道は別の手段で下仁田(しもにた。上信電鉄の終点)まで行きたいなあと思いながら時刻表を見たところ、高速バスのページに、下仁田を経由するバスがあることに気が付きました。

西武バス・西武高原バスの路線で、池袋から軽井沢の方に行く高速バスが下仁田に停車するように書いてあるのです。これに乗って池袋から下仁田に行ければ、少なくとも上信電鉄には片道だけ乗ればいいことになります。

なにしろ、東京と長野を結ぶ高速道路は信越本線とは多少違う場所を通っていて、藤岡から松井田までは上信電鉄に沿って進んでいるのです。だから軽井沢に向かう高速バスは途中下仁田に停車することにしたのでしょう。

問題はこの下仁田停留所が上信電鉄の下仁田駅からどのくらい離れているかです。なにしろ高速道路の下仁田インターチェンジは多少下仁田駅から離れているのです。

たぶんバスが停車するところはインターチェンジ近くでしょう。下仁田駅まではかなり歩きそうですが、昼間だしなんとかなるんじゃないかと思いました。

よし、行きに池袋から下仁田までバスに乗り、上信電鉄で高崎に行き、高崎から高崎線で熊谷に向かい、羽生に出た後は業平橋(なりひらばし)まで東武伊勢崎線に乗って、散歩してから地下鉄で帰ろうと計画しました。

業平橋で降りるわけは、去年大宮から春日部(かすかべ)経由で業平橋に行き散歩したときに、かわいいねこを見つけたからです。あのねこにもう一度会えたら会いたいのでまた降りることにしました。

もし上信電鉄を往復するならホリデーパス+高崎~熊谷の乗車券×2の方が便利ですが、片道ですのでホリデーパスは使わないことにします。


予約

そんなわけでまずバスの予約です。時刻表の西武のバスの電話番号に電話してもいつも話し中です。

ですので池袋に行きました。そして駅の中をさまよったら無事西武バスの窓口を見つけ、下仁田までのバスの券を買うことができました。

そして後日、朝早く池袋に向かい、「はじめての高速バス」に書いてあったとおり、東口を出て交差点を渡り、軽井沢方面のバス乗り場にやってきたのです。

バス・池袋~下仁田

池袋

とある休日、ぼくは池袋駅から東に出ると交差点を渡り、「はじめての高速バス」の書籍に掲載されている西武のバスの乗り場にやってきた。

そこはお客でごった返していた。とは言っても屋根とかあるわけではない。普通のバス停だ。ただし近距離の都営バスは停車しない。

そしてお客は大きなスーツケースを持っている人がけっこういる。ぼくが今まで乗ってきた高速バス、新宿の京王系のバスターミナル、東京駅の八重洲のバスターミナルみたいな感じだ。

このバス停からは新潟行きのバスも出ている。まず新潟行きが来るようだ。バスがやってきた。高速バスっぽい車両だ。停車し、ドアが開く。

いつものようにお客は荷物を預け、チケットを渡してバスに乗り込んでいく。新潟には新幹線で行くのが普通かと思っていたが、こんなにバスに乗る人がいるとは思わなかった。夜行ならともかく昼間のバスにこんなに客がいるなんてすごい。

よく快速ムーンライト(快速ムーンライトえちごの1995年当時の名称)ができた理由として「夜行高速バスからお客を奪うため」とか本に書いてあったような気がするが、今ひとつ夜行高速バスの人気というものがつかめなかった。

でも昼間のバスでさえ満席になるくらいなのだ。やっぱり人気があるのだろう。全員を乗せるとバスが発車していく。


発車

さていよいよ下仁田を経由するバスがやってきた。新潟行きもかなり客がいたが、こちらもたくさん客がいるようだ。バスが停車し、運転手が降りてチケットを受け取り、荷物を預かってトランクに入れていく。

ぼくは日帰りなのでたいした荷物もなく、預けることはない。そのままチケットを渡して乗り込み、席にすわる。通路側だ。下仁田で降りるので通路側の方がいい。

結局満席になったようだ。いよいよ出発。ふだん使ったことのない交通機関はいいなあ。

バスはてっきり首都高に上がるのかと思っていたが、なぜか出発すると南に向かい、山手線のガードをくぐって一般道を西に向かっていく。

確かに池袋を通る首都高はまっすぐ関越自動車道の練馬インターチェンジに向かっているわけではないので、練馬に向かうなら一般道を通るのが普通なのだろう。そのまま進んでいく。

いろいろ進んでから、ようやくインターチェンジを通る。そしてスピードを上げていく。


関越

関越自動車道に乗ったことは2回ある。ぼくは車を持っていないので、バスの団体旅行だった。どちらも会社のスキー旅行だ。

1回目は4年前、万座(まんざ)に行った。
2回目はおととし菅平(すがだいら)に行った。

だから1回目は練馬から渋川(しぶかわ)のあたりまで行ってそこから関越をおりて向かっている。
2回目はたぶん碓氷峠を通ったはずなので、藤岡か前橋のあたりで関越をおりたはずだ。

でも行きは夜中なので眠っていたし、帰りは昼間だけどやはりほとんど眠っていた。きょうは区間も短いし、眠らずに景色を見ていたい。


休憩

1995年の話に戻る。関越自動車道の埼玉県の区間はあまり見通しの良くない区間だ。谷間を進むような感じなのだ。

高崎線と八高線の間を走るはずで、どちらも鉄道から見る分には景色のいいところなのに、ながめが悪いのではしかたない。でもこういう道路の方が、維持管理する分にはいいのかもしれない。バスは進む。

スキー旅行では高坂(たかさか)サービスエリアで休憩したはずだが、このバスはそこでは休憩しないようだ。これから軽井沢まで進むんだから、そんなに休憩したら休憩し過ぎだろう。バスは谷間を進む。

だんだん見通しが良くなってきた。群馬県が近づいたのだ。埼玉県も西の方に山は多いが、群馬県は高い山がもっと多い。そんなわけで高い山が遠くに見えるようになってくる。

と思ったところでサービスエリアに停車だと言う。上里(かみさと)サービスエリアだ。あとで地図を見たら埼玉と群馬の県境付近だった。とりあえずこういうところではトイレに行っておかなければならないだろう。財布を持ってバスを降りる。トイレに行こう。

トイレに行って戻る。スキー旅行のときは自分が乗ってきたバスがなかなか見つからなかったが、今は昼間なので無事見つかる。バスに乗ってふたたび発車。


下仁田の停留所

しばらく進むと長野県に向かうジャンクションを左に曲がっていく。

菅平に行ったときに信越本線沿いも通ったはずだけどこのあたりは通ったかなと思ったが、確かまだ藤岡より西の上信越道が開通していなかったような気がするので、安中のあたりの一般道を通ったのかもしれない。バスは西に向きを変える。

バスは南北に山が見える場所を進んでいく。おそらくすぐ近くにきょう乗るはずの上信電鉄が通っているはずだ。

このあたりは1月に家族と行ったわたらせ渓谷鐵道みたいな渓谷かと思っていたが、それほど山が迫っているわけでもない。多少広めの平野である。高速道路を通すにはいいかもしれない。

さあ、もうすぐ下車する場所だ。ぼくは夏休み前に一度ためしに乗ってみた東名高速道路の東名江田(とうめいえだ)の高速バス停留所みたいに、高速道路のわきにバス停みたいな施設があって寄っていくんじゃないかと思っていた。

しかしなぜかバスはインターチェンジを通る。そして一般道をしばらく進んでいく。

そしてドライブインみたいな施設の駐車場に停車した。そこが下仁田の降車場所だと言う。とにかく荷物をまとめてバスを降りる。うーん、ドライブインと言うには小さな場所で、上里のサービスエリアの方がずっと大きい。

いっしょに降りた客はわずか2~3人である。まあこんなもんだろう。バスは走り去っていく。インターチェンジ経由で軽井沢に向かうのだろう。

なぜここに停車するのかわからないが、それなりに使う客がいるのかもしれない。いろいろたいへんだなあ。


駅を探す

さあ、上信電鉄の下仁田駅はどこだろう。地図では下仁田インターチェンジは変な駅名で有名な南蛇井(なんじゃい)駅の近くみたいだし、南蛇井から下仁田までは2、3駅あったはずだから、とにかく西に歩いてみよう。午前中で明るいからなんとかなるだろう。てくてく歩く。

けっこうな大通りを歩いていると、だんだん左右の山と山の間がせまくなってきた。川が見える。

そして森の中に?お、あれは電車だ。ということはあれが上信電鉄の電車か。とりあえず道は間違っていないようだ。道路の案内にもちゃんと「下仁田」と書いてある。

さらに進むと「集落」に入っていく。まあ、駅なんだから街なんだろう。そして終点だからこれ以上進めないわけだ。集落に入り、駅を探す。

あった。確かに下仁田駅だ。無事それほど時間もかからずに到着できた。上信電鉄は1時間に1本以上電車があるし、事故がない限りきょうは無事予定通り進めそうだ。ぼくは高崎まできっぷを買おうと駅に入っていった。

上信電鉄

発車

池袋から乗ってきたバスを下仁田(しもにた)近くの停留所で降り、何キロか歩いてようやく上信電鉄の下仁田駅までやってきた。まずは高崎まできっぷを買う。

そして改札を通り、電車に乗る。閑散としている電車のようだ。しばらく待つと電車が発車する。

電車が発車すると森の中に入っていく。確かに下仁田まで歩く途中、森の中に電車が見えた。そこを進んでいるのだろう。

でもそのうち森を抜け、盆地と言うより平野といった感じの場所に電車は入っていく。そしてそのまま進む。

つい数時間前まで乗っていたバスは高速道路を通っていた。しかも上信電鉄のすぐ近くを通っているように地図には書いてある。

だからこれから高崎まで見える景色もほとんどさっき見た景色と同じだろう。実はぼくは上信電鉄の景色は、ことし1月に家族と間藤(まとう)まで乗ったわたらせ渓谷鐵道みたいな、山が左右に迫った景色なんじゃないかと思っていた。

同じ群馬でも、上信電鉄の方は山と言っても小高い山で、林が遠くに見えるだけといった景色である。川はところどころ渡ったりすることはある。


到着

そんなのどかな景色の中を電車は進んでいく。お客は少ない。時刻表を見る限り運賃の高い鉄道だから自家用車のある人は使わないだろうなあと思う。長い距離の定期券だと下宿した方が安上がりかもしれない。

それでも高崎が近づくと建物が増えてきた。さすがに高崎は大きな都市だ。そして高崎市内の駅ではけっこう乗り降りがある。やっぱり運賃が高いと短距離利用が多いんだろうなあ。

そしてさらに建物が増えて都会になり、終点の高崎駅へと電車はすべりこんでいった。事故もなく遅れずに電車は走ってくれた。電車を降りる。これで群馬県の鉄道にはすべて乗ったことになる。

さあ、次は秩父鉄道だ。まずは高崎線で熊谷に行かなければならない。まずは改札を通ってJRのきっぷを買おう。ぼくは改札に向かった。

高崎線

旅行記本文

下仁田(しもにた)から乗ってきた電車を高崎で降りて階段をのぼり、上信電鉄のきっぷを渡して改札を通る。自動券売機に向かい、熊谷までのきっぷを買う。

高崎はあまり降りる駅ではない。以前小海線に乗りに行く時、小諸(こもろ)に向かう普通列車まで時間があったので降りて本屋で立ち読みしたくらいだ。きっぷを買ったので改札に入る。

4月に急行能登に乗ったとき、上田のあたりでは新幹線の高架がすっかりでき上がっていた。完成すると青春18きっぷだけで小諸とかには行けなくなるから今のうちに行っておかなければならないがあとどれくらい行けるだろう。そんなことを考えながら上野行きに乗ると発車。

乗り慣れた電車ですんなり埼玉に戻ってくる。

あとは籠原(かごはら)を過ぎると車両基地っぽい場所を通っていき、上越新幹線の高架が近づいて目的地の熊谷に到着である。電車を降りる。

以前家族と熊谷から三峰口(みつみねぐち)まで往復しているので秩父鉄道の熊谷駅までの道すじはわかっている。まずは羽生(はにゅう)まできっぷを買おうと、ぼくはJRの改札を通り、秩父鉄道の改札に向かった。

秩父鉄道

旅行記本文

高崎から乗ってきた電車を熊谷で降りる。階段を上がり、改札を出る。確か秩父鉄道は左にあるんだっけ。

左に進むと秩父鉄道の改札、自動券売機があった。家族と三峰口まで行き、秩父で降りて戻ってきたことを覚えている。きょうは羽生(はにゅう)まできっぷを買って乗ればいい。

羽生まできっぷを買って改札を通り、階段をおりてホームに行く。時間が中途半端なのでほとんど客はいない。しばらく待つと羽生行き電車がやってきた。乗ろう。

電車は発車する。いったん高崎線と分かれて右に進み、高崎線と上越新幹線の高架の間をぬって左にカーブしていく。

あとはのどかな景色である。高崎線の熊谷近辺の景色も駅を離れるとそれほど住宅の多い景色ではなかったが、秩父鉄道は高崎線に輪をかけて住宅が少ない。

まあそれでも高校生くらいは熊谷~羽生間の電車に乗ってくれるかもしれない。そんなことを考えながら進む。

のどかな景色をずっと進むと終点の羽生が近づいた。東武伊勢崎線は何度か通った場所なのでそれなりに景色は覚えている。利根川の近くだから山とかも近くにはない場所だ。そんな景色が続き、ちょっとした市街地に入っていくと終点羽生だ。電車を降りる。これで群馬に続いて埼玉もすべての鉄道に乗ったことになる。

さあ、高速バスから始まったきょうの旅行もあとは業平橋(なりひらばし)まで行けばひとくぎりだ。いったん改札を通って東武のきっぷを買おうと思い、熊谷で買ったきっぷで改札を通った。自動券売機を探そう。

東武伊勢崎線

羽生~業平橋

熊谷(くまがや)から乗ってきた電車を羽生(はにゅう)で降りる。いったんきっぷを渡して改札を出ておこう。その方がめんどうでなくていい。自動券売機で業平橋(なりひらばし)まできっぷを買う。そして改札を通る。

東武伊勢崎線は館林(たてばやし)から南は館林から北よりずっと本数が多いはずだから、多少待てば浅草行きがやってくるだろう。事実それほど待たずに浅草行きがやってきた。乗ろう。

浅草行きが混雑するのはだいたい加須(かぞ)からだから羽生では無事すわれた。そしてずいぶんひさしぶりになる景色を見た。

久喜(くき)を過ぎて東武動物公園までは畑や田んぼの多い景色が続くが、だんだんと家並みが多くなってくる。そして荒川を渡って北千住(きたせんじゅ)だ。

北千住でだいぶ客が降りて多少すく。そこからは各駅停車だ。しばらく進むと曳舟(ひきふね)だ。曳舟を発車すると右に曲がり、のぼり坂をのぼっていく。左にレールが分岐する。業平橋止まりの電車が進むレールだ。今乗っている浅草行きは右に分岐する。

電車はスピードを落とし、無事業平橋駅に到着した。電車を降りる。


帰宅

さあ、あのねこにネコパンチされた商店街に行こう。曳舟寄りの階段をおりて、業平橋止まりの電車が停車するいきどまりホームを端から端まで歩いてまた階段をおり、押上駅近くの出口を出る。

そして階段をのぼり、本屋の前を通って商店街に行く。

しかしねこは見当たらない。そりゃそうか。

去年見たねこはかわいかったなあと思い出しながら、もう帰ろうかと考えた。

浅草まで行っていればもうちょっと地下鉄代も安かったけど、業平橋で降りちゃったから多少高くなるだろう。

でもこの押上の景色ってのどかでいいなあ(1995年現在)と思い、本屋に戻ってちょっと立ち読みしたらアパートに帰ろうと思った。あのねこにはもう会えないけど、どこかの駅でまたかわいいねこに会えたらいいなあ。

そんなことを考えながら本屋に入り、立ち読みすることにした。

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