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Sorry, Japanese only! (1998年4月その1)

68.飯山線としなの鉄道

説明

背景

1998年も春の青春18きっぷのシーズンが来ました。さてどこに行くのがいいでしょう。

この春はワイド・ミニ・一般周遊券がまとめて廃止されることが気になります。

新しくできる「周遊きっぷ」では急行の自由席に乗る時も急行券を買う必要があり、それにともない今後急行が廃止されるかもしれないので、まずは北陸ワイド周遊券でも使って急行能登と急行きたぐにに乗ることにしました。これは青春18きっぷシーズンが終わってからの方が良さそうです。

それから急行だいせんにも乗りたいです。これは、青春18きっぷで出雲市に行き、そこから別途きっぷを買って福知山に行き、そこからアパートに帰ることにします。これで2回分使います。


計画1

そして残り3回分のうち2回分を使って、あとで乗ろうと残しておいた長野電鉄と、去年長野新幹線開通に伴い信越本線の一部が第三セクターになった「しなの鉄道」にも乗ることにしました。長野駅近くに泊まるのが良さそうです。

でも青春18きっぷを使うのなら、普通列車で横川に行ってバスに乗って、軽井沢からしなの鉄道で長野に行って・・・というルートではおもしろくありません。

ぼくは全く方向違いの只見線のことを考えていました。
只見線には朝6時前に小出駅を出る列車がありますが、残念ながらムーンライトえちごは小出に停まらないのでムーンライトえちごを使って朝の只見線に乗るわけにはいきません。
しかし池袋から新潟に向かう夜行バスがあり、これは小出の停留所に停まります。どうやらインターチェンジに停まるようで、駅からかなり離れています。
でも停車する時刻は午前3時ごろのようなので、地図を見たところなんとか歩いて只見線の始発に間に合いそうです。

ぼくは、あらかじめ昼間インターチェンジから小出駅まで歩いて道順を確認しておけばあとで夜中に歩く際にも間違えずに小出駅に行けそうだなと思いました。
ですので今回の旅行は、

1日目:池袋(バス)小出停留所(歩)小出駅(上越線)越後川口(飯山線)長野

2日目:長野(長野電鉄)湯田中(長野電鉄)長野(しなの鉄道)軽井沢

と進もうと思いました。軽井沢から先は横川行きのバスに乗ってもいいですが、新幹線で安中榛名に行き、バスで磯部に出るのも良さそうです。安中榛名から磯部に行くバスを去年の10月に乗ってみたのでまた乗りたくなったわけです。臨機応変に判断しようかと思いました。


計画2

只見線に乗るのは夏にでも行こうと思いました。余った1枚は大阪にでも行って大阪港トランスポートシステムにでも乗ることにします。

そんなわけでまず池袋に行き、小出までバスの乗車券を買いました。無事買えました。長野の宿も取れました。

このようにして出発の日が来て、ぼくは池袋駅に向かったのです。

高速バス・池袋~小出

朝食

アパートからJRの電車で池袋まで来て、電車を降りて東口を出た。きょうは青春18きっぷを使っているので、いつもなら私鉄乗り継ぎで池袋まで来るところをすべてJRで来た。

今日はこれから新潟行き高速バスで小出まで行って降りる予定である。だから午後遅くまで食事ができない。そのため、池袋でバスに乗るまでに食事していくことにした。

まずはサンシャインの方向に向かい、そば屋に行く。そしてなんとなくカレーが食べたくなったので食べた。

そば屋のカレーと言えば、東京駅中央線ホーム下のあじさいというそば屋の「カレー&せいろ」というメニューをよく注文していて、かなりうまいが、ここのカレーもうまかった。カレーもラーメンと同じく、たまにものすごくまずい店があるがラーメンよりはまずい店は少ないようだ。

カレーを食べ終わってもまだちょっとだけ時間があるし、なんとなく牛丼でも食べたくなったので、サンシャインに行く時にたまに寄る東池袋の吉野家に行って牛丼を食べた。もちろん吉野家なので全国同じ味でまずい店はない。


発車

そして池袋駅前に戻る。

以前上信電鉄に乗るため、池袋から上田行きのバスに乗って下仁田(しもにた)の停留所で降りて下仁田駅まで歩いたことがある。

同じ西武系のバスなのだから新潟行きも同じ停留所から出るのだろう。

下仁田に行ったときに乗ったバス停までやってきた。ここで並んでいればいいだろう。

以前乗った下仁田と軽井沢を経由するバスが発車し、しばらく待つと無事新潟行きバスがやってきたので乗る。満席だ。やっぱり予約しておいて良かった。バスは発車する。下仁田行きに乗った時と同じく、練馬インターチェンジに向かうのだろう。


池袋~湯沢

都内の道を進んでようやく関越自動車道に入った。そこからはすいすい進む。何度か通ったことがあるが、八高線に近いところを通る、緑の多い場所である。

そのまま埼玉と群馬の県境付近まで進む。山が近くなってきた。下仁田に行ったときは確かこのあたりの上里というところで休憩したが、新潟行きも同じように休憩するようだ。みんな降りてトイレに行く。そしてまたバスに戻る。

下仁田行きでは左に進んだ藤岡のジャンクションを高崎方向に進む。榛名山や赤城山が見えてきた。その間をぬけて渋川伊香保インターチェンジまで来た。ここまでは以前スキー旅行で万座に行ったときに通ったことがある。ここから先は知らない区間である。

バスは沼田、水上と進んでいく。上越線とはまた違う景色で気持ちいい。

いくつか短いトンネルを過ぎると、冬場ならここからトンネルなのでトンネル内では今までつけていたタイヤチェーンをはずしなさいという場所が左手に見え、そしていよいよ新潟県との県境のトンネルである。高速道路のトンネルは橙色のランプがあって鉄道のトンネルとはまたひと味違う。

トンネルを抜けると新潟県である。あれ?あれは土樽(つちたる)駅かな?

土樽駅は関越自動車道のすぐそばを通っているのである。今度上越線に乗った時には関越を確認してみよう。


湯沢~小出

そしてようやく新潟県の最初の停留所、湯沢に着く。何人か降りる人がいる。

下仁田で降りた時は上信越道からいったん降りて高速の外のドライブインみたいな場所で降ろされたし、また別の機会に東急のあざみ野駅から歩いて東名江田から東京駅までバスに乗った時は、高速道路上に停留所みたいな場所があってそこからバスに乗ったものだった。

しかし湯沢の停留所はこれらの2種類のやり方のいずれとも異なるものだった。

バスはいったんインターチェンジの引き込み線に入る。そして降りる引き込み線と乗る方の引き込み線との間に渡り線があって、そこに停留所があるのである。そこに停車した。数人降りていく。

湯沢から先も、インターチェンジの引き込み線に入って停留所で客を降ろしていくのだ。なかなか考えたやり方である。


小出停留所

そしていよいよ目的地、小出のインターチェンジがやってきた。やはりインターチェンジの引き込み線に入り、停留所に停車する。ぼくはここでバスを降りた。

ほかにも数人降りたが、あらかじめ迎えに来ていたワゴン車に乗って行ってしまう。歩くのはぼくだけのようだ。そりゃそうか。

なお、この停留所の構造は良くできている。料金所を通らない道が通る道とは別にあって、迎えのワゴン車は通らない道の方でやってくる。そして高速バスが通る道とは直接車が行き来できないように歩道で分けられている。なかなかおもしろい。

あらかじめ買っておいた地図によれば、ここから西に歩き、上越線につきあたったら右に曲がって進めば小出駅があるはずだ。ぼくはまずトイレに行き、ワゴン車が行ってしまった道をたどって小出駅に向かって歩き始めた。

上越線

小出停留所~交差点

池袋から乗ってきたバスを小出インターの停留所で降りた。さあ、歩きだそう。

まずは西の山に向けて歩く。地図で見た通り、多少広めの道路が西に続いている。

夏になったら夜行のバスで小出まで来て歩き、始発の只見線に乗る予定なので、「真夜中にはどんな景色になっているか」を意識して歩くことにする。とりあえず街灯はあるかなあ。

いちおう街灯はあるようだが、あまり間隔は狭くない。たぶん暗くなりそうだなあと思いながら歩く。

国道17号線らしい太い道を渡る。国道だけど、ほとんどの車は関越を通るのでそれほど車通りはない。さらに進むと川だ。渡って進む。だんだん西の山が近づいてきた。


交差点~小出駅

右手に学校が見えて、ようやく目の前に上越線のレールが見えてきた。レールの手前の交差点を右に曲がる。

北に進む道はけっこう細い道だった。進むうちにさっき渡った川が右に見えるようになった。地図を見ながら進む。

しかし、どうも地図と違う場所がある。地図にあるはずの橋が見あたらないのだ。もしかして撤去されたのかなあ。

橋が撤去されることもあるんだろうなあと思いながら進んでいくと、4年前にはじめて只見線に乗った時に見かけた見覚えのある景色になった。もうすぐ小出駅だ。さらに歩き、ようやく小出駅に到着した。


小出~越後川口

高速バスを降りてからかかった時間は約45分だ。これならあとで夜行バスから降りて歩けば始発の只見線に間に合いそうだ。

さて、きょうの目的地は長野だ。上越線の長岡行きは、ちょうどやってくる時刻である。池袋までしか使っていない青春18きっぷを見せて改札を通り、長岡行きの電車に乗る。ボックス席とロングシートのある、どこにでもある電車であった。空席があったのですわる。そして出発。

このあたりの景色は何度も見ているが、季節が違うと景色も違う。いい景色だなあと思いながら進んでいく。

けっこう時間がかかって、ようやく目的地、越後川口に到着した。十日町行きのディーゼル車の発車時刻まで時間があるので、いったん青春18きっぷを見せて改札を出る。

駅前には特にお店らしいものはない。自動販売機があるくらいだ。

自動販売機の飲み物はみんな110円から120円に値上げしていたが、ビールは値上げしていなかった。だからビールを買おう。

ビールを買って越後川口駅に戻った。

飯山線

越後川口~十日町

越後川口の駅前でビールを買って、ふたたび改札を通って飯山線のホームに向かう。

そこにはけっこう新しいディーゼル車が停車していた。3年前は冷房もついていない古い客車があったが、きょう乗るディーゼル車は冷房がついているようだ。もっとも今は4月なので暖房シーズンだが。

ディーゼル車に乗る。土曜の午後は客が少ない。ロングシートにすわるとそのまま発車だ。

そう言えば、なんでも飯山線のディーゼル車は、去年まで北上~秋田間を走っていた秋田リレー号の車両を使っているという話を聞いたことがある。確か秋田リレー号にはドア部分と座席部分との間に仕切りがあったはずだが、このディーゼル車にはないなあと思った。

もしかしたら仕切りを取り外した跡でも残っているんじゃないかなあと、床を見てみた。

あった。秋田リレー号時代に仕切りがあったらしい場所に、点々と直径数ミリの丸い穴がついていた。やっぱりこの車両は秋田リレー号だったんだ。


十日町駅周辺

そんなことを確認するうちにディーゼル車は終点、十日町に到着した。いったんここで降りる。長野方面のディーゼル車まではちょっと時間がある。

なんでもこの駅には弁当屋があるという話なので駅前の道を進んで探してみた。あった。とりあえず唐揚げ弁当でも頼もう。無事出てきた。

十日町駅に戻る。JRの駅で弁当を食べるのもなんなので、階段を進んで北越急行の十日町駅に行ってみる。そしてベンチにすわって弁当を食べることにする。唐揚げはうまかった。東京と変わらぬ食事ができるのはありがたい。

弁当を食べても飯山線の発車時刻まではさらに時間があるので、散歩してみた。踏切を渡り、弁当屋とは反対方向に進む。

川が見えてきた。市街地を川が流れている。いい景色だなあと思いながら、しばらく見ていた。駅に戻ろう。


十日町~戸狩野沢温泉

次のディーゼル車は戸狩野沢温泉行きである。やはり客は少ないまま発車だ。

ディーゼル車は山に囲まれた谷間を進んでいく。そのうち川が見えてきた。

こういう幅の広い川に沿って進んでいく路線はけっこう多いなあと思う。ここ数年、全国の鉄道に乗っていてそういう路線をたくさん見てきた。

もちろん、信濃川の流れるこの飯山線の景色もいいものだなあと思っている。

そんなことを考えているうちにディーゼル車は川から離れ、戸狩野沢温泉に到着した。

ディーゼル車を降りる。今度の乗り換え時間は短いが、ジュースくらい買う時間はある。自動販売機があったので買っていこう。

お、この自動販売機はコーラがまだ110円だ。ほとんど120円に値上げしてしまった今となっては貴重な物だ。買っていこう。そして長野行きのディーゼル車に乗る。発車。


戸狩野沢温泉~長野

今度のディーゼル車もすいていた。すわってコーラをぐびっと飲む。また川が見てきたのでながめる。

川は曲がりくねって進んでいく。だんだん日が暮れてきた。

十日町の乗り換え時間を含めると、飯山線で越後川口から長野まで行くにはだいぶ長い時間かかるなあと思った。そしてとっぷりと日が暮れた中、ディーゼル車は終点長野に到着した。

階段を上がって出口に向かう。なんだかとても駅が新しい。そう言えば新幹線が長野に来てからはじめての長野だった。青春18きっぷを見せて改札を通る。

あとは夕食であるが、コンビニ弁当でいいだろう。善光寺と反対側の出口のところにコンビニがあったので弁当と朝食用カロリーメイトを買い、ホテルにチェックインする。

弁当を食べて風呂に入って休む。

最近夜行列車に乗る旅行が多いので、ちゃんとホテルに泊まれる旅行は楽だなあと思いながら眠ることにする。おやすみなさい。

長野電鉄

長野~湯田中

目が覚めた。

ここは長野駅の善光寺と反対側にあるホテルである。無事起きられたのでチェックアウトする。
そして歩道橋を渡って善光寺側に行き、地下におりる。すると長野電鉄の長野駅が見つかり、自動券売機もあった。湯田中まできっぷを買って改札を通る。

湯田中行きの電車にはまるでお客がいなかった。多少古い車両である。地方の電車は東京近郊の私鉄で使われてきた車両のお古がまわってくるらしいがここもそうらしい。無事発車する。

しばらく地下を走った後で地上に上がっていく。地上はすでに長野駅周辺の市街地を離れ、畑の広がる土地が続いていた。
そのうちりんごの木らしい木が見えた。もちろん今は4月なのでりんごの実なんかついていない。
四方に山々が広がるいい景色である。そのまま須坂に着いた。

須坂から信州中野までは6年前にも通った区間である。広い長野駅周辺の盆地の西側に信越本線、東側に長野電鉄が通っているのである。そのまま電車は信州中野を通って湯田中に進んでいく。
湯田中までは盆地を離れて斜面をのぼる路線となる。なんだかいい雰囲気である。ここまでお客も少なく、いかにも地方私鉄といった雰囲気で山の中に電車は分け入っていく。


湯田中駅

そして斜面をずんずんのぼっていき、ようやく終点湯田中に着いた。なんだかいかにも温泉場って感じだなあ。

駅が高台にあり、がけを見下ろすところにホテルっぽい建物がたくさん見える、そんな景色を見て京成成田駅を思い出した。成田は特別温泉街ってわけでもないが、こういう山の斜面で作られている場所っていいなあと思う。

2ヶ月前に行った熊本の山鹿温泉は、どうってことのない普通の市街地だったので、それと比べても湯田中はいいなあと思う。でもぼくは温泉がきらいなので特に入っていくこともないだろう。

駅のそばにローソンがあったので弁当を買う。長野に戻る電車の中で食べよう。ビールも買っていく。

駅に戻って電車の発車時刻を待つと、お客がたくさん現れた。みんな湯田中に泊まっていた客らしい。
今度の電車は特急なので運賃と別料金がいるようだ。と言っても100円らしい。100円別に払ってきっぷを買った。

そして改札になり、温泉客に混じって電車に乗る。
湯田中行きはオールロングシートだったが、今度の電車は2人がけシートがたくさんある名古屋や大阪近郊の新快速みたいな電車だ。
ロングシートもちょっとだけあったのでロングシートに乗る。ぼくはロングシートの方が好きなのだ。


湯田中~長野

そして発車である。なぜかちょっとだけバックする。右手にさっき寄ったローソンが見える。
あとでものの本を見たところでは、この駅はスイッチバックの駅である(1998年現在)が、長い車両の時にだけスイッチバックが必要なのだと言う。
ぼくは「I love SwitchBack」などと言っている人間ではないのでそれほど詳しくないのだが、去年乗った黒部峡谷鉄道の鐘釣(かねつり)という駅も長い列車のみスイッチバックする駅だったと思う。

温泉客はにぎやかである。ぼくは弁当を食べながらビールを飲む。特急なのですいすい進み、地下に入っていく。
そして終点長野に到着である。温泉客に混じって改札を出て、JRの長野駅に向かう。

さて、ここからしなの鉄道で軽井沢に向かうわけだが、青春18きっぷの5回目の分があるので直接きっぷを買うのはもったいない。なぜなら長野から篠ノ井まではJRだからだ。

幸いしなの鉄道の小諸(こもろ)行きの前に松本行きがあるので、まず青春18きっぷで松本行きに乗って篠ノ井に行き、いったん改札を出て軽井沢まできっぷを買おうと思い、駅の階段をのぼっていった。

しなの鉄道

長野~篠ノ井

湯田中(ゆだなか)から乗ってきた電車を長野駅で降り、階段をのぼって地上に出て交差点を渡ってJRの方の長野駅に戻ってきた。青春18きっぷの5日目にスタンプを押してもらって改札を通る。

これからしなの鉄道で軽井沢まで行くわけだが、長野できっぷを買うと長野~篠ノ井(しののい)間はJRなので青春18きっぷとは別に運賃がかかってしまうので長野から青春18きっぷを使うわけだが、そのまま軽井沢まで行くと精算がめんどうである。

ぼくはいったん松本行きの電車に乗って篠ノ井で降り、篠ノ井で軽井沢まできっぷを買えばいいと思った。だからまず松本行きの電車に乗る。発車。

長野県は山ばかりの土地なので電車には年輩の人もけっこう乗っている。数駅が過ぎ、無事篠ノ井到着。いったん青春18きっぷを見せて改札を通る。

しなの鉄道の自動券売機はすぐに見つかった。とりあえず一番運賃の高いボタンを押せば軽井沢まで行けるだろう。一番運賃の高いボタンを押し、きっぷを買う。そのきっぷにスタンプを押してもらって改札を通り、ホームに戻る。


篠ノ井~小諸

今度の電車は小諸(こもろ)行きである。JR時代は軽井沢行きと高崎行きがほとんどで、小諸までしか行かない電車なんて走っていなかったのに、しなの鉄道になってから長野~小諸間、小諸~軽井沢間の電車というように分かれてしまったのである。

じきに電車がやってきた。松本行きと同じ、クリーム色とうすい緑色で塗装された電車である。しなの鉄道になったからと言って新しい電車の塗装にしているわけではなく、昔のJRの塗装のままなのだろう。座席はいっぱいなので立っていこう。電車は発車する。

あたりまえとは言え、景色はJR時代のままである。なんだか不思議である。

新幹線とひきかえに、いろいろ失ってしまったんだなあと思う。そのうち客が降りて空席ができたのですわる。

外を見ていると、濃い茶色っぽい塗装の電車を見つけた。もしかしたらあれがしなの鉄道の新しい色で、順次あの色の電車に置き換えられていくのかなと思った。そんなふうにしているうちに小諸に到着した。電車を降りる。


小諸~軽井沢

電車を降りてもすぐに軽井沢行きに乗り継げるわけではない。しばらくホームで景色をながめる。都会にはない空気である。

軽井沢行きがやってきた。やはりJRの色の電車である。座席には余裕があった、すわって待つと発車。電車は標高を上げていく。

すっかり盆地でなくなり、山が迫ってきたところで終点軽井沢である。あたりまえだが長野に向かう新幹線の駅がすぐそばにある。

時刻表どおり電車が動いたので、予定通り安中榛名に停車する新幹線に乗れるようだ。新幹線で安中榛名に行って、バスで磯部(いそべ)に行こう。

ぼくは電車を降り、篠ノ井で買ったきっぷを渡してしなの鉄道の改札を通った。

長野新幹線

軽井沢駅

小諸(こもろ)から乗ってきたしなの鉄道の電車を軽井沢で降りるとJRの改札に向かった。改札は別々になっているが、しなの鉄道の改札からそれほど離れていないところにある。

オレンジカードできっぷが買えるなら買おうかと思っていたが、どうやら買えないようだ。窓口で安中榛名まで特定特急券込みできっぷを買う。

改札を通ってホームに行く。東北新幹線や上越新幹線のホームは高架であることが多いが、軽井沢のホームは地上のホームである。


軽井沢~安中榛名

めずらしく軽井沢始発の東京行きあさまである。自由席に入った。秋田新幹線や山形新幹線と違い5列席である。とりあえず北側の3列席にすわった。南側だとカーテンで景色が見えないからである。とは言ってもトンネルが多そうだし、どれくらい景色が見えるのだろう?

あさまはゆっくりと発車する。そしてすぐにトンネルに入る。信越本線は小さなトンネルをたくさん通っていたが、トンネルの外もけっこう見えた。まあしょうがないか。

ずっとトンネルだったが、ほんの数秒ほど外に出た。車が見えた。新幹線が走り始めたばかりだし、撮影しに来たのだろう。またトンネルに入る。

なんともうスピードを落としていく。そして軽井沢を出てから10分しかたっていないのに、もう安中榛名である。ぼくはあさまを降りた。

さあ、ここからは去年10月に乗った、磯部までのバスに乗るのだ。無事接続していることを祈ってぼくはきっぷを安中榛名駅の改札に渡して通った。

信越本線

安中榛名駅

軽井沢から乗ってきた新幹線あさまを安中榛名(あんなかはるな)で降り、自由席特急券と乗車券を渡して改札を通った。

去年の10月に乗った安中榛名から磯部(いそべ)までのバスにもう一度乗ってみたくなったのである。さて、まずバス停まで行って時刻を調べてみよう。

うん、30分くらいでバスがやってくる。約2時間おきのバスなので接続がいいと言えるだろう。

待っているとバスがやってきた。半年前と同じ、やや小ぶりのバスだった。お客は少なく10人も乗っていない。発車だ。


発車

安中榛名は山の中腹にある。なにしろ軽井沢の標高は高く、高崎とはだいぶ差がある。だから勾配をゆるやかにするためには高崎と軽井沢の中間地点でそれなりに標高を高くする必要があるのだ。

信越本線のように碓氷川沿いに新幹線を通すと標高を上げることができず、そんなわけで碓氷川からだいぶ離れた場所に安中榛名を持ってきたわけである。上毛高原と違って水上や猿ヶ京の入口のような観光拠点にすることもできず、中途半端な位置ではあるが、せめて磯部温泉の客にでも使ってもらおうというバスなのであろう。

安中榛名周辺は家も少ない場所であり、バスは坂道をくだっていく。しばらくは家並みのない景色が続いている。

しかし山をくだり切ると、畑に囲まれた家並みが見えてきた。そんな中、バスは大きな道をはずれて細い道を通っていく。

なぜかそんな細い道の途中で乗り降りする客がけっこういる。2時間に1本のバスなのに、けっこうな乗降客がいるものである。もっとも満席になったり立ち客が出るほどではない。まあこんな風景は半年前と同じである。


しかし半年前と違った景色が見えてきた。桜である。桜がバスから見える景色のあちこちに見えてきたのである。

そうだよなあ、今は桜の季節なんだよなあと改めて再確認した。きのう今日と、新潟や長野を旅してきたわけだが、けさの湯田中とか、桜は全然見えなかった。

群馬に戻ってくると桜が見えたわけである。

ふだんアパートと会社の往復をしていると、桜が見える場所はほんのわずかで、日本中に桜があるということを意識せずに春は去ってしまう。

もっと桜を見てみたいものだな、と思った。まあ、おととし樽見鉄道に乗った時みたいに、桜が全然見られなかったなどということも良くあるのだが。

バスは急な下り坂をくだり始めた。もうすぐ磯部駅である。

下り坂の途中に旅館が固まっている。群馬には温泉はたくさんあるので、どれくらい客が来るのかわからないが、同じように駅の近くにある水上より東京に近いし、客が来てほしいものだなあなどと思いながら乗り降りする客を見送る。

くだり切ったところで橋を渡り、のぼっていく。

そして住宅街の中の細い道をぬけると終点磯部駅である。乗り降りはけっこうあったが、磯部駅では10人を多少超えるくらいの客しかいなかった。


磯部~高崎

さて高崎行きの電車の時刻を調べる。半年前は1時間も待ったが、今日は30分も待たずに乗れるようだ。

長野でスタンプを押してもらった、まだ長野から篠ノ井までしか使っていない5日分のスタンプが押された青春18きっぷを見せて改札を通り、電車を待つ。

やってきた。今日もオールロングシートの電車である。横川まではたまにボックスシートの電車が入ることもあるようだが、新幹線ができてからオールロングシートが来ることが多くなった。

ぼくはロングシートが好きなので大歓迎である。

いつものように安中近辺で南側に工場の煙突が見える。この景色も新幹線からは見えないので、けっこう貴重な風景かもしれない。

群馬八幡、北高崎を過ぎて都会の景色になってきた。電車は高架に上がり、右に大きくカーブして新幹線が見えてきた。いつもの風景である。

そして高架をおり、新幹線の下をしばらく進んでようやく終点高崎に着いた。ここで降りる。

お昼をだいぶ過ぎて腹も減ってきたが、なるべく明るいうちにアパートに帰ろうと思い、上野行きにすぐに乗り換えることにした。

高崎線

旅行記本文

磯部(いそべ)から乗ってきた信越本線の電車を降りて、上野行きに乗り換えた。

横川~高崎の電車はオールロングシートになってしまったけど、高崎線はまだボックスシートのある電車が走っている。もっともぼくはロングシートの方が好きだけど。

去年安中榛名から磯部までバスに乗った時と違い、磯部ではそれほど電車を待つ時間が長くなかったので、まだまだ日は高い。アパートに帰ってもまだ明るいだろう。

昼食がまだだし、どこかアパートに帰る途中でラーメンでも食べたいなあと思った。

本庄を過ぎてからしばらくした後で、窓から桜が見えた。あれ、こんなところでも桜が見えるんだ。

そう言えばこの季節に高崎線に乗ることってめったにないなあと思った。安中榛名から磯部まで乗ったバスでも桜が見えたし、桜ってけっこうどこにでもあるんだなあと思った。

桜は、見えるシーズンにはどこでも見られるから、あまりありがたみがわかないけど、いつのまにかなくなってしまって、ああ、桜が見られなくなってしまったと後悔するものなんだよなあと感じた。

アパートの近くにも桜が咲いているところがあるから、帰ったら見てみたいが、それよりあしたは会社だからゆっくり休む方が先決だなあと思いながら、ぼくはアパートに帰っていった。

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