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Sorry, Japanese only! (1994年11月その1)

42.吾妻線と桐生周辺めぐり

説明

1994年は、ぼくがはじめて全国の鉄道に乗ろうとこころざした年でした。

青春18きっぷ、ホリデーパス、スーパーホリデーパス、ハートランドフリーきっぷを使い、いろいろなところに出かけていました。そしてなんとなく、そう言えば吾妻線に家族と行ったけど、万座・鹿沢口までしか行っていない、終点の大前まで行っていないなあと思い出しました。

スーパーホリデーパスは7月に200円値上げして4000円になったけど、乗れる範囲が広がり、吾妻線全線に乗れるようになったっけなあと思い出しました。だからスーパーホリデーパスで大前に行くことにしました。

となると、朝一番の高崎線に乗った方がいいでしょう。でもただ乗るのじゃおもしろくありません。

ぼくは4月にぶらっとクイズラリーでスーパーホリデーパスを使った時、大垣行き夜行で熱海に行き、お宮の松の近くのすかいらーくで食事して、大垣発東京行きの電車に乗ったことを思い出しました。実はこの東京行きから山手線に乗り継ぐと無事始発の高崎線に乗れるのです。

よし、吾妻線に乗りに行こうと思い、スーパーホリデーパスを買いました。

そんなわけでまた夜が来ました。この日の大垣行きも品川が始発なので、川崎まできっぷを買って品川に向かいました。川崎からは日付が変わるのでスーパーホリデーパスが使えるからです。

東海道本線

品川~熱海

2ヶ月ぶりに大垣行きの夜行に乗りに品川駅にやってきた。川崎行きのきっぷとスーパーホリデーパスを持っている。

あの時は青春18きっぷが使えて臨時の大垣行きのない金曜だった。だからお客も大入り満員で名古屋まですわれなかった。

しかしきょうは青春18きっぷが使えないし、さらに金曜ではなく土曜である。だからなんとかすわれるんじゃないかと思った。事実それほど客もいない。しばらくホームで待つ。

そんなに客が増えないうちに電車が入線してきた。

1994年は2月の北海道旅行から始まって、何本もの夜行列車に乗ってきてはいるものの、やはり何度乗っても乗るときは緊張する。まだまだ全国に乗っていない鉄道はあるし、夜行列車にも何度も乗ることはあるだろう。落ち着いて乗っていこう。

きょうもドアが開き、2ヶ月前と違いなんとかすわれる。そのうちあとからあとから背広を着た人たちが乗ってきて満員になる。そして発車。

電車は多摩川を渡り、横浜を過ぎる。なにしろ熱海で降りるので眠らないように気をつけなければならない。まあ今年は何度も大垣行きの夜行に乗っているし、慣れると気負わなくなってきた。大船を過ぎて客が減ってくる。少なくとも2ヶ月前の大入り満員というほどでもない。青春18きっぷが使えない時でも大垣行きって客がいるんだなあ。

あとはいつもと同じだ。小田原が過ぎると左手に暗い海が見えてくる(ような気がする)。そのままトンネルを通ると熱海着だ。きょうはここで降りなければならない。電車を降りてスーパーホリデーパスを見せて改札を通る。


夜食

さあ、7ヶ月ぶりに深夜に熱海に降りる。7ヶ月前と同じ道ですかいらーくに行こう。

駅を出て右手のアーケードを進む。進み終わったら道を渡って細いくだり坂をおりていく。ホテルの裏手を通る。

するとお宮の松の前に出る。夜中の暗い海が見える。そして右手には7ヶ月前と同じようにすかいらーくがあった。ちゃんと営業している。土曜の夜だもんなあ。

さあ、入ろう。やっぱり「ここに行くと夜中でも食事できる」という場所を知っていると心強い。

仙台駅前の青葉通りと中央通りの吉野家とかが役に立った。こういう「拠点」を何個も覚えていくことで旅行も楽しくなるのだろう。

きょうもけっこう客の多い(しかも電車の客は全くいない)店内で食事をたのんで食べた。そして1割増しの料金を払ってすかいらーくを出る。

熱海駅に戻る道も4月に通った道と同じ道にしよう。カーブしながらののぼり坂をのぼっていくとアーケードの入り口に出る。そしてアーケードをくぐると熱海駅だ。きょうも大垣発東京行きが熱海を出る3:10までに熱海駅に着くことができた。


熱海~東京

改札は無人だけどいちおうスーパーホリデーパスを見せて通り、階段を上がってホームに行く。お客はもちろんぼくだけだ。そして電車がやってくる。ドアはきょうも開く。

青春18きっぷが使えないシーズンなので車内はがらがらだ。いつも大垣行きより東京行きの方がすいているのだ。そして発車。すわってまどろむ。なにしろ東京まで眠っていけばいい。しばらく眠ろう。でも横浜の手前で目が覚める。

この東京行きの方には4月に乗ったことがあるものの、1度目は横浜で、2度目は大船で降りている。だから横浜から先に乗るのはきょうが初めてだ。電車はあたりまえのように横浜を発車する。

なにしろ11月なのでまだまだ暗い。川崎を過ぎて多摩川を渡る。ほんの数時間前に通ったのと同じ場所とはなんとなく思えない。でも同じ場所なのだろう。

品川に着く。山手線も通っているし、午前4時をちょっと過ぎたくらいだが、駅にはすでに客がけっこういるようだ。きょうが日曜日であるということもあるのだろう。

そして品川を出て、電車は山手線や京浜東北線の電車の東を北に進んでいく。まだ夜の明けないいつもの都内の景色が見える。有楽町を過ぎる。

そして電車はいよいよ終点、東京に到着する。それなりに多い西の方から来たお客は、無事定刻に電車を降りていった。

さあ、この電車は上野から出る高崎線、東北本線、常磐線の始発電車に乗るのにとても都合がいい。きょうぼくが乗りたいのはそのうちの高崎線だ。がんばって高崎行きに乗ろうとぼくは階段をおりて山手線のホームをめざした。


補足

なお、この日食事した熱海のすかいらーくは、2011年現在ジョナサンになっている。

高崎線

東京~上野

熱海から乗ってきた、大垣発東京行きの夜行列車を東京で降りた。

さあ、山手線に乗り換えだ。上野まで行って高崎行きに乗り換えだ。きょうは急がなくてもいいのだが、やはり始発の高崎行きに乗れれば乗れた方がいい。

東京駅はいつも客が多いが、さすがに朝5時ではそれほどのこともない。でも多少はいる。なんとか山手線ホームに来た。電車がやってくる。思ったより客がいるがすわれはした。電車が発車する。

もう11月なのでまだ夜が明けていない。今年2月以来、だいぶ夜行列車にも慣れてきたなあ。

夜明け前の神田、秋葉原、御徒町を電車は進んでいく。やっぱりどことなくいいものだなあ。なにしろスーパーホリデーパスを使っているから青春18きっぷシーズンでないにもかかわらず関東のほとんどの区間が乗り放題というのがいい。そして無事に電車は上野駅に到着する。この時刻に上野駅に来るのは8月に水郡線に乗って以来だ。


上野~高崎

あの時は朝3時に起きて上野に来たが、こうやって熱海まで往復するといい気分だなあ。さあ、高崎行きに乗り換えよう。階段を上がっておりて高崎行きホームに行く。高い方のホームだ。多少は客がいるがそれほどのこともない。電車に乗ってロングシートにすわるとたちまち眠ってしまった。

気がつくともう熊谷を過ぎているようだ。夜が明けていく。やっぱり電車の中の夜明けはいいなあ。

このあたりの景色は初めてではないのでぼんやりとして過ごす。これから吾妻線に乗って、長野原草津口や万座・鹿沢口以外の駅で降りるわけだけど、どんな駅だろうなあと考えた。なんにしても7月からスーパーホリデーパスで大前まで行けるようになったのできょうは大前まで行きたい。

そんなことを考えているうちに電車は川を越えて高崎駅に進んでいった。きょうは熱海のすかいらーくで食事しているから高崎で駅弁を買う必要もないだろう。無事電車は高崎駅に到着。電車を降りる。さあ、吾妻線の電車に乗り換えよう。でも大前行きはまだ出ていないから、とりあえず長野原草津口行きで、まずは途中の中之条(なかのじょう)で降りようと思い、階段を上がった。

吾妻線

高崎~中之条

上野から乗ってきた電車を高崎で降り、階段を上がって吾妻線の出るホームに向かった。今は吾妻線の終点、大前(おおまえ)行きは出ていない。

大前行きが出るのは数時間後で、それまでの間に長野原草津口行きが出ている。だからどこか途中の駅で降りて、数時間過ごして大前行きに乗ろうと思った。どこにしようか。

ぼくは中之条(なかのじょう)で降りるのがいいだろうと考えた。よし、まずは中之条で降りようと思い、吾妻線の電車に乗った。大前駅以外初めて乗る路線ではないが、4月の時点のスーパーホリデーパスでは吾妻線には乗れなかったし、この夏休み以降の新生スーパーホリデーパスでがんばって吾妻線に乗ることにしよう。

電車が発車する。渋川(しぶかわ)までは上越線である。新前橋までしばらくは家並みの多いところを進み、渋川が近づくと山が近づいてくる。そして渋川。

たいして客のいない電車はまた発車し、上越線のレールが右に分かれていく。レールが分岐したり合流したりするのはいつ見てもいいものだ。進むにつれてさらに山深くなる。

そして目の前に新幹線の高架が見える。確かに家族とここを通ったことがある。確かに以前通った場所なんだなあと思いながら高架をくぐって進んでいく。

上越新幹線の高架を過ぎると吾妻線から見える景色はだんだんと山が深くなっていく。そんな景色が何駅か続くと、それほど小さくない市街地に入っていく。そこが目的地の中之条だった。電車を降りる。スーパーホリデーパスを見せるともちろん改札を通れる。


中之条~市城

ひとまず駅から散歩してみた。市街地になっているとは言え、歩くとすぐのぼり坂になるような場所だった。そしてしばらく進むと高校っぽい場所に出る。

吾妻線は山深い場所だから、このくらいの場所でも大きめの市街地になるんだろうなあと思った。もう少しだけ歩いたが、高校っぽい建物のほかにはそれほどおもしろそうなものも見当たらない。駅に戻ることにしよう。

さてこれからどうしよう。このまま大前行きを待つのは時間がかかり過ぎる。

それよりいったん高崎行きでちょっとだけ渋川寄りに戻って、そこで大前行きを待った方がいいんじゃないかと思った。

よし、となりの市城(いちしろ)駅に行って、そこで大前行きを待とう。どんな場所かわからないが、お店とかあったら寄ってみたいし、散歩とかもしてみたい。

そんなことを考え、またスーパーホリデーパスを見せて改札を通り、高崎行きの出るホームに行く。

しかしなんと雨が降ってきた。けっこう強い雨だ。でも電車に乗ればなんとかなりそうな気がする。そして高崎行きが到着。電車に乗る。発車。

電車は何分も進まないうちに市城駅に到着。電車を降りる。


市城駅

降りてびっくりした。この駅、駅舎が貨車を改造したものなのだ。

そう言えば鉄道の本に、全国に貨車を改造した駅舎があるって書いてあったなあ。

貨車を改造した食堂なら行ったことがある。食堂や駅舎のほかにも利用されている貨車ってあるのかもしれないが、こんなところで目にするとは思わなかった。

けっこう全国で、貨車以外の駅舎がない駅ってあるのかもしれないなあ。

そして外はけっこう強い雨が降っている。これじゃ散歩にも行けない。

大前行きの電車が来るまで、ずっとここで過ごすしかないなあと思った。こんなことなら先に群馬原町に行き、中之条に戻って大前行きを待っていた方が良かったなあ。群馬原町なら市城より駅前に家とかありそうだし、たとえ雨が降っていても雨宿り代わりに立ち寄る場所くらいあるかもしれない。

雨は降り続き、ぼくは大前行きを長いこと待っていた。


市城~大前

ようやく大前行きが来る時刻になったので、ホームに行く。大前行きはちゃんとやってきた。電車に乗る。ふうと一息、まどろんだ。

電車は中之条を過ぎ、群馬原町に来た。やっぱり市城より、見方によっては中之条より大きそうな町並みである。ここでちょっとだけ眠ることにする。

目が覚めた。かなり山奥に来た感じだ。もうじき長野原草津口のようだ。そして到着。草津温泉行きのバスターミナルがある駅だ。そしてまた発車。

電車は森の中を進む感じになる。こういうところに住む人たちはたいへんだろうなあ。

家族と来た万座・鹿沢口にやってきた。高架の駅だ。なにしろ吾妻線は吾妻川の谷に沿って進む路線だからアップダウンがあり、高架になっているところがあってもおかしくないだろう。

そう言えばこの駅、特急が折り返す駅なのにホームが1つしかない。なんだか不思議だ。やっぱり節約しているのだろうか。そんなことを考えているうちに電車は終点に向けて発車する。ここから先は初めて見る区間だ。

万座・鹿沢口はちょっとした集落だが、すぐに集落を離れる。そして畑とも言えない起伏の場所を進んでいく。


大前駅

それほど進まないうちに電車は終点、大前に到着した。ともかく終点なので電車を降りなければならない。電車を降りるが、きっぷは車掌に見せればいいらしい。市城もそうだったが大前も無人駅だ。スーパーホリデーパスを見せる。

とりあえずまわりを見てみよう。今は11月である。今は雨は上がっているが、ここも雨が降っていたらしく、空はどんよりしている。

ふとホームのやや万座・鹿沢口寄りを見ると、かわいい犬がいる。近くの家で飼われている犬だ。

こんなところで飼われているんじゃうるさくてたいへんだろうなあ。

それとともに、鉄道から犬が見える場所って全国にどれくらいあるだろうかと考えてみた。

全国にこういう線路から犬が見えるところが他にもあるなら、見つけてみたいなあと思った。こうして大前は犬の思い出の駅になったのである。

もうそろそろ高崎行きが出る時刻だ。電車に戻ることにする。無人駅だから乗るだけだ。しばらく待つと発車だ。犬は相変わらずじっと見ている。犬とお別れだ。次に大前に来る日は来るだろうか。用事もないからなあ。


大前~新前橋

さてこれからどうしようか。まっすぐ東京に帰るんじゃつまらない。でもこのあたりのJRには全部乗ったし、乗るなら私鉄だろう。

だけどもう昼過ぎだ。このあたりで乗っていない私鉄と言えば上信電鉄とかわたらせ渓谷鐵道とかがあるが、終点まで行って引き返してくるのはたいへんだ。

そうだ、8月に上毛電鉄に赤城から中央前橋まで乗ったけど西桐生から赤城まで乗っていない。大前から新前橋経由で桐生に行けば上毛電鉄に乗れるだろう。

帰りにそのまま引き返してくるんじゃつまらないけど、赤城から北に歩けばわたらせ渓谷鐵道の大間々(おおまま)駅があるから、そこから桐生に行き、小山経由で上野に帰ろう、そう計画した。よし、この電車は新前橋で降りよう。

それだけ計画してしばらく眠る。なにしろ眠い。大垣行きの夜行を熱海で降りるところから始まった旅行なのでとにかく眠い。

うっかり高崎まで寝過ごしてもたいしたことはないので少し眠ろう。

起きると渋川に近づいていた。また上越新幹線の高架をくぐり、上越線と合流して渋川に到着。あとはすいすい進み、目的地の新前橋に到着。電車を降りた。

さあ、まだまだ明るい。せっかくのスーパーホリデーパスだし、まっすぐ上野に行かずにもう少し電車に乗ろう。階段をのぼって両毛線のホームに向かおう。

両毛線その1

旅行記本文

大前から乗ってきた電車を新前橋で降りる。階段を上がっておりて桐生(きりゅう)に向かう両毛線のホームにやってくる。新前橋は乗り換えやすくていい。

しばらく待つと電車がやってきた。ありふれた電車である。今までずっと客は少なかったが、さすがに両毛線は客が多くてすわれないようだ。発車し、上越線と分岐する。そして利根川の鉄橋を渡る。前橋駅だ。

多少客の乗り降りがあって前橋を出る。家並みの多い場所を駒形駅近くまで進むが、駒形駅あたりから家並みが少なくなる。伊勢崎駅でまた増えるがそれを過ぎるとまた少なくなる。あとはずっと家並みの少ないのは変わらない。

桐生が近づくと左手から架線のないレールが近づいてくる。わたらせ渓谷鐵道だ。合流すると川を渡る。川の向こうはもうすぐ桐生だというのにけっこう山がちな地形である。桐生は山に囲まれているのだ。

川を渡って小さな山のそばを通るともう市街地である。そして高架にのぼっていく。

桐生は高架の駅だが以前は地上駅だった。高架になる工事中は、桐生止まりの電車が地上ホームに来て、小山行きの電車が高架ホーム発で乗り換えにくねくね階段をのぼったりおりたりしたこともあった。ちょうど9月に岐阜で高山本線から東海道本線に乗り換えたときがそんな感じだった。全国の鉄道に乗るとまた工事中のくねくねした通路を通ることもあるだろう。

そんなことを考えているうちに電車はスピードを落とし、無事桐生に到着した。さあ、電車を降りて上毛電鉄の西桐生駅に行こう。

上毛電鉄

桐生駅~西桐生駅

新前橋から乗ってきた電車を桐生(きりゅう)で降りる。改札に行き、スーパーホリデーパスを見せて通る。さて、上毛電鉄の西桐生駅はどこだろう。

以前見た地図では西と言うよりも北って感じの場所にあったような気がするなあ。北に行ってみよう。

駅の北の交差点まで来た。交差点を渡る。しばらく進むと小さな駅舎っぽい建物が左に見えた。そこが西桐生駅だった。8月に行った中央前橋駅より多少小さめの駅だった。


発車

駅舎に入り、赤城まできっぷを買って改札を通る。電車に乗って出発だ。さすがに休日は客が少ない。

電車はわずかな客を乗せて桐生の市街地を進んでいく。そのうち川を渡る。もちろんさっき両毛線で渡った渡良瀬川だ。渡った先も市街地は続いていて住宅が多い。そんな中を電車は進む。

電車は立体交差を渡った。下の方にレールが見える。架線がない。ということはおそらくあれがこれからちょっと後に通ることになるわたらせ渓谷鐵道なのだろう。そのレールが見えなくなり、またしばらく進む。多少住宅が少なくなる。


到着

そのうちふたたび建物が多くなり、桐生ほどではないがちょっとした市街地に入っていく。左手にレールが見えてくる。今度は架線がある。8月に通った東武桐生線だろう。そして大きな駅のホームに入っていく。すぐそばに赤い豪華そうな電車が見える。8月にも見た東武鉄道の急行りょうもう号(1994年当時)だ。そしてそのとなりのホームにこちらの電車が到着する。きょうの目的地、赤城駅だ。電車を降りてきっぷを渡して改札を通る。

さあ、ここからわたらせ渓谷鐵道の大間々駅まで歩かなければならない。8月にここに来たときは太田から乗ってきてすぐに中央前橋行きに乗り換えたので駅の近くを歩いていない。だからきょう初めて赤城駅周辺を歩くことになる。

地図ではちょっと北に行って、どこかで東に曲がると行けるはずだ。無事行けたらいいなあと思いながら、ぼくは歩き始めた。

わたらせ渓谷鐵道

徒歩

西桐生から乗ってきた電車を赤城駅で降りて、北に歩き始めた。街の中心街である。

大通りを北に進んでいく。車通りも多く、わたらせ渓谷鐵道に沿って進む国道のようだ。さらに進む。

多少歩いたところで正面の交通案内を見てみる。お、ちゃんと大間々(おおまま)駅の案内がある。正面の交差点を右に曲がると大間々駅のようだ。交差点まで歩き、右に曲がる。車通りの少ない道だ。

しばらく歩くとまた交差点があり、交差点の向こうに赤城駅より古そうだけど大きそうな駅が見えてきた。どうやら大間々駅のようだ。けっこう歩いたなあ。まずは駅に入ろう。

駅に入って桐生行きの時刻を確認する。それほど待たずにディーゼル車がやってくるようだ。自動券売機もある。桐生まできっぷを買って改札を通る。階段をのぼっておりて桐生行きホームに進む。


発車

ディーゼル車がやってきた。こげ茶色のディーゼル車だ。さすがに今まで乗ってきたどのディーゼル車とも違うなあ。

ディーゼル車に乗る。高校生っぽい客が多少乗っている。こんなものだろう。ディーゼル車は発車する。

さっき通った上毛電鉄より家並みの少ない場所を進んでいくのだ。そしてさっき見た通り、上の方に上毛電鉄のレールが見え、その下をくぐって進んでいく。

さらに進むと右手からレールが合流してくる。東武桐生線だ。ということはここは相老(あいおい)駅ということになる。8月以来3ヶ月ぶりだ。そしてまた発車。このあたりはもう家並みが多い。

そしてディーゼル車は大きく左に曲がっていく。右手に両毛線が見えてくる。あれ、さっき通った場所だ。そしてまだ川を渡らないうちに駅に停車する。下新田(しもしんでん)だ。

両毛線のそばだけどわたらせ渓谷鐵道の方しか停車しないのだ。高崎線が見えるけど八高線しか停車しない北藤岡みたいなものだろう。


到着

そして発車。両毛線と合流する。ここからはわたらせ渓谷鐵道のディーゼル車は両毛線のレールの上を走ることになる。まあ昔は国鉄だったわけだし、全国にこういう場所はあるだろう。

あとは数時間前と同じ景色だ。高架を上がっていき、終点の桐生駅に到着した。

この駅は前方しかドアが開かない。大間々で買ったきっぷを見せて降りる。なにしろ無人駅が多いし、桐生を過ぎるとずっと改札なしで遠くまで行けるし、こういうルールなのだろう。

さあ、ここからまたスーパーホリデーパスの旅行に戻る。もうすぐ日が暮れる。がんばって小山経由で上野へ行こう。

両毛線その2

旅行記本文

大間々(おおまま)から乗ってきたディーゼル車を桐生(きりゅう)で降りる。桐生ではわたらせ渓谷鐵道から両毛線の小山(おやま)行きの電車には階段を使わずに乗り換えられて便利だ。そのまま電車を待ち、やってきた電車に乗る。発車だ。

8月にも佐野近郊の東武線に乗ったのでそれほどひさしぶりという感じもしないが、ふだん乗り慣れない電車なので景色を見るのは楽しい。でもきょうは午前中に吾妻線(あがつません)の山深い景色を見たばかりなので、それに比べると両毛線はたいくつに感じる。

電車は佐野から栃木に向かう。もう午後も遅く、もう少しで日が暮れ始めるころだ。いつも通り左手には山が見える。右手には田んぼが広がっている。そして栃木。

栃木を出て思川(おもいがわ)を過ぎると前方に防風林みたいな林が見えてくる。そしてその林を通り抜けて右に曲がると小山駅に入っていく。いつも通りだ。

でも考えると、何度か乗った両毛線のこの景色は、たいてい青春18きっぷを使っているときの景色だ。だから18きっぷが使えない今この景色を見ているというのはとても不思議な感じだ。

東北本線のレールが見えてくる。両毛線のホームも見えてくる。そして遅れもせずに電車は小山駅に到着。さあ、階段を上がって通路を進んで上野行きのホームに行こう。

東北本線

発車

桐生(きりゅう)から乗ってきた電車を小山(おやま)で降り、階段を上がって通路を進んで上野行きのホームにやってきた。上毛電鉄とわたらせ渓谷鐵道に乗ってきたのでもう夕方になっている。

上野行きの電車がやってきた。それほど小山では混雑していない。乗ってすわる。きょうは上野まで乗ることになる。9月にも乗った電車だ。電車は発車する。そのうち利根川を渡り、埼玉県に入っていく。


きっぷ

スーパーホリデーパスはそれなりにいいきっぷだ。去年までなら青春18きっぷがないシーズンは、鉄道乗り放題なんて夢の夢だった。

でも、今年から青春18きっぷが使えない時期もある程度乗り放題にすることができる。スーパーホリデーパスを使って大前まで行けた。

でもなあ・・・ほかに行きたいところがないなあ。

ほかには銚子(ちょうし)の銚子電鉄くらいしかスーパーホリデーパスが有効な場所がないのだ。ただし銚子は、ホリデーパスが使える端の駅、成東(なるとう)から1000円もかからずに行けるから、わざわざスーパーホリデーパスを買う必要もなく、9月にSLに乗りに下館(しもだて)に行った時と同じく、ホリデーパスにきっぷを追加すれば行けるだろう。

でもなあ、銚子には東京から高速バスが出ているんだよなあ。できればバスに乗って行きたいなあ。もしかしたら銚子電鉄の行き止まりの駅の近くから東京行きのバスが出ているかもしれないし、そうなると、もしかしたらスーパーホリデーパスを使うのはきょうが最後になるかもしれないなあ。

そう考え、改めてスーパーホリデーパスを見てみた。きっぷは使うときこそ美しいから、このきっぷも寮のもより駅で駅員に渡してしまおう。


帰宅

きょうはいい1日だった。市城(いちしろ)駅の古い貨車を使った待合い場所、大前の駅前の犬、赤城駅から大間々駅まで歩いた道のふんいきなど、みんなスーパーホリデーパスのおかげで出会えたものである。

そんなことを考えているうちに、電車は荒川を越え、赤羽にすべりこんでいった。もうすぐ上野だ。次はどんな電車に乗りに行こうか、そんなことを考えながら、寮に帰っていった。


補足

なお、本当にスーパーホリデーパスを使うのはこの日が最後になり、スーパーホリデーパスが廃止される2001年11月まで買うことはなかったのである。

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