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Sorry, Japanese only! (1994年7月その2)

52.愛知県は水不足

説明

「87.五能線の海・松本電鉄(1994年6月その2)」の旅行が終わってから時刻表をながめてみた。東京から北の方にも、西の方にも乗っていない路線はたくさんある。どんなところなのか行ってみたい。

北の方にはハートランドフリーきっぷという便利なきっぷがあって新幹線や特急に便利に乗れるが、青春18きっぷが使える便利な列車は少なく、せいぜい快速ムーンライトくらいである。また、西の方には青春18きっぷが使える大垣行きの夜行列車があるが、ハートランドフリーきっぷみたいな便利なきっぷはない。

したがって、青春18きっぷが使える時期におもに西に行き、合間にハートランドフリーきっぷを使って北に行くのが良さそうである。

この夏は青春18きっぷを5日分使っていろいろなところに行こうかと思った。西の方に行くには、日帰りだと今年の春行った飯田線くらいが限界だろう。次は2回ほど、大垣行き夜行で名古屋近辺に行ってその日のうちに東京に帰ってくる旅行がしたい。

北の方も、東京に近い場所は青春18きっぷで行くのが良さそうである。水郡線沿いが良さそうだ。水郡線で郡山に行って、磐越東線で平(たいら。いわき駅の1994年当時の名称)に行って帰ってくる旅行をまずは考えた。

もう1つ、水戸近辺の私鉄をめぐる旅行も考えた。日帰りで北に行く旅行はあとは磐越西線くらいだが、まだこんどにして、残る1回分は、まだ乗ったことがない快速ムーンライトを使って坂町に行き、米坂線で米沢に行き、左沢(あてらざわ)線に行く旅行なんかよさそうだ。

こうして計画が決まった。快速ムーンライトは全席指定だから、9月のはじめがいいだろう。

残りは、7月の2回分で大垣夜行と水戸近辺、8月の夏休み前と後で大垣夜行と水郡線にしようと考えた。

大垣夜行でどこに行くかだが、中央本線に塩尻から西に行っていないので、大垣夜行で名古屋に行って、塩尻経由で帰ってくる旅行にしようと思った。それだけだと時間が余るので、武豊線、明知鉄道、それから中央本線の辰野~塩尻の支線にも乗ることにした。

8月の大垣夜行は、6月に急行津軽に乗っていた人が話していた「佐久間レールパーク」にでも行ってみようかと思った。飯田線の中部天竜にあるらしい。

こうして予定が決まり、ぼくは青春18きっぷを買い予定の日が来て品川駅に向かったのである。

東海道本線

品川~熱海

品川駅にやってきた。これからまた大垣行きの夜行列車に乗る。4月に二度ほど熱海までは乗っているが、愛知県まで乗るのは去年の11月以来である。

茅ヶ崎から乗って熱海で降りた時は立っていたが、きょうは愛知県の大府(おおぶ)まで行くのでできればすわりたい。でも臨時ホームに行って客足を見たところ、それほど並んでいるわけでもないのでなんとかなりそうだ。

なにしろ、きょうは大垣行きが2本走る日なのだ。どちらに乗ろうかと思ったが、大府にはあとから品川を発車する大垣行きの方が先に到着する。時刻表によれば浜松で追い抜くようだ。とりあえずあとからの方に並ぼう。

午後11時を過ぎ、客が増えてきた。まず先に品川を発車する方の電車が入線し、ドアが開いた。客が乗り込んでいく。ぼくはすわれることを信じてもう片方を待つ。
やってきた。ドアが開く。どやどやと順番に乗り込む。なんとかすわれた。良かった。

あらかじめあしたの日付を入れてもらった青春18きっぷは持っているし、川崎までのきっぷもあるからこれでいいだろう。だんだん混雑してきて、立ち客も出た。まず向かいの大垣行きが発車する。そして数分後、こちらの電車も発車。

やっぱり青春18きっぷシーズンの大垣行きは活気がある。多摩川を渡って川崎に着いた。ここから青春18きっぷ使用開始だ。あまり降りる人はいない。そして横浜。乗る人もたくさんいる。横浜を過ぎると左右の山々の明かりがきれいだ。もう夜12時を過ぎているけどいい景色だなあ。


熱海~大府

あとはずっと熱海まで来るが、客は減らない。どうやらかなりの客が名古屋の方まで行くようだ。4月に行ったお宮の松のところのすかいらーくにいつかまた行きたいが、今は先を急ごう。

どうやらきょうは車内改札は来ないようだ。こんなに混雑するんじゃ車掌も車内をまわれないだろう。

できれば眠っておきたいが、あまり眠れない。それでもうとうとしているうちに腕時計を見るともう浜松のようだ。この電車は浜松でとなりの電車を追い抜く。となりの電車が見える。長い停車なのでとなりの電車では客がホームに降りてたばこを吸っているのが見える。トイレに行く人も多いようだ。しかしこちらの電車は停車時間が短いのですぐに発車である。そしてまた景色は闇の中となる。それでもいつのまにか眠った。

気が付くと外が明るくなっている。寝過ごしたかな!と思ったがなんとか大府には着いていないようだ。そして大府が近づく。通路にぶったおれている人がかなり多いのでまたぎ越して出口に進む。そして大府に到着。ぼくは武豊(たけとよ)線に乗るため、この駅で降りた。降りる人はわずかなようだ。10人もいなかっただろう。

さあ、トイレに行きたい。階段を上がり、トイレを見つけた。しかしそこには、

「水不足のため、夜間のトイレの使用を禁止します。トイレ利用時間は○○:○○~・・・」
という貼り紙があった。

げっ、数年前に冷害で米が不作になって○○米(○○はとある国名)を輸入した直後に、今度は暑すぎて西の方で水不足とは聞いていたが、こんなところに影響が出ているとは思わなかった。

こりゃ武豊線で武豊に着くまでトイレはがまんする必要があるかなあと思いながら、武豊線のホームを探した。

武豊線

旅行記本文

7月20日過ぎの早朝、水不足のため使用禁止になっている大府駅のトイレを後にして、階段をおりて武豊(たけとよ)行きのディーゼル車までやってきた。もう停車していて乗ることができる。ディーゼル車の中にはトイレがあった。

なんと駅のトイレが使用できないにもかかわらず、ディーゼル車のトイレは使用可能であった。客はいない。ひとまず用を足そう。無事用を足した。

トイレを出て、いすにすわる。たちまちぼくは眠ってしまい、気がつくと停車していた。なんともう武豊駅である。こんなこともあるんだな。ひとまず降りようか。

青春18きっぷを見せて改札を出る。武豊駅のまわりは、それなりに人家が多いが住宅ばかりでお店が見あたらない場所であった。特に行くところもないだろう。列車に戻ろう。

今度の列車は直通の名古屋行きであった。名古屋に着いた後でどうするかだが、きょうは中央本線経由で東京まで帰る予定である。ただし中津川から塩尻までの間の普通列車の数が少ないため、途中どこかに寄り道できる。一番都合がいいのは恵那(えな)というところから出ている明知(あけち)鉄道だ。

終点の明智(あけち)まで行って恵那に帰ってきても同じ電車になるので都合がいい。
そんなことを考えているうちにまた眠ってしまう。そして気がつくと名古屋だった。

全く思い出がないまま武豊線に乗ってしまった。しかたない。夜行明けはこんなもんだ。

またいつか乗った時には起きていようと思いながら、ぼくはディーゼル車を降り、階段をおりてのぼって中央本線のホームに向かった。

中央本線その1

旅行記本文

武豊(たけとよ)から乗ってきた直通の名古屋行きのディーゼル車を降りた。階段をおりて上がってなんとか中央本線中津川行きのホームにやってきた。

さすがに客はいっぱいだ。そう言えば名古屋近郊の中央本線に乗るのははじめてだ。
武豊線よりは車両数が多いが、東海道本線よりは短い。だから混雑するのかなあ。とりあえずはじめてだから、しっかり景色を見ておこう。

電車は発車する。しばらくは名古屋駅のそばの建物が見えていたが、すぐに高い建物は去り、多少空き地の見える景色になっていく。名古屋って市街地がせまいんだな。
客はだんだんと降りていき、それほど時間もたたずにすわれるようになった。
そして、けっこう早いうちに山が左右にせまってきた。中央本線沿いってすぐ平野が終わってしまうんだな。3月に乗った飯田線みたいな景色が続くようになる。

多治見を過ぎる。多治見の手前より若干山が低くはなったみたいだが、それほど広くなさそうな盆地の景色が続く。そして目的地、恵那(えな)に到着である。ここで電車を降りる。

遅れずに電車が着いたので、予定通り明知(あけち)鉄道に乗ることにしよう。青春18きっぷを見せて改札を通った。明智(あけち)まできっぷを買おう。

明知鉄道

恵那~明智

名古屋から乗ってきた電車を恵那(えな)で降り、青春18きっぷを見せて改札を通った。
だいぶ名古屋からは離れた場所で、駅のまわりもそんなににぎやかではないようだ。

さがしたら明智(あけち)まで券売機できっぷが売っていた。買ってきっぷを見せて改札を通る。さすがに元国鉄線だっただけあって、明知(あけち)鉄道のホームは中央本線のすぐそばだった。

ディーゼル車がやってきた。多少古いディーゼル車だった。武豊線のディーゼル車よりずっと古いようだ。お客は少ない。土曜日の午前中だからなあ。中央本線の名古屋近辺の混雑と比べると別世界である。

ディーゼル車は発車する。発車したらたちまち、まわりは低い木々が立ち並ぶ景色になった。
なにしろ、中央本線は山が近くに見えるとは言え、仮にも特急がたくさん通る路線なのである。しかし今乗っているのは第三セクターなのだ。そんな草だらけの景色である。なんとなく坂道をのぼっているような気がする。

あとで知ったことだが、この明知鉄道は、かなり勾配が急な路線だということである。国鉄時代はある程度以上の勾配の場所に駅を作ることが禁止されていたそうだが、第三セクターになってから勾配のある箇所にも駅を作ることができるようになったため、明知鉄道になってからできた新しい駅があるとのことである。


明智~恵那

ディーゼル車は客が少ないまま進み、あまり景色も変わらないまま終点明智に到着した。まずはいったん駅を出る。恵那に戻るディーゼル車まで多少時間がある。

駅前はこじんまりした集落であった。たいしたお店もない。
でも靴屋を見つけた。なんと500円くらいの安い運動靴が売っていた。ちょうど靴が古くなっていたし、買っていくことにした。靴を買うと発車時刻が近づいた。きっぷを買ってまたディーゼル車に乗る。そして発車。

お客は今度も少なく、同じ景色を戻っていく。やっぱりこういういなかの景色っていい。
今年は2月に北海道・東北、3月に只見線と飯田線を旅行したが、やはりこういう都会では見られない景色が見られて楽しかった。これからもこういうローカル線にどんどん乗っていこう。

そんなふうにして終点の恵那まで戻ってきた。今度も遅れずに到着したので、数少ない中津川から塩尻までの普通列車に乗れそうだ。ぼくはディーゼル車を降り、いったん改札を出て青春18きっぷで改札に入り直すことにした。

中央本線その2

旅行記本文

明智(あけち)からディーゼル車に乗って恵那(えな)に戻ってきた。いったん改札を出て、青春18きっぷで改札に入り直す。

中津川行きの電車がやってきた。多少客は多いがなんとかすわれるようだ。数駅進んで電車は終点中津川に着いた。ここも恵那と景色は同じようなもので、山が右にも左にも見える景色である。さあ、松本行きに乗り換えだ。

乗り換えた松本行きは、ぼくがけさ品川から大府まで乗ってきたのとほとんど同じ、ボックス席だけの電車であった。さすがに数時間ぶりの電車だけあって、座席はいっぱいだ。しかたない。立っていこう。

座席はいっぱいだがデッキまでいっぱいではなかったことが幸いであった。まあなんとかなりそうだ。発車である。電車はそれほど広くない中津川の市街地を離れていく。

電車は長野県に入ったようだ。山が深くなった。うん、長野県だなあ。

長野県の電車はかなり乗っている。塩尻から西の中央本線には初めて乗るが、同じ長野県なので、景色もほかの長野県の路線と似通っているような気がする。やっぱりどことなく安心する。これですわれればもっと良いけれど、こんなに普通列車の数が少ないんじゃしかたないか。

長いこと電車にゆられ、トンネルをくぐる。さすがに塩尻までの途中で降りる人は少ないようだ。みんな青春18きっぷの客なんだろう。若い人が多いようだ。

電車はそれほど大きくなさそうな市街地に入っていき、目的地、塩尻に到着した。電車を降りるが見たところ降りた人の数は少ない。かなりの人が松本まで行くのだろう。

ぼくは当初の予定通り、6月には乗らなかった、塩尻と辰野(たつの)を結ぶ、急行アルプスと普通列車しか通らない方の路線に乗ろうと、階段を上がって次の電車のホームを確認することにした。

中央本線その3

塩尻~辰野

中津川から乗ってきた満員の電車を塩尻で降りた。塩尻で降りる人はわずかであった。

塩尻の駅はどことなく殺風景な駅であった。あとで知った話だが、この駅は以前はもっと東にあったけど、長野から名古屋に向かう列車が方向転換しなくてもすむようにするため、この場所に移転したとのことで、それでホームとかも多少歴史が浅いとのことだ。

辰野行きの出るホームを見つけて進む。しばらく待つと辰野行きの電車がやってきた。乗ってみたが、なんとなくいごこちが悪い。
中津川から乗ってきたようなボックス席ばかりの電車でもなく、長野近辺で走っているようなボックス席と2人がけシートの電車でもなく、かと言って3月に乗ったような飯田線の新しげな電車でもない、どことなく古っぽいのか新しいのかわからないような電車であった。

6月に特急あずさで通り抜けた、みどり湖経由のトンネル路線ができるまではこっちの線路にも特急が本当に走っていたとは思えないような電車であった。なにしろ、長野から飯田に向かう直通電車でさえ、みどり湖・岡谷を経由するのだ。それでも1994年現在、急行アルプスだけはこっちの線路を走っている。

とにかく発車を待とう。発車だ。電車は塩尻を離れていく。
さすがにみどり湖経由とは違い、長いトンネルを通るわけではない。谷間を通る。やっぱり明治とかの時代だったらこっちにレールを通すだろうなあ。


辰野~塩尻

客もほとんど乗り降りせず、電車は終点、辰野に着いた。ここは塩尻と違って移転とかしていないので古そうな駅だ。みどり湖経由の路線ができるまでは飯田線のターミナルだったらしく、どことなくおもむきのあるたたずまいである。

さて、直接岡谷に向かう電車を待つよりも、今まで乗ってきたレールで塩尻経由で進んだ方が早く東京に帰れるようだ。同じ電車に乗り、戻っていく。
同じ景色を見て塩尻に帰ってきた。


帰宅

さあ、あとは先月にもあずさで通ったレールで東京に帰ろう。まだお昼をちょっと過ぎたくらいだから日が暮れないうちに帰れるだろう。小淵沢(こぶちざわ)行きの電車がやってきた。乗る。さすがにすわれない。
みどり湖経由の線路を通り、岡谷に着く。岡谷で多少客は乗ってきたが、下諏訪、上諏訪と降りていき、茅野ですわれるようになった。あとは先月と同じ景色を見て小淵沢に着く。

そして甲府で高尾行きに乗り換える。今日も無事帰れるようだ。

なにしろ去年の11月以来、ひさしぶりに大垣行きの夜行で愛知県まで行く旅行だった。来月にも大垣行きに豊橋まで乗る予定だが、その前に来週、茨城県の旅行でもしてみようなどと思いながら電車を高尾で降り、東京行きに乗り換えた。あしたはお昼まで眠ろう。

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